2017/05/11(木) - 02:28
ニーバリの地元メッシーナで繰り広げられた集団スプリント。大歓声の中、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)がジロ・デ・イタリア第5ステージで2勝目を果たした。
今大会最初の山岳決戦を終え、シチリア2日目はエトナ山の麓からヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)の故郷メッシーナを目指す159km。前半に標高878mの4級山岳アンドロニコ・サンタルフィオを含むアップダウンが登場するが、観光地タオルミーナを抜けると残り50kmはほぼ真っ平ら。残り11km地点でメッシーナ市街周回を走る平坦ステージの難易度は1つ星だ。
スタート直後にマチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)とエフゲニー・シャルノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)が飛び出すと、山岳賞争いにもポイント賞争いにも関係しないこの2人の動きをメイン集団はあっさりと見送る。シチリアの熱い太陽の下、タイム差は4分を超えた。
総合リーダーチームであると同時に集団スプリント狙いのクイックステップフロアーズがメイン集団のペースコントロールを担当し、ここにオリカ・スコットやロット・ソウダルも人数を送り込む。2つのスプリントポイントはいずれもパテルスキーの手に。その3分後方ではポイント賞狙いのガビリアがしっかりと集団の先頭を取った。
岬の上に位置するタオルミーナの町を抜け、残り50km地点に差し掛かるとタイム差は縮小を開始する。残り30kmでタイム差は2分を切り、残り20kmでタイム差1分という逃げには圧倒的に不利な進行。スプリンターチームは残り15km地点で逃げを飲み込み、観客で溢れかえったメッシーナの周回コースに入った。
最終周回に入る残り6km地点でルカ・ピベルニク(スロベニア、バーレーン・メリダ)が単独で抜け出し、チーム無線の不調による勘違いガッツポーズが決まる。フィニッシュラインで両手を広げたピベルニクが吸収されるとオリカ・スコットやロット・ソウダル、クイックステップフロアーズが隊列を組んで先頭へ。残り1.5kmのラウンドアバウトUターンを経て最終ストレートに入ると、UAEチームエミレーツ、オリカ・スコット、ロット・ソウダルのリードアウトマンたちが単騎で先頭に立つも、いずれもエーススプリンターを見失ってしまう。
残り200mまでリュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)のリードアウトを受けたサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が好位置から発進。マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)の後ろに身を潜めていたガビリアはすぐにベネットの後輪に食らいつき、しばらくタイミングを待ってから腰を上げる。残り50〜70mあたりからさらにもう一段加速したガビリアがベネットを追い抜いた。
「チームの動きは完璧で、望み通りの感触でスプリントできた。最高の勝ち方だったと言える。『ステージ優勝の量産と総合成績』というチームの目標通りの走りができている」。ガビリアは第3ステージに続く2勝目で、マリアチクラミーノも同時に獲得。クイックステップフロアーズは今シーズン25勝目だ。「この勝利は自分だけのものではなく、チームメイトや、ジロに帯同している家族のものでもある」と語るガビリアは、レース後すぐに家族の元に駆け寄り、ガールフレンドや両親と抱き合った。
「最後は危険でクレイジーなフィナーレだった。フェルナンドの勝利は本当に嬉しいけど、メッシーナの周回コースでは神経をすり減らせたよ。ヴィンチェンツォ・ニーバリの応援のために信じられない数の観客が集まっていた」と語るのはマリアローザとマリアビアンカを守ったユンゲルス。ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)と6秒差、その他のライバルたちと10秒差という総合リードに変わりはない。「日曜日のブロックハウスでクライマーたちが攻撃を仕掛けてくるのは間違いない。少なくともそれまではマリアローザを着続けたい」とユンゲルスは語っている。
ジロ・デ・イタリア2017第5ステージ結果
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 3h40'11"
2位 ヤコブ・マレツコ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)
3位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
5位 フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)
6位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、ディメンションデータ)
7位 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)
8位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
9位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
10位 エンリコ・バッタリーン(イタリア、ロットNLユンボ)
マリアローザ 個人総合成績
1位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) 23h22'07"
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +06"
3位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +10"
4位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
6位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)
7位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
8位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
9位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
10位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 138pts
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 99pts
3位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、ディメンションデータ) 76pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 43pts
2位 ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、ディメンションデータ) 22pts
3位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) 18pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) 23h22'07"
2位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +10"
3位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
チーム総合成績
1位 キャノンデール・ドラパック 70h06'51"
2位 UAEチームエミレーツ +07"
3位 モビスター +36"
text&photo:Kei Tsuji in Messina, Italy
今大会最初の山岳決戦を終え、シチリア2日目はエトナ山の麓からヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)の故郷メッシーナを目指す159km。前半に標高878mの4級山岳アンドロニコ・サンタルフィオを含むアップダウンが登場するが、観光地タオルミーナを抜けると残り50kmはほぼ真っ平ら。残り11km地点でメッシーナ市街周回を走る平坦ステージの難易度は1つ星だ。
スタート直後にマチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)とエフゲニー・シャルノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)が飛び出すと、山岳賞争いにもポイント賞争いにも関係しないこの2人の動きをメイン集団はあっさりと見送る。シチリアの熱い太陽の下、タイム差は4分を超えた。
総合リーダーチームであると同時に集団スプリント狙いのクイックステップフロアーズがメイン集団のペースコントロールを担当し、ここにオリカ・スコットやロット・ソウダルも人数を送り込む。2つのスプリントポイントはいずれもパテルスキーの手に。その3分後方ではポイント賞狙いのガビリアがしっかりと集団の先頭を取った。
岬の上に位置するタオルミーナの町を抜け、残り50km地点に差し掛かるとタイム差は縮小を開始する。残り30kmでタイム差は2分を切り、残り20kmでタイム差1分という逃げには圧倒的に不利な進行。スプリンターチームは残り15km地点で逃げを飲み込み、観客で溢れかえったメッシーナの周回コースに入った。
最終周回に入る残り6km地点でルカ・ピベルニク(スロベニア、バーレーン・メリダ)が単独で抜け出し、チーム無線の不調による勘違いガッツポーズが決まる。フィニッシュラインで両手を広げたピベルニクが吸収されるとオリカ・スコットやロット・ソウダル、クイックステップフロアーズが隊列を組んで先頭へ。残り1.5kmのラウンドアバウトUターンを経て最終ストレートに入ると、UAEチームエミレーツ、オリカ・スコット、ロット・ソウダルのリードアウトマンたちが単騎で先頭に立つも、いずれもエーススプリンターを見失ってしまう。
残り200mまでリュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)のリードアウトを受けたサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が好位置から発進。マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)の後ろに身を潜めていたガビリアはすぐにベネットの後輪に食らいつき、しばらくタイミングを待ってから腰を上げる。残り50〜70mあたりからさらにもう一段加速したガビリアがベネットを追い抜いた。
「チームの動きは完璧で、望み通りの感触でスプリントできた。最高の勝ち方だったと言える。『ステージ優勝の量産と総合成績』というチームの目標通りの走りができている」。ガビリアは第3ステージに続く2勝目で、マリアチクラミーノも同時に獲得。クイックステップフロアーズは今シーズン25勝目だ。「この勝利は自分だけのものではなく、チームメイトや、ジロに帯同している家族のものでもある」と語るガビリアは、レース後すぐに家族の元に駆け寄り、ガールフレンドや両親と抱き合った。
「最後は危険でクレイジーなフィナーレだった。フェルナンドの勝利は本当に嬉しいけど、メッシーナの周回コースでは神経をすり減らせたよ。ヴィンチェンツォ・ニーバリの応援のために信じられない数の観客が集まっていた」と語るのはマリアローザとマリアビアンカを守ったユンゲルス。ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)と6秒差、その他のライバルたちと10秒差という総合リードに変わりはない。「日曜日のブロックハウスでクライマーたちが攻撃を仕掛けてくるのは間違いない。少なくともそれまではマリアローザを着続けたい」とユンゲルスは語っている。
ジロ・デ・イタリア2017第5ステージ結果
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 3h40'11"
2位 ヤコブ・マレツコ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)
3位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
5位 フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)
6位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、ディメンションデータ)
7位 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)
8位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
9位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
10位 エンリコ・バッタリーン(イタリア、ロットNLユンボ)
マリアローザ 個人総合成績
1位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) 23h22'07"
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +06"
3位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +10"
4位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
6位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)
7位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
8位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
9位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
10位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 138pts
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 99pts
3位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、ディメンションデータ) 76pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 43pts
2位 ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、ディメンションデータ) 22pts
3位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) 18pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) 23h22'07"
2位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +10"
3位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
チーム総合成績
1位 キャノンデール・ドラパック 70h06'51"
2位 UAEチームエミレーツ +07"
3位 モビスター +36"
text&photo:Kei Tsuji in Messina, Italy
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