2016/10/31(月) - 16:27
ラスト1周で4人の逃げからアタックしたのは増田成幸(宇都宮ブリッツェン)。ジャパンカップ7位のベンジャミ・プラデス(チーム右京)らを突き放して圧勝。年間総合優勝はホセ・ビセンテ・トリビオとチーム右京がそれぞれ獲得した。
Jプロツアー最終戦10月30日(日)のロードレースは、大分市郊外の大分県大分スポーツ公園の大銀ドーム周辺園路等を使ったアップダウンやカーブのある変化に富んだコース。1周4kmでP1はここを30周する120kmのレース。下りきって180度ターンし6%の上りでフィニッシュ地点へ向かい、上り切った後も緩いアップダウンの続く脚に応えるハードなコースだ。
序盤に4人の逃げが完成
レースは序盤からハードなコースにもかかわらず激しいアタック合戦に。早くもここで遅れる上位チームの選手たちの姿も。この中では増田の動きが冴える。前日のクリテリウムの結果により、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)のJプロツアー個人総合優勝は決まっていたが、最終戦とあって同2位の増田もホセ・ビセンテもランキングの呪縛なく走れることは両者とも一致したところだ。
5周目、またしても増田がアタック、これをプラデスが追い、さらにマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)と堀孝明(宇都宮ブリッツェン)が合流し4人の逃げができる。この4人が結局最後まで逃げきることになる。ホセ・ビセンテはタイミング悪く後方に回ってしまい、アイラン・フェルナンデスを中心に追うが逃げの4人も速く差は開いていく。
メイン集団は逃げに乗せていないマトリックスパワータグ、シマノレーシング、愛三工業レーシングチームが引くものの差は縮まらず、逃げ4人とメイン集団とのタイム差は最大1分50秒にまで広がる。強力なメンバーでの逃げなのでこのタイム差は数字以上に大きい。中盤過ぎまで逃げとメイン集団の構図が続く。
先頭4人が逃げ切り、最終周回で増田がアタック
中盤過ぎの21周目、メイン集団が活性化し畑中勇介(チーム右京)がアタックしこれを雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)がチェック、さらに入部正太朗(シマノレーシング)が追いつき3人の追走ができる。さらにジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)ら5人が追いつき24周目に8人の追走集団となる。さらに25周目にはクロフォードがアタックして単独で先頭4人を追う。
先頭の4人は協調して逃げ続け、それは29周目も変わらない。そしてラスト1周の鐘が鳴ったときに増田がアタックを開始する。プラデスが食らいつこうとするが差は詰まらず逆に離されていく。そのままピークを越え下り区間に入ってさらに増田は差を広げ独走状態に。このまま増田はリードを広げて優勝。チームは前日のクリテリウムに続いて2連勝を果たした。
勝負を決めたのは5周目とまだまだ序盤だった4人の逃げだ。増田が主導権を作った逃げは、1週間前のジャパンカップでも入賞や逃げなど活躍したメンバーが協調し逃げ切りを果たした。他チームは絶対に逃がしてはいけない4人だったが対応が後手に回ってしまった。そしてなんといっても増田個人の実力が一番だ。怪我明けでの参戦だったジャパンカップがもし1週間ずれていたらあるいは、と思わせるに十分な強い走りだった。
優勝した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)「ラスト1周、決めていた場所でアタックした」
「思惑の一致した逃げでうまく回せました。先週のジャパンカップではプラデス(7位)や逃げでガルシアが強かったと聞いているので、この2人相手にどこまで走れるか考えていました。最後は仕掛けるタイミングが難しいところがありました。後ろからクロフォード選手と畑中選手が追い上げてきていてタイム差が縮まっていたのはわかっていたので。これ以上詰まったら待っていられないのでいつアタックしようかと。ラスト1周の時点で30秒ほどリードしていたので決めていた場所でアタックしました。プラデス選手は力を残しているのかと思い120%の力で踏み続けました」
「堀選手が昨日も逃げて疲れていたはずですが最後までいてくれたのが心強かったですね。ツール・ド・おきなわがまだあるので今日はそこへ向けて力を出し切る走りをしようとしました。ジャパンカップの前10日間ほどは(9月25日赤城山落車での骨挫傷のため)乗れない時期があったのですが、今日勝てたことは自信につながるしおきなわへ向け頑張れますね。今日は勇気をもってアタックできてほっとしました。怪我をしないこと、調子を合わせることは選手として当然のことなのですが今年はそれを痛感しました」
3月に開幕したJプロツアー全24戦が終了し、個人総合優勝は自身3度目となるホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、個人総合U23優勝は小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、チーム総合優勝は昨年に続いてチーム右京に決まった。
女子は中里友香(VICTOIREしまなみ)が独走優勝
Fクラスタは9周36kmのレース。単独でのアタックはかかるが集団で推移しラスト1周でアタックした中里友香(VICTOIREしまなみ)が独走優勝。2位には前日の勝者、那須萌美(チームヤーボー)が入った。
優勝した中里はトラックレースにも参加する選手。「実業団レースでは初優勝なので嬉しいです。昨日のクリテはスプリントで負けていたので、近藤選手が飛び出したのを追って後ろを見たら離れていたので、ここで行けってことだと思いそのまま踏みました。今日は勝てて嬉しいですが、もっともっと強い人がいるので来年はいいリザルトを残せるよう頑張ります」と語る。
なお年間42戦のJエリートツアーならびにJフェミニンツアーは、11月5日のJBCF幕張新都心クリテリウムが今シーズンの最終戦となる。
結果
P1クラスタ 120km
1位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)2時間45分02秒
2位 ベンジャミ・プラデス(チーム右京)+40秒
3位 マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)+48秒
4位 畑中勇介(チーム右京)+50秒
5位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)
6位 堀孝明(宇都宮ブリッツェン)+1分02秒
7位 野中竜馬(キナンサイクリングチーム)+1分33秒
8位 ロドリゴ・アラケ(チーム右京)
9位 入部正太朗(シマノレーシング)+2分02秒
10位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)+2分20秒
Jプロツアー年間総合成績
個人総合優勝 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
個人総合U23優勝 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
チーム総合優勝 チーム右京
Fクラスタ 36km
1位 中里友香(VICTOIREしまなみ)1時間02分29秒
2位 那須萌美(チームヤーボー)+12秒
3位 近藤由美(VC Fukuoka)
E1クラスタ 60km
1位 齋藤駿輔(voyAge cycling team)1時間27分34秒
2位 内山雅貴(Pinazou Test Team)+02秒
3位 澤野敦志(竹芝サイクルレーシング)+04秒
4位 井上健志(チームGINRIN熊本)
5位 井上奉紀(チーム鳥取)+05秒
6位 雑賀大輔(湾岸サイクリング・ユナイテッド)
E2クラスタ 36km
1位 宮成國仁(津末レーシング)54分12秒
2位 齋藤和輝(竹芝サイクルレーシング)+01秒
3位 山岡健人(TEAM LUPPI)
4位 園田将人(ナカガワAS.K'デザイン)
5位 前川太一(湾岸サイクリング・ユナイテッド)+03秒
6位 藤村修平(チームヤーボー)
E3クラスタ 32km
1位 田崎竜成(エイル宮崎レーシング)46分41秒
2位 中村やすし(VC Fukuoka)+02秒
3位 仲山大地(セレクシオン南九州)
4位 松尾利仁(チームシロッコ)+05秒
5位 阿部哲也(soleil de lest)+06秒
6位 垣坂資(チーム鳥取)
photo&text:高木秀彰
Jプロツアー最終戦10月30日(日)のロードレースは、大分市郊外の大分県大分スポーツ公園の大銀ドーム周辺園路等を使ったアップダウンやカーブのある変化に富んだコース。1周4kmでP1はここを30周する120kmのレース。下りきって180度ターンし6%の上りでフィニッシュ地点へ向かい、上り切った後も緩いアップダウンの続く脚に応えるハードなコースだ。
序盤に4人の逃げが完成
レースは序盤からハードなコースにもかかわらず激しいアタック合戦に。早くもここで遅れる上位チームの選手たちの姿も。この中では増田の動きが冴える。前日のクリテリウムの結果により、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)のJプロツアー個人総合優勝は決まっていたが、最終戦とあって同2位の増田もホセ・ビセンテもランキングの呪縛なく走れることは両者とも一致したところだ。
5周目、またしても増田がアタック、これをプラデスが追い、さらにマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)と堀孝明(宇都宮ブリッツェン)が合流し4人の逃げができる。この4人が結局最後まで逃げきることになる。ホセ・ビセンテはタイミング悪く後方に回ってしまい、アイラン・フェルナンデスを中心に追うが逃げの4人も速く差は開いていく。
メイン集団は逃げに乗せていないマトリックスパワータグ、シマノレーシング、愛三工業レーシングチームが引くものの差は縮まらず、逃げ4人とメイン集団とのタイム差は最大1分50秒にまで広がる。強力なメンバーでの逃げなのでこのタイム差は数字以上に大きい。中盤過ぎまで逃げとメイン集団の構図が続く。
先頭4人が逃げ切り、最終周回で増田がアタック
中盤過ぎの21周目、メイン集団が活性化し畑中勇介(チーム右京)がアタックしこれを雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)がチェック、さらに入部正太朗(シマノレーシング)が追いつき3人の追走ができる。さらにジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)ら5人が追いつき24周目に8人の追走集団となる。さらに25周目にはクロフォードがアタックして単独で先頭4人を追う。
先頭の4人は協調して逃げ続け、それは29周目も変わらない。そしてラスト1周の鐘が鳴ったときに増田がアタックを開始する。プラデスが食らいつこうとするが差は詰まらず逆に離されていく。そのままピークを越え下り区間に入ってさらに増田は差を広げ独走状態に。このまま増田はリードを広げて優勝。チームは前日のクリテリウムに続いて2連勝を果たした。
勝負を決めたのは5周目とまだまだ序盤だった4人の逃げだ。増田が主導権を作った逃げは、1週間前のジャパンカップでも入賞や逃げなど活躍したメンバーが協調し逃げ切りを果たした。他チームは絶対に逃がしてはいけない4人だったが対応が後手に回ってしまった。そしてなんといっても増田個人の実力が一番だ。怪我明けでの参戦だったジャパンカップがもし1週間ずれていたらあるいは、と思わせるに十分な強い走りだった。
優勝した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)「ラスト1周、決めていた場所でアタックした」
「思惑の一致した逃げでうまく回せました。先週のジャパンカップではプラデス(7位)や逃げでガルシアが強かったと聞いているので、この2人相手にどこまで走れるか考えていました。最後は仕掛けるタイミングが難しいところがありました。後ろからクロフォード選手と畑中選手が追い上げてきていてタイム差が縮まっていたのはわかっていたので。これ以上詰まったら待っていられないのでいつアタックしようかと。ラスト1周の時点で30秒ほどリードしていたので決めていた場所でアタックしました。プラデス選手は力を残しているのかと思い120%の力で踏み続けました」
「堀選手が昨日も逃げて疲れていたはずですが最後までいてくれたのが心強かったですね。ツール・ド・おきなわがまだあるので今日はそこへ向けて力を出し切る走りをしようとしました。ジャパンカップの前10日間ほどは(9月25日赤城山落車での骨挫傷のため)乗れない時期があったのですが、今日勝てたことは自信につながるしおきなわへ向け頑張れますね。今日は勇気をもってアタックできてほっとしました。怪我をしないこと、調子を合わせることは選手として当然のことなのですが今年はそれを痛感しました」
3月に開幕したJプロツアー全24戦が終了し、個人総合優勝は自身3度目となるホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、個人総合U23優勝は小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、チーム総合優勝は昨年に続いてチーム右京に決まった。
女子は中里友香(VICTOIREしまなみ)が独走優勝
Fクラスタは9周36kmのレース。単独でのアタックはかかるが集団で推移しラスト1周でアタックした中里友香(VICTOIREしまなみ)が独走優勝。2位には前日の勝者、那須萌美(チームヤーボー)が入った。
優勝した中里はトラックレースにも参加する選手。「実業団レースでは初優勝なので嬉しいです。昨日のクリテはスプリントで負けていたので、近藤選手が飛び出したのを追って後ろを見たら離れていたので、ここで行けってことだと思いそのまま踏みました。今日は勝てて嬉しいですが、もっともっと強い人がいるので来年はいいリザルトを残せるよう頑張ります」と語る。
なお年間42戦のJエリートツアーならびにJフェミニンツアーは、11月5日のJBCF幕張新都心クリテリウムが今シーズンの最終戦となる。
結果
P1クラスタ 120km
1位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)2時間45分02秒
2位 ベンジャミ・プラデス(チーム右京)+40秒
3位 マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)+48秒
4位 畑中勇介(チーム右京)+50秒
5位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)
6位 堀孝明(宇都宮ブリッツェン)+1分02秒
7位 野中竜馬(キナンサイクリングチーム)+1分33秒
8位 ロドリゴ・アラケ(チーム右京)
9位 入部正太朗(シマノレーシング)+2分02秒
10位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)+2分20秒
Jプロツアー年間総合成績
個人総合優勝 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
個人総合U23優勝 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
チーム総合優勝 チーム右京
Fクラスタ 36km
1位 中里友香(VICTOIREしまなみ)1時間02分29秒
2位 那須萌美(チームヤーボー)+12秒
3位 近藤由美(VC Fukuoka)
E1クラスタ 60km
1位 齋藤駿輔(voyAge cycling team)1時間27分34秒
2位 内山雅貴(Pinazou Test Team)+02秒
3位 澤野敦志(竹芝サイクルレーシング)+04秒
4位 井上健志(チームGINRIN熊本)
5位 井上奉紀(チーム鳥取)+05秒
6位 雑賀大輔(湾岸サイクリング・ユナイテッド)
E2クラスタ 36km
1位 宮成國仁(津末レーシング)54分12秒
2位 齋藤和輝(竹芝サイクルレーシング)+01秒
3位 山岡健人(TEAM LUPPI)
4位 園田将人(ナカガワAS.K'デザイン)
5位 前川太一(湾岸サイクリング・ユナイテッド)+03秒
6位 藤村修平(チームヤーボー)
E3クラスタ 32km
1位 田崎竜成(エイル宮崎レーシング)46分41秒
2位 中村やすし(VC Fukuoka)+02秒
3位 仲山大地(セレクシオン南九州)
4位 松尾利仁(チームシロッコ)+05秒
5位 阿部哲也(soleil de lest)+06秒
6位 垣坂資(チーム鳥取)
photo&text:高木秀彰
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