2017/02/26(日) - 09:54
まるで昨年の焼き直しのような展開。クラシックシーズン開幕戦であるオンループ・ヘットニュースブラッドで、グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がペーター・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を下して勝利を挙げた。
ミュール・カペミュールやファルケンブルグ、クルイスベルグなどフランドルクラシック定番の急坂が13ヶ所、石畳が10ヶ所詰め込まれたクラシックシーズン開幕戦、オンループ・ヘットニュースブラッド。難コースによって今年も「これぞフランドル」と表現すべき、過酷な展開に持ち込まれ、そして強者を順当に洗い出していくこととなる。
序盤に逃げグループを構成したのは、マイク・テウニッセン(オランダ、チームサンウェブ)やジャスティン・ジュール(フランス、WBヴェランクラシック・アクア・プロジェクト)、ゲディミナス・バグドナス(リトアニア、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)ら6名。ペースダウンしたメイン集団に対してリードを重ね、その差は最大で8分以上にまで広がった。
この日最初のパヴェ(石畳)セクター「ハーグフク」では早々に落車が発生し、ここにパリ〜ルーベでの引退を宣言しているトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップフロアーズ)が巻き込まれる波乱も。ボーネンはすぐに集団へと復帰したものの、落車で右の肘と膝を打ち付けた。
先頭グループが残り80kmを切ると、集団ではカチューシャなどによるペースアップや横風、ツイスティなコースによる小規模落車などでいよいよ緊張感が高まってくる。アンドレイ・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)のアタックにはアレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)、トマ・ブダ(フランス、ディレクトエネルジー)らが同調して抜け出し、4名の追走集団ができあがった。
そんな中、133.6km地点の石畳「ドンドレイ」で大規模落車が発生し、再びボーネンやアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)、ブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー)などが巻き込まれる事態に。しかし続くターイエンベルグを前にトレック・セガフレードが猛烈にペースアップを行い、遅れた選手達の復帰を拒んでいく。
ボーネンは「この落車では幸い転ばなかったけれど、リアディレイラーとホイールが噛み込んでバイク交換に時間が掛かり、ここでレースが終わってしまった」と戦線離脱。クリストフらと共に明日のクールネ〜ブリュッセル〜クールネを見据えてリタイアを選択している。
トレック・セガフレードの攻撃はターイエンベルグでも続き、昨年のクールネ覇者ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)やグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、セップ・ヴァンマルク(ベルギー、キャノンデール・ドラパック)、ペーター・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)など落車を免れたビッグネームたちが抜け出した。
ストゥイヴェンが遅れ、グリブコグループを飲み込んで形成されたサガン、ヴァンアーヴェルマート、ヴァンマルク、グリブコ、グジャール、ブダという6名の精鋭グループは、メイン集団の追走体制が整わないうちに引き離していく。
「できるだけ厳しい展開に持ち込もうと踏み続けた」と言うサガンやヴァンアーヴェルマートは残り42kmで序盤からの逃げグループを飲み込み、更にメンバーを絞りつつ先を急ぐ。20名以上となった後続集団ではジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)らが牽き始め、ここから先頭VS集団と言う決死の追走劇が幕を開けた。その差は30〜40秒だ。
残り35.8kmに用意されたこの日最後の登坂「モーレンベルグ」では、先頭グループからヴァンマルクがアタック。40秒差でモーレンベルグに入ったメイン集団からもゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)が攻撃したが、どちらも決定打は生み出せない。
残り30kmで先頭グループは強力なサガン、ヴァンアーヴェルマート、ヴァンマルクに絞られたが、後続も牽引できるメンバーが減ったことで30秒差が詰めきれず。協力してローテーションを回した3名は終盤にかけてリードを1分にまで広げて逃げ切りを確定させた。
「逃げるために全力で踏んでいたので、スプリントに向けて回復させるのは厳しかった」というサガンを先頭に最終コーナーに入り、ヴァンマルクの踏み込みにヴァンアーヴェルマートが対応する。「昨年と同じように、ゴール勝負に持ち込めば勝てると思っていた」と自信を持ってスプリントしたヴァンアーヴェルマートは粘ったサガンを大きく突き放し、昨年と同じ展開で2連覇を達成した。
「本当に厳しいレースだったが、素晴らしい気分だ。昨年はオンループで勝利したことをきっかけに成功したので、(自信最大の目標である)フランドルに向けて気分が高まる勝利だ。ベストタイミングで抜け出し、サガンとレースを厳しい展開に持ち込んだことが勝利に繋がった」とヴァンアーヴェルマートはコメントする。
また、後続集団からは最終盤に抜け出したファビオ・フェッリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)が単独で4位に入り、続いた集団の頭はオスカル・ガット(イタリア、アスタナ)が獲って5位となった。翌日にはクールネ〜ブリュッセル〜クールネが控えており、2日連続で屈強なクラシックハンターたちが顔を揃える。
オンループ・ヘットニュースブラッド2017結果
1位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) 4h55’06”
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 セップ・ヴァンマルク(ベルギー、キャノンデール・ドラパック)
4位 ファビオ・フェッリーネ(イタリア、トレック・セガフレード) +45”
5位 オスカル・ガット(イタリア、アスタナ) +52”
6位 ルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)
7位 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)
8位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
9位 マッテーオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) +56”
10位 アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー) +58”
text:So.Isobe
photo:CorVos
ミュール・カペミュールやファルケンブルグ、クルイスベルグなどフランドルクラシック定番の急坂が13ヶ所、石畳が10ヶ所詰め込まれたクラシックシーズン開幕戦、オンループ・ヘットニュースブラッド。難コースによって今年も「これぞフランドル」と表現すべき、過酷な展開に持ち込まれ、そして強者を順当に洗い出していくこととなる。
序盤に逃げグループを構成したのは、マイク・テウニッセン(オランダ、チームサンウェブ)やジャスティン・ジュール(フランス、WBヴェランクラシック・アクア・プロジェクト)、ゲディミナス・バグドナス(リトアニア、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)ら6名。ペースダウンしたメイン集団に対してリードを重ね、その差は最大で8分以上にまで広がった。
この日最初のパヴェ(石畳)セクター「ハーグフク」では早々に落車が発生し、ここにパリ〜ルーベでの引退を宣言しているトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップフロアーズ)が巻き込まれる波乱も。ボーネンはすぐに集団へと復帰したものの、落車で右の肘と膝を打ち付けた。
先頭グループが残り80kmを切ると、集団ではカチューシャなどによるペースアップや横風、ツイスティなコースによる小規模落車などでいよいよ緊張感が高まってくる。アンドレイ・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)のアタックにはアレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)、トマ・ブダ(フランス、ディレクトエネルジー)らが同調して抜け出し、4名の追走集団ができあがった。
そんな中、133.6km地点の石畳「ドンドレイ」で大規模落車が発生し、再びボーネンやアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)、ブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー)などが巻き込まれる事態に。しかし続くターイエンベルグを前にトレック・セガフレードが猛烈にペースアップを行い、遅れた選手達の復帰を拒んでいく。
ボーネンは「この落車では幸い転ばなかったけれど、リアディレイラーとホイールが噛み込んでバイク交換に時間が掛かり、ここでレースが終わってしまった」と戦線離脱。クリストフらと共に明日のクールネ〜ブリュッセル〜クールネを見据えてリタイアを選択している。
トレック・セガフレードの攻撃はターイエンベルグでも続き、昨年のクールネ覇者ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)やグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、セップ・ヴァンマルク(ベルギー、キャノンデール・ドラパック)、ペーター・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)など落車を免れたビッグネームたちが抜け出した。
ストゥイヴェンが遅れ、グリブコグループを飲み込んで形成されたサガン、ヴァンアーヴェルマート、ヴァンマルク、グリブコ、グジャール、ブダという6名の精鋭グループは、メイン集団の追走体制が整わないうちに引き離していく。
「できるだけ厳しい展開に持ち込もうと踏み続けた」と言うサガンやヴァンアーヴェルマートは残り42kmで序盤からの逃げグループを飲み込み、更にメンバーを絞りつつ先を急ぐ。20名以上となった後続集団ではジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)らが牽き始め、ここから先頭VS集団と言う決死の追走劇が幕を開けた。その差は30〜40秒だ。
残り35.8kmに用意されたこの日最後の登坂「モーレンベルグ」では、先頭グループからヴァンマルクがアタック。40秒差でモーレンベルグに入ったメイン集団からもゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)が攻撃したが、どちらも決定打は生み出せない。
残り30kmで先頭グループは強力なサガン、ヴァンアーヴェルマート、ヴァンマルクに絞られたが、後続も牽引できるメンバーが減ったことで30秒差が詰めきれず。協力してローテーションを回した3名は終盤にかけてリードを1分にまで広げて逃げ切りを確定させた。
「逃げるために全力で踏んでいたので、スプリントに向けて回復させるのは厳しかった」というサガンを先頭に最終コーナーに入り、ヴァンマルクの踏み込みにヴァンアーヴェルマートが対応する。「昨年と同じように、ゴール勝負に持ち込めば勝てると思っていた」と自信を持ってスプリントしたヴァンアーヴェルマートは粘ったサガンを大きく突き放し、昨年と同じ展開で2連覇を達成した。
「本当に厳しいレースだったが、素晴らしい気分だ。昨年はオンループで勝利したことをきっかけに成功したので、(自信最大の目標である)フランドルに向けて気分が高まる勝利だ。ベストタイミングで抜け出し、サガンとレースを厳しい展開に持ち込んだことが勝利に繋がった」とヴァンアーヴェルマートはコメントする。
また、後続集団からは最終盤に抜け出したファビオ・フェッリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)が単独で4位に入り、続いた集団の頭はオスカル・ガット(イタリア、アスタナ)が獲って5位となった。翌日にはクールネ〜ブリュッセル〜クールネが控えており、2日連続で屈強なクラシックハンターたちが顔を揃える。
オンループ・ヘットニュースブラッド2017結果
1位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) 4h55’06”
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 セップ・ヴァンマルク(ベルギー、キャノンデール・ドラパック)
4位 ファビオ・フェッリーネ(イタリア、トレック・セガフレード) +45”
5位 オスカル・ガット(イタリア、アスタナ) +52”
6位 ルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)
7位 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)
8位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
9位 マッテーオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) +56”
10位 アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー) +58”
text:So.Isobe
photo:CorVos
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