5月5日(金)に開幕を迎える第100回ジロ・デ・イタリア。サルデーニャ島をスタートし、シチリア島や南イタリアを駆け抜ける前半ステージの見どころをプレビューします。



5月5日(金)第1ステージ アルゲーロ〜オルビア 206km ★★ → コースマップ

ジロ・デ・イタリア2017第1ステージジロ・デ・イタリア2017第1ステージ image:RCSsportジロ100回記念大会が開幕地に選んだのは地中海に浮かぶサルデーニャ島。フランス領のコルシカ島の南に位置し、シチリア島に次いで地中海第二の面積(2万4,090平方キロメートル=四国の約1.3倍)を誇る島の北西に位置するアルゲーロでレースは動き出す。サルデーニャ島でのジロ開幕は1991年と2007年に続く3回目だ。

サルデーニャ島を時計回りに半周する3日間の初日は、同島の北岸を東に進む206km。合計3つの4級山岳が設定されており、残り21km地点の4級山岳サンパンタレオ(全長3.2km/平均5.6%/最大12%)がスプリンターたちにとっての最後のハードル。マリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)狙いのアタッカーが序盤から血気盛んに飛び出すことが予想されるが、山岳の難易度の低さから大集団によるスプリントに持ち込まれる可能性は高い。残り2km地点の短い石畳区間や連続直角コーナー、線路を越える高低差10mほどの陸橋をクリアし、オルビアの海岸通り(道幅8m)に引かれたフィニッシュラインに先頭で飛び込んだ者がマリアローザ着用の権利を得る。



5月6日(土)第2ステージ オルビア〜トルトリ 221km ★★ → コースマップ

ジロ・デ・イタリア2017第2ステージジロ・デ・イタリア2017第2ステージ image:RCSsport引き続きサルデーニャ島を反時計回りに進む第2ステージ。コースの難易度は初日の第1ステージと同じ2つ星だが、内陸を進むため標高のあるアップダウンが続き、しかも距離が長い。中級山岳ステージに分類されており、この日の集団スプリントに残るためには登坂力が欠かせない。残り47km地点の2級山岳ジェンナ・シラーナは平均勾配こそ3.2%と緩いが、登坂距離が19.6kmに達する長い登りだ。

標高1,002mの最終峠を越えると長いハイスピードダウンヒル(路面状況は良好という情報)が待っている。ジロ初登場のフィニッシュ地点トルトリまで残り10kmのサインが見えると、そこからは道幅のある平坦な幹線道路。線路をまたぐ最終コーナーを抜けると、フィニッシュラインまで道幅7.5mの直線路が1,800mにわたって続く。まだ総合タイム差が小さいレース序盤のため、ステージ優勝とマリアローザ獲得を狙う選手が2級山岳で活発に動くはずだ。


5月7日(日)第3ステージ トルトリ〜カリアーリ 148km ★ → コースマップ

ジロ・デ・イタリア2017第3ステージジロ・デ・イタリア2017第3ステージ image:RCSsportサルデーニャ最終日は平穏な1日になるはず。コース全長は200kmオーバーのステージが続いた開幕2日間と比べるとずっと短い148km。海岸線と平行して走る道路の特性上、緩やかなアップダウンはあるものの、コースはスプリンター向きの平坦基調だ。残り41km地点に登場する4級山岳カーポ・ボイ(全長1.8km/平均5.8%)は全く問題にならないと言っていい。

海沿いのワインディングを経てたどり着くのは、人口15万人を有するサルデーニャ自治州の州都カリアーリ。残り10kmを切ってからは完全に真っ平らで、いくつかのラウンドアバウトが登場するものの、集団を大きく減速させるようなトリッキーなコーナーはない。スプリンターチームが隊列を組んで激しいポジション争いを繰り広げるだろう。カリアーリ中心部のローマ通りにフィニッシュラインが引かれており、残り350mから先は長方形の平らな石畳(約30x80cm)が敷き詰められている。

選手たちはフィニッシュ後にシャワーを浴び、近くのカリアーリ空港からシチリア島のパレルモ空港まで空路で移動。大会関係車両はカリアーリ港からパレルモ港までの長い船旅が待っている。このサルデーニャ島とシチリア島の長距離移動があるため、イタリア国内で完結するコースレイアウトながら休息日は3日設定されている。



5月8日(月)休息日



5月9日(火)第4ステージ チェファル〜エトナ 181km ★★★★ → コースマップ

ジロ・デ・イタリア2017第4ステージジロ・デ・イタリア2017第4ステージ image:RCSsport選手にとっての休息日、大会関係者にとっての移動日を経て、第4ステージはシチリア島北部のチェファルをスタート。海岸線に沿って進む序盤の57kmを終えるとコースは一路内陸に向かう。2級山岳ポルテッラ・フェンミーナモルタ(全長32.8km/平均4.5%)の長い長い登りをこなし、ヨーロッパ最大の活火山として知られる標高3,329mのエトナ山に向かう。

エトナ山の「五合目」に位置する標高1,892mの1級山岳リフージオ・サピエンツァ(全長17.9km/平均6.6%)が今大会最初の山頂フィニッシュ。実質的に8%前後の勾配が続く登りの両側は固まった溶岩に覆われており、遮るものがないため風が直接選手たちに吹き付ける。リフージオ・サピエンツァはジロ3度目の登場だが、ルハノが勝利した前回(2011年)とはアプローチが異なる。獲得標高差3,500mの4つ星ステージでマリアローザはスプリンターの手を離れる。



5月10日(水)第5ステージ ペダーラ〜メッシーナ 159km ★ → コースマップ

ジロ・デ・イタリア2017第5ステージジロ・デ・イタリア2017第5ステージ image:RCSsport今大会最初の山岳決戦を終え、シチリア2日目はエトナ山の麓からヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)の故郷メッシーナを目指す159km。前半に標高878mの4級山岳アンドロニコ・サンタルフィオを含むアップダウンが登場するが、観光地タオルミーナを抜けると残り50kmはほぼ真っ平らだ。

難易度1つ星の平坦コースは、残り11km地点でメッシーナ市街地を走る周回に入る。残り6.3km地点で一旦フィニッシュラインを通過。そこから残り1.6km地点まで高低差20mほどを駆け上がり、Uターン後に高低差20mを駆け下りてそのまま直線的にフィニッシュへ。下で加速したスプリントトレインが超高速で道幅7.5mのガリヴァルディ通りを駆け抜けることになりそうだ。メッシーナがジロのフィニッシュを迎えるのは18年ぶり9度目。レース後に選手たちはメッシーナ海峡を渡ってイタリア本土に上陸する。



5月11日(木)第6ステージ レッジョカラブリア〜テルメルイジャーネ 217km ★★ → コースマップ

ジロ・デ・イタリア2017第6ステージジロ・デ・イタリア2017第6ステージ image:RCSsportサルデーニャ島とシチリア島に別れを告げて、イタリア半島を北上する1週間が始まった。第6ステージは脚の形をした半島の「足の甲」を北上する217km。コースの大部分はティレニア海に沿った平坦なオーシャンロードだが、残り45kmを切ったあたりから4級山岳フスカルド(全長2.1km/平均6.7%)を含むアップダウンが始まる。

特に残り8kmを切ってからは抜きどころの少ないアップダウン&ワインディングロード。残り4km地点で芸術的な連続下りヘアピンをこなし、残り2km地点からコースは再び上昇を開始する。フィニッシュラインに至る平均勾配5.3%の登りは後半にかけて勾配が増すのが特徴で、およそ勾配8%(最大勾配10%)の登りが登れるスプリンターやパンチャーたちの脚を試す。難易度2つ星と侮るなかれ、ポジション取りに失敗するとタイムを失う可能性は十分にある。



5月12日(金)第7ステージ カストロヴィラーリ〜アルベロベッロ 224km ★ → コースマップ

ジロ・デ・イタリア2017第7ステージジロ・デ・イタリア2017第7ステージ image:RCSsport第100回大会に登場するスプリンター向きのステージは6〜7ステージある。イタリア半島の「土踏まず」の部分を走る第7ステージはそのうちの一つだ。中盤までひたすら平坦な幹線道路で、残り90kmを切ってからコースは少し登り基調となる。警戒しなければならないのは、4級山岳ボスコ・デッレ・ピアネッレ(全長4.9km/平均3.6%)ではなく、いくつも通過する街に設定されたラウンドアバウトやコーナー、減速バンプだ。

フィニッシュ地点はとんがり屋根が特徴の伝統家屋「トゥルッリ」で有名な世界遺産アルベロベッロ。南イタリアを代表する観光地をぐるっと1周し、残り700m地点からインディペンデンツァ通りの緩斜面を駆け上がってフィニッシュを迎える。緩い起伏とコーナー、道幅の変化が連続するためリードアウトトレインは組みにくい。アルベロベッロがフィニッシュ地点としてジロに登場するのは意外にも初だ。



5月13日(土)第8ステージ モルフェッタ〜ペスキチ 189km ★★★ → コースマップ

ジロ・デ・イタリア2017第8ステージジロ・デ・イタリア2017第8ステージ image:RCSsportジロはアドリア海に出た。189kmコースの前半は真っ平らだが、美しい空撮映像が期待できる山がちな半島をぐるりと回る後半はアップダウンの連続。2級山岳モンテ・サンタンジェロ(全長9.6km/平均6.1%)と4級山岳コッパ・サンタテクラ(全長7.6km/平均4.2%)が集団にセレクションをかける。

終盤の35kmは一見平坦だが、残り6km地点で標高197mの丘をクリアし、そこから休む間もなく下り区間が登場。最後はアドリア海を見下ろす崖の上に作られたペスキチの街を駆け上がる。残り1.5km地点から始まる登りは平均勾配5.7%で、複雑な街中コーナーを進むとともに勾配が増していく。難易度3つ星ステージを締めくくるのは、勾配10%程度(最大12%)の最終ストレートでの登りスプリントだ。過去にはペスキチの登りスプリントでダニーロ・ディルーカやフランコ・ペッリツォッティがステージ優勝を飾っている。



5月14日(日)第9ステージ モンテネーロ・ディ・ビサッチャ〜ブロックハウス 149km ★★★★ → コースマップ

ジロ・デ・イタリア2017第9ステージジロ・デ・イタリア2017第9ステージ image:RCSsport大会2回目の休息日前日、日曜日に行われる第9ステージには1級山岳ブロックハウス(全長13.6km/平均8.4%)の山頂フィニッシュが登場する。ジロはマルケ州の海岸通りを走り、丘上都市キエーティの急勾配な登りを経て内陸へ。イタリア半島の背骨を形成するアペニン山脈に位置する標高1,665mのブロックハウスはジロ6度目の登場だ(最後の勝者は2009年のステファノ・ガルゼッリ)。

正式な登坂距離は13.6kmだが、実際には残り26km地点から登り始まると言っていい。しかも登りの中腹はコンスタントに勾配が10%を超え、残り10kmから先の平均勾配は9.4%。最大勾配14%が登場する残り3km地点前後が絶好のアタック区間だ。なお、第4ステージのエトナ山と第9ステージのブロックハウス山頂フィニッシュはともにジロ初登場から50年目を迎える。



5月15日(月)休息日




text:Kei Tsuji in Alghero, Italy

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