第4回ドバイツアーを締めくくる大集団スプリント。またもやマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)のスプリントが炸裂し、ステージ3勝目を飾るとともに2年連続総合優勝を射止めた。



世界一の超高層ビル(高さ828m)ブルジュハリファに向かう世界一の超高層ビル(高さ828m)ブルジュハリファに向かう photo:Kei Tsuji/TDWsport


平坦コースを逃げるドミトリー・グルズジェフ(カザフスタン、アスタナ)ら4名平坦コースを逃げるドミトリー・グルズジェフ(カザフスタン、アスタナ)ら4名 photo:Kei Tsuji/TDWsportドバイツアー最終日はドバイの街中を含む平坦コース。ステージ全長が124kmという短い設定のためレースは序盤から高速化した。

ボトルを運ぶ別府史之(トレック・セガフレード)ボトルを運ぶ別府史之(トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji/TDWsportスタートとともにスピードアップした集団から抜け出す選手は中々現れず、1時間近く経ってようやく4名の逃げが決まる。50km/h近くで巡航した集団から抜け出したのはマッテーオ・ボーノ(イタリア、UAEアブダビ)、イバン・コルティナ(スペイン、バーレーン・メリダ)、ドミトリー・グルズジェフ(カザフスタン、アスタナ)、フローリス・ヘルツ(オランダ、BMCレーシング)というUCIワールドチームメンバー4名。しかしクイックステップフロアーズの集団牽引によってタイム差が2分を超えることはなかった。

ドバイの海岸通りを走るプロトンドバイの海岸通りを走るプロトン photo:Kei Tsuji/TDWsport残り50km地点で1分まで縮まったタイム差は、おもにリーダーチームならびに今大会最速チームであるクイックステップフロアーズの追撃によって縮小する。フィニッシュまで9kmを残して逃げが吸収されると、各チームが入り乱れる形でフィニッシュストレートになだれ込んだ。

スプリントで競り合うミナーリ、ヴィヴィアーニ、カヴェンディッシュ、キッテルスプリントで競り合うミナーリ、ヴィヴィアーニ、カヴェンディッシュ、キッテル photo:Kei Tsuji/TDWsportクイックステップフロアーズが完全にフィニッシュを牛耳ったとは言えず、トレック・セガフレードやバーレーン・メリダ、ロットNLユンボ、BMCレーシングの牽引の中からディメンションデータが人数を揃えて先頭へ。キッテルもポジションを上げたが、リードアウト役のファビオ・サバティーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)がバランスを崩した拍子にチェーンを落として脱落。

最終ステージを制したマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)最終ステージを制したマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsuji/TDWsportマーク・レンショー(オーストラリア、ディメンションデータ)のリードアウトが終わると、その後ろからジャンピエール・ドリュケール(ルクセンブルク、BMCレーシング)、アダム・ブライス(イギリス、アクアブルースポーツ)、そしてキッテルがそれぞれ別ラインでスプリントを開始する。

一気に先頭に立ったキッテルのスリップストリームからマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)が抜け出しを図ったが、加速を続けた青いリーダージャージは先頭を譲らず。エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)を振り切ったキッテルが今大会3度目のガッツポーズを繰り出した。

第4ステージがキャンセルされたためキッテルは実質スプリント4戦3勝。ボーナスタイムだけで築き上げた18秒の総合リードで大会連覇を達成したキッテルは「今日は短くてスピードの速いステージだった。序盤からレースをコントロールしてスプリントに持ち込む作戦を完遂してくれたチームメイトたちには脱帽だ。最終局面で(リードアウト役の)ファビオ・サバティーニのチェーンが落ちてしまったけど、その時点で良いポジションにつけていたのでそのままスプリントに持ち込んだ」と、最終ステージを振り返る。

キッテルは2月23日から同じUAE(アラブ首長国連邦)で開催されるUCIワールドツアーレースであるアブダビツアーにも出場予定。アブダビツアーでは、シーズン勝利数で同じ世界最多4勝を誇っているカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)と直接対決する。「世界トップクラスのスプリンターが揃っているドバイでのこの結果はオフシーズンのトレーニングの賜物。チームのおかげで素晴らしい5日間を経験することができた。次のレースへの自信につながるよ」と勝者は語った。



優勝トロフィーを受け取ったマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)優勝トロフィーを受け取ったマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsuji/TDWsport



ドバイツアー2017第5ステージ結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)    2h34’12”
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
3位 リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)
4位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)
5位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)
6位 サーシャ・モードロ(イタリア、UAEアブダビ)
7位 ジャンピエール・ドリュケール(ルクセンブルク、BMCレーシング)
8位 パオロ・シミオン(イタリア、バルディアーニCSF)
9位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
10位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)

個人総合成績
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)     15h08’56”
2位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)        +18”
3位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)         +20”
4位 ジャンピエール・ドリュケール(ルクセンブルク、BMCレーシング)     +24”
5位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
6位 トーマス・スチュアート(イギリス、ワンプロサイクリング)
7位 リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)                +26”
8位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)
9位 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)+27”
7位 アレックス・ドーセット(イギリス、モビスター)

ポイント賞
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)      75pts
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)       47pts
3位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)      36pts

ヤングライダー賞
1位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)    15h09’14”
2位 リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)              +08”
3位 ヤコブ・マレツコ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ)     +11”

チーム総合成績
1位 UAEアブダビ                          45h28’21”
2位 アスタナ                              +03”
3位 BMCレーシング                           +06”

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele