2016/08/10(水) - 09:14
ツール・ド・フランスを走った全22チームのロードバイク&TTマシンを、3チーム毎、全7回で紹介。第3弾ではティンコフのスペシャライズド、カチューシャのキャニオン、BMCレーシングのBMCに迫ります。
ティンコフ【スペシャライズド S-WORKS TARMAC、 S-WORKS VENGE ViAS、S-WORKS SHIV TT(TTバイク)】
ティンコフのバイクサプライヤーを務めるのはスペシャライズド。チームのメインバイクはオールラウンドモデル「S-WORKS TARMAC」で、平坦ステージではペーター・サガン(スロバキア)らがエアロロード「S-WORKS VENGE ViAS」をチョイスした。また、カスタムペイントを得意とするスペシャライズドだけあって、ポイント賞獲得のサガンと山岳賞獲得のラファル・マイカ(ポーランド)、総合優勝候補として出場したアルベルト・コンタドール(スペイン)にはスペシャルペイントのバイクを供給した。
世界王者サガンは、第20ステージまではアルカンシェルカラーのTARMACとVENGE ViASを、最終ステージでは5年連続のポイント賞獲得を祝したマイヨヴェールカラーのVENGE ViASを使用。同じく最終ステージでは、2回目の山岳賞獲得となったマイカ(ポーランド)がマイヨアポアカラーのTARMACを駆った。アルベルト・コンタドール(スペイン)には、クロームカラーのベースに、ピンク/イエロー/レッドのストライプをあしらうことで3大グランツールの優勝を表現したTARMACが用意された。
コンポーネントは9000系DURA-ACEがメイン。大多数はDi2だが、コンタドールは機械式変速を選択。セラミックスピードのサポートを受け、ヘッドやBBのベアリング、プーリーを純正品から換装。山岳TTなど重要なステージでは17Tの超大径プーリーによって摩擦抵抗を低減したプーリーケージ「OPWS」や、特殊なテフロン系パウダーコーティングを施したスペシャルチェーン「UFO」が投入された。クランク式のパワーメーターは、プロチームの定番であるSRMのDURA-ACEモデルだ。
ホイールはスペシャライズドがプロデュースするロヴァールの「Rapide CLX」シリーズ。従来よりラインアップされる40mmと60mmの2種類のハイトに加え、第18ステージの山岳TTでは32mmハイトがデビューを果たした。タイヤはスペシャライズドTURBOシリーズで、スタンダードモデルを中心に、より転がり性能に優れるコットンケーシングモデルと使い分けた。ハンドル、ステム、サドルはFSAで、サドルはプロロゴ。ボトル&ケージはタックスとしている。
TTバイクはロングセラーモデルの「S-WORKS SHIV TT」。ロードと異なり、前後ともホイールはHEDから供給を受けるものの、ライトウェイトのディスクをロゴ消しで使用するライダーも。ディンプルが特徴的なエアロボトルはエリートのKIT CHRONOで、サプライヤーであるタックスのロゴを貼って使用する。
カチューシャ
【キャニオン ULTIMATE CF SLX、AEROAD CF SLX、SPEEDMAX CF SLX(TTバイク)】
カチューシャのバイクサプライヤーを務めるのは、ジャーマンブランドのキャニオン。ライダーたちは2モデルを使い分け、ホアキン・ロドリゲス(スペイン)やアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)はエアロロード「AEROAD CF SLX」を、第17ステージを制したイルヌール・ザッカリン(ロシア)は軽量オールラウンドモデル「ULTIMATE CF SLX」を選択。コースプロフィールに応じてバイクを変更することはしていないようだ。
コンポーネントは無線変速採用のスラムRED eTap。しかし、スラムが対応する製品を製造していないことから、ダイレクトマウント式を採用するAEROADのブレーキは、シマノDURA-ACEとされている。クランク式パワーメーターはスラム系列のクォークだ。ホイールはジップの「Firecrest」シリーズで、45mmハイトの303をメインに、32mmハイトの202と58mmハイトの404を合わせた3モデルが混在する。タイヤはコンチネンタルのプロ供給専用モデルである「COMPETITION PRO LTD」としている。
ハンドル周りのセッティングはライダーによって大きく異なる。同じAEROADを使用するライダーでも、クリストフは専用設計のステム一体型カーボンハンドルを選択するのに対し、ロドリゲスはオーソドックスなアルミ製ハンドル&ステムという組み合わせだ。サドルはセライタリア、ペダルはルック、ボトル&ケージはエリートを使用する。
TTバイクは、新型モデルの「SPEEDMAX CF SLX」。ボリュームを増した各チューブやハンドル周りの新設計により、エアロ性能とフィッティング性を高めた1台だ。ハンドルバーのグリップにはエルゴン製の専用設計品を採用する。
BMCレーシング【teammachine SLR01、timemachine TM01(TTバイク)】
BMCレーシングは、全ライダーがステージを問わずオールラウンドモデル「teammachine SLR01」を使用。今回のツール・ド・フランスよりフレームカラーがブラックからホワイトへと変更になったが、フレームの中身については変更なない。パーツアッセンブルについてもほぼ昨年通りだ。
コンポーネントはシマノからサポートを受け、ペダルまでDURA-ACEで統一される。もちろん変速はDi2。クランク式パワーメーターはプロチームの定番であるSRMのDURA-ACEモデルだ。ホイールもDURA-ACEグレードのWH-9000シリーズで、50mm、35mm、24mmの3種類のハイトをコースに応じて使い分けた。タイヤには、市販品よりもハイグリップなコンパウンドを採用するコンチネンタルのプロ供給専用モデル「COMPETITION PRO LTD」を組み合わせる。
ハンドル、ステム、バーテープは3Tで、セカンドグレードの「TEAM」をメインに使用。シートポストはフレーム専用品で、ゼッケンプレートの台座が直に接着されている。サドルはフィジークで、各モデルを選手の好みに応じて使い分ける。ボトル&ケージはエリートだ。
TTバイクは「timemachine TM01」。フォークと一体化されたVブレーキやコンパクトなリア三角など、昨今トレンドとなっている仕様をいち早く取り入れたベンチマーク的な1台だ。オーストラリアTT王者であるローハン・デニスをはじめ、複数のライダーのバイクには、機材供給を受けるシマノ/PROではなく、ロゴを消したHEDやライトウェイトのホイールが取り付けられていた。また、デニスのタイヤ選択は他とは異なり、定番の「COMPETITION PRO LTD」の替わりに、TT用モデル「PODIUM TT」をチョイスした。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
ティンコフ【スペシャライズド S-WORKS TARMAC、 S-WORKS VENGE ViAS、S-WORKS SHIV TT(TTバイク)】
ティンコフのバイクサプライヤーを務めるのはスペシャライズド。チームのメインバイクはオールラウンドモデル「S-WORKS TARMAC」で、平坦ステージではペーター・サガン(スロバキア)らがエアロロード「S-WORKS VENGE ViAS」をチョイスした。また、カスタムペイントを得意とするスペシャライズドだけあって、ポイント賞獲得のサガンと山岳賞獲得のラファル・マイカ(ポーランド)、総合優勝候補として出場したアルベルト・コンタドール(スペイン)にはスペシャルペイントのバイクを供給した。
世界王者サガンは、第20ステージまではアルカンシェルカラーのTARMACとVENGE ViASを、最終ステージでは5年連続のポイント賞獲得を祝したマイヨヴェールカラーのVENGE ViASを使用。同じく最終ステージでは、2回目の山岳賞獲得となったマイカ(ポーランド)がマイヨアポアカラーのTARMACを駆った。アルベルト・コンタドール(スペイン)には、クロームカラーのベースに、ピンク/イエロー/レッドのストライプをあしらうことで3大グランツールの優勝を表現したTARMACが用意された。
コンポーネントは9000系DURA-ACEがメイン。大多数はDi2だが、コンタドールは機械式変速を選択。セラミックスピードのサポートを受け、ヘッドやBBのベアリング、プーリーを純正品から換装。山岳TTなど重要なステージでは17Tの超大径プーリーによって摩擦抵抗を低減したプーリーケージ「OPWS」や、特殊なテフロン系パウダーコーティングを施したスペシャルチェーン「UFO」が投入された。クランク式のパワーメーターは、プロチームの定番であるSRMのDURA-ACEモデルだ。
ホイールはスペシャライズドがプロデュースするロヴァールの「Rapide CLX」シリーズ。従来よりラインアップされる40mmと60mmの2種類のハイトに加え、第18ステージの山岳TTでは32mmハイトがデビューを果たした。タイヤはスペシャライズドTURBOシリーズで、スタンダードモデルを中心に、より転がり性能に優れるコットンケーシングモデルと使い分けた。ハンドル、ステム、サドルはFSAで、サドルはプロロゴ。ボトル&ケージはタックスとしている。
TTバイクはロングセラーモデルの「S-WORKS SHIV TT」。ロードと異なり、前後ともホイールはHEDから供給を受けるものの、ライトウェイトのディスクをロゴ消しで使用するライダーも。ディンプルが特徴的なエアロボトルはエリートのKIT CHRONOで、サプライヤーであるタックスのロゴを貼って使用する。
カチューシャ
【キャニオン ULTIMATE CF SLX、AEROAD CF SLX、SPEEDMAX CF SLX(TTバイク)】
カチューシャのバイクサプライヤーを務めるのは、ジャーマンブランドのキャニオン。ライダーたちは2モデルを使い分け、ホアキン・ロドリゲス(スペイン)やアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)はエアロロード「AEROAD CF SLX」を、第17ステージを制したイルヌール・ザッカリン(ロシア)は軽量オールラウンドモデル「ULTIMATE CF SLX」を選択。コースプロフィールに応じてバイクを変更することはしていないようだ。
コンポーネントは無線変速採用のスラムRED eTap。しかし、スラムが対応する製品を製造していないことから、ダイレクトマウント式を採用するAEROADのブレーキは、シマノDURA-ACEとされている。クランク式パワーメーターはスラム系列のクォークだ。ホイールはジップの「Firecrest」シリーズで、45mmハイトの303をメインに、32mmハイトの202と58mmハイトの404を合わせた3モデルが混在する。タイヤはコンチネンタルのプロ供給専用モデルである「COMPETITION PRO LTD」としている。
ハンドル周りのセッティングはライダーによって大きく異なる。同じAEROADを使用するライダーでも、クリストフは専用設計のステム一体型カーボンハンドルを選択するのに対し、ロドリゲスはオーソドックスなアルミ製ハンドル&ステムという組み合わせだ。サドルはセライタリア、ペダルはルック、ボトル&ケージはエリートを使用する。
TTバイクは、新型モデルの「SPEEDMAX CF SLX」。ボリュームを増した各チューブやハンドル周りの新設計により、エアロ性能とフィッティング性を高めた1台だ。ハンドルバーのグリップにはエルゴン製の専用設計品を採用する。
BMCレーシング【teammachine SLR01、timemachine TM01(TTバイク)】
BMCレーシングは、全ライダーがステージを問わずオールラウンドモデル「teammachine SLR01」を使用。今回のツール・ド・フランスよりフレームカラーがブラックからホワイトへと変更になったが、フレームの中身については変更なない。パーツアッセンブルについてもほぼ昨年通りだ。
コンポーネントはシマノからサポートを受け、ペダルまでDURA-ACEで統一される。もちろん変速はDi2。クランク式パワーメーターはプロチームの定番であるSRMのDURA-ACEモデルだ。ホイールもDURA-ACEグレードのWH-9000シリーズで、50mm、35mm、24mmの3種類のハイトをコースに応じて使い分けた。タイヤには、市販品よりもハイグリップなコンパウンドを採用するコンチネンタルのプロ供給専用モデル「COMPETITION PRO LTD」を組み合わせる。
ハンドル、ステム、バーテープは3Tで、セカンドグレードの「TEAM」をメインに使用。シートポストはフレーム専用品で、ゼッケンプレートの台座が直に接着されている。サドルはフィジークで、各モデルを選手の好みに応じて使い分ける。ボトル&ケージはエリートだ。
TTバイクは「timemachine TM01」。フォークと一体化されたVブレーキやコンパクトなリア三角など、昨今トレンドとなっている仕様をいち早く取り入れたベンチマーク的な1台だ。オーストラリアTT王者であるローハン・デニスをはじめ、複数のライダーのバイクには、機材供給を受けるシマノ/PROではなく、ロゴを消したHEDやライトウェイトのホイールが取り付けられていた。また、デニスのタイヤ選択は他とは異なり、定番の「COMPETITION PRO LTD」の替わりに、TT用モデル「PODIUM TT」をチョイスした。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto