先週末にかけて、フランスではシクロクロスヨーロッパ選手権が開催。日曜日に行われた男子エリートでは、2強を抑えて独走したダークホース、トーン・アールツ(ベルギー)が勝利。1993年生まれの23歳がキャリア最大の勝利を飾った。



現世界王者のワウト・ファンアールト(ベルギー)現世界王者のワウト・ファンアールト(ベルギー) photo:CorVos積極的に動いたクレメン・ヴェンチュリーニ(フランス)積極的に動いたクレメン・ヴェンチュリーニ(フランス) photo:CorVos独走でゴールに飛び込むトーン・アールツ(ベルギー)独走でゴールに飛び込むトーン・アールツ(ベルギー) photo:CorVos2位争いのスプリントはマテュー・ファンデルポール(オランダ)が先着2位争いのスプリントはマテュー・ファンデルポール(オランダ)が先着 photo:CorVosシクロクロスヨーロッパ王者を決める舞台となったのは、フランス西部・ナントの市街地からほど近いポンシャトー。大観衆が詰めかけた1周2620mのコースはドライコンディションとなり、選手たちが蹴上げる砂ほこりが宙を舞う。エリート男子にはベルギー8名、オランダ7名、フランス5名、計29名がスタートラインに並んだ。

マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー)のダッシュで幕開けた60分のレース。ここにクレメン・ヴェンチュリーニ(フランス)が続き、世界王者のマテュー・ファンデルポールを筆頭としたベルギー勢は集団前方から様子を伺う形でレースが進んでいく。

ファントーレンハウトが捕まった後のスローペースから最初に動いたのは、現在ファンアールトと最強の名を分け合うマテュー・ファンデルポール(オランダ)だった。ここにファンアールト、ファントーレンハウト、ヴェンチュリーニが合流し、4名が10秒ほどのリードを得て先行したが、メイン集団もラルス・ファンデルハール(オランダ)の牽引によって再び合流を果たす。

次いでローレンス・スウィーク(ベルギー)がアタックし、ファンデルポール、ミカエル・ボロス(チェコ)らが追走したものの、やはりペースは上がらずに吸収。各選手が半袖スキンスーツを選択する暑さの中、再び逃げたファントーレンハウトとヴェンチュリーニも十分な差を稼げずに引き戻された。

決定的な動きが生まれたのは8周目。こう着状態からトーン・アールツ(ベルギー)がアタックすると、チーム戦を展開するベルギー勢は誰一人として追わず、オランダ勢が追走に回ることになる。

しかしこれまでビッグレースでの勝利を挙げていないダークホースの逃げに対してメイン集団は積極的なペースアップを行わず、その差は見る間に拡大していく。最終盤になってファンデルポールが加速するも時すでに遅し。アールツは45秒という大差を持ってゴールに辿り着いた。

1993年生まれのアールツにとってビッグレースでの勝利は初めてのこと。ファンアールトやファンデルポールと同年代の若手選手であり、ワールドカップ初戦で4位に入るなど調子を上げてきていたが、2強の影に隠れていたこともまた事実。表彰式で涙をにじませたアールツは「ヨーロッパ王者ジャージを着用できるのがとても楽しみ。これからのレースが待ち遠しい」と語った。

ヨーロッパチャンピオンジャージを着用したトーン・アールツ(ベルギー)ヨーロッパチャンピオンジャージを着用したトーン・アールツ(ベルギー) photo:CorVos
一方表彰台で表情を曇らせ続けたファンデルポールは「ファンアールトばかり見ていたが、彼が優勝を狙っていないと気付いた時にはもう遅かった」とコメント。「アールツが逃げた時にオランダとして誰か一人をチェックに回すべきだった。何度もアタックをかけたが、高速コースだったこともあって十分な差を生み出せなかった」と加えている。

また男子U23レースではベルギーのクインティン・ヘルマンスが、女子エリートでは現世界王者のタリタ・デヨング(オランダ)が勝利している。




シクロクロスヨーロッパ選手権2016男子エリート結果
1位 トーン・アールツ(ベルギー) 1h04’16”
2位 マテュー・ファンデルポール(オランダ)+45”
3位 ワウト・ファンアールト(ベルギー)
4位 クレメン・ヴェンチュリーニ(フランス)
5位 イェンス・アダムス(ベルギー)
6位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー)
7位 ラルス・ファンデルハール(オランダ) +49”
8位 マルセル・ウィルダバー(スイス) +55”
9位 スティーブ・シェネル(フランス) +1’05”
10位 コルヌ・ファンケッセル(オランダ) +1’09”

text:So.Isobe


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