「骨折から厳しい練習を積んでブエルタに臨んだ。今日は攻めるしかなかった」とは、ただ一人逃げグループ内で生き残り、逃げ切りを決めたジェニエ。熾烈なバトルを演じた総合勢のコメントも併せて紹介します。



ステージ優勝、マイヨプントス、マイヨモンターニャを獲得したアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ)

シャンパンを開けるアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ)シャンパンを開けるアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ) photo:Kei Tsuji
マイヨモンターニャをチームメイトから引き継いだアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ)マイヨモンターニャをチームメイトから引き継いだアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ) photo:Kei Tsujiポイント賞でもトップに立ったアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ)ポイント賞でもトップに立ったアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ) photo:Kei Tsuji


ご褒美のような勝利だ。今シーズン序盤は調子が良かったけれど、ジロ・デ・イタリアの第3ステージで落車、翌日にリタイアした以降は全てが上手くいかなくなってしまったんだ。どうにも手首が痛いと思っていたら、一ヶ月後に骨折していたと分かり、それでまた一ヶ月を棒に振った。自転車に復帰してからはベストコンディションにまで戻そうとハードにトレーニングを重ねてきた。ブエルタのメンバー入りすることが目標だったし、そこでステージを獲ることも重要だった。とても満足した気分さ。

今日勝つには序盤の逃げに乗っておく必要があった。復帰して以降あまりレースを走っていなかったが、ブエルタ直前のツール・ド・ランで調子の良さを感じていたし、勝つためには攻める姿勢が必要不可欠だ。逃げのタイム差が5〜6分まで開いた時に集団がどんな反応をするか分からなかったけれど、とにかく今日は攻めるしかなかった。

3級山岳ミラドル・デ・エサロでセリーを引き離すアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ)3級山岳ミラドル・デ・エサロでセリーを引き離すアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ) photo:Kei Tsuji最終盤にジェニエから遅れたピーター・セリー(ベルギー、エティックス・クイックステップ)

とてつもなく苦しめられた1日だったが、気温の高さが状況をよりタフにしてくれた。ミラドル・デ・エサロに入ったタイミングでは2分ほどのタイム差を得ていたけれど、僕には勾配がキツすぎて付いていくことができなかった。ジェニエは強かったし、それを認めるのは全くもって恥じることでは無い。自分のコンディションには満足していて、これからもっと良い結果を出せるように願っている。

マイヨロホを獲得したルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター)

マイヨロホに袖を通したルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター)マイヨロホに袖を通したルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター) photo:Kei Tsuji
2番手でフィニッシュするルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター)2番手でフィニッシュするルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター) photo:Kei Tsujiアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) (c)CorVosこんな結果になるなんて全く想像できなかった。ブエルタ前のツール・ド・ポローニュとブエルタ・ア・ブルゴスでどちらも総合6位フィニッシュできたのでコンディション自体は上々だったんだけれど。それに今回の僕の仕事はナイロとアレハンドロをサポートすることだった。

今日はアタックするなんて全く考えに無く、ナイロがアタックしやすいようにハイペースを刻むことだけを考えていた。でも最終盤に自分のために走って良いと言われ、結果的に2回目のグランツアーでリーダージャージを獲得できたんだ。純粋に自分のためだけに走れたことが嬉しかったし、無線ではこのままいけば総合首位だと伝わってきた。これ以上の喜びなんて無いよ。でも明日からはまた、チームリーダーのために走る。

アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

ルーベンの好調さは僕ら全員が知っていたし、彼は今日の走りでそれを証明してみせた。ジェニエとの差を急速に詰め、チャベス以外全員のライバルを振り落としたんだ。若くてタレント性のある選手だし、彼が総合首位に立ったことが嬉しい。フルームは追いついてきたが、ルーベンのペースアップがなかったら逆に攻撃されていたと思う。アルベルトは数秒を失ったけれど、ブエルタでは何だって起こりうる。自分自身は調子の悪さを全く感じない1日を過ごすことができた。これからもこの調子が続くことを願っているよ。

フルームから6秒を失ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

間違いなく今日のヒーローはルーベンだ。彼の登りはとんでもなかった。僕はといえばツールの焼き直しのように少しだけ感じた。フルームが順位を上げ、コンタドールは数秒を失った。もちろん今日の結果がブエルタを大きく左右することは無いけれど、一日一日を丁寧に進めていきたい。

終盤に遅れを挽回したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

終盤に追い上げてステージ4位に入ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)終盤に追い上げてステージ4位に入ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji54秒遅れでフィニッシュに向かうサムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)やアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)54秒遅れでフィニッシュに向かうサムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)やアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) photo:Kei Tsuji2分02秒遅れたステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)2分02秒遅れたステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) photo:Kei Tsuji前半に飛ばしすぎると後半に失速するのは目に見えていた。実際に何人かの選手がそのトラップに引っかかって、残り500mで撃沈していた。マイペースに徹したので一時は先頭との距離が開いたけど、およそ7分間の登りと捉えて、焦らずペダリングを続けて差を詰めた。「ユイの壁」に近い勾配かと思っていたが、もっと長かった。でも結果的には良い走りだったと思う。

クヴィアトコウスキーとケノーは今日の登りで素晴らしい走りを見せ、僕を絶好のポジションまで連れて行ってくれた。彼らの走りに深く感謝したい。今日はトラブルも無く、レース展開もよく観察することができた。この先はひとまず僕の目標としている個人TTがレースの鍵を握るはず。トラブル無くレースを進めていきたい。

ライバルたちから遅れたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)

グッドデイとはならなかったけれど、ブエルタはまだ始まったばかりで、差は大きく広がっていない。今日の走りには満足していないけれど、これからのステージで調子が上がっていくような感覚を掴んでいるよ。

2分以上遅れたステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)

ブエルタには大きな目標をもって参戦した。だから最初の山頂フィニッシュでは総合勢と共にゴールする必要があるのに、大きく遅れてしまった。今日は力を感じなかったんだ。理由を挙げるとすれば、先日体調を崩してトレーニングをあまり積めなかったこと。復調の兆しは感じているので、明日のステージでどうにか回復できるように集中している。ベストからは程遠いけれど、これから進歩することに期待している。

慢性的な副鼻腔炎で大会を去ったワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)

とても落ち込んでいる。ブエルタでステージ優勝を飾ることが今シーズンの大きな目標だったのに、バッドラックでレースから離脱を余儀なくされてしまった。昨日の朝にはなんとなく痛むだけだったけれど、昨日のステージ後、今朝とどんどん状態が悪くなってしまった。今回に関してはもう仕方が無い。

3分54秒遅れの70位でゴールした新城幸也(ランプレ・メリダ)

ステージ70位でフィニッシュする新城幸也(ランプレ・メリダ)ステージ70位でフィニッシュする新城幸也(ランプレ・メリダ) photo:Kei Tsuji
今日のランプレのオーダーは8人以上の逃げに乗ることだったのでスタートから動いたが、逃げグループに加わる事が出来なかった。逃げて良いというオーダーをもらっていたのに、今日のように逃げが決まってしまうようなステージで逃げに入れなかったのは残念だった。

その後はルイスの総合の為に登りの入り口までアシスト。ギリギリで残り20km、2級山岳を越えて最後のゴールへの登りに向けてマインティーズのために位置取りをして、その麓で集団から遅れたが、なんて勾配だこと!!あまりの激坂で前輪浮くぐらいだった。ギアが36×32だったので問題無かった。明日も頂上ゴールなので、頑張らないとね。

9分23秒遅れの112位で走り終えた別府史之(トレック・セガフレード)

ステージ112位でフィニッシュに向かう別府史之(トレック・セガフレード)ステージ112位でフィニッシュに向かう別府史之(トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji
SRMでの最高気温は41℃と暑い一日だった。デモル監督には(チームカーから)ボトル10本を受け取るのが最速と言われた(笑)

※各コメントはレース/チーム公式ウェブサイト、SNSから、新城幸也のコメントはTeamユキヤ通信より。

text:So.Isobe
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