2016/07/16(土) - 07:39
前夜のニースでのテロ事件を受け、一時はステージキャンセルの可能性も浮上したツール第13ステージ。個人タイムトライアルで2勝目を飾ったトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)らのコメントを紹介します。
ステージ2勝目を飾ったトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
50分14秒のトップタイムで優勝したトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) photo:TDWsport/Kei Tsuji
50分14秒のトップタイムで優勝したトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) photo:TDWsport/Kei Tsuji今朝起きた時、ここから数百キロしか離れていないニースで凄惨な事件が起きたことを知って言葉を失った。でもレースは継続して開催されることになった。良い判断だったと思う。落ち着いて開幕前から目標にしていたこの個人TTに集中した。
勝つためにはある程度のリスクが必要。今日は横風区間が長かったのでバトンホイールを使用することも考えたけど、結局はディスクホイールで走った。トリッキーな横風区間で道から外れそうになった場面もあったけど、全体としてはスムーズな走りだったと思う。
第1計測のクリス・フルームのタイムを見て今日は勝てると思った。後半にかけてかなりペースを上げたので負けない自信があった。でもステージ2位以下と1分以上のタイム差がつくとは予想していなかったよ。この結果は自信につながる。
リオ五輪個人タイムトライアルの金メダル候補に挙げられていることは自覚し、目標の一つだ。でも12ステージ走ってから挑む(ツールの)タイムトライアルと、1日で勝負が決まるタイムトライアルは違う。今日のこの状態を4週間キープしたい。つまり明日から毎日全開で走ることはしない。
以前から言っているように、いつかはグランツールの総合成績を真剣に狙うつもり。でもそれがいつかは分からない。仮に自分が総合成績を狙って毎日山岳ステージで力を使っていれば、今日のような1分差で勝つのは不可能だ。
ステージ2位の走りでリードを広げたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
ステージ2位:1分03秒差 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
全力で走って結果を出したけど、ニースでの出来事が残念でならない。嬉しさと悲しさが同居し、キャリアの中で最も奇妙な気持ちの中にいる。今はステージを振り返る気持ちにならない。フランスを襲った悲劇がレースに影を落としていた。
普段からニース近くの道でトレーニングを行っている。遺体が横たわる海岸通りの凄惨な映像に動揺した。事件によって犠牲になった方々や影響を受けた方々のことを思う。
総合2位に浮上したバウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
ステージ6位:1分54秒差 バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) photo:TDWsport/Kei Tsuji
ステージ20位:3分08秒差 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:TDWsport/Kei Tsuji
ステージ21位:3分08秒差 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) photo:TDWsport/Kei Tsuji
ステージ30位:3分52秒差 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:TDWsport/Kei Tsuji間違いなく人生で最高のタイムトライアルだった。とても調子が良いので良い結果を出せると思っていたし、タイムトライアルの準備も万端だった。6月に長い時間をかけてタイムトライアルのトレーニングを行ったんだ。
他の総合系の選手と比べて体重がある自分にとって風が吹くコースは有利だった。それにオランダ出身なので風のレースには慣れている。風のコンディションが自分に味方したと思う。総合2位というポジションには満足しているけど、フルームとのタイム差は大きい。それにまだまだパリは遠い。
フルームから約2分失ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
身体が軽い自分のような選手にとって風は大敵。後半になってようやく身体が動き始めた。前半はとにかく苦しみ続けたんだ。
今日のステージを終えて総合でフルームから3分遅れ。確かに小さい差ではないけど、脚の調子は良いので、この後の山岳ステージで挽回したい。これまで通り山岳ステージでアタックする。できることを全て試したい。
後半にかけて失速したリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)
風が強くて無線の音が全く聞こえず、感覚に頼って走り続けた。とてもハードなタイムトライアルだった。昨日のモーターバイクとの接触事故の影響もあった。正直言って結果は残念だけど、まだツールの総合争いは終わっていない。
ステージ30位で総合7位につけるロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
昨夜の事件にショックを受けてしまい、レースに気持ちを戻すのは大変だった。夜もよく眠れなかったけど、全力で走った。自分の力を全てタイムトライアルにぶつけたんだ。
アップダウンのある難しいコースに強い風が吹き付けた。最初の登りでタイムを伸ばせなかったことが後半に響いてしまった。15km以上のタイムトライアルを走るのは2014年以来で、決して楽しいものではなかったけど、タイムロスを最小限に抑えることができたと思う。自分の持ち味は山岳ステージでの走りだ。ツールの総合争いが決まる3週目に僕の名前を聞くことになると思う。
表彰式は行われず、ニースで発生したテロ事件の被害者に黙祷が捧げられた photo:TDWsport/Kei Tsuji
ステージ23位に終わったファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)
ここまで数日間にわたってバウク(モレマ)のためにチームとして風よけとして働いた。今日も同様に100%の力で風に挑んだものの結果は伴わなかった。今日はスタートしてすぐに登りが始まる特殊なコース。7kmの登りが設定されたタイムトライアルは珍しい。そして頂上を越えてから強風が吹き付けた。力がなければ勝てないコースだった。
text:Kei Tsuji
ステージ2勝目を飾ったトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
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勝つためにはある程度のリスクが必要。今日は横風区間が長かったのでバトンホイールを使用することも考えたけど、結局はディスクホイールで走った。トリッキーな横風区間で道から外れそうになった場面もあったけど、全体としてはスムーズな走りだったと思う。
第1計測のクリス・フルームのタイムを見て今日は勝てると思った。後半にかけてかなりペースを上げたので負けない自信があった。でもステージ2位以下と1分以上のタイム差がつくとは予想していなかったよ。この結果は自信につながる。
リオ五輪個人タイムトライアルの金メダル候補に挙げられていることは自覚し、目標の一つだ。でも12ステージ走ってから挑む(ツールの)タイムトライアルと、1日で勝負が決まるタイムトライアルは違う。今日のこの状態を4週間キープしたい。つまり明日から毎日全開で走ることはしない。
以前から言っているように、いつかはグランツールの総合成績を真剣に狙うつもり。でもそれがいつかは分からない。仮に自分が総合成績を狙って毎日山岳ステージで力を使っていれば、今日のような1分差で勝つのは不可能だ。
ステージ2位の走りでリードを広げたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
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全力で走って結果を出したけど、ニースでの出来事が残念でならない。嬉しさと悲しさが同居し、キャリアの中で最も奇妙な気持ちの中にいる。今はステージを振り返る気持ちにならない。フランスを襲った悲劇がレースに影を落としていた。
普段からニース近くの道でトレーニングを行っている。遺体が横たわる海岸通りの凄惨な映像に動揺した。事件によって犠牲になった方々や影響を受けた方々のことを思う。
総合2位に浮上したバウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
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フルームから約2分失ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
身体が軽い自分のような選手にとって風は大敵。後半になってようやく身体が動き始めた。前半はとにかく苦しみ続けたんだ。
今日のステージを終えて総合でフルームから3分遅れ。確かに小さい差ではないけど、脚の調子は良いので、この後の山岳ステージで挽回したい。これまで通り山岳ステージでアタックする。できることを全て試したい。
後半にかけて失速したリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)
風が強くて無線の音が全く聞こえず、感覚に頼って走り続けた。とてもハードなタイムトライアルだった。昨日のモーターバイクとの接触事故の影響もあった。正直言って結果は残念だけど、まだツールの総合争いは終わっていない。
ステージ30位で総合7位につけるロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
昨夜の事件にショックを受けてしまい、レースに気持ちを戻すのは大変だった。夜もよく眠れなかったけど、全力で走った。自分の力を全てタイムトライアルにぶつけたんだ。
アップダウンのある難しいコースに強い風が吹き付けた。最初の登りでタイムを伸ばせなかったことが後半に響いてしまった。15km以上のタイムトライアルを走るのは2014年以来で、決して楽しいものではなかったけど、タイムロスを最小限に抑えることができたと思う。自分の持ち味は山岳ステージでの走りだ。ツールの総合争いが決まる3週目に僕の名前を聞くことになると思う。
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ステージ23位に終わったファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)
ここまで数日間にわたってバウク(モレマ)のためにチームとして風よけとして働いた。今日も同様に100%の力で風に挑んだものの結果は伴わなかった。今日はスタートしてすぐに登りが始まる特殊なコース。7kmの登りが設定されたタイムトライアルは珍しい。そして頂上を越えてから強風が吹き付けた。力がなければ勝てないコースだった。
text:Kei Tsuji
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