2016/07/13(水) - 17:51
3人を揃えたオリカ勢は数的優位を発揮。この2年間不運に見舞われ続けたマシューズに念願の勝利をもたらした。一方でサガンは最強ぶりを発揮しながらも再び「2位の男」の異名を取り戻すのか?
休息日明けの第10ステージは誰もが念入りなウォーミングアップから準備をはじめざるを得なかった。スタートすぐに1級アンヴァリラへの長い上りが始まるからだ。
各チームバスの前にずらりとローラーが並べられ、バイクがセットされる。選手たちは早々にサインを済ませると、黙々とローラー台上でスピニングを始める。ローラー台の上が好みでない選手は、実際にコースの登りに出て身体を温める。これほど選手全員が例外なくアップに専念したツールのステージは、過去18年の(私の)記憶には無い。
チームスカイのバスではクリス・フルームがチームメイトたちとともにスピニング。フルームはマイヨジョーヌを着てヘルメットを被り、サングラスもかけた完全な状態でアップするという不思議な光景。汗をかかないというのだろうか? ケリソンコーチと細かな情報をすり合わせながら。
ティンコフのピットエリアには変化が。チームバスの電気系統が壊れて修理不能になり、観光バスで代用していたが、この日からタイヤのヴィットリアのロゴが入った大型バスが登場した。チームはヴィットリア社のタイヤを使用していないが、このバスが貸与されたのだ。イタリア国内のレースでよく使用されるこのバスは元サーヴェロ・テストチームが使用していたもので、内部はレースの準備に必要な装備が完備しており、不便(と見栄の悪さ)はようやく解消されそうだ。
人気者ラファル・マイカのもとにポーランドのファンが集まり激励する。ロマン・クロイツィゲルはコンタドールが居なくなった今、ステージ優勝よりも総合上位を優先して走るという。「マイカのマイヨアポア、サガンのマイヨヴェール、そして自身の総合トップ10の3つの目標があるためチームの士気は下がっておらず、依然として目標が多い」とクロイツィゲルは話す。支えるエースがいなくなって目標を切り替えた休息日は、「レースブックを改めて見て自分がどのステージで何をすべきか再確認した」と言う。
新城幸也&ランプレ・メリダの選手たちはバスの脇に縦一列にローラー台が並べられ、9人全員が揃ってのチームロード状態でスピニング。先頭を引くのはユキヤ。続いてルイ・コスタ。そしてそれを面白がってスマホに収めるモデュイ監督。
その一挙一動に注目が集まるのがティボー・ピノ(FDJ)だ。ピノが山岳賞のリードを広げるべくアタックに出ることは選手全員が認識しており、観客たちもそれを期待している。リラックスした二重まぶたの優しい表情のピノに緊張感は無し。しかしアップは念入りに。
この日複数人が活躍することになるオリカ・バイクエクスチェンジは、ウォームアップする選手たちがバス周辺には見当たらず、どこで準備をしたのかが謎として残った。
どのチームも休息日明けのステージらしくない朝の過ごし方を経て、アンドラを後にする。すぐに始まる1級山岳エンヴァリラ峠は距離22.6km/平均勾配5.5%。文字通りこの日最大の山場は、レース開始後すぐに始まる1時間近いヒルクライムだ。
アンドラに住むホアキン・ロドリゲスのファンによる「Welcome PritoLand(プリトの国へようこそ)」の応援バナーに、沿道で大挙して応援するノルウェーからの子どもたちの大舞台など、異国にいるツールとはいえ市街の応援は華やかだった。
1200mのアンドラに居るだけでも空気の薄さを感じていたが、上り詰めたエンヴァリラ峠頂上はさらに酸素が希薄。緩く、長い登りでバラバラに分解した集団は、小さなグループに分かれながら、頂上を目指した。
来た道が見渡せるつづら折れの峠でトップを走るルイ・コスタが後方を確認しながら独走する。そのままアンリ・デグランジュ記念賞を獲得。居住地アンドラで2位に終わった前ステージ。休息日に妻子揃っての応援を受け、必勝体制だ。
飛び出す予想が外れたピノはマイカの厳しいチェックを受け、逃げ切り先行を許されなかった。ピノはやや風邪気味だったとも言われる。
後方では険しい顔をしてユキヤが遅れていた。前日話してくれたとおり、誰もが逃げを狙うこのステージで自身も逃げに乗りたい意志だったが、その思いと裏腹に身体が動かなかったようだ。体調の向上を感じつつも、「体重は絞れて軽いが、登りはなぜか重い」と話していた疑問に再直面しそうだ。
下りに入るとすぐに雲海に包まれる。やがて感じる霧雨。道幅は広く路面もいいが、視界の効かないダウンヒルは危険。バラけた集団はそれそぞれのポジションの再構築に入る。下り区間は情報がまったく途絶えた。ラジオツールが早くに「アラシロ、ディスタンセ(遅れた)」をわざわざ伝えていたものだから、随行プレス陣の間に「新城が遅れてリタイヤした」という誤報が飛び交った。ユキヤはカヴェンデュッシュより前のグループで峠をクリアしている。他の選手より無線上に登場することが多い扱いのユキヤならではの間違いだ。
形成された15名の逃げグループを強力に牽引したのはサガン。その努力と引き換えに中間スプリントは誰も競わず得た。後方では集団復帰を企てるカヴェンディッシュがマヴィックカーの風よけサポートを受ける微妙なシーンも。クリストフのカチューシャやIAMサイクリングも奮闘したが、スプリンターたちの願いは強力な逃げ集団の協調体制の前に断たれた。
「いいグループだって? それはわからないね。皆を協調するように仕向けたけど、協力しない選手がたくさん居たんだ。ラスト20kmで分断させることができたのはハッピーだったよ。それからは皆が協力しあえたんだ」(レース後のサガンのコメント)。しかしそう言うサガンだが、後半も事実は少し異なっていた。
サガンの横風区間でのアタックで、逃げグループは7人まで人数を絞り込んだ。グレッグ・ファンアフェルマート(BMC)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ディメンションデータ)、サミュエル・ドゥムラン(AG2Rラモンディアール)、そしてステージ勝利を切望するオリカ・バイクエクスチェンジはマイケル・マシューズ、ルーク・ダーブリッジ、ダリル・インピーの3人を揃えることに成功した。
逃げているときももっとも強さを発揮、スプリントでも勝るサガンの存在に、すべての選手がサガンに対してレースをした。数を揃えたオリカも他にプレッシャーを掛ける。ダーブリッジとインピーによる捨て身の攻撃は、すべてマシューズのためだった。最後の3級山岳サンフェロル峠でサガンがアタック。ダーブリッジが遅れるも、何度もアタックで返すインピー。サガンはその都度対応した。
インピーは言う。「サガンは何度もアタックした。そして僕も何度もアタックした。そのアタックはすべて彼を弱らせるためだった。後ろにいるマシューズのために、ただピーターにプレッシャーをかけ続けたんだ」。
他の選手はオリカのふたりとサガンのバトルを利用して、チャンスを伺った。サガンはすべての攻撃に対処し、正直すぎるほどのレースをした結果スプリント力を奪われた。「ラスト400mはさらにピーターを弱らせるためにリードアウトした。それが彼をさらに弱らせることができ、マシューズが違いを見せることができた」(インピー)。
2人のチームメイトの犠牲によりフレッシュな状態で臨んだマシューズは、切れのあるスプリントでサガンを下し、ツール初勝利を挙げる。
「チームメイトは僕のためにすごい仕事をしてくれた。ダーブリッジは向かい風のなか引いいてくれ、ライバルたちを減らして最後に完璧なレースができるようにしてくれた。インピーは引き継いで、数えきれないほどアタックしてくれた。そして最後はリードアウト。これ以上の仕事を彼らに頼むことなんてできないよ!」
マシューズのツールでの勝利は3年越しのものだ。2年前の2014ツールはヨークシャーに渡る直前に落車して、全身に擦過傷を負った。それでもグランデパールのチームプレゼンテーションには身体じゅう包帯姿で登壇。しかしメンバー交代によりスタートは諦めた。
2015年ツールは序盤の落車により肋骨を骨折。それでも諦めずに走り続けたが、勝利を狙えるほどには回復せず、チャンスは回ってこなかった。今年のツールでもすでに2度落車している。
マシューズは言う「ツール・ド・フランスでは2年の不運続きだった。昨年は肋骨を折り、2年前は体中の皮膚が無くなる怪我。さらに今年も落車して、もうこの数日は ”ツールは自分のレースじゃないのかもしれない” と思うようになっていた。他のレースを目標にしたほうが良いんじゃないかってね。でも夢が叶った」。
昨日の休息日には妻が訪問。悩み事を聞いてくれたことで吹っ切れたという。「何があっても諦めずに頑張り続けること。そうすればいいことはある、と話したんだ。それが今日になるなんて!」。
マシューズはこの勝利が最後とは考えていない。「この勝利は今シーズン最大の目標だった。それを叶えたけど、まだチャンスが有るし、チームは本当に強い」。
「2位の男」の異名をふたたびモノにしたサガン。2014年と2015年ツールでは合計9度の2位を獲得。今ツールでは第1ステージの勝利がその2位続きにいったんピリオドを打ったものの、またしても、の2位獲得。今日はマイヨヴェール奪還という小さな勝利を成し遂げたものの、一緒に逃げることになった誰しもが自分にレースを挑んできた状態で、また2位の不名誉に陥った。A.S.Oはしかし敢闘賞で祝福。選手も観客も、サガンがもっとも強かったと讃えていることがせめてもの救いだ。
サガンは意地悪なメディアの質問に「自転車レースに勝つことより、人生にはいろんなことがあるよ」と、すでに悟りの境地を開いたかのような受け応えだ。そして「僕はマイケルがツールに勝ったことにハッピーだよ」と、もはや皮肉にも聞こえない淡調さで付け加えた。マシューズと同じく、サガンにもまだこれからたくさんの(2位の)チャンスが待っている。
photo&text:Makoto.AYANO in Revel France
photo:Kei.TSUJI, TimDeWaele
休息日明けの第10ステージは誰もが念入りなウォーミングアップから準備をはじめざるを得なかった。スタートすぐに1級アンヴァリラへの長い上りが始まるからだ。
各チームバスの前にずらりとローラーが並べられ、バイクがセットされる。選手たちは早々にサインを済ませると、黙々とローラー台上でスピニングを始める。ローラー台の上が好みでない選手は、実際にコースの登りに出て身体を温める。これほど選手全員が例外なくアップに専念したツールのステージは、過去18年の(私の)記憶には無い。
チームスカイのバスではクリス・フルームがチームメイトたちとともにスピニング。フルームはマイヨジョーヌを着てヘルメットを被り、サングラスもかけた完全な状態でアップするという不思議な光景。汗をかかないというのだろうか? ケリソンコーチと細かな情報をすり合わせながら。
ティンコフのピットエリアには変化が。チームバスの電気系統が壊れて修理不能になり、観光バスで代用していたが、この日からタイヤのヴィットリアのロゴが入った大型バスが登場した。チームはヴィットリア社のタイヤを使用していないが、このバスが貸与されたのだ。イタリア国内のレースでよく使用されるこのバスは元サーヴェロ・テストチームが使用していたもので、内部はレースの準備に必要な装備が完備しており、不便(と見栄の悪さ)はようやく解消されそうだ。
人気者ラファル・マイカのもとにポーランドのファンが集まり激励する。ロマン・クロイツィゲルはコンタドールが居なくなった今、ステージ優勝よりも総合上位を優先して走るという。「マイカのマイヨアポア、サガンのマイヨヴェール、そして自身の総合トップ10の3つの目標があるためチームの士気は下がっておらず、依然として目標が多い」とクロイツィゲルは話す。支えるエースがいなくなって目標を切り替えた休息日は、「レースブックを改めて見て自分がどのステージで何をすべきか再確認した」と言う。
新城幸也&ランプレ・メリダの選手たちはバスの脇に縦一列にローラー台が並べられ、9人全員が揃ってのチームロード状態でスピニング。先頭を引くのはユキヤ。続いてルイ・コスタ。そしてそれを面白がってスマホに収めるモデュイ監督。
その一挙一動に注目が集まるのがティボー・ピノ(FDJ)だ。ピノが山岳賞のリードを広げるべくアタックに出ることは選手全員が認識しており、観客たちもそれを期待している。リラックスした二重まぶたの優しい表情のピノに緊張感は無し。しかしアップは念入りに。
この日複数人が活躍することになるオリカ・バイクエクスチェンジは、ウォームアップする選手たちがバス周辺には見当たらず、どこで準備をしたのかが謎として残った。
どのチームも休息日明けのステージらしくない朝の過ごし方を経て、アンドラを後にする。すぐに始まる1級山岳エンヴァリラ峠は距離22.6km/平均勾配5.5%。文字通りこの日最大の山場は、レース開始後すぐに始まる1時間近いヒルクライムだ。
アンドラに住むホアキン・ロドリゲスのファンによる「Welcome PritoLand(プリトの国へようこそ)」の応援バナーに、沿道で大挙して応援するノルウェーからの子どもたちの大舞台など、異国にいるツールとはいえ市街の応援は華やかだった。
1200mのアンドラに居るだけでも空気の薄さを感じていたが、上り詰めたエンヴァリラ峠頂上はさらに酸素が希薄。緩く、長い登りでバラバラに分解した集団は、小さなグループに分かれながら、頂上を目指した。
来た道が見渡せるつづら折れの峠でトップを走るルイ・コスタが後方を確認しながら独走する。そのままアンリ・デグランジュ記念賞を獲得。居住地アンドラで2位に終わった前ステージ。休息日に妻子揃っての応援を受け、必勝体制だ。
飛び出す予想が外れたピノはマイカの厳しいチェックを受け、逃げ切り先行を許されなかった。ピノはやや風邪気味だったとも言われる。
後方では険しい顔をしてユキヤが遅れていた。前日話してくれたとおり、誰もが逃げを狙うこのステージで自身も逃げに乗りたい意志だったが、その思いと裏腹に身体が動かなかったようだ。体調の向上を感じつつも、「体重は絞れて軽いが、登りはなぜか重い」と話していた疑問に再直面しそうだ。
下りに入るとすぐに雲海に包まれる。やがて感じる霧雨。道幅は広く路面もいいが、視界の効かないダウンヒルは危険。バラけた集団はそれそぞれのポジションの再構築に入る。下り区間は情報がまったく途絶えた。ラジオツールが早くに「アラシロ、ディスタンセ(遅れた)」をわざわざ伝えていたものだから、随行プレス陣の間に「新城が遅れてリタイヤした」という誤報が飛び交った。ユキヤはカヴェンデュッシュより前のグループで峠をクリアしている。他の選手より無線上に登場することが多い扱いのユキヤならではの間違いだ。
形成された15名の逃げグループを強力に牽引したのはサガン。その努力と引き換えに中間スプリントは誰も競わず得た。後方では集団復帰を企てるカヴェンディッシュがマヴィックカーの風よけサポートを受ける微妙なシーンも。クリストフのカチューシャやIAMサイクリングも奮闘したが、スプリンターたちの願いは強力な逃げ集団の協調体制の前に断たれた。
「いいグループだって? それはわからないね。皆を協調するように仕向けたけど、協力しない選手がたくさん居たんだ。ラスト20kmで分断させることができたのはハッピーだったよ。それからは皆が協力しあえたんだ」(レース後のサガンのコメント)。しかしそう言うサガンだが、後半も事実は少し異なっていた。
サガンの横風区間でのアタックで、逃げグループは7人まで人数を絞り込んだ。グレッグ・ファンアフェルマート(BMC)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ディメンションデータ)、サミュエル・ドゥムラン(AG2Rラモンディアール)、そしてステージ勝利を切望するオリカ・バイクエクスチェンジはマイケル・マシューズ、ルーク・ダーブリッジ、ダリル・インピーの3人を揃えることに成功した。
逃げているときももっとも強さを発揮、スプリントでも勝るサガンの存在に、すべての選手がサガンに対してレースをした。数を揃えたオリカも他にプレッシャーを掛ける。ダーブリッジとインピーによる捨て身の攻撃は、すべてマシューズのためだった。最後の3級山岳サンフェロル峠でサガンがアタック。ダーブリッジが遅れるも、何度もアタックで返すインピー。サガンはその都度対応した。
インピーは言う。「サガンは何度もアタックした。そして僕も何度もアタックした。そのアタックはすべて彼を弱らせるためだった。後ろにいるマシューズのために、ただピーターにプレッシャーをかけ続けたんだ」。
他の選手はオリカのふたりとサガンのバトルを利用して、チャンスを伺った。サガンはすべての攻撃に対処し、正直すぎるほどのレースをした結果スプリント力を奪われた。「ラスト400mはさらにピーターを弱らせるためにリードアウトした。それが彼をさらに弱らせることができ、マシューズが違いを見せることができた」(インピー)。
2人のチームメイトの犠牲によりフレッシュな状態で臨んだマシューズは、切れのあるスプリントでサガンを下し、ツール初勝利を挙げる。
「チームメイトは僕のためにすごい仕事をしてくれた。ダーブリッジは向かい風のなか引いいてくれ、ライバルたちを減らして最後に完璧なレースができるようにしてくれた。インピーは引き継いで、数えきれないほどアタックしてくれた。そして最後はリードアウト。これ以上の仕事を彼らに頼むことなんてできないよ!」
マシューズのツールでの勝利は3年越しのものだ。2年前の2014ツールはヨークシャーに渡る直前に落車して、全身に擦過傷を負った。それでもグランデパールのチームプレゼンテーションには身体じゅう包帯姿で登壇。しかしメンバー交代によりスタートは諦めた。
2015年ツールは序盤の落車により肋骨を骨折。それでも諦めずに走り続けたが、勝利を狙えるほどには回復せず、チャンスは回ってこなかった。今年のツールでもすでに2度落車している。
マシューズは言う「ツール・ド・フランスでは2年の不運続きだった。昨年は肋骨を折り、2年前は体中の皮膚が無くなる怪我。さらに今年も落車して、もうこの数日は ”ツールは自分のレースじゃないのかもしれない” と思うようになっていた。他のレースを目標にしたほうが良いんじゃないかってね。でも夢が叶った」。
昨日の休息日には妻が訪問。悩み事を聞いてくれたことで吹っ切れたという。「何があっても諦めずに頑張り続けること。そうすればいいことはある、と話したんだ。それが今日になるなんて!」。
マシューズはこの勝利が最後とは考えていない。「この勝利は今シーズン最大の目標だった。それを叶えたけど、まだチャンスが有るし、チームは本当に強い」。
「2位の男」の異名をふたたびモノにしたサガン。2014年と2015年ツールでは合計9度の2位を獲得。今ツールでは第1ステージの勝利がその2位続きにいったんピリオドを打ったものの、またしても、の2位獲得。今日はマイヨヴェール奪還という小さな勝利を成し遂げたものの、一緒に逃げることになった誰しもが自分にレースを挑んできた状態で、また2位の不名誉に陥った。A.S.Oはしかし敢闘賞で祝福。選手も観客も、サガンがもっとも強かったと讃えていることがせめてもの救いだ。
サガンは意地悪なメディアの質問に「自転車レースに勝つことより、人生にはいろんなことがあるよ」と、すでに悟りの境地を開いたかのような受け応えだ。そして「僕はマイケルがツールに勝ったことにハッピーだよ」と、もはや皮肉にも聞こえない淡調さで付け加えた。マシューズと同じく、サガンにもまだこれからたくさんの(2位の)チャンスが待っている。
photo&text:Makoto.AYANO in Revel France
photo:Kei.TSUJI, TimDeWaele
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