2017/03/02(木) - 09:23
2017年モデルでロングライドバイクのラインアップを刷新したアンカー。その性能を確かめるべく行われたメディア向け試乗会の模様をレポート。RL9とRL6の新モデル2車種の乗り比べインプレッションも併せて紹介しよう。
2015年にタイムトライアルバイクの「RT9」、2016年にはレーシングロードバイクの「RS9」と、ここ数年で各ラインアップをフルモデルチェンジさせてきたアンカー。そんな同社から、今年も同じくフルモデルチェンジを果たして登場したのがロングライドバイクの「RL9」である。
先代のRL8に課したテーマである「ラグジュアリー」な乗り心地はそのままに、アンカーの最新解析技術PROFORMAT(プロフォーマット)を投入することで、より気持ちよく「進む」バイクとして生まれ変わっている。同時にその乗り味をアルミでも表現した「RL6」も登場。今回は2017年アンカー注目の2車種を乗り比べるべく、メディア向けに開かれたテストライドへ参加してきた。
プレゼンテーションでは初めにマーケティング担当の出井さんより開発経緯が説明された。スポーツ人口は年々増加し、ロングライドイベントへの参加人数も増加傾向にあるなか、「サイクリングの魅力を最大化する」というテーマのもと開発されたのがRL9とRL6だという。RL8の持ち味であったフレームのしなやかさを活かしつつ、先に述べたPROFORMATにより推進力をプラス。より心地よく、より遠くへと進むロングライドマシンがここに完成した。
開発の肝となっているPROFORMATは、より前に進む推進力をバイクに与えるべく、自転車の挙動や人の動きをデータ化、実走環境を再現するシミュレーションを通し、それらで得られた結果を細密に分析するというプロセスで行われる。解析内では「進む距離の数値化」をすることで、走行性能をより明確に改善できるシステムを取り入れている。そして台上試験とともに選手たちの声に耳を傾け、その求めるフィーリングをフレームに落とし込んで再現していく。
このPROFORMAT技術が採用された一番最初のモデルが、「ブランド史上最も進むフレーム」と謳われたRS9だ。チームブリヂストン・アンカーの選手らに愛用され、昨年の全日本選手権ロードではRS9を駆った初山翔と西薗良太がワン・ツーフィニッシュ。日本一の座を獲得した。PROFORMATがいかに優れた技術であるかは、すでに証明済みだろう。
今回のRLシリーズに関しても、解析における各プロセスをブラッシュアップし、ロングライドモデルという味付けを最大限活かしつつ、推進距離を伸ばしていく開発がされた。その結果、RL9は従来モデルのRL8に比べ、8秒で約3cm前に進むほど推進力に優れたフレームに仕上がっているという。
「前作RL8の乗り心地は非常に良かったですが、前に進む力が足りないと感じていました。その為軽くてしなやかだけど、よく進むというところに終着点を設け造り込んでいきました」と開発担当の植田さんは語る。「RS9はプロ選手の声を多く取り入れる開発をしましたが、RL9はよりターゲットユーザーに近い一般社員の人に乗ってもらってテイストを決めていきました。」
ブリヂストンサイクルには元オリンピック出場選手を含め、選手経験者で今もサイクリングを楽しむ人が多く在籍していることは御存知の通り。その貴重な人的資産を活用しての開発が行われたというのだ。植田さん自身も熱心なホビーサイクリストだ。「ロングライドに適した快適さに加え、よく進むバイクに仕上げています。RL9は人によってはレースに使いたいと言うかもしれません。その性能も十分備えているほどです。」
「RLシリーズはより多くの人に乗ってもらえるように6サイズ展開という幅広いサイズ選択肢を設定し、かつ女性用モデルも用意しました。各サイズで乗り味を同じにするためにフォークのオフセット量もサイズそれぞれに適切になるように調整してあります。RL8はマルチパーパスバイクといった位置付けでしたが、今回の開発では完全にロングライド向けの味付けを施しています。順位を競う競技にはRSシリーズを、サイクリングを楽しむのであればRLシリーズをといった住み分けで選んで欲しいですね」と植田さんはコメントしてくれた。
また、太めのタイヤを履かせる昨今の流行に乗っ取り、ブリヂストンのロードタイヤ「エクステンザ」シリーズにも25C以上のラインアップが追加。軽量タイヤの「R1S」以外の全てのグレードで25Cの選択が可能になった。さらに、最大28Cまで対応するフレーム設計のRLシリーズに合わせ、ミドルグレードタイヤである「RR2X」と「RR2LL」には28Cが追加されている。
一通り説明が終わった後は、早速テストライドの開始だ。RL9とRL6をそれぞれ10km弱走り込み、その感触を確かめる。ライドには全日本王者の初山翔と、今年ブリヂストンアンカーに移籍した堀孝明の2人の選手もアテンドしてくれた。平坦路のみならず登りや下りも試せるコースが引かれ、それぞれのシチュエーションを試すことができた。最後にそれぞれのバイクを紹介するとともに、CW編集部によるインプレッションをお届けしよう。
心地よく進むロングライドモデルのフラッグシップ RL9
RL8の正統進化と表現されたRL9はゆったりとしたサイクリングをより楽しむため、ヘッドチューブを伸ばしたアップライトなジオメトリーを採用。ハンガー下がりを延長し低重心化を図りつつ、標準で25Cのタイヤを装備することで乗り心地をアップさせている。
フレーム細部を見ていくと、新たに採用されたベンド形状のフロントフォークや扁平化がなされたトップチューブとシートステーにより振動吸収性を向上。左右非対称のチェーンステーや、テーパード形状のシートチューブ、ループエンドデザイン、ワイド化されたダウンチューブなどで剛性アップを図るものの、フレーム全体の剛性バランスを整えることで過度な剛性増は行わず、パワー伝達を良くすることで推進力に繋げている。
必要なところに必要なだけの剛性を持たせるという考え方で、各部位で剛性を最適化するとともに、最小限の素材で構成されるため、フレーム重量もRL8と比べ100gの軽量化を果たしている。横剛性がアップしている前三角部分も縦方向へのしなやかさは損なっておらず、振動吸収性はそのままに、踏力によるねじれを抑え、効率的に前へ進むための設計がされている。
また、フレーム全体に曲線と曲面を多く用いることで、やわらかな印象を与える仕上がりを見せている。同時に変速・ブレーキケーブル等のワイヤリングのルート見直しもされ、ルックスだけでなくより機能的なデザインを獲得した。
ファンライドに最適なアルミロングライドバイク RL6
カーボンモデルであるRL9の乗り心地をアルミで表現したのがRL6である。そのフレームデザインはRL9と瓜二つ。RL9の乗り味を再現するべく各チューブ形状を近づけつつ、加工が難しいアルミ素材ならではの形状にも置き換えることで、カーボンバイクのような乗り心地を獲得している。
扁平形状のトップチューブやベンド形状のフロントフォークはRL9に倣いつつ、強度を出すために太さを持たせたシートステーは複雑に曲げが加えられることで振動吸収を高めている。またダウンチューブはヘッドチューブ付近が六角形、BB付近が四角形のようなチューブ断面とすることでねじれに強い形状となっている。
計算され尽くしたフレーム設計だが、ここでもやはりPROFORMATが重要な働きをしている。測定された各部のデータや数値はRL9に近いものになるよう調整され、最終的な数値に裏付けられた性能を持って完成されている。まさにアンカーの技術の粋が集まったアルミフレームと言えるだろう。
ー インプレッション RL9とRL6を乗り比べる
初めにRL9に試乗。「ラグジュアリーな乗り心地」と、言葉で聞いてもピンとこなかったが、なるほど、これは優雅な乗り味に仕上がっている。フレームの振動吸収性の高さと、前に進む推進力が上手くバランスされているのだ。単純な衝撃吸収性だけで比較したら、例えばサスペンション機構を仕込んだスペシャライズドのルーベなどの方が上かもしれないが、そういったエンデュランス性だけに重きを置いていないのが、このバイクの特徴だろう。
それはひとえにPROFORMAT技術の賜物と言える。フレームのどこから来る推進力という訳ではなく、全体で押し出してくれているような乗り味が表現されていた。これが剛性バランスの最適化によるものなのだろう。大トルクを受け止めて加速するようなレーシングな味付けではなく、軽い力でもフレームのしなりを活かして前に進むという感覚が得られた。
頑張って漕がなければ進まないというバイクとは違って、楽に進むことができるため、長距離のロングライドでもその疲労度は大いに変わってくるだろう。特に登りでの進み方には気持ちの良いものがあった。ギアを落として軽めに回していても、思っている以上にスピードが出てくれる。バイクの重量も全く気にならないほどの軽い走りだった。
もちろん振動吸収性は非常に高い。例えばアルミバイクからカーボンバイクへ乗り換えた時に、乗り味が良くなったという感想がよく出るが、普段から他社のハイエンド系のカーボンバイクに乗る私ですら、RL9に乗り換えると驚かずにはいられない乗り心地の良さを感じることができた。路面からの振動がかなり丸められ、マイルドになっている。リアバックの柔軟性が活きていて、路面をしっかり追従してくれる感覚も強く、段差でバイクが跳ねることなく安定感の高さを際立たせていた。
ジオメトリーも工夫されていて、アップライトなポジションは体への負担も少なく、サイクリングに適したものとなっている。国内ブランドだけあって日本人の体格にあった設計がされ、乗ってみるとバイクとの一体感が強く、初めて乗ると思えないほどしっくりくるほどだった。
アルミモデルのRL6の乗り味は、上記で述べたRL9に似たキャラクターが上手く表現されていた。大きな衝撃だと角が残ったまま伝わってしまうが、それ以外の部分では振動吸収性も進み方もかなりRL9に近い乗り心地だと率直に感じた。気持ちよく進むという点ではカーボンの軽量さが際立つRL9には劣るものの、それでもアルミらしからぬ心地よさを十分に持った仕上がりを見せていた。
2モデルとも標準で25Cタイヤが装備されるが、エクステンザシリーズは太さが増すことでよりしなやかになったと感じた。タイヤのフィーリングが硬すぎない、けれども転がりは軽いといった感じだろうか。新たに登場したRR2Xの28Cも試してみたが、RLシリーズにはフレームとのクリアランスも余裕をもって使うことができ、タイヤの太さが増してもバイクの振りが重くなることもなかった。
28Cタイヤは荒れた路面も気にせず走れるだけの安心感が増すため、ロングライドやトレーニングには良いだろう。見た目のボリューム感は圧倒的に増すので、使い分けとしては個人の好みに委ねることになりそうだ。
アンカー RL9
フレーム:PROFORMAT 3ピース ハイモデュラスカーボン
サイズ:390、420、450、480、510、540mm
シートポスト径:27.2mm
BB規格:JIS
価格:
RL9 620,000円(税抜)
RL9 ELITE 385,000円(税抜)
RL9 EQUIPE 310,000円(税抜)
RL9 EPSE 310,000円(税抜)
RL9フレームセット 220,000円(税抜)
アンカー RL6
フレーム:PROFORMAT アルミニウム A6061
サイズ:390、420、450、480、510、540mm
シートポスト径:27.2mm
BB規格:JIS
価格:
RL6 EQUIPE 180,000円(税抜)
RL6 EPSE 180,000円(税抜)
RL6 SPORT 155,000円(税抜)
RL6 EX 125,000円(税抜)
RL6フレームセット 90,000円(税抜)
report:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO
2015年にタイムトライアルバイクの「RT9」、2016年にはレーシングロードバイクの「RS9」と、ここ数年で各ラインアップをフルモデルチェンジさせてきたアンカー。そんな同社から、今年も同じくフルモデルチェンジを果たして登場したのがロングライドバイクの「RL9」である。
先代のRL8に課したテーマである「ラグジュアリー」な乗り心地はそのままに、アンカーの最新解析技術PROFORMAT(プロフォーマット)を投入することで、より気持ちよく「進む」バイクとして生まれ変わっている。同時にその乗り味をアルミでも表現した「RL6」も登場。今回は2017年アンカー注目の2車種を乗り比べるべく、メディア向けに開かれたテストライドへ参加してきた。
プレゼンテーションでは初めにマーケティング担当の出井さんより開発経緯が説明された。スポーツ人口は年々増加し、ロングライドイベントへの参加人数も増加傾向にあるなか、「サイクリングの魅力を最大化する」というテーマのもと開発されたのがRL9とRL6だという。RL8の持ち味であったフレームのしなやかさを活かしつつ、先に述べたPROFORMATにより推進力をプラス。より心地よく、より遠くへと進むロングライドマシンがここに完成した。
開発の肝となっているPROFORMATは、より前に進む推進力をバイクに与えるべく、自転車の挙動や人の動きをデータ化、実走環境を再現するシミュレーションを通し、それらで得られた結果を細密に分析するというプロセスで行われる。解析内では「進む距離の数値化」をすることで、走行性能をより明確に改善できるシステムを取り入れている。そして台上試験とともに選手たちの声に耳を傾け、その求めるフィーリングをフレームに落とし込んで再現していく。
このPROFORMAT技術が採用された一番最初のモデルが、「ブランド史上最も進むフレーム」と謳われたRS9だ。チームブリヂストン・アンカーの選手らに愛用され、昨年の全日本選手権ロードではRS9を駆った初山翔と西薗良太がワン・ツーフィニッシュ。日本一の座を獲得した。PROFORMATがいかに優れた技術であるかは、すでに証明済みだろう。
今回のRLシリーズに関しても、解析における各プロセスをブラッシュアップし、ロングライドモデルという味付けを最大限活かしつつ、推進距離を伸ばしていく開発がされた。その結果、RL9は従来モデルのRL8に比べ、8秒で約3cm前に進むほど推進力に優れたフレームに仕上がっているという。
「前作RL8の乗り心地は非常に良かったですが、前に進む力が足りないと感じていました。その為軽くてしなやかだけど、よく進むというところに終着点を設け造り込んでいきました」と開発担当の植田さんは語る。「RS9はプロ選手の声を多く取り入れる開発をしましたが、RL9はよりターゲットユーザーに近い一般社員の人に乗ってもらってテイストを決めていきました。」
ブリヂストンサイクルには元オリンピック出場選手を含め、選手経験者で今もサイクリングを楽しむ人が多く在籍していることは御存知の通り。その貴重な人的資産を活用しての開発が行われたというのだ。植田さん自身も熱心なホビーサイクリストだ。「ロングライドに適した快適さに加え、よく進むバイクに仕上げています。RL9は人によってはレースに使いたいと言うかもしれません。その性能も十分備えているほどです。」
「RLシリーズはより多くの人に乗ってもらえるように6サイズ展開という幅広いサイズ選択肢を設定し、かつ女性用モデルも用意しました。各サイズで乗り味を同じにするためにフォークのオフセット量もサイズそれぞれに適切になるように調整してあります。RL8はマルチパーパスバイクといった位置付けでしたが、今回の開発では完全にロングライド向けの味付けを施しています。順位を競う競技にはRSシリーズを、サイクリングを楽しむのであればRLシリーズをといった住み分けで選んで欲しいですね」と植田さんはコメントしてくれた。
また、太めのタイヤを履かせる昨今の流行に乗っ取り、ブリヂストンのロードタイヤ「エクステンザ」シリーズにも25C以上のラインアップが追加。軽量タイヤの「R1S」以外の全てのグレードで25Cの選択が可能になった。さらに、最大28Cまで対応するフレーム設計のRLシリーズに合わせ、ミドルグレードタイヤである「RR2X」と「RR2LL」には28Cが追加されている。
一通り説明が終わった後は、早速テストライドの開始だ。RL9とRL6をそれぞれ10km弱走り込み、その感触を確かめる。ライドには全日本王者の初山翔と、今年ブリヂストンアンカーに移籍した堀孝明の2人の選手もアテンドしてくれた。平坦路のみならず登りや下りも試せるコースが引かれ、それぞれのシチュエーションを試すことができた。最後にそれぞれのバイクを紹介するとともに、CW編集部によるインプレッションをお届けしよう。
心地よく進むロングライドモデルのフラッグシップ RL9
RL8の正統進化と表現されたRL9はゆったりとしたサイクリングをより楽しむため、ヘッドチューブを伸ばしたアップライトなジオメトリーを採用。ハンガー下がりを延長し低重心化を図りつつ、標準で25Cのタイヤを装備することで乗り心地をアップさせている。
フレーム細部を見ていくと、新たに採用されたベンド形状のフロントフォークや扁平化がなされたトップチューブとシートステーにより振動吸収性を向上。左右非対称のチェーンステーや、テーパード形状のシートチューブ、ループエンドデザイン、ワイド化されたダウンチューブなどで剛性アップを図るものの、フレーム全体の剛性バランスを整えることで過度な剛性増は行わず、パワー伝達を良くすることで推進力に繋げている。
必要なところに必要なだけの剛性を持たせるという考え方で、各部位で剛性を最適化するとともに、最小限の素材で構成されるため、フレーム重量もRL8と比べ100gの軽量化を果たしている。横剛性がアップしている前三角部分も縦方向へのしなやかさは損なっておらず、振動吸収性はそのままに、踏力によるねじれを抑え、効率的に前へ進むための設計がされている。
また、フレーム全体に曲線と曲面を多く用いることで、やわらかな印象を与える仕上がりを見せている。同時に変速・ブレーキケーブル等のワイヤリングのルート見直しもされ、ルックスだけでなくより機能的なデザインを獲得した。
ファンライドに最適なアルミロングライドバイク RL6
カーボンモデルであるRL9の乗り心地をアルミで表現したのがRL6である。そのフレームデザインはRL9と瓜二つ。RL9の乗り味を再現するべく各チューブ形状を近づけつつ、加工が難しいアルミ素材ならではの形状にも置き換えることで、カーボンバイクのような乗り心地を獲得している。
扁平形状のトップチューブやベンド形状のフロントフォークはRL9に倣いつつ、強度を出すために太さを持たせたシートステーは複雑に曲げが加えられることで振動吸収を高めている。またダウンチューブはヘッドチューブ付近が六角形、BB付近が四角形のようなチューブ断面とすることでねじれに強い形状となっている。
計算され尽くしたフレーム設計だが、ここでもやはりPROFORMATが重要な働きをしている。測定された各部のデータや数値はRL9に近いものになるよう調整され、最終的な数値に裏付けられた性能を持って完成されている。まさにアンカーの技術の粋が集まったアルミフレームと言えるだろう。
ー インプレッション RL9とRL6を乗り比べる
初めにRL9に試乗。「ラグジュアリーな乗り心地」と、言葉で聞いてもピンとこなかったが、なるほど、これは優雅な乗り味に仕上がっている。フレームの振動吸収性の高さと、前に進む推進力が上手くバランスされているのだ。単純な衝撃吸収性だけで比較したら、例えばサスペンション機構を仕込んだスペシャライズドのルーベなどの方が上かもしれないが、そういったエンデュランス性だけに重きを置いていないのが、このバイクの特徴だろう。
それはひとえにPROFORMAT技術の賜物と言える。フレームのどこから来る推進力という訳ではなく、全体で押し出してくれているような乗り味が表現されていた。これが剛性バランスの最適化によるものなのだろう。大トルクを受け止めて加速するようなレーシングな味付けではなく、軽い力でもフレームのしなりを活かして前に進むという感覚が得られた。
頑張って漕がなければ進まないというバイクとは違って、楽に進むことができるため、長距離のロングライドでもその疲労度は大いに変わってくるだろう。特に登りでの進み方には気持ちの良いものがあった。ギアを落として軽めに回していても、思っている以上にスピードが出てくれる。バイクの重量も全く気にならないほどの軽い走りだった。
もちろん振動吸収性は非常に高い。例えばアルミバイクからカーボンバイクへ乗り換えた時に、乗り味が良くなったという感想がよく出るが、普段から他社のハイエンド系のカーボンバイクに乗る私ですら、RL9に乗り換えると驚かずにはいられない乗り心地の良さを感じることができた。路面からの振動がかなり丸められ、マイルドになっている。リアバックの柔軟性が活きていて、路面をしっかり追従してくれる感覚も強く、段差でバイクが跳ねることなく安定感の高さを際立たせていた。
ジオメトリーも工夫されていて、アップライトなポジションは体への負担も少なく、サイクリングに適したものとなっている。国内ブランドだけあって日本人の体格にあった設計がされ、乗ってみるとバイクとの一体感が強く、初めて乗ると思えないほどしっくりくるほどだった。
アルミモデルのRL6の乗り味は、上記で述べたRL9に似たキャラクターが上手く表現されていた。大きな衝撃だと角が残ったまま伝わってしまうが、それ以外の部分では振動吸収性も進み方もかなりRL9に近い乗り心地だと率直に感じた。気持ちよく進むという点ではカーボンの軽量さが際立つRL9には劣るものの、それでもアルミらしからぬ心地よさを十分に持った仕上がりを見せていた。
2モデルとも標準で25Cタイヤが装備されるが、エクステンザシリーズは太さが増すことでよりしなやかになったと感じた。タイヤのフィーリングが硬すぎない、けれども転がりは軽いといった感じだろうか。新たに登場したRR2Xの28Cも試してみたが、RLシリーズにはフレームとのクリアランスも余裕をもって使うことができ、タイヤの太さが増してもバイクの振りが重くなることもなかった。
28Cタイヤは荒れた路面も気にせず走れるだけの安心感が増すため、ロングライドやトレーニングには良いだろう。見た目のボリューム感は圧倒的に増すので、使い分けとしては個人の好みに委ねることになりそうだ。
アンカー RL9
フレーム:PROFORMAT 3ピース ハイモデュラスカーボン
サイズ:390、420、450、480、510、540mm
シートポスト径:27.2mm
BB規格:JIS
価格:
RL9 620,000円(税抜)
RL9 ELITE 385,000円(税抜)
RL9 EQUIPE 310,000円(税抜)
RL9 EPSE 310,000円(税抜)
RL9フレームセット 220,000円(税抜)
アンカー RL6
フレーム:PROFORMAT アルミニウム A6061
サイズ:390、420、450、480、510、540mm
シートポスト径:27.2mm
BB規格:JIS
価格:
RL6 EQUIPE 180,000円(税抜)
RL6 EPSE 180,000円(税抜)
RL6 SPORT 155,000円(税抜)
RL6 EX 125,000円(税抜)
RL6フレームセット 90,000円(税抜)
report:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO
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