2017/05/19(金) - 02:11
エミリアロマーニャ州の平坦コースで再びコロンビアンスプリンターのスピードが炸裂。ジロ第12ステージでフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)が3勝目を飾った。
今大会最長となる229kmコースの難易度は1つ星。前半にかけてアペニン山脈の2級山岳コッラ・ディ・カザーリア(全長7.7km/平均4.9%)と3級山岳ヴァリコ・アッペニーニコ(全長10.1km/平均3.3%)を通過するが、後半100kmはほぼ真っ平ら。グルペットで山岳ステージを乗り切ったスプリンターたちにチャンスが巡ってきた。
フォルリの街をスタートするとすぐにミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF)、セルゲイ・フィルサノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)、マルコ・マルカート(イタリア、UAEチームエミレーツ)の3名が集団から抜け出し、長い長い逃げを開始する。距離の長さとコース難易度の低さからタイム差は7分を超えた。
クイックステップフロアーズ、ロット・ソウダル、オリカ・スコットの3チームがメイン集団のペースを刻み、必要以上のタイム差を逃げに与えない。レース中盤にかけてタイム差は3分まで縮まったものの、フィニッシュまでまだ100km以上を残していたため再びタイム差は拡大した。ガビリアはチームメイトにアシストされて2つの中間スプリントポイントをしっかりと集団先頭通過(4番手通過)。最終的なマリアチクラミーノ獲得を狙うガビリアは12ポイントを加算している。
山岳地帯を越えてエミリアロマーニャ州の平野部に出ると、いよいよスプリンターチームが本格的にスピードを上げ始めた。2つのカテゴリー山岳ではオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)が集団先頭を取り、マリアアッズーラをヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)の手から奪うことに成功している。
長らく4分で推移していたタイム差は残り35km地点で2分を切り、その後も縮小は止まらずに残り25km地点で1分を割り込む。逃げ吸収が時間の問題となった残り14km地点でマエストリが独走に持ち込んだものの、フィニッシュまで7kmを残してグルッポ・コンパット(逃げを吸収し、集団は一つにまとまる)。
最も人数を揃えたボーラ・ハンスグローエが隊列を組んで集団先頭を陣取る中、残り2kmを切ってエルゲルト・ズパ(アルバニア、ウィリエール・トリエスティーナ)がロングスパートに持ち込むも吸収。ボーラ・ハンスグローエが集団を引き続けて最終コーナーを抜けると、パンクから集団に復帰したばかりのマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)がガビリアを連れて先頭に出た。
リケーゼに発射され、好位置からスプリントを開始したガビリアに対抗できる選手はいなかった。ヤコブ・マレツコ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)とサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)の追撃は届かず、リードを守ったガビリアが先着。5番手でフィニッシュラインを切るリケーゼに見守られながら、ガビリアが右手首のブレスレットにキスをした。
ステージ3勝目を飾ったガビリアは「集団が加速しているタイミングで発射台役のリケーゼがパンクしてしまったので、一時はどうなることかと思った。でも彼は舞い戻って、完璧なリードアウトをしてくれたんだ」と、同じ南アメリカ出身のリードアウトマンの働きを讃える。「戦歴の上で今大会のベストスプリンターはアンドレ・グライペルだけど、今の自分はトップコンディションであり、脚も最高の状態にあるんだ。そのおかげで3勝目を果たすことができた」。
トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)は危なげなく今大会最長ステージを集団内でフィニッシュしている。ハイスピードスプリントで集団が割れ、ステージ19位以下にタイム差がついた影響でアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)とドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)がライバルたちから6秒奪うことに成功。ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)は31秒遅れでフィニッシュし、総合14位から15位に順位を下げている。
ジロ・デ・イタリア2017第12ステージ結果
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 5h18'55"
2位 ヤコブ・マレツコ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)
3位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)
5位 マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)
6位 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)
7位 サーシャ・モードロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
8位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
9位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
10位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
マリアローザ 個人総合成績
1位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) 52h41'08"
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +2'23"
3位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +2'38"
4位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +2'40"
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +2'47"
6位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +3'05"
7位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +3'56"
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール) +3'59"
9位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)
10位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +4'17"
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 247pts
2位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) 167pts
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 137pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ) 49pts
2位 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 46pts
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 35pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) 52h45'04"
2位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +2'23"
3位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +2'56"
チーム総合成績
1位 モビスター 158h17'43"
2位 アスタナ +3'39"
3位 UAEチームエミレーツ +9'30"
text&photo:Kei Tsuji in Reggio Emilia, Italy
今大会最長となる229kmコースの難易度は1つ星。前半にかけてアペニン山脈の2級山岳コッラ・ディ・カザーリア(全長7.7km/平均4.9%)と3級山岳ヴァリコ・アッペニーニコ(全長10.1km/平均3.3%)を通過するが、後半100kmはほぼ真っ平ら。グルペットで山岳ステージを乗り切ったスプリンターたちにチャンスが巡ってきた。
フォルリの街をスタートするとすぐにミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF)、セルゲイ・フィルサノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)、マルコ・マルカート(イタリア、UAEチームエミレーツ)の3名が集団から抜け出し、長い長い逃げを開始する。距離の長さとコース難易度の低さからタイム差は7分を超えた。
クイックステップフロアーズ、ロット・ソウダル、オリカ・スコットの3チームがメイン集団のペースを刻み、必要以上のタイム差を逃げに与えない。レース中盤にかけてタイム差は3分まで縮まったものの、フィニッシュまでまだ100km以上を残していたため再びタイム差は拡大した。ガビリアはチームメイトにアシストされて2つの中間スプリントポイントをしっかりと集団先頭通過(4番手通過)。最終的なマリアチクラミーノ獲得を狙うガビリアは12ポイントを加算している。
山岳地帯を越えてエミリアロマーニャ州の平野部に出ると、いよいよスプリンターチームが本格的にスピードを上げ始めた。2つのカテゴリー山岳ではオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)が集団先頭を取り、マリアアッズーラをヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)の手から奪うことに成功している。
長らく4分で推移していたタイム差は残り35km地点で2分を切り、その後も縮小は止まらずに残り25km地点で1分を割り込む。逃げ吸収が時間の問題となった残り14km地点でマエストリが独走に持ち込んだものの、フィニッシュまで7kmを残してグルッポ・コンパット(逃げを吸収し、集団は一つにまとまる)。
最も人数を揃えたボーラ・ハンスグローエが隊列を組んで集団先頭を陣取る中、残り2kmを切ってエルゲルト・ズパ(アルバニア、ウィリエール・トリエスティーナ)がロングスパートに持ち込むも吸収。ボーラ・ハンスグローエが集団を引き続けて最終コーナーを抜けると、パンクから集団に復帰したばかりのマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)がガビリアを連れて先頭に出た。
リケーゼに発射され、好位置からスプリントを開始したガビリアに対抗できる選手はいなかった。ヤコブ・マレツコ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)とサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)の追撃は届かず、リードを守ったガビリアが先着。5番手でフィニッシュラインを切るリケーゼに見守られながら、ガビリアが右手首のブレスレットにキスをした。
ステージ3勝目を飾ったガビリアは「集団が加速しているタイミングで発射台役のリケーゼがパンクしてしまったので、一時はどうなることかと思った。でも彼は舞い戻って、完璧なリードアウトをしてくれたんだ」と、同じ南アメリカ出身のリードアウトマンの働きを讃える。「戦歴の上で今大会のベストスプリンターはアンドレ・グライペルだけど、今の自分はトップコンディションであり、脚も最高の状態にあるんだ。そのおかげで3勝目を果たすことができた」。
トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)は危なげなく今大会最長ステージを集団内でフィニッシュしている。ハイスピードスプリントで集団が割れ、ステージ19位以下にタイム差がついた影響でアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)とドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)がライバルたちから6秒奪うことに成功。ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)は31秒遅れでフィニッシュし、総合14位から15位に順位を下げている。
ジロ・デ・イタリア2017第12ステージ結果
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 5h18'55"
2位 ヤコブ・マレツコ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)
3位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)
5位 マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)
6位 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)
7位 サーシャ・モードロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
8位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
9位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
10位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
マリアローザ 個人総合成績
1位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) 52h41'08"
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +2'23"
3位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +2'38"
4位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +2'40"
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +2'47"
6位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +3'05"
7位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +3'56"
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール) +3'59"
9位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)
10位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +4'17"
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 247pts
2位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) 167pts
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 137pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ) 49pts
2位 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 46pts
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 35pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) 52h45'04"
2位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +2'23"
3位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +2'56"
チーム総合成績
1位 モビスター 158h17'43"
2位 アスタナ +3'39"
3位 UAEチームエミレーツ +9'30"
text&photo:Kei Tsuji in Reggio Emilia, Italy
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