2016/10/17(月) - 04:10
北から吹き付ける風と、カタールを知り尽くしたベルギー勢を中心にしたペースアップによって25名の精鋭集団が逃げ切る展開となったロード世界選手権。ペーター・サガン(スロバキア)の大会連覇に至る攻防を振り返ります。
カタールのドーハは風がいつもより強い朝を迎えた。現地に住む日本人の「これでも涼しくなったほう」という言葉とは裏腹に、気温はいつも通り朝から35度まで上昇。世界一を決めるシーズン最後のビッグレースは風と暑さとの戦いとなった。
スタート地点が置かれたのは、カタール最大のスポーツ複合施設で、真新しい建物が並ぶアスパイアゾーン。「トーチ」と呼ばれる高さ300m(カタールで最も高い建物で、内側はホテル)のアスパイアタワーに見下ろされたスタート台に、アイスベストなど暑さ対策を施した選手やってくる。
多くの選手が可能な限り長く冷房の効いた室内で待機したため出走サイン台が大混雑。予定時間よりも5分ほど遅れてニュートラル走行が始まる。至るところで工事が行われているドーハ市内の喧騒を抜けたところで正式なスタートが切られた。
序盤に先行したのはブラヤン・ラミレス(コロンビア)、ニック・ドーガル(南アフリカ)、ナトナエル・ベルハネ(エリトリア)、ライアン・ロス(カナダ)、アナス・アイトエルアブディア(モロッコ)、セルゲイ・ラグクティ(ウクライナ)、レネ・コレージャ(メキシコ)。長丁場だけに逃げの7名は最大で11分ものアドバンテージを得ることに成功する。メイン集団は比較的平穏なペースで向かい風が吹く砂漠の一本道を進んだ。
レースはドーハを離れて砂漠の中を約70km北上し、そこから「ザ・パール」の周回コースに向かって約70km南下する。この日は北からの風。つまり砂漠を北上する往路は概ね左前からの風の中を走り、南下する復路は概ね右後ろから風を受けることになる。
イギリスとベルギー勢が前を固めながら進んだメイン集団は、フィニッシュまでおよそ180kmを残した右90度コーナーを抜けたところで急激にペースが上がる。横風を受けた集団は縦一列に伸び、中切れによって30名弱の第1集団が形成された。
再び右に90度曲がって南下が始まると今度は追い風基調に変わり、イギリスとベルギー、オーストラリア、ノルウェーが斜めに隊列を組んでペースアップを続行する。エシュロン(斜め隊列)を形成しながら集団が分裂していくまさに「ツアー・オブ・カタール」でお馴染みの光景が広がった。
「別府さんとほぼ同じ位置で走っていました。見るからに横風が吹きそうで、道が細くなるのは分かっていた。周りにキッテルもいたので、まさかあそこで集団が割れるとは思わなかった。そんな爆風ではないけど前との30秒が詰まらない。カタールはいつもそうです」と、第2集団に入った新城幸也(ランプレ・メリダ)は語る。
「前半から主にイギリス、ベルギー、オーストラリアの3チームが集団の先頭を固めていた。自分も前に位置していて50番手あたりで(風向きが変わる)コーナーをクリア。そこで20名ほどが先行してしまい、第2集団で走っていたものの、ローテーションのタイミングで他の選手と遅れてしまった」と語る別府史之(トレック・セガフレード)も第3集団での走行を強いられた。
ベルギー6名(ボーネン、ケウケレール、ナーセン、ルーランズ、ストゥイフェン、ファンアフェルマート)、イタリア4名(ニッツォロ、ヴィヴィアーニ、グアルニエーリ、ベンナーティ)、ノルウェー3名(ボアッソンハーゲン、クリストフ、コルシャイス)、オランダ2名(テルプストラ、リーザー)、イギリス2名(カヴェンディッシュ、ブライス)、オーストラリア2名(ヘイマン、マシューズ)で構成された第1集団が追い風に乗って高速巡航。
なお、追い風区間でギアが足りなくなることを考慮し、ヴィヴィアーニは54Tのチェーンリングを装着したバイクで前半を走り、周回コース突入後の補給ポイントで通常のバイクに乗り換えている。
ツアー・オブ・カタールで4度総合優勝に輝き、カタールの風を知り尽くしている「砂漠の王者」トム・ボーネン(ベルギー)が積極的にリードする第1集団は、フィニッシュまで145kmを残して逃げグループを飲み込む。ドイツ(グライペル、キッテル、デゲンコルブ)やオランダ(フルーネヴェーヘン、デコルト、ファンヴァールレ)率いる第2集団、そして第3集団とのタイム差はじわりじわりと広がっていく。
集団は大きく6つに分裂したまま、それぞれのギャップを広げながら「ザ・パール」に到着した。フィニッシュライン通過時点で新城を含む第2集団は1分遅れ、別府を含む第3集団は3分遅れ。約15分遅れた第5集団以降の選手たちは周回に入ることができずにレースを降りた。
ドイツやオランダの懸命の追走も虚しく第1集団とのタイム差は広がるばかり。第3集団はフィニッシュまで2周を残して足切りに。最終的に25名に絞り込まれた第1集団がリードを広げながら周回を重ね、タイム差の広がりを除いて大きな動きを見せないまま最終周回に入った。
ベルギー、イタリア、ノルウェーが引き続き集団を支配。残り5km地点でニキ・テルプストラ(オランダ)がアタックを仕掛けるとグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー)やエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)が反応したものの先行するには至らない。スプリンターを欠いたオランダはアタックで突破口を開く他なく、続いて残り2kmを前にトム・リーザー(オランダ)が飛び立った。
集団牽制の隙に約5秒のリードを築いたリーザーが独走し、そのままフラムルージュをくぐって最終ストレートへ。逃げ切りの可能性にオランダ応援団は沸いたが、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー)率いるメイン集団を振り切ることはできなかった。
ボーネンのリードアウトを担ったルーランズが下がると、残り400mでジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)がジャコモ・ニッツォロ(イタリア)のために先頭に立つ。グアルニエーリ、ニッツォロ、ボーネン、マシューズ、ボアッソンハーゲン、クリストフ、その後ろにサガンやカヴェンディッシュの並びで残り200m。残り150mの上り勾配が始まったところでニッツォロのスプリントが始まった。
好位置からスプリントしたニッツォロとボーネン、マシューズを、サガンとカヴェンディッシュが追い上げる展開。クリストフはボアッソンハーゲンと連携して動けず後方に沈んでしまう。
ニッツォロの後ろから加速したサガンが先頭に立つと、ボーネンとカヴェンディッシュが追いすがる。世界チャンピオン経験者3名によるスプリントはサガンに軍配が上がった。
チームスタッフや遅れてフィニッシュしたコラー、駆けつけた奥さんを抱き寄せ、堂々と歩いて表彰台に向かったサガン。勝利につながったスプリントを「向かい風が吹いていたので飛び出すタイミングを遅らせた。ニッツォロが進路を塞がずにスプリントしてくれて助かったよ。仮に彼がフェンスに寄せてきていたら間違いなく落車してした」と説明する。
「(横風と追い風で)決定的な動きが生まれた時、自分が第1集団に追いついた一番最後の選手だった。その時点で第1集団のスプリント勝負になると思っていたよ。わざわざスロバキアから駆けつけてくれた応援団の声援が力になった。フィニッシュで待ってくれていた父親や妻、そしてボトルを取りに行ったタイミングで精鋭集団から脱落してしまった兄、そしてアンビリーバブルな働きをしてくれたミカル・コラーに感謝している」。
逃げ切り独走勝利した2015年に続く世界選手権制覇。大会連覇は1928年&1929年のジョルジュ・ロンセ(ベルギー)、1956年&1957年のリック・ファンステーンベルヘン(オランダ)、1960年&1961年のリック・ファンローイ(ベルギー)、1991年&1992年のジャンニ・ブーニョ(イタリア)、2006年&2007年のパオロ・ベッティーニ(イタリア)に続く史上6人目の快挙だ。
2位に終わったカヴェンディッシュは「サガンの番手を取れず、ブライスとの連携にも失敗してポジションを落としてしまった。マシューズの後ろまで上がったものの時すでに遅し。ボーネンを追撃して前に出たけど、サガンには届かなかった。銀メダルを獲得したのではなく、金メダルを逃したという印象しかない」とコメントする。
銅メダルのボーネンは「前半からレースを支配し、全力を尽くしてくれたチームメイトたちを誇りに思う。イタリアチームのトレインを利用して残り200mからロングスプリントしたけど、サガンやカヴェンディッシュを振り切るのは不可能だった」と語り、キャリア最後の世界選手権を締めくくった。
「今回はリベンジのつもりで走っていました。(大腿骨を骨折した)思い出の地カタールで走りきれてよかった」と語るのは第2集団内の35位でフィニッシュした新城。フィニッシュまで2周を残してDNFとなった別府は「組織的に動く経験豊かなベルギーやイギリスが支配するカタールらしい展開になった。世界選手権としては特殊な展開だったと思います。悔いがないといえば嘘になるけど、こればかりは人数を揃えたからと言って戦えるわけではないし、やるだけのことはやった」と日本チームの戦いを振り返っている。
ロード世界選手権2016エリート男子ロードレース結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア) 5h40’43”(Ave 45.310km/h)
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)
3位 トム・ボーネン(ベルギー)
4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア)
5位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア)
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)
7位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)
8位 ウィリアム・ボネ(フランス)
9位 ニキ・テルプストラ(オランダ)
10位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー)
11位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)
12位 アダム・ブライス(イギリス)
13位 ナトナエル・ベルハネ(エリトリア) +04”
14位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー) +09”
15位 ライアン・ロス(カナダ)
16位 トルルス・コルシャイス(ノルウェー)
17位 トム・リーザー(オランダ)
18位 ニック・ドーガル(南アフリカ)
19位 ミカル・コラー(スロバキア) +13”
20位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア) +14”
35位 新城幸也(ランプレ・メリダ) +5’26”
DNF 別府史之(トレック・セガフレード)
text&photo:Kei Tsuji in Doha, Qatar
カタールのドーハは風がいつもより強い朝を迎えた。現地に住む日本人の「これでも涼しくなったほう」という言葉とは裏腹に、気温はいつも通り朝から35度まで上昇。世界一を決めるシーズン最後のビッグレースは風と暑さとの戦いとなった。
スタート地点が置かれたのは、カタール最大のスポーツ複合施設で、真新しい建物が並ぶアスパイアゾーン。「トーチ」と呼ばれる高さ300m(カタールで最も高い建物で、内側はホテル)のアスパイアタワーに見下ろされたスタート台に、アイスベストなど暑さ対策を施した選手やってくる。
多くの選手が可能な限り長く冷房の効いた室内で待機したため出走サイン台が大混雑。予定時間よりも5分ほど遅れてニュートラル走行が始まる。至るところで工事が行われているドーハ市内の喧騒を抜けたところで正式なスタートが切られた。
序盤に先行したのはブラヤン・ラミレス(コロンビア)、ニック・ドーガル(南アフリカ)、ナトナエル・ベルハネ(エリトリア)、ライアン・ロス(カナダ)、アナス・アイトエルアブディア(モロッコ)、セルゲイ・ラグクティ(ウクライナ)、レネ・コレージャ(メキシコ)。長丁場だけに逃げの7名は最大で11分ものアドバンテージを得ることに成功する。メイン集団は比較的平穏なペースで向かい風が吹く砂漠の一本道を進んだ。
レースはドーハを離れて砂漠の中を約70km北上し、そこから「ザ・パール」の周回コースに向かって約70km南下する。この日は北からの風。つまり砂漠を北上する往路は概ね左前からの風の中を走り、南下する復路は概ね右後ろから風を受けることになる。
イギリスとベルギー勢が前を固めながら進んだメイン集団は、フィニッシュまでおよそ180kmを残した右90度コーナーを抜けたところで急激にペースが上がる。横風を受けた集団は縦一列に伸び、中切れによって30名弱の第1集団が形成された。
再び右に90度曲がって南下が始まると今度は追い風基調に変わり、イギリスとベルギー、オーストラリア、ノルウェーが斜めに隊列を組んでペースアップを続行する。エシュロン(斜め隊列)を形成しながら集団が分裂していくまさに「ツアー・オブ・カタール」でお馴染みの光景が広がった。
「別府さんとほぼ同じ位置で走っていました。見るからに横風が吹きそうで、道が細くなるのは分かっていた。周りにキッテルもいたので、まさかあそこで集団が割れるとは思わなかった。そんな爆風ではないけど前との30秒が詰まらない。カタールはいつもそうです」と、第2集団に入った新城幸也(ランプレ・メリダ)は語る。
「前半から主にイギリス、ベルギー、オーストラリアの3チームが集団の先頭を固めていた。自分も前に位置していて50番手あたりで(風向きが変わる)コーナーをクリア。そこで20名ほどが先行してしまい、第2集団で走っていたものの、ローテーションのタイミングで他の選手と遅れてしまった」と語る別府史之(トレック・セガフレード)も第3集団での走行を強いられた。
ベルギー6名(ボーネン、ケウケレール、ナーセン、ルーランズ、ストゥイフェン、ファンアフェルマート)、イタリア4名(ニッツォロ、ヴィヴィアーニ、グアルニエーリ、ベンナーティ)、ノルウェー3名(ボアッソンハーゲン、クリストフ、コルシャイス)、オランダ2名(テルプストラ、リーザー)、イギリス2名(カヴェンディッシュ、ブライス)、オーストラリア2名(ヘイマン、マシューズ)で構成された第1集団が追い風に乗って高速巡航。
なお、追い風区間でギアが足りなくなることを考慮し、ヴィヴィアーニは54Tのチェーンリングを装着したバイクで前半を走り、周回コース突入後の補給ポイントで通常のバイクに乗り換えている。
ツアー・オブ・カタールで4度総合優勝に輝き、カタールの風を知り尽くしている「砂漠の王者」トム・ボーネン(ベルギー)が積極的にリードする第1集団は、フィニッシュまで145kmを残して逃げグループを飲み込む。ドイツ(グライペル、キッテル、デゲンコルブ)やオランダ(フルーネヴェーヘン、デコルト、ファンヴァールレ)率いる第2集団、そして第3集団とのタイム差はじわりじわりと広がっていく。
集団は大きく6つに分裂したまま、それぞれのギャップを広げながら「ザ・パール」に到着した。フィニッシュライン通過時点で新城を含む第2集団は1分遅れ、別府を含む第3集団は3分遅れ。約15分遅れた第5集団以降の選手たちは周回に入ることができずにレースを降りた。
ドイツやオランダの懸命の追走も虚しく第1集団とのタイム差は広がるばかり。第3集団はフィニッシュまで2周を残して足切りに。最終的に25名に絞り込まれた第1集団がリードを広げながら周回を重ね、タイム差の広がりを除いて大きな動きを見せないまま最終周回に入った。
ベルギー、イタリア、ノルウェーが引き続き集団を支配。残り5km地点でニキ・テルプストラ(オランダ)がアタックを仕掛けるとグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー)やエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)が反応したものの先行するには至らない。スプリンターを欠いたオランダはアタックで突破口を開く他なく、続いて残り2kmを前にトム・リーザー(オランダ)が飛び立った。
集団牽制の隙に約5秒のリードを築いたリーザーが独走し、そのままフラムルージュをくぐって最終ストレートへ。逃げ切りの可能性にオランダ応援団は沸いたが、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー)率いるメイン集団を振り切ることはできなかった。
ボーネンのリードアウトを担ったルーランズが下がると、残り400mでジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)がジャコモ・ニッツォロ(イタリア)のために先頭に立つ。グアルニエーリ、ニッツォロ、ボーネン、マシューズ、ボアッソンハーゲン、クリストフ、その後ろにサガンやカヴェンディッシュの並びで残り200m。残り150mの上り勾配が始まったところでニッツォロのスプリントが始まった。
好位置からスプリントしたニッツォロとボーネン、マシューズを、サガンとカヴェンディッシュが追い上げる展開。クリストフはボアッソンハーゲンと連携して動けず後方に沈んでしまう。
ニッツォロの後ろから加速したサガンが先頭に立つと、ボーネンとカヴェンディッシュが追いすがる。世界チャンピオン経験者3名によるスプリントはサガンに軍配が上がった。
チームスタッフや遅れてフィニッシュしたコラー、駆けつけた奥さんを抱き寄せ、堂々と歩いて表彰台に向かったサガン。勝利につながったスプリントを「向かい風が吹いていたので飛び出すタイミングを遅らせた。ニッツォロが進路を塞がずにスプリントしてくれて助かったよ。仮に彼がフェンスに寄せてきていたら間違いなく落車してした」と説明する。
「(横風と追い風で)決定的な動きが生まれた時、自分が第1集団に追いついた一番最後の選手だった。その時点で第1集団のスプリント勝負になると思っていたよ。わざわざスロバキアから駆けつけてくれた応援団の声援が力になった。フィニッシュで待ってくれていた父親や妻、そしてボトルを取りに行ったタイミングで精鋭集団から脱落してしまった兄、そしてアンビリーバブルな働きをしてくれたミカル・コラーに感謝している」。
逃げ切り独走勝利した2015年に続く世界選手権制覇。大会連覇は1928年&1929年のジョルジュ・ロンセ(ベルギー)、1956年&1957年のリック・ファンステーンベルヘン(オランダ)、1960年&1961年のリック・ファンローイ(ベルギー)、1991年&1992年のジャンニ・ブーニョ(イタリア)、2006年&2007年のパオロ・ベッティーニ(イタリア)に続く史上6人目の快挙だ。
2位に終わったカヴェンディッシュは「サガンの番手を取れず、ブライスとの連携にも失敗してポジションを落としてしまった。マシューズの後ろまで上がったものの時すでに遅し。ボーネンを追撃して前に出たけど、サガンには届かなかった。銀メダルを獲得したのではなく、金メダルを逃したという印象しかない」とコメントする。
銅メダルのボーネンは「前半からレースを支配し、全力を尽くしてくれたチームメイトたちを誇りに思う。イタリアチームのトレインを利用して残り200mからロングスプリントしたけど、サガンやカヴェンディッシュを振り切るのは不可能だった」と語り、キャリア最後の世界選手権を締めくくった。
「今回はリベンジのつもりで走っていました。(大腿骨を骨折した)思い出の地カタールで走りきれてよかった」と語るのは第2集団内の35位でフィニッシュした新城。フィニッシュまで2周を残してDNFとなった別府は「組織的に動く経験豊かなベルギーやイギリスが支配するカタールらしい展開になった。世界選手権としては特殊な展開だったと思います。悔いがないといえば嘘になるけど、こればかりは人数を揃えたからと言って戦えるわけではないし、やるだけのことはやった」と日本チームの戦いを振り返っている。
ロード世界選手権2016エリート男子ロードレース結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア) 5h40’43”(Ave 45.310km/h)
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)
3位 トム・ボーネン(ベルギー)
4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア)
5位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア)
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)
7位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)
8位 ウィリアム・ボネ(フランス)
9位 ニキ・テルプストラ(オランダ)
10位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー)
11位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)
12位 アダム・ブライス(イギリス)
13位 ナトナエル・ベルハネ(エリトリア) +04”
14位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー) +09”
15位 ライアン・ロス(カナダ)
16位 トルルス・コルシャイス(ノルウェー)
17位 トム・リーザー(オランダ)
18位 ニック・ドーガル(南アフリカ)
19位 ミカル・コラー(スロバキア) +13”
20位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア) +14”
35位 新城幸也(ランプレ・メリダ) +5’26”
DNF 別府史之(トレック・セガフレード)
text&photo:Kei Tsuji in Doha, Qatar
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