2016/05/29(日) - 11:40
「今日は完璧に作戦を実行することができた」と逆転劇を振り返るのは、自身2度めのマリアローザを獲得したニーバリ。激しい落車でエースを失った翌日にステージ優勝を果たしたターラマエは「未だにこの勝利が信じられない」と喜びを語った。
逆転でマリアローザを手中に収めたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
マリアローザを手にしたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji
スカルポーニがヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)のためにペースを上げる photo:Kei Tsuji全てのチームメイトに、このマリアローザを捧げたい。チームは常に総合優勝という夢が実現できることを信じていたし、明日のトリノでその夢を現実のものにすることができる。今日は完璧に作戦を実行することができた。僕達のチームは最強だったし、何よりモチベーションが高かった。
ロンバルダ峠の登りでアタックした時、ライバルたちは全開で僕のことを追いかけて来たが、フィニッシュへの距離が少なくなるごとに僕のアドバンテージが大きくなっていった。ワンダフルだったね。フィニッシュラインを越えてからは、カウントダウンをしていた誰かの声に耳を傾けていた。そして、カウントダウンが終わった時、自分がマリアローザであることを悟ったんだ。
マリアローザを失ったエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
ニーバリから1分以上遅れたエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsujiとにかく今日はハードだった。そして今日は全てを出し切ったから、言い訳はしない。ニーバリから遅れをとった時に、巻き返すことができるだけの脚が無かったというだけのこと。
チームメイトのことをとても誇りに思うし、彼らのアシストのおかげで、今年のジロ・デ・イタリアは信じられないほど素晴らしいものになった。明日の最終ステージを走り切れば、僕達が成し遂げたことをお互いに称え合うことができる。このジロ・デ・イタリアでは、僕とオリカ・グリーンエッジがグランツールの総合優勝候補であることを示せたと思う。そして、また別のチャンスが来るはずだ。
3大グランツール全てで表彰台獲得を達成したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
拳を突き上げて表彰台獲得を喜ぶアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:CorVos今日の結果は本当に嬉しく思う。フィニッシュしてから、大きくガッツポーズして、そこに立ち尽くし、総合表彰台が確定するのを待った。多分、その一連の流れを見ていた人には、僕が優勝した様に見えたかもしれない。全てに於いて簡単ではなかったけど3位表彰台を獲得し、2位まであと僅かな所まで迫ることができた。3つのグランツール全てで表彰台を獲得できたことは、僕のキャリアにおいても驚異的な記録だ。
終盤は標高の高さに苦しめられたが、最後の登りではよく脚が回ったし、どうやら順応することができたようだ。ヴァール峠でのアタック合戦に、ボネット峠での総動員でアシストしてくれたし、最後のサンタンナ・ディ・ヴィナディオの登りでのヴィスコンティのペーシング。このチームは素晴らしいという他ない。
終盤は、沿道に集まった多くの熱狂的なファンからの歓声で無線が聞こえず、正確なタイム差が把握できていなかった。ただ、後続を充分に突き放すことができたと分かっていたし、力強く登ることができた。ニーバリに対してはタイム差を縮めることもできた。とにかく満足としか言いようがない。明日のトリノでは息子と共に表彰台に登る予定だが、きっと何事にも変えがた満足を得ることになるだろう。
前日に肋骨を負傷しながらも、第20ステージを走り切ったステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) photo:CorVos
総合上位勢をリードするボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) photo:Kei Tsuji怪我を押して出走したステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
持てる限りの力を出し尽くすことはできた。落車のあと、昨晩はかろうじて眠ることができたものの、何回も痛みに苦しめられた。レース中も痛みを気にしないように心がけたけれども…。最後は何もかも忘れて、ただただフィニッシュへ向けてペダルを踏み込んだ。
マリアビアンカ獲得を喜ぶボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)
この2日間はだんだんと調子が上がってきて、総合優勝候補たちに混ざって走ることができ、とても良い気分だった。今大会ではうまくリカバリーすることができ、それが成績に繋がった。
以前言ったように、グランツールの総合上位候補として走るのは初めて。容易なコースでは無かったが、総合6位でフィニッシュして、3日間マリアローザを着用し、マリアビアンカを獲得できた。今大会の成績を誇りに思うよ。
ステージ優勝のレイン・ターラマエ(エストニア、カチューシャ)
ステージ優勝を飾ったレイン・ターラマエ(エストニア、カチューシャ) photo:Kei Tsuji
独走でフィニッシュに向かうレイン・ターラマエ(エストニア、カチューシャ) photo:Kei Tsuji昨日はとても残念な1日となってしまった。チーム全体でザッカリンの総合成績を狙っていたし、ザッカリン自身も非常に高いモチベーションを持って今大会に臨んでいた。だけど、全ては一瞬にして終わってしまった。しかし、昨日の出来事が、今日の僕に大きなモチベーションを与えてくれた。それに自分の可能性を示すことのできるチャンスでもあった。シーズン序盤からハードなトレーニングを続けてきたし、その苦労がいつの日か結果に結び付けばと願っていた。
先頭集団の中で走ることは、容易ではない。正直なところ、序盤は苦しかったし、何回か脱落しかけたけど、何とか残ることができた。自分のペースを保つことに全力を注ぎ、それが功を奏したね。
実は、大会前にこの辺りで高地トレーニングキャンプをしていて、そこでは標高が高くなるほどに他選手に対してのアドバンテージが大きくなるということが分かった。今日のレースではタイミングを図ってアタックを仕掛けた。そこからは自分のリズムを刻み続け、ギャップを稼ぐことに成功。最後の2kmは特にハードで、脚も攣っていたけど、最後まで逃げ続け、勝つことができた。この勝利は自身にとてもチームにとっても大きな意味を持つ。すごく嬉しいけど、未だにこの勝利が現実なのかどうか信じられない。なんて日だ!
ステージ2位ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング)
総合ジャンプアップをかけて走るダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング) photo:Kei Tsujiもうスッカラカンだ。今日も今日とて、信じられないほど厳しいステージだった。僕が持てる全てを出しきったし、何より勝てると思っていた。ただ、終盤になってタラマエのこと過小評価してしまったのだと思う。彼は先頭集団の中で最も頭が切れていた。
今日は1日を通して調子が良いとは言えなかった。ただドンブロウスキーがアタックした時に、彼は僕に協力を仰いだ。ステージ優勝の可能性が見えてきたものの、もっと早いタイミングでタラマエを引き戻すことができていれば…。タラマエを捉えようとペースを上げたものの、そこからの数キロで脚を使い果たしてしまった。そして、今日のステージは終わってしまった。大会終盤にかけて自身の可能性を示すことができたと思うが、ステージ優勝できなかったのは残念だね。
ミケル・ニエベ(スペイン)の山岳賞獲得についてコメントするダリオ・チオーニ監督
マリアアッズーラを手にしたミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ) photo:Kei Tsujiこのジロが始まる前から山岳賞ジャージを狙っていたわけではないが、ミケルが第13ステージを制して以降、我々が目指すべきものが明確になった。ミケルが良いコンディションで最後の2日間を走ることができれば、山岳賞獲得の確率がグッと高くなると考えていた。第19ステージは、ミケルにとって大きな自信となったはず。だから今日は山岳賞獲得とステージ優勝の2つを狙った。もちろん、優先すべきは山岳賞であり、逃げ集団に乗ることが重要だった。
ミケルは、世界最高レベルのクライマーの1人だ。ジロのメンバーに彼をセレクトした際に、我々は全力でサポートすることを約束したと同時に、山岳ステージに集中して欲しい指示した。そして彼は第13ステージで優勝を飾り、第19ステージでは2位に入り、山岳賞ジャージを獲得。とても大きな快挙だ。
完走に王手を掛けた山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) キツさレベル:7
最終山岳ステージを走り終えた山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji
最初の8kmを耐えれば後はどうにかなると思っていたが、その8kmが半端無く速くて相当キツかった。それ以降はそこまで苦しむことも無く走ることが出来たので良かった。感覚的には昨日の方がよっぽどしんどかったという感じである。
明日はトリノへ向かう最終日。ここまで来れば完走は確定的と言えるが、最後までどんなトラブルが有るかは分からないのでリラックスしつつも集中して走りたい。今日で全ての山岳ポイント地点を終えたわけだがクネゴの山岳リーダージャージは昨日まで2位につけていたニエベに逆転されてしまった。
本格的な山岳が始まってからは全くと言っていいほどクネゴのアシストが出来ていなかったので申し訳なかった。自分に対してのジロのこの山岳でのアシストは期待されてなったとは思うが、いずれは期待されるような選手になりたい。
text:Yuya.Yamamoto
逆転でマリアローザを手中に収めたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
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ロンバルダ峠の登りでアタックした時、ライバルたちは全開で僕のことを追いかけて来たが、フィニッシュへの距離が少なくなるごとに僕のアドバンテージが大きくなっていった。ワンダフルだったね。フィニッシュラインを越えてからは、カウントダウンをしていた誰かの声に耳を傾けていた。そして、カウントダウンが終わった時、自分がマリアローザであることを悟ったんだ。
マリアローザを失ったエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
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チームメイトのことをとても誇りに思うし、彼らのアシストのおかげで、今年のジロ・デ・イタリアは信じられないほど素晴らしいものになった。明日の最終ステージを走り切れば、僕達が成し遂げたことをお互いに称え合うことができる。このジロ・デ・イタリアでは、僕とオリカ・グリーンエッジがグランツールの総合優勝候補であることを示せたと思う。そして、また別のチャンスが来るはずだ。
3大グランツール全てで表彰台獲得を達成したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
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終盤は標高の高さに苦しめられたが、最後の登りではよく脚が回ったし、どうやら順応することができたようだ。ヴァール峠でのアタック合戦に、ボネット峠での総動員でアシストしてくれたし、最後のサンタンナ・ディ・ヴィナディオの登りでのヴィスコンティのペーシング。このチームは素晴らしいという他ない。
終盤は、沿道に集まった多くの熱狂的なファンからの歓声で無線が聞こえず、正確なタイム差が把握できていなかった。ただ、後続を充分に突き放すことができたと分かっていたし、力強く登ることができた。ニーバリに対してはタイム差を縮めることもできた。とにかく満足としか言いようがない。明日のトリノでは息子と共に表彰台に登る予定だが、きっと何事にも変えがた満足を得ることになるだろう。
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マリアビアンカ獲得を喜ぶボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)
この2日間はだんだんと調子が上がってきて、総合優勝候補たちに混ざって走ることができ、とても良い気分だった。今大会ではうまくリカバリーすることができ、それが成績に繋がった。
以前言ったように、グランツールの総合上位候補として走るのは初めて。容易なコースでは無かったが、総合6位でフィニッシュして、3日間マリアローザを着用し、マリアビアンカを獲得できた。今大会の成績を誇りに思うよ。
ステージ優勝のレイン・ターラマエ(エストニア、カチューシャ)
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実は、大会前にこの辺りで高地トレーニングキャンプをしていて、そこでは標高が高くなるほどに他選手に対してのアドバンテージが大きくなるということが分かった。今日のレースではタイミングを図ってアタックを仕掛けた。そこからは自分のリズムを刻み続け、ギャップを稼ぐことに成功。最後の2kmは特にハードで、脚も攣っていたけど、最後まで逃げ続け、勝つことができた。この勝利は自身にとてもチームにとっても大きな意味を持つ。すごく嬉しいけど、未だにこの勝利が現実なのかどうか信じられない。なんて日だ!
ステージ2位ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング)
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ミケル・ニエベ(スペイン)の山岳賞獲得についてコメントするダリオ・チオーニ監督
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ミケルは、世界最高レベルのクライマーの1人だ。ジロのメンバーに彼をセレクトした際に、我々は全力でサポートすることを約束したと同時に、山岳ステージに集中して欲しい指示した。そして彼は第13ステージで優勝を飾り、第19ステージでは2位に入り、山岳賞ジャージを獲得。とても大きな快挙だ。
完走に王手を掛けた山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) キツさレベル:7
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最初の8kmを耐えれば後はどうにかなると思っていたが、その8kmが半端無く速くて相当キツかった。それ以降はそこまで苦しむことも無く走ることが出来たので良かった。感覚的には昨日の方がよっぽどしんどかったという感じである。
明日はトリノへ向かう最終日。ここまで来れば完走は確定的と言えるが、最後までどんなトラブルが有るかは分からないのでリラックスしつつも集中して走りたい。今日で全ての山岳ポイント地点を終えたわけだがクネゴの山岳リーダージャージは昨日まで2位につけていたニエベに逆転されてしまった。
本格的な山岳が始まってからは全くと言っていいほどクネゴのアシストが出来ていなかったので申し訳なかった。自分に対してのジロのこの山岳でのアシストは期待されてなったとは思うが、いずれは期待されるような選手になりたい。
text:Yuya.Yamamoto
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