2017/05/16(火) - 15:49
山岳コースが用意されたツアー・オブ・カリフォルニア2日目に総合争いが勃発。中盤に形成された総合優勝候補たちの逃げがゴールまで到達し、スプリントを制したラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)がリーダージャージを着用した。
ツアー・オブ・カリフォルニア(UCIワールドツアー)は2日目にして山岳ステージに直面した。モデストからサンノゼまで至る144.5km間の大半は山岳区間を走る州道130号線がその舞台。プロトンは22.5km地点の州道入り口から徐々に標高を上げ、2級→3級→3級とクリア。続いて標高1274mの超級山岳マウント・ハミルトン山頂を97km地点で通過すると、途中に2級山岳を挟みながら一気に地上に戻ってくる。最後は今一度登りをクリアしてゴールに飛び込むもので、コース全体の獲得標高は2560mだ。この日は様々な思惑が交錯し、序盤から積極的にレースが動いた。
リーダージャージ保持が不可能であるため、マルセル・キッテル(ドイツ)擁するクイックステップフロアーズはコントロールを行わず逃げ切りを狙うアタック合戦が活発化。2年連続ステージ優勝を挙げているトムス・スクインシュ(ラトビア、キャノンデール・ドラパック)、スコット・スウェイツ(イギリス、ディメンションデータ)、ダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア)、ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)ら6名の逃げが決まったのは35kmを消化してからだった。
山岳賞狙いのハラミーリョはチームメイトのタナー・プット(アメリカ)の力を借りて2級、3級、3級と連続先頭通過を果たし、最終的に目標を達成。マウント・ハミルトン(登坂距離6.9km、平均勾配8.7%、最大勾配11.3%)ではスクインシュ、ハラミーリョ、スウェイツの3名が生き残る。3分差で追いかけるメイン集団先頭ではロットNLユンボが一列棒状でメンバーを絞り込み、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)も力なく遅れていった。
するとペースが緩んだ隙を突いてジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)がアタック。ここにイアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ)、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ)が反応し、レース中盤にして総合優勝候補による追走グループができあがる。
その頃先頭からは逃げ切りを狙うスクインシュが独走体制に持ち込み、先頭でハミルトン頂上を通過。しかし真後ろに迫るマイカグループにキャッチされ、マイカを先頭にハミルトン下山中に用意された最後の2級山岳をクリアした。
山岳賞争いでも2位に浮上したスクインシュだったが、サンノゼを目指すダウンヒル中に悪運に見舞われる。高速左コーナーの進入時に前輪を滑らせたスクインシュはそのまま左肩から落車。頭を打ち、よろめきながらもリスタートを切ったスクインシュだったがチーム監督判断でリタイアに。病院に搬送された結果左鎖骨と全身擦過傷という診断が下された。幸い本人は「今は大丈夫。ドクターが状況を好転させてくれるはず」とコメントしており、重篤な怪我には繋がらなかった様子。また、落車後に危険な様子を伺わせたスクインシュではなく、機材をケアしたオフィシャルの対応にも批判が集中しており、暫く議論が続きそうだ。
後続に1分差を付けて残り10km地点を通過したマイカグループは、後手を踏んだBMCレーシングやクイックステップが中心となった16名の追走集団に追い込まれながらもゴールへと続く登坂を駆け上がっていく。再三に渡るモートンのアタックは不発に終わり、ゴール直近のカウンターアタックでベネットが発進。食らいついたマイカを引き離したいベネットだったが、ポーランド王者のスプリントには太刀打ちできなかった。
ロングスプリントを射止めたマイカの7秒後にはロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)を先頭にした追走グループがボズウェルとモートンから30秒遅れでなだれ込んだが、ボーナスタイムを得たマイカがベネットに2秒、ボズウェルに7秒差で総合首位に浮上。BMCレーシングのエース、ブレント・ブックウォルター(アメリカ)は48秒遅れの総合6位に続く結果となった。
ボーラ移籍後初勝利を挙げたマイカは「今日はすごく調子が良かったし、抜け出したタイミングやメンバーにも恵まれていた。最後はスプリントに出遅れないために早めに先頭に立ったけれど、そのまま逃げ切るだけの力があった」と語っている。
ツアー・オブ・カリフォルニア2017第2ステージ結果
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 3h43’46”
2位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)
3位 イアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ) +07”
4位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ)
5位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) +37"
6位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)
7位 タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)
8位 サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)
9位 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)
10位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)
個人総合成績
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 7h29’14”
2位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) +02”
3位 イアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ) +07”
4位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ) +14”
5位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) +16”
6位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング) +48”
7位 サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)
8位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)
9位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ)
10位 ヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
ポイント賞
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 16pts
2位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) 15pts
3位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) 15pts
山岳賞
1位 ダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア) 24pts
2位 スコット・スウェイツ(イギリス、ディメンションデータ) 16pts
3位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 12pts
ヤングライダー賞
1位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ) 7h29’30”
2位 サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) +32”
3位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ)
チーム総合成績
1位 チームスカイ 22h29’55”
2位 BMCレーシング +3’07”
3位 コフィディス・ソルシオンクレディ +4’20”
text:So.Isobe
ツアー・オブ・カリフォルニア(UCIワールドツアー)は2日目にして山岳ステージに直面した。モデストからサンノゼまで至る144.5km間の大半は山岳区間を走る州道130号線がその舞台。プロトンは22.5km地点の州道入り口から徐々に標高を上げ、2級→3級→3級とクリア。続いて標高1274mの超級山岳マウント・ハミルトン山頂を97km地点で通過すると、途中に2級山岳を挟みながら一気に地上に戻ってくる。最後は今一度登りをクリアしてゴールに飛び込むもので、コース全体の獲得標高は2560mだ。この日は様々な思惑が交錯し、序盤から積極的にレースが動いた。
リーダージャージ保持が不可能であるため、マルセル・キッテル(ドイツ)擁するクイックステップフロアーズはコントロールを行わず逃げ切りを狙うアタック合戦が活発化。2年連続ステージ優勝を挙げているトムス・スクインシュ(ラトビア、キャノンデール・ドラパック)、スコット・スウェイツ(イギリス、ディメンションデータ)、ダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア)、ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)ら6名の逃げが決まったのは35kmを消化してからだった。
山岳賞狙いのハラミーリョはチームメイトのタナー・プット(アメリカ)の力を借りて2級、3級、3級と連続先頭通過を果たし、最終的に目標を達成。マウント・ハミルトン(登坂距離6.9km、平均勾配8.7%、最大勾配11.3%)ではスクインシュ、ハラミーリョ、スウェイツの3名が生き残る。3分差で追いかけるメイン集団先頭ではロットNLユンボが一列棒状でメンバーを絞り込み、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)も力なく遅れていった。
するとペースが緩んだ隙を突いてジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)がアタック。ここにイアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ)、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ)が反応し、レース中盤にして総合優勝候補による追走グループができあがる。
その頃先頭からは逃げ切りを狙うスクインシュが独走体制に持ち込み、先頭でハミルトン頂上を通過。しかし真後ろに迫るマイカグループにキャッチされ、マイカを先頭にハミルトン下山中に用意された最後の2級山岳をクリアした。
山岳賞争いでも2位に浮上したスクインシュだったが、サンノゼを目指すダウンヒル中に悪運に見舞われる。高速左コーナーの進入時に前輪を滑らせたスクインシュはそのまま左肩から落車。頭を打ち、よろめきながらもリスタートを切ったスクインシュだったがチーム監督判断でリタイアに。病院に搬送された結果左鎖骨と全身擦過傷という診断が下された。幸い本人は「今は大丈夫。ドクターが状況を好転させてくれるはず」とコメントしており、重篤な怪我には繋がらなかった様子。また、落車後に危険な様子を伺わせたスクインシュではなく、機材をケアしたオフィシャルの対応にも批判が集中しており、暫く議論が続きそうだ。
後続に1分差を付けて残り10km地点を通過したマイカグループは、後手を踏んだBMCレーシングやクイックステップが中心となった16名の追走集団に追い込まれながらもゴールへと続く登坂を駆け上がっていく。再三に渡るモートンのアタックは不発に終わり、ゴール直近のカウンターアタックでベネットが発進。食らいついたマイカを引き離したいベネットだったが、ポーランド王者のスプリントには太刀打ちできなかった。
ロングスプリントを射止めたマイカの7秒後にはロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)を先頭にした追走グループがボズウェルとモートンから30秒遅れでなだれ込んだが、ボーナスタイムを得たマイカがベネットに2秒、ボズウェルに7秒差で総合首位に浮上。BMCレーシングのエース、ブレント・ブックウォルター(アメリカ)は48秒遅れの総合6位に続く結果となった。
ボーラ移籍後初勝利を挙げたマイカは「今日はすごく調子が良かったし、抜け出したタイミングやメンバーにも恵まれていた。最後はスプリントに出遅れないために早めに先頭に立ったけれど、そのまま逃げ切るだけの力があった」と語っている。
ツアー・オブ・カリフォルニア2017第2ステージ結果
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 3h43’46”
2位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)
3位 イアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ) +07”
4位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ)
5位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) +37"
6位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)
7位 タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)
8位 サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)
9位 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)
10位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)
個人総合成績
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 7h29’14”
2位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) +02”
3位 イアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ) +07”
4位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ) +14”
5位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) +16”
6位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング) +48”
7位 サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)
8位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)
9位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ)
10位 ヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
ポイント賞
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 16pts
2位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) 15pts
3位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) 15pts
山岳賞
1位 ダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア) 24pts
2位 スコット・スウェイツ(イギリス、ディメンションデータ) 16pts
3位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 12pts
ヤングライダー賞
1位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ) 7h29’30”
2位 サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) +32”
3位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ)
チーム総合成績
1位 チームスカイ 22h29’55”
2位 BMCレーシング +3’07”
3位 コフィディス・ソルシオンクレディ +4’20”
text:So.Isobe
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