2016/11/02(水) - 09:12
オーストリアに拠点を置くホイール専業ブランド、ゼンティス。先進的でオリジナリティあふれる設計によって、トライアスリートの間では、確たる評価を得ている実力派ブランドだ。今回は、ワイドリム化によって、更なる進化を果たしたロード用ハイエンドモデル、SQUAD 4.2 SilverLine クリンチャーをインプレッション。
ゼンティス SQUAD 4.2 Silver Line
特徴的なフォルムを持つバトンホイール・MARK2シリーズによって、トライアスロン界において圧倒的な支持を受けるXentis(ゼンティス)。東欧オーストリアから生み出されるエアロダイナミクスを追求したハイエンドカーボンホイールは、他のホイールブランドからは一線を画したオリジナリティを持っている。
そのゼンティスが送り出すロード用ホイールがSQUAD(スクワッド)シリーズだ。25mm、42mm、58mm、75mmという4種類のリムハイトが揃う同シリーズの中から今回紹介するのは、エアロダイナミクスと軽量性のバランスに優れたバーサタイルな42mmハイトのSQUAD 4.2 SilverLine。そのクリンチャーモデルである。
ブレーキ面の内周には「ACTIVE TUBULATOR」と名付けられたウェーブ状の整流形状が採用され
ホイールの振れ幅についてその数値が記入されている
サイクルコンピューター用のマグネットが内蔵される
アルミ片を強くこすりつけてもリム面はノーダメージだ
SQUADシリーズの最も大きな特徴となるのは、ゼンティスが独自に開発したカーボンを使用するリムだ。カーボンファイバーを捩じりながら織っていく特別な製法により、通常のカーボンリムとは比較にならない圧倒的な強度と耐摩耗性を獲得している。
「XBP(ゼンティス・ブレーキング・パフォーマンス)」と名付けられたテクノロジーを採用したこのカーボンリムは、金属片でブレーキ面を強く擦っても、キズ一つつかないほどの強度を誇っている。その優れた耐摩耗性によって、通常のアルミリム用のブレーキシューが使用可能となっている。
そして、2017年モデルの大きな変更点の一つが、リムのワイド化だ。20mmから24.6mmへと拡幅されたリムによって、昨今主流となっているワイドタイヤへのマッチングを高めるとともに、横風へも強いホイールとなった。また、ブレーキ面の内周には「ACTIVE TUBULATOR」と名付けられたウェーブ状の整流形状が採用され、エアロダイナミクスの向上に貢献している。
リム内部には、サイクルコンピューター用のマグネットが埋め込まれており、スポークへマグネットを取り付ける必要を省いている。ルックスがスマートになるだけでなく、空力性能の向上にも繋がっている。また、マグネットと合わせてカウンターウェイトが仕込まれており、ホイールバランスにも配慮されている。
59gという驚異的な軽量性を誇るフロントハブ
リアハブはハイローフランジとされ、パワー伝達効率を高めている ワイド化を遂げたリムと並び、大きな進化を遂げたのがフロントハブだ。フルカーボン化されたハブシェルによって、ハブ単体で59グラムという驚異的な軽量化を果たしている。それほど軽量になりつつも、前作よりも剛性は向上し、ホイール全体としてのねじれ剛性は向上しているという。
スポークはストレートプルタイプとなっており、フロント20本、リア24本という仕様。製造及び組み立ては100%オーストリア国内で行われている。熟練した職人の手によって組み上げられた証明として、リムには縦横の振れ幅の数値が組み立て担当者のサインと共に記入されている。重量も1,307gと42mmハイトのカーボンクリンチャーモデルとしては非常に軽量に仕上がっている。
空力性能と軽量性を兼ね備えたオールラウンドホイールとして、ハイレベルにまとめられたゼンティス SQUAD 4.2 SilverLine クリンチャー。ロードレーサーにとっては未だ馴染みの薄いブランドであるが、果たしてその身に秘める実力はいかに。それではインプレッションに移ろう。
―インプレッション
「ソリッドでダイレクト感に溢れるレースホイール」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)
とてもハイレベルにまとまったホイールですね。クリンチャーホイールだと事前に聞いていなかったら、チューブラーホイールをテストしていると思いこんでいたでしょう。それほど、軽やかに進んでくれるホイールでした。
「ソリッドでダイレクト感に溢れるレースホイール」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)
チューブラーモデルに比べると、クリンチャーモデルというのは絶対的な重量は必ず重くなってしまうはずなのですが、このホイールは一切そのような重さを感じさせずに転がってくれます。リムがしっかりとした剛性を持っていて、変形が少ないことがこの乗り味を生み出しているのだと思います。
リムの硬さに加えて、スポークテンションも高めに設定されているため、非常にカッチリとしたホイールに仕上がっています。チェーンからスプロケット、そしてハブ、スポーク、そしてリムへと力が伝達されるリズムがとても速く、一切のロスやタメが無く地面へと伝えてくれるような、極めてソリッドでダイレクト感のある踏み心地です。
硬さがあるので、ゼロ発進は少し重たく感じてしまうのですが、そこからの加速感は爆発的なものがあります。他のホイールに比べると、路面へと力が伝わるタイムラグが短いのか、背中を押されているように感じるほどですね。
それでいて重量も軽いので登りでも遜色ない性能を見せてくれますし、下りでもねじれ剛性が高さを活かして、狙い通りのラインを外すことなくトレースしていけます。もちろん、トライアスロン出身のブランドですから、平坦の空力性能にも期待できるでしょう。特徴的なウェーブ状のデザインはエアロ効果だけでなく、剛性向上にも寄与しているようにも感じました。
「重量も軽いので登りでも遜色ない性能を見せてくれます」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)
ノーマルブレーキシューが使用できるというリム面は、昨今ブレーキの効きが良くなってきたカーボンリムの中においても出色の出来栄えです。カーボンリムはブレーキが効くと言われているモデルでも、握り始めの制動力の立ち上がりが大きく、その後のコントロール性はあまり考えられていないものが多いと感じています。しかし、このホイールはカーボンリムらしい大きな制動の立ち上がりの後に、微妙なコントロールを可能とする余裕が残されている。とても扱いやすく、素晴らしいブレーキフィーリングに仕上がっています。
レースで使うのであれば、加減速が激しいコースがうってつけでしょう。アップダウンの多いコースや、テクニカルなコーナーが連続するクリテリウムで最高に輝くのではないでしょうか。最終盤での激しいアタックの応酬で、「あと少し早く踏めていれば!」という後悔をしたくない方にとって、このダイレクト感に溢れるホイールは最高の相棒になってくれるでしょう。
ゼンティス SQUAD 4.2 Silver Line
ゼンティス SQUAD 4.2 Silver Line
リム形式:チューブラー、クリンチャー
リムハイト:42mm
リム幅:24.6mm
フロントハブ:Carbon XH003 Shiny
フロントハブ:Alloy XH003 black
スポーク数:F20本、R24本
平均重量:チューブラー1,135g、クリンチャー1,307g
サイズ:700C
対応フリー:シマノ11S/スラム、カンパニョーロ
付属品:Xentisホイールバッグ、Xentisクイックリリース
カラー:ブラックマット、ホワイトマット
価 格:360,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
杉山友則(Bicicletta IL CUORE) 東京都台東区のBicicletta IL CUORE 下谷本店店長。ダミアーノ・クネゴがジュニアチャンピオンだったころからクネゴのファンだという、自他ともに認めるミーハー系自転車乗り。グエルチョッティやコルナゴ、ルックなどヨーロピアンブランドへの造詣が深い。ショップ店長としては、ユーザーがサイクルライフを楽しめる遊び方の提案を心がけている。
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特徴的なフォルムを持つバトンホイール・MARK2シリーズによって、トライアスロン界において圧倒的な支持を受けるXentis(ゼンティス)。東欧オーストリアから生み出されるエアロダイナミクスを追求したハイエンドカーボンホイールは、他のホイールブランドからは一線を画したオリジナリティを持っている。
そのゼンティスが送り出すロード用ホイールがSQUAD(スクワッド)シリーズだ。25mm、42mm、58mm、75mmという4種類のリムハイトが揃う同シリーズの中から今回紹介するのは、エアロダイナミクスと軽量性のバランスに優れたバーサタイルな42mmハイトのSQUAD 4.2 SilverLine。そのクリンチャーモデルである。
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SQUADシリーズの最も大きな特徴となるのは、ゼンティスが独自に開発したカーボンを使用するリムだ。カーボンファイバーを捩じりながら織っていく特別な製法により、通常のカーボンリムとは比較にならない圧倒的な強度と耐摩耗性を獲得している。
「XBP(ゼンティス・ブレーキング・パフォーマンス)」と名付けられたテクノロジーを採用したこのカーボンリムは、金属片でブレーキ面を強く擦っても、キズ一つつかないほどの強度を誇っている。その優れた耐摩耗性によって、通常のアルミリム用のブレーキシューが使用可能となっている。
そして、2017年モデルの大きな変更点の一つが、リムのワイド化だ。20mmから24.6mmへと拡幅されたリムによって、昨今主流となっているワイドタイヤへのマッチングを高めるとともに、横風へも強いホイールとなった。また、ブレーキ面の内周には「ACTIVE TUBULATOR」と名付けられたウェーブ状の整流形状が採用され、エアロダイナミクスの向上に貢献している。
リム内部には、サイクルコンピューター用のマグネットが埋め込まれており、スポークへマグネットを取り付ける必要を省いている。ルックスがスマートになるだけでなく、空力性能の向上にも繋がっている。また、マグネットと合わせてカウンターウェイトが仕込まれており、ホイールバランスにも配慮されている。
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スポークはストレートプルタイプとなっており、フロント20本、リア24本という仕様。製造及び組み立ては100%オーストリア国内で行われている。熟練した職人の手によって組み上げられた証明として、リムには縦横の振れ幅の数値が組み立て担当者のサインと共に記入されている。重量も1,307gと42mmハイトのカーボンクリンチャーモデルとしては非常に軽量に仕上がっている。
空力性能と軽量性を兼ね備えたオールラウンドホイールとして、ハイレベルにまとめられたゼンティス SQUAD 4.2 SilverLine クリンチャー。ロードレーサーにとっては未だ馴染みの薄いブランドであるが、果たしてその身に秘める実力はいかに。それではインプレッションに移ろう。
―インプレッション
「ソリッドでダイレクト感に溢れるレースホイール」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)
とてもハイレベルにまとまったホイールですね。クリンチャーホイールだと事前に聞いていなかったら、チューブラーホイールをテストしていると思いこんでいたでしょう。それほど、軽やかに進んでくれるホイールでした。
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チューブラーモデルに比べると、クリンチャーモデルというのは絶対的な重量は必ず重くなってしまうはずなのですが、このホイールは一切そのような重さを感じさせずに転がってくれます。リムがしっかりとした剛性を持っていて、変形が少ないことがこの乗り味を生み出しているのだと思います。
リムの硬さに加えて、スポークテンションも高めに設定されているため、非常にカッチリとしたホイールに仕上がっています。チェーンからスプロケット、そしてハブ、スポーク、そしてリムへと力が伝達されるリズムがとても速く、一切のロスやタメが無く地面へと伝えてくれるような、極めてソリッドでダイレクト感のある踏み心地です。
硬さがあるので、ゼロ発進は少し重たく感じてしまうのですが、そこからの加速感は爆発的なものがあります。他のホイールに比べると、路面へと力が伝わるタイムラグが短いのか、背中を押されているように感じるほどですね。
それでいて重量も軽いので登りでも遜色ない性能を見せてくれますし、下りでもねじれ剛性が高さを活かして、狙い通りのラインを外すことなくトレースしていけます。もちろん、トライアスロン出身のブランドですから、平坦の空力性能にも期待できるでしょう。特徴的なウェーブ状のデザインはエアロ効果だけでなく、剛性向上にも寄与しているようにも感じました。
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レースで使うのであれば、加減速が激しいコースがうってつけでしょう。アップダウンの多いコースや、テクニカルなコーナーが連続するクリテリウムで最高に輝くのではないでしょうか。最終盤での激しいアタックの応酬で、「あと少し早く踏めていれば!」という後悔をしたくない方にとって、このダイレクト感に溢れるホイールは最高の相棒になってくれるでしょう。
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ゼンティス SQUAD 4.2 Silver Line
リム形式:チューブラー、クリンチャー
リムハイト:42mm
リム幅:24.6mm
フロントハブ:Carbon XH003 Shiny
フロントハブ:Alloy XH003 black
スポーク数:F20本、R24本
平均重量:チューブラー1,135g、クリンチャー1,307g
サイズ:700C
対応フリー:シマノ11S/スラム、カンパニョーロ
付属品:Xentisホイールバッグ、Xentisクイックリリース
カラー:ブラックマット、ホワイトマット
価 格:360,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
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