2009年3月1日に開催されたクールネ〜ブリュッセル〜クールネ(UCI1.1)。レースはクイックステップとラボバンクの力勝負が繰り広げられ、シャヴァネルらにアシストされたトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)が優勝。チームとして4年連続、ボーネン個人として2度目のクールネ制覇を果たした。

カタールで亡くなったフレデリック・ノルフ(ベルギー)のご両親カタールで亡くなったフレデリック・ノルフ(ベルギー)のご両親 photo:Cor Vosフランドル地方クールネ近郊で開催された第62回クールネ〜ブリュッセル〜クールネ。コースは8つの急坂を含む193kmで、前日のオンループ・ヘットニュースブラッドと連戦で出場する選手も数多い。

過去3大会を制している常勝クイックステップは、昨年覇者のステフェン・デヨンフ(オランダ)が左足の腱炎によって欠場したが、ボーネン、シャヴァネル、デヴォルデルの屈強なクラシックトリオは健在。チーム一丸となって4連覇に挑んだ。

中盤から逃げるマルティン・モルテンセン(デンマーク、ヴァッカンソレイユ)やフーブ・デュイン(オランダ、ガーミン)中盤から逃げるマルティン・モルテンセン(デンマーク、ヴァッカンソレイユ)やフーブ・デュイン(オランダ、ガーミン) photo:Cor Vosレースはニュートラルスタート後、ツアー・オブ・カタールで急死したフレデリック・ノルフ(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)の生家の前でストップ。両親とともにその早すぎる死を悼み、選手たちはフランドルの難コースへと駆け出した。

ようやく11名の先頭グループが形成されたのは、急坂が連続して姿を現すレース中盤。マルティン・モルテンセン(デンマーク、ヴァッカンソレイユ)やフーブ・デュイン(オランダ、ガーミン)らが集団を引き離しにかかったが、ラボバンクとクイックステップがコントロールする集団はスピードを落とさずに追走した。

前日のオンループでも活躍したハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)前日のオンループでも活躍したハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ) photo:Cor Vosラスト85kmでタイム差は1分。やがて石畳に覆われた最大勾配11%の難所オウデ・クワレモント(ラスト83km)でレースは動いた。シャヴァネル(クイックステップ)やクローン(サクソバンク)らのペースアップによって集団は大きく割れ、ボーネンを含むグループが先頭をキャッチ。29名の強力な先頭グループが形成されたが、サイレンス・ロットはこの決定的な動きに選手を送り損ねた。

クイックステップが懸命に引く先頭グループは、ハウッスラー(サーヴェロ)のクルイスベルグでのアタックをきっかけに、セレクションがかけられて13名に。

メイングループ先頭で上りを進むフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)とトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)メイングループ先頭で上りを進むフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)とトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) photo:Cor Vosシャヴァネル、ワイナンツ、ボーネン(クイックステップ)、ナイエンス、フレチャ、リーザー(ラボバンク)、ラダニュ、メールスマン(フランセーズデジュー)、ハント、ハウッスラー(サーヴェロ)、クローン(サクソバンク)、アイゼル(チームコロンビア)、ルカトル(アグリチュベル)の13名が先頭グループに残った。

この先頭グループは、後続を1分23秒引き離してゴール前の周回コース(10km x 2周)に突入。ラボバンクとクイックステップが牽引するこの先頭グループに、後続の大集団が追いつくことは無かった。

献身的に働くマールテン・ワイナンツ(ベルギー、クイックステップ)献身的に働くマールテン・ワイナンツ(ベルギー、クイックステップ) photo:Cor Vosやがて最終周回の鐘とともに、アタック合戦スタート。選手を2名以上先頭グループに送り込んだチームが、断続的にアタック砲火を繰り広げた。ハントやフレチャ、シャヴァネルがアタックを繰り返したが失敗。このインターバルによってメールスマンとハウッスラーは脱落した。

ラスト6kmでのクローンのアタックが吸収されると、ラスト4kmでフレチャが再度アタック。独走態勢に入ったフレチャは8秒リードを稼ぎ出してラスト2km。ラボバンクはナイエンスとリーザーをグループ内に残す有利な展開に持ち込んだ。

パワー勝負を制したトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)パワー勝負を制したトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) photo:Cor Vosしかしこのラボバンクの望みを打ち砕いたのが、フランスTTチャンピオン・シャヴァネルによる猛追だ。シャヴァネルの引きによってフレチャの動きはラスト500mで吸収され、ナイエンスのカウンターアタックも不発。形勢は逆転し、勝負はボーネン得意のスプリントに持ち込まれた。

世界トップクラスのスプリンターであるボーネンは、最終ストレートでアイゼルとハントを抑え込んでゴール。2007年に続くクールネ2勝目を飾ったボーネンは、「この勝利はチームワークの結果に他ならない」と述べ、一日中アタックとチェック、そして集団牽引に奔走したシャヴァネルとワイナンツの労をねぎらった。

前日に勝利を飾ったサーヴェロはこの日も積極的に動き、ハントを表彰台に送り込むことに成功した。チームを率いたイェンス・ゼンケ監督は、チーム公式サイトの中で「大成功の2日間だった。クラシックシーズンをスタートするのに、これ以上の結果は無い」とコメント。新生チームとは思えない活躍で、順調なセミクラシックデビューを果たした。

トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)
「ワイナンツとシャヴァネルの働きぶりはファンタスティックだった。最終局面に向けてグループを縮小させるよう、シャヴァネルに頼んだんだ。彼はまさにその通りの走りをしてくれた。昨日(オンループ・ヘットニュースブラッド)は不運だったけど、今日のレースはすべてが順調だった。とにかく抜群の形でクラシックシーズンのスタートを切れたよ!」(チーム公式サイトより)

クールネ〜ブリュッセル〜クールネ2009
1位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)4h20'48"
2位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームコロンビア)
3位 ジェレミー・ハント(イギリス、サーヴェロ)
4位 カルステン・クローン(オランダ、サクソバンク)
5位 トム・リーザー(オランダ、ラボバンク)
6位 ジョフロワ・ルカトル(フランス、アグリチュベル)
7位 マチュー・ラダニュ(フランス、フランセーズデジュー)
8位 ニック・ナイエンス(ベルギー、ラボバンク)+04"
9位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)+12"
10位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)+15"

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