2016/10/29(土) - 20:26
マイヨヴェール、マイヨジョーヌ、マイヨブラン、全日本チャンピオンジャージによるスプリント。第4回ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムは世界王者ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)の初制覇に湧いた。
曇り空のさいたま新都心に集まった51名のエリートライダーたち。その先頭に立つのはマイヨジョーヌのクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)、マイヨヴェールのペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)、マイヨアポワのラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)、そしてマイヨブランのアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)。史上初めて、4賞ジャージがさいたまに揃った。
メインレースに先立って行われたタイムトライアルでは、日本が誇るスピードマンの窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)と西薗良太(ブリヂストンアンカー)を僅差で下したペトル・ヴァコッチ(チェコ、エティックス・クイックステップ)が優勝。タイムトライアル出場者14名を除いた37名で行われたポイントレースでは新城幸也(ランプレ・メリダ)が積極的な走りを見せた。
ポイントレースの優勝の行方は、逃げてポイントを稼いだ新城とクリスティアン・メイヤー(カナダ、オリカ・バイクエクスチェンジ)、ファビオ・サバティーニ(イタリア、エティックス・クイックステップ)、橋本英也(スペシャルチームジャパンforさいたま)、そして最終スプリントで先着したマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)らの争いに持ち込まれ、合計12ポイントを稼いだ新城がトップに輝いている。
例年よりも気温が低く風が強いさいたま新都心の3.1km周回コースにて、午後3時、メインレースのスタートが切って落とされる。内間康平(ブリヂストンアンカー)のファーストアタックが導火線となって、メイン集団からアタックの応酬が始まった。
ファビオ・サバティーニ(イタリア、エティックス・クイックステップ)やミカル・ゴラス(ポーランド、チームスカイ)、サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)、クーン・デコルト(オランダ、ジャイアント・アルペシン)を含む10名が一時的に先行を開始したが、ツール・ド・フランスジャパンチームの新城幸也(ランプレ・メリダ)が献身的に集団を牽引してこの動きを封じる。
続いて中根英登(愛三工業レーシング)、窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)、小林 泰正(スペシャルチームジャパンforさいたま)、ゴラス、キッテルの5名が飛び出したところでメイン集団はペースダウン。ツール総合2位のロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)が単独で先頭グループへのブリッジを成功させ、6名での逃げが始まった。
逃げに乗ったバルデが山岳ポイントを、キッテルがスプリントポイントを量産し、それぞれ山岳賞とポイント賞のトップに立っている。
ジャイアント・アルペシンやオリカ・バイクエクスチェンジの集団コントロールによって合計20周のレースは後半へ。フィニッシュまで6周を残し、単独で粘り強く逃げていたバルデが吸収されたタイミングで別府史之がカウンターアタックを仕掛けた。
別府には新城とアレクシ・ヴィエルモーズ(フランス、AG2Rラモンディアール)が反応して先頭は3名。新城の長時間牽引によってエティックス・クイックステップとチームスカイ率いるメイン集団から15秒前後のリードを得る。ヴィエルモーズは「人気のある(日本の)2人と先行したことで、まるでシャンゼリゼのような大声援を受けながら逃げることになった」と振り返っている。
するとフィニッシュまで3周を残したところで先頭から別府が飛び立った。「今年も観客の声援が大きかった。その声援に押されるように飛び出した」という別府が独走。しかし集団の追撃によって別府のリードは削り取られ、最終周回を前に別府は吸収される。続いて動いたのが、マイヨジョーヌとマイヨヴェール、マイヨブラン、そして全日本チャンピオンジャージだった。
「このレースではいつもラスト数周で動きが生まれる。集中してそのタイミングを逃さないようにした」という全日本チャンピオンの初山が、フルーム、サガン、イェーツという三賞ジャージと先行開始。メイン集団との距離をぐんぐんと広げた4名の中からイェーツが仕掛けるも、サガンを中心にした追走によって吸収。残り1kmを過ぎ、サガン、フルーム、初山によるスプリントに持ち込まれた。
残り350mの最終コーナーを抜けて仕掛けた初山をサガンが追い抜いていく。向かい風の最終ストレートを先頭で駆け抜けたマイヨヴェールのサガン。フルームにはなすすべがなく、2週間前のロード世界選手権でタイトル防衛を果たしたその脚でサガンがさいたまクリテリウム初制覇を果たした。
「フィニッシュまで距離を残して先行しても、そこからアタックに反応するために脚を使ってしまう。だから先行するタイミングを待ち続けた。最後は良いメンバーでの先行が決まった。過去4大会の中で最も速い展開だったと思う。でもその速い展開が自分に味方した」とサガンは語る。大成功のシーズンを最高の形で締めくくった。
ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム2016結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) 1h22’02”
2位 初山翔(日本、ブリヂストンアンカー)
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
4位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) +05”
5位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) +12”
6位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
7位 別府史之(日本、トレック・セガフレード)
8位 福田真平(日本、愛三工業レーシング)
9位 ジーコ・ワイテンス(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)
10位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
ポイント賞
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)
山岳賞
1位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
ヤングライダー賞
1位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)
敢闘賞
別府史之(日本、トレック・セガフレード)
チーム総合成績
1位 ティンコフ
日本チーム総合成績
1位 ブリヂストンアンカー
ポイントレース
1位 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) 12pts
2位 クリスティアン・メイヤー(カナダ、オリカ・バイクエクスチェンジ) 10pts
3位 ファビオ・サバティーニ(イタリア、エティックス・クイックステップ) 7pts
タイムトライアル
1位 ペトル・ヴァコッチ(チェコ、エティックス・クイックステップ) 4’04”
2位 窪木一茂(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +00”
3位 西薗良太(日本、ブリヂストンアンカー) +02”
text&photo:Kei Tsuji
曇り空のさいたま新都心に集まった51名のエリートライダーたち。その先頭に立つのはマイヨジョーヌのクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)、マイヨヴェールのペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)、マイヨアポワのラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)、そしてマイヨブランのアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)。史上初めて、4賞ジャージがさいたまに揃った。
メインレースに先立って行われたタイムトライアルでは、日本が誇るスピードマンの窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)と西薗良太(ブリヂストンアンカー)を僅差で下したペトル・ヴァコッチ(チェコ、エティックス・クイックステップ)が優勝。タイムトライアル出場者14名を除いた37名で行われたポイントレースでは新城幸也(ランプレ・メリダ)が積極的な走りを見せた。
ポイントレースの優勝の行方は、逃げてポイントを稼いだ新城とクリスティアン・メイヤー(カナダ、オリカ・バイクエクスチェンジ)、ファビオ・サバティーニ(イタリア、エティックス・クイックステップ)、橋本英也(スペシャルチームジャパンforさいたま)、そして最終スプリントで先着したマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)らの争いに持ち込まれ、合計12ポイントを稼いだ新城がトップに輝いている。
例年よりも気温が低く風が強いさいたま新都心の3.1km周回コースにて、午後3時、メインレースのスタートが切って落とされる。内間康平(ブリヂストンアンカー)のファーストアタックが導火線となって、メイン集団からアタックの応酬が始まった。
ファビオ・サバティーニ(イタリア、エティックス・クイックステップ)やミカル・ゴラス(ポーランド、チームスカイ)、サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)、クーン・デコルト(オランダ、ジャイアント・アルペシン)を含む10名が一時的に先行を開始したが、ツール・ド・フランスジャパンチームの新城幸也(ランプレ・メリダ)が献身的に集団を牽引してこの動きを封じる。
続いて中根英登(愛三工業レーシング)、窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)、小林 泰正(スペシャルチームジャパンforさいたま)、ゴラス、キッテルの5名が飛び出したところでメイン集団はペースダウン。ツール総合2位のロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)が単独で先頭グループへのブリッジを成功させ、6名での逃げが始まった。
逃げに乗ったバルデが山岳ポイントを、キッテルがスプリントポイントを量産し、それぞれ山岳賞とポイント賞のトップに立っている。
ジャイアント・アルペシンやオリカ・バイクエクスチェンジの集団コントロールによって合計20周のレースは後半へ。フィニッシュまで6周を残し、単独で粘り強く逃げていたバルデが吸収されたタイミングで別府史之がカウンターアタックを仕掛けた。
別府には新城とアレクシ・ヴィエルモーズ(フランス、AG2Rラモンディアール)が反応して先頭は3名。新城の長時間牽引によってエティックス・クイックステップとチームスカイ率いるメイン集団から15秒前後のリードを得る。ヴィエルモーズは「人気のある(日本の)2人と先行したことで、まるでシャンゼリゼのような大声援を受けながら逃げることになった」と振り返っている。
するとフィニッシュまで3周を残したところで先頭から別府が飛び立った。「今年も観客の声援が大きかった。その声援に押されるように飛び出した」という別府が独走。しかし集団の追撃によって別府のリードは削り取られ、最終周回を前に別府は吸収される。続いて動いたのが、マイヨジョーヌとマイヨヴェール、マイヨブラン、そして全日本チャンピオンジャージだった。
「このレースではいつもラスト数周で動きが生まれる。集中してそのタイミングを逃さないようにした」という全日本チャンピオンの初山が、フルーム、サガン、イェーツという三賞ジャージと先行開始。メイン集団との距離をぐんぐんと広げた4名の中からイェーツが仕掛けるも、サガンを中心にした追走によって吸収。残り1kmを過ぎ、サガン、フルーム、初山によるスプリントに持ち込まれた。
残り350mの最終コーナーを抜けて仕掛けた初山をサガンが追い抜いていく。向かい風の最終ストレートを先頭で駆け抜けたマイヨヴェールのサガン。フルームにはなすすべがなく、2週間前のロード世界選手権でタイトル防衛を果たしたその脚でサガンがさいたまクリテリウム初制覇を果たした。
「フィニッシュまで距離を残して先行しても、そこからアタックに反応するために脚を使ってしまう。だから先行するタイミングを待ち続けた。最後は良いメンバーでの先行が決まった。過去4大会の中で最も速い展開だったと思う。でもその速い展開が自分に味方した」とサガンは語る。大成功のシーズンを最高の形で締めくくった。
ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム2016結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) 1h22’02”
2位 初山翔(日本、ブリヂストンアンカー)
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
4位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) +05”
5位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) +12”
6位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
7位 別府史之(日本、トレック・セガフレード)
8位 福田真平(日本、愛三工業レーシング)
9位 ジーコ・ワイテンス(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)
10位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
ポイント賞
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)
山岳賞
1位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
ヤングライダー賞
1位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)
敢闘賞
別府史之(日本、トレック・セガフレード)
チーム総合成績
1位 ティンコフ
日本チーム総合成績
1位 ブリヂストンアンカー
ポイントレース
1位 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) 12pts
2位 クリスティアン・メイヤー(カナダ、オリカ・バイクエクスチェンジ) 10pts
3位 ファビオ・サバティーニ(イタリア、エティックス・クイックステップ) 7pts
タイムトライアル
1位 ペトル・ヴァコッチ(チェコ、エティックス・クイックステップ) 4’04”
2位 窪木一茂(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +00”
3位 西薗良太(日本、ブリヂストンアンカー) +02”
text&photo:Kei Tsuji
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