2017/01/21(土) - 09:09
独自の製法と設計で高品質なカーボンバイクを世に送り続けるフレンチブランド、タイム。先代にあたる「SKYLON」をベースに高剛性化を図った、新型フラッグシップモデル「SCYLON(サイロン)」をインプレッションした。
タイム SCYLON photo:MakotoAYANO/cyclowired.jp
タイムといえば「いつかはタイム」といった言葉もあるようにロードバイクを趣味とする者の中では一つ抜け出たプレミア感を醸し出すブランドだろう。その始まりは1987年。ルックのペダルエンジニアがより良いペダルを作りたいと独立したのがきっかけだ。フレームの製造に着手したのは1993年で、サイクルロードレースの文化が盛んなフランスを拠点にするメーカーとしてまだ若い。
タイムが一番最初に生み出したカーボンフレーム、Helix(ヘリックス)はスチールフレームが主流の中、カーボンの扱いを得意としていたTVT社を吸収しそのノウハウを元に作りだした、当時としては革新的なフレームであった。2002年にはフルカーボンフレームであるVX PROが一般販売され、「最も進化したカーボンフレーム」として市場で絶賛される。
タイヤに沿ってカットオフされるシートチューブと接合位置をずらしたチューブ集合部
ヘッドチューブにはタイムの「T」の文字を示すヘッドバッチが
反応性の高いストレートフォーク
その後2004年に発売されたVXRSはフルカーボンラグを採用し、左右非対称チェーンステーやインテグラルシートポスト、ステム・クランクまで統合した設計など、現在のバイクに通ずる先端の技術を多く搭載したモデルであった。レースシーンにおいてもパオロ・ベッティーニを筆頭に、トム・ボーネン,トマ・ヴォクレールなど世界で活躍する錚々たる選手達に使用されたVXRS。2006年の世界選手権やアテネオリンピックを筆頭にビックレースで何度も勝利を重ねてきたフレームだ。
また2009年にリリースされたRXR ULTEAMは新城幸也(当時Bboxブイグテレコム)も駆ったバイクとして覚えている方も多いのではないだろうか。他社に先駆けカーボンフレームの研究に着手してきたノウハウを詰め込み、一貫してフランスの自社製造を貫くことでハイクオリティを維持し続けるタイム。現在ではトップカテゴリーのレースシーンからは遠ざかっているものの、その品質と信頼の高さに多くのファンを持つメーカーだ。
ダウンチューブには大きくタイムロゴが入る
クリアの塗装面からはきめ細かい織り目を見せるカーボン模様を見ることができる
ケーブル類はトップチューブ下からフレーム内へ通される
美しいフレーム形状は所有欲を一段と高めるだろう
タイムのフレームが高い品質を誇る理由として「RTM」工法がある。これは同社が自転車業界で唯一採用する工法で、フレームの成形型の内部に芯材として筒状に編み込まれた炭素繊維を被せ、そこに熱硬化性エポキシ樹脂を注入、浸透させたあと硬化させる成形法だ。一般的なカーボンフレームの成形法である「プリプレグ法」対して、強度低下と重量増の原因となる内部のシワを抑え、個体ごとの性能差を抑えることができる。またチューブ内部にリブを設けるなどして細部の剛性や強度のコントロールが出来るなど多くのメリットを持つのが特徴だ。
今回インプレッションを行った「SCYLON(サイロン)」は、最新テクノロジーと共に更なる進化を遂げた「RTM」工法と、各部のブラッシュアップによって更なる高性能化を図った新たなフラッグシップモデル。先代にあたる「SKYLON(スカイロン)」に対して、ヘッド周りのねじれ剛性を6%、BB周りの剛性を5%向上させ、さらに軽快な走りを手に入れた。
RTM工法のロゴが入るチェーンステーは左右非対称で複雑な形状変化を見せる
RTM工法により製造されるマッシブなステムはハンドル周りの高剛性化に貢献
フレームデザインはSKYLONの形状を踏襲。フロントフォークとヘッドチューブのインテグレーテッド設計や、カムテールデザインのチューブ形状、シートチューブの切り欠きなどにより優れた空力性能を実現している。フレームとシートポストが一体となった、いわゆるインテグラルシートポストを採用した「トランスリンク」モデルも引き続き用意され、トップモデルらしく軽量化やエアロダイナミクス向上に抜かりはない。
ボトムブラケットはBB386規格を採用し、チェーンステーの左右非対称設計と相まって優れたペダリング効率を実現。ヘッドチューブは下側1-1/2インチのテーパーヘッドを用いることで安定したハンドリングに貢献するなど、基本的なフレームスペックも先代SKYLONのまま引き継がれている。
リアブレーキ取付部にはカーボンボリュームを持たせブレーキ時のしなりを抑える
タイムならではのラグのような造形を見せるBB周辺部
翼断面形状を見せる専用のシートポスト
また快適性を高める「AKTIV」フォーク搭載モデルもオプションで用意。エラストマーを挟んだ板バネの先端に、アルミ製マスを取り付けた「チューンド・マスダンパー」をブレード内部に搭載することで振動吸収性を向上させるシステムだ。これによりライダーが最も不快と感じる25~50ヘルツの低周波帯の振動を軽減させることができ、疲労軽減にも繋がるだろう。この「AKTIV」フォークはトランスリンクモデル、ノーマルシートポストモデルどちらでも選択可能だ。
ディスクブレーキモデルのラインナップもあり、基本的なフレーム形状はそのままに、前後スルーアスクル、フラットマウントという主流規格を採用してある。カーボンバイク専業のフレンチブランドとしてサイクリストから大きな信頼を受けるタイム。その最新フラッグシップはどのような進化を遂げたのか。ではインプレッションに移ろう。
ー インプレッション
「全てを推進力に変えてくれる無駄のないオールラウンドバイク」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ)
反応・加速・巡航どれをとっても高いレベルのフレームですね。驚くほどの性能の高さを持っています。これ1台あれば他に何もいらないくらいだと思います。あらゆるシーンで不安なく走れるポテンシャルを持っているでしょう。
「全てを推進力に変えてくれる無駄のないオールラウンドバイク」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ)
特筆すべきは、何と言っても漕いだときのその進み具合。どんな踏み方をしてもすぐに加速し、高い推進力でもって進んでくれます。ペダリングの仕方に関係なく、ストレスなくスッと脚が回ってくれ、それでいて自分の想像以上にバイクが進んでいるのです。バイク全体がパワーを無駄なく推進力に変えている、と言った感覚ですかね。
もっと言えばがむしゃらに踏んでみても、変なペダリングをしてみても、バイクは意図しないほど加速してくれます。どんな人が乗っても、ある程度まで速く走ってくれるのではないでしょうか。もちろん日々走り込んでいる上級者なら、よりペダリングに抵抗を感じずに心地よい加速が期待できるでしょう。
巡航性も高く、脚を止めてもそのままの速度を維持してくれます。エアロフレームに引けを取らない性能を感じました。アッセンブルされたホイールのおかげもありますが、高速域からもパワーをかければさらに伸びますね。軽量ホイールよりは、ハイト高めかカッチリとした硬めのホイールで推進力に繋げる走りが合っていると思いました。
漕いだ感じだと重いギアを踏んでいくよりも、ケイデンスを上げて加速していく乗り方が合っていると感じました。ヒルクライムでもクルクル回していけば速度を落とさず登ることができるでしょう。ハンドリングやダンシングもクセのない挙動を見せ、不安感は微塵も感じません。
ハイエンドフレームらしい硬さは感じますが、ガチガチというわけではなく、気持ちよく進むための程よい硬さですね。思い切り踏んでも身体にくる感じもありません。快適性を重視した他のエンデュランスモデルほどではありませんが、それでも十分な振動吸収性は持っていますね。通常のクラシックフォークでこれなので、オプションで用意されているアクティブフォークに替えたらどれだけ快適になるんでしょうね。
そして何と言ってもタイムとしてのルックスや放つオーラが最高ですね。飾っておくだけでも満足できてしまいそうです。古臭さを感じさせないデザインで、いつまでも使い続けることができると思います。性能もピカイチですので、シリアスレーサーからホビーの方まで、どんなシチュエーションでも幅広く使えるバイクではないでしょうか。
「踏んだパワーがそのままスピードに繋がる感覚、気持ちのよい上質な1台」佐藤 淳(カミハギサイクル)
「踏んだパワーがそのままスピードに繋がる感覚、気持ちのよい上質な1台」佐藤 淳(カミハギサイクル) とにかく気持ちのよい走りができるフレームですね。踏んだ分だけすぐに加速してくれ、異様なほどスピードに乗るのが早いです。かけたパワーがダイレクトに反応し、素早い加速感を生み出します。本当によく走るレーシングバイクだと感じました。
チカラをかけただけ進んでくれるため、ドンドン踏みたくなってしまいます。それだけ質の高い走りを見せてくれますね。スピードに乗るという感覚がこのバイクで走るとよく分かります。抵抗なく加速してくれるので、次から次へギアを重くしてしまいますね。自分を抑えつつ走らないと、その気持ちよさ故に脚が売り切れるなんてこともあるかもしれません。
軽いギア高ケイデンスで走らせてもスッと加速して、一定以上の速度域まですぐに上げてくれます。そこから大トルクをかければさらに加速することができますね。大きいパワーを受け止めて走りに変えるポテンシャルを持っているので、自分としては出力高めで走らせるのが合っていると感じました。その方がバイクも応えてくれる感じがあり、楽しく漕ぐことができると思います。
シートチューブなど多少エアロ形状をしたフレームですが、とても扱いやすく乗り味はロードレーサーと言っていいと思います。どんなシーンでも違和感なく走らせることができます。ヨーロッパ車らしいハンドリングではありますがクセは全くありませんね。ただ、少々ハンドルが切れ込んでいく感覚はありました。
これだけ高い反応性を持っていますが、足への反発はそこまでありません。バランスの良い剛性感だと思います。もちろんある程度の硬さはありますが、しっかり進むためのカッチリ感で、不満に思うところではないですね。快適性もハイエンドバイクの中では高い方だと感じました。多少の振動は感じますが、そこを気にするのであればアクティブフォークに替えれば解決できますね。
今回アッセンブルされたような、ミドルハイト以上で伸びのあるホイールを合わせるとさらに気持ちよく走れるのだと思います。高出力をかけられるフレームのため、チカラをかけても負けないような硬いホイールとは相性が良いと感じました。
高い性能を持ったレーシング寄りの性格に仕上がっています。その価格や期待を裏切らない、満足のいく1台ですね。これでレースやイベントに出られたらと思うと、なんて贅沢なバイクなんでしょう。タイムに憧れのある方には間違いのない選択だと思います。
タイム SCYLON photo:MakotoAYANO/cyclowired.jp
タイム SCYLON フレームセット
カラー:ホワイト、レッド、グラファイト、レーシングファクトリー
サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL
BB規格:BB386
価格:
トランスリンク、アクティブフォーク 600,000円(税抜)
シートポスト、アクティブフォーク 580,000円(税抜)
トランスリンク、クラシックフォーク 540,000円(税抜)
シートポスト、クラシックフォーク 520,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店) 山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)
滋賀県草津市にあるストラーダバイシクルズ滋賀本店の店長。2011、2012年の全日本マウンテンバイク選手権クロスカントリーマスタークラスチャンピオン。ストイックに自転車競技に取り組んできたが、ストラーダに入社後は、ビギナーライダーのライド初体験の笑顔に魅せられエントリーのお客様にバイクの楽しさを伝えることが楽しみ。最近はトライアスロンに挑戦中。
ストラーダバイシクルズ滋賀本店(CWレコメンドショップ)
ストラーダバイシクルズHP
佐藤淳(カミハギサイクル) 佐藤淳(カミハギサイクル FIT&RIDE STORE)
愛知県豊山町に店舗を構えるカミハギサイクルのスペシャライズド専門店「FIT&RIDE STORE」にて、メカニックから接客まで幅広く担当する。自転車にのめり込んだきっかけは何の気なしに購入したMTB。購入後すぐに3日間のツーリングで550kmを走り切ったことでその道に進んだロングライド派。常にビギナー目線での接客を心掛け、対話の中からお客様の本当に求めているものを探り、提案していくことを心がけている。
CWレコメンドショップページ(緑店)
CWレコメンドショップページ(小牧本店)
ウェア協力:Rapha
text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.AYANO
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タイムといえば「いつかはタイム」といった言葉もあるようにロードバイクを趣味とする者の中では一つ抜け出たプレミア感を醸し出すブランドだろう。その始まりは1987年。ルックのペダルエンジニアがより良いペダルを作りたいと独立したのがきっかけだ。フレームの製造に着手したのは1993年で、サイクルロードレースの文化が盛んなフランスを拠点にするメーカーとしてまだ若い。
タイムが一番最初に生み出したカーボンフレーム、Helix(ヘリックス)はスチールフレームが主流の中、カーボンの扱いを得意としていたTVT社を吸収しそのノウハウを元に作りだした、当時としては革新的なフレームであった。2002年にはフルカーボンフレームであるVX PROが一般販売され、「最も進化したカーボンフレーム」として市場で絶賛される。
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その後2004年に発売されたVXRSはフルカーボンラグを採用し、左右非対称チェーンステーやインテグラルシートポスト、ステム・クランクまで統合した設計など、現在のバイクに通ずる先端の技術を多く搭載したモデルであった。レースシーンにおいてもパオロ・ベッティーニを筆頭に、トム・ボーネン,トマ・ヴォクレールなど世界で活躍する錚々たる選手達に使用されたVXRS。2006年の世界選手権やアテネオリンピックを筆頭にビックレースで何度も勝利を重ねてきたフレームだ。
また2009年にリリースされたRXR ULTEAMは新城幸也(当時Bboxブイグテレコム)も駆ったバイクとして覚えている方も多いのではないだろうか。他社に先駆けカーボンフレームの研究に着手してきたノウハウを詰め込み、一貫してフランスの自社製造を貫くことでハイクオリティを維持し続けるタイム。現在ではトップカテゴリーのレースシーンからは遠ざかっているものの、その品質と信頼の高さに多くのファンを持つメーカーだ。
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タイムのフレームが高い品質を誇る理由として「RTM」工法がある。これは同社が自転車業界で唯一採用する工法で、フレームの成形型の内部に芯材として筒状に編み込まれた炭素繊維を被せ、そこに熱硬化性エポキシ樹脂を注入、浸透させたあと硬化させる成形法だ。一般的なカーボンフレームの成形法である「プリプレグ法」対して、強度低下と重量増の原因となる内部のシワを抑え、個体ごとの性能差を抑えることができる。またチューブ内部にリブを設けるなどして細部の剛性や強度のコントロールが出来るなど多くのメリットを持つのが特徴だ。
今回インプレッションを行った「SCYLON(サイロン)」は、最新テクノロジーと共に更なる進化を遂げた「RTM」工法と、各部のブラッシュアップによって更なる高性能化を図った新たなフラッグシップモデル。先代にあたる「SKYLON(スカイロン)」に対して、ヘッド周りのねじれ剛性を6%、BB周りの剛性を5%向上させ、さらに軽快な走りを手に入れた。
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フレームデザインはSKYLONの形状を踏襲。フロントフォークとヘッドチューブのインテグレーテッド設計や、カムテールデザインのチューブ形状、シートチューブの切り欠きなどにより優れた空力性能を実現している。フレームとシートポストが一体となった、いわゆるインテグラルシートポストを採用した「トランスリンク」モデルも引き続き用意され、トップモデルらしく軽量化やエアロダイナミクス向上に抜かりはない。
ボトムブラケットはBB386規格を採用し、チェーンステーの左右非対称設計と相まって優れたペダリング効率を実現。ヘッドチューブは下側1-1/2インチのテーパーヘッドを用いることで安定したハンドリングに貢献するなど、基本的なフレームスペックも先代SKYLONのまま引き継がれている。
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また快適性を高める「AKTIV」フォーク搭載モデルもオプションで用意。エラストマーを挟んだ板バネの先端に、アルミ製マスを取り付けた「チューンド・マスダンパー」をブレード内部に搭載することで振動吸収性を向上させるシステムだ。これによりライダーが最も不快と感じる25~50ヘルツの低周波帯の振動を軽減させることができ、疲労軽減にも繋がるだろう。この「AKTIV」フォークはトランスリンクモデル、ノーマルシートポストモデルどちらでも選択可能だ。
ディスクブレーキモデルのラインナップもあり、基本的なフレーム形状はそのままに、前後スルーアスクル、フラットマウントという主流規格を採用してある。カーボンバイク専業のフレンチブランドとしてサイクリストから大きな信頼を受けるタイム。その最新フラッグシップはどのような進化を遂げたのか。ではインプレッションに移ろう。
ー インプレッション
「全てを推進力に変えてくれる無駄のないオールラウンドバイク」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ)
反応・加速・巡航どれをとっても高いレベルのフレームですね。驚くほどの性能の高さを持っています。これ1台あれば他に何もいらないくらいだと思います。あらゆるシーンで不安なく走れるポテンシャルを持っているでしょう。
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特筆すべきは、何と言っても漕いだときのその進み具合。どんな踏み方をしてもすぐに加速し、高い推進力でもって進んでくれます。ペダリングの仕方に関係なく、ストレスなくスッと脚が回ってくれ、それでいて自分の想像以上にバイクが進んでいるのです。バイク全体がパワーを無駄なく推進力に変えている、と言った感覚ですかね。
もっと言えばがむしゃらに踏んでみても、変なペダリングをしてみても、バイクは意図しないほど加速してくれます。どんな人が乗っても、ある程度まで速く走ってくれるのではないでしょうか。もちろん日々走り込んでいる上級者なら、よりペダリングに抵抗を感じずに心地よい加速が期待できるでしょう。
巡航性も高く、脚を止めてもそのままの速度を維持してくれます。エアロフレームに引けを取らない性能を感じました。アッセンブルされたホイールのおかげもありますが、高速域からもパワーをかければさらに伸びますね。軽量ホイールよりは、ハイト高めかカッチリとした硬めのホイールで推進力に繋げる走りが合っていると思いました。
漕いだ感じだと重いギアを踏んでいくよりも、ケイデンスを上げて加速していく乗り方が合っていると感じました。ヒルクライムでもクルクル回していけば速度を落とさず登ることができるでしょう。ハンドリングやダンシングもクセのない挙動を見せ、不安感は微塵も感じません。
ハイエンドフレームらしい硬さは感じますが、ガチガチというわけではなく、気持ちよく進むための程よい硬さですね。思い切り踏んでも身体にくる感じもありません。快適性を重視した他のエンデュランスモデルほどではありませんが、それでも十分な振動吸収性は持っていますね。通常のクラシックフォークでこれなので、オプションで用意されているアクティブフォークに替えたらどれだけ快適になるんでしょうね。
そして何と言ってもタイムとしてのルックスや放つオーラが最高ですね。飾っておくだけでも満足できてしまいそうです。古臭さを感じさせないデザインで、いつまでも使い続けることができると思います。性能もピカイチですので、シリアスレーサーからホビーの方まで、どんなシチュエーションでも幅広く使えるバイクではないでしょうか。
「踏んだパワーがそのままスピードに繋がる感覚、気持ちのよい上質な1台」佐藤 淳(カミハギサイクル)
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チカラをかけただけ進んでくれるため、ドンドン踏みたくなってしまいます。それだけ質の高い走りを見せてくれますね。スピードに乗るという感覚がこのバイクで走るとよく分かります。抵抗なく加速してくれるので、次から次へギアを重くしてしまいますね。自分を抑えつつ走らないと、その気持ちよさ故に脚が売り切れるなんてこともあるかもしれません。
軽いギア高ケイデンスで走らせてもスッと加速して、一定以上の速度域まですぐに上げてくれます。そこから大トルクをかければさらに加速することができますね。大きいパワーを受け止めて走りに変えるポテンシャルを持っているので、自分としては出力高めで走らせるのが合っていると感じました。その方がバイクも応えてくれる感じがあり、楽しく漕ぐことができると思います。
シートチューブなど多少エアロ形状をしたフレームですが、とても扱いやすく乗り味はロードレーサーと言っていいと思います。どんなシーンでも違和感なく走らせることができます。ヨーロッパ車らしいハンドリングではありますがクセは全くありませんね。ただ、少々ハンドルが切れ込んでいく感覚はありました。
これだけ高い反応性を持っていますが、足への反発はそこまでありません。バランスの良い剛性感だと思います。もちろんある程度の硬さはありますが、しっかり進むためのカッチリ感で、不満に思うところではないですね。快適性もハイエンドバイクの中では高い方だと感じました。多少の振動は感じますが、そこを気にするのであればアクティブフォークに替えれば解決できますね。
今回アッセンブルされたような、ミドルハイト以上で伸びのあるホイールを合わせるとさらに気持ちよく走れるのだと思います。高出力をかけられるフレームのため、チカラをかけても負けないような硬いホイールとは相性が良いと感じました。
高い性能を持ったレーシング寄りの性格に仕上がっています。その価格や期待を裏切らない、満足のいく1台ですね。これでレースやイベントに出られたらと思うと、なんて贅沢なバイクなんでしょう。タイムに憧れのある方には間違いのない選択だと思います。
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タイム SCYLON フレームセット
カラー:ホワイト、レッド、グラファイト、レーシングファクトリー
サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL
BB規格:BB386
価格:
トランスリンク、アクティブフォーク 600,000円(税抜)
シートポスト、アクティブフォーク 580,000円(税抜)
トランスリンク、クラシックフォーク 540,000円(税抜)
シートポスト、クラシックフォーク 520,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
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滋賀県草津市にあるストラーダバイシクルズ滋賀本店の店長。2011、2012年の全日本マウンテンバイク選手権クロスカントリーマスタークラスチャンピオン。ストイックに自転車競技に取り組んできたが、ストラーダに入社後は、ビギナーライダーのライド初体験の笑顔に魅せられエントリーのお客様にバイクの楽しさを伝えることが楽しみ。最近はトライアスロンに挑戦中。
ストラーダバイシクルズ滋賀本店(CWレコメンドショップ)
ストラーダバイシクルズHP
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愛知県豊山町に店舗を構えるカミハギサイクルのスペシャライズド専門店「FIT&RIDE STORE」にて、メカニックから接客まで幅広く担当する。自転車にのめり込んだきっかけは何の気なしに購入したMTB。購入後すぐに3日間のツーリングで550kmを走り切ったことでその道に進んだロングライド派。常にビギナー目線での接客を心掛け、対話の中からお客様の本当に求めているものを探り、提案していくことを心がけている。
CWレコメンドショップページ(緑店)
CWレコメンドショップページ(小牧本店)
ウェア協力:Rapha
text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.AYANO
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