2016/05/03(火) - 19:44
5月6日、9.8kmの個人タイムトライアルを皮切りに第99回ジロ・デ・イタリアが始動する。オランダで開幕3ステージをこなし、休息日を挟んで南イタリアに移動。そこからイタリア半島を北上し、個人TTやアペニン山脈の山頂フィニッシュが登場する前半ステージのコースを紹介します。
5月6日(金)第1ステージ ☆☆☆
アペルドールン〜アペルドールン 9.8km(個人TT) →コースマップ
5月6日(金)第1ステージ ☆☆☆ アペルドールン〜アペルドールン 9.8km(個人TT) image:Giro d'Italiaオランダ・ヘルダーラント州のアペルドールンでビッグスタート(開幕)を迎える第99回ジロ・デ・イタリア。オランダでの開幕は2002年と2010年に続く3回目だ。初日はアペルドールンの街中を走る9.8kmの個人タイムトライアル。2008年に完成し、2011年のトラック世界選手権の会場にもなったアペルドールンのヴェロドローム(周長250m)をスタートする。
緑豊かな住宅地を走るコースはほぼ真っ平ら。1km毎にコーナーがやってくるが、踏みどころがしっかりあるスピードコースだと言えるだろう。主催者は優勝タイムを11分前後、優勝スピードを54km/h前後と見積もっている。道幅のあるローラーン通りのフィニッシュで最速タイムを叩き出した選手が今大会最初のマリアローザ着用者となる。
5月7日(土)第2ステージ ☆☆
アーネム〜ナイメーヘン 190km →コースマップ
5月7日(土)第2ステージ ☆☆ アーネム〜ナイメーヘン 190km image:Giro d'Italiaオランダ中部の平野を駆ける1日。ライン川の分岐であるワール川が作り出した広大な平野を反時計回りに走るコースは起伏に乏しい。唯一の登りと言えるのが、残り34.7km地点登場する今大会最初のGPM(カテゴリー山岳)である4級山岳ベルグ・エン・ダル(1.1km/最大11%)。フィニッシュまでの距離を考えるとここでステージ優勝に絡む動きは起こらないが、先頭通過すればマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を獲得できるため、この4級山岳の頂上をフィニッシュに見立てた逃げが序盤から形成されるだろう。
最後はナイメーヘンを起点にした8.6kmの周回コースを2周。ワール川の対岸に渡ってはナイメーヘンに戻る。周回コースは全体的に道幅が広く、障害物といえば数カ所のロータリーのみ。道幅8m、350mの最終ストレートで今大会最初のスプリント勝負が繰り広げられる。
5月8日(日)第3ステージ ☆
ナイメーヘン〜アーネム 190km →コースマップ
5月8日(日)第3ステージ ☆ ナイメーヘン〜アーネム 190km image:Giro d'Italiaオランダ最後の1日は難易度(重要度)1つ星の平坦ステージ。前日の第2ステージとスタート&フィニッシュ地点が逆のパターンで、ナイメーヘンからぐるっと平野を走ってアーネムに向かう。残り53.1km地点の4級山岳ポスバンク(2.2km/最大12%)では再びマリアアッズーラ争いが勃発する。この4級山岳先頭通過者と、前日の4級山岳先頭通過者と同ポイントで並んだ場合は、より総合上位につけている選手にジャージが与えられる。
最後は14kmのアーネム周回コースを2周。ネーデルライン川をまたぐ周回コースはコーナーの連続で、残り10km地点で5%の登り、残り6km地点でトンネルをクリア。残り600mで大きなロータリーを抜けると、そこから緩やかなカーブを描く最終ストレートが始まる。初日の個人TTで上位に入り、平坦2ステージでボーナスタイムを稼いだスプリンターがマリアローザを獲得するシナリオは十分にあり得る。
5月9日(月)休息日
5月10日(火)第4ステージ ☆☆☆
カタンツァーロ〜プライア・ア・マーレ 200km →コースマップ
5月10日(火)第4ステージ ☆☆☆ カタンツァーロ〜プライア・ア・マーレ 200km image:Giro d'Italiaオランダから選手たちは空路で、そして地上部隊は約2200kmの陸路を経て南イタリアに移動。異例の休息日(移動日)を終えてイタリア半島の爪先に位置するカラブリア州でジロは再始動する。カタンツァーロから地中海に沿って西海岸を北上し、観光地プライア・ア・マーレにフィニッシュする200kmコースには標高400mクラスの3級山岳が2つ登場するが、勝負には大きく影響しないものと見られる。
それよりもスプリンターの悩みの種は残り8.7km地点でピークを迎えるカテゴリー無しの激坂だ。残り10.5kmを切ってから最大勾配18%のパンチの効いた登りがスタート。平均勾配は7.7%だが、急勾配のヘアピンが続くこのフォルティーノ通りで集団は必然的にばらけるだろう。激坂アタックを成功させ、フィニッシュまで逃げ切る選手も出てくるかもしれない。タイミングの悪いメカトラやパンク、落車がマリアローザ争いにおいて致命傷になる可能性も。
5月11日(水)第5ステージ ☆☆
プライア・ア・マーレ〜ベネヴェント 233km →コースマップ
5月11日(水)第5ステージ ☆☆ プライア・ア・マーレ〜ベネヴェント 233km image:Giro d'Italiaプライア・ア・マーレの美しい海に別れを告げてジロはイタリア半島を北上する。内陸部を走る今大会最長クラス(最長は240kmの第18ステージ)の233kmコースには3級山岳を含む標高700m級のアップダウンが組み込まれているものの、コースの難易度は2つ星。最後は大集団によるスプリントが予想される。
カンパニア州(州都はナポリ)のベネヴェントにたどり着いた一行は一度フィニッシュラインを通過し、6.5kmの市街地周回をぐるっと一周。残り1200m地点で最終コーナーを曲がり、街の目抜き通りである石畳が敷かれたガリバルディ通りを駆け上がる。残り1kmの平均勾配は3.4%。石畳の振動を押さえ込み、登りスプリントをパワーで押し切ったスプリンターが11月4日広場で両手をあげる。雨が降れば途端にスリッピーな路面となるため落車には最大の注意が必要だ。
5月12日(木)第6ステージ ☆☆☆
ポンテ〜ロッカラーゾ(アレモーニャ)157km →コースマップ
5月12日(木)第6ステージ ☆☆☆ ポンテ〜ロッカラーゾ(アレモーニャ)157km image:Giro d'Italia大会最初の山頂フィニッシュが第6ステージに登場する。前半に標高1393mの2級山岳ボッカ・デッラ・セルヴァ(18km/平均5.6%)を越え、谷あいの幹線道路を走ってモリーゼ州を通過し、アブルッツォ州を目指す。
残り19km地点で中間スプリントを過ぎるといよいよ標高差801mの2級山岳ロッカラーゾ(16.75km/平均4.8%)の登りが始まる。ジロに過去6回(1952年、1953年、1964年、1976年、1980年、1987年)登場しているこの2級山岳は勾配が変化するのが特徴で、中盤には平坦区間も登場。登り全体の平均勾配は5%に満たないが、実質的には7%強の登りだ。とは言ってもまだまだジロは1週目。マリアローザを手にしたくないオールラウンダーたちはライバルたちの動きを監視しながらタイムロスを失わない走りに徹するはずだ。
5月13日(金)第7ステージ ☆☆
スルモナ〜フォリーニョ 211km →コースマップ
5月13日(金)第7ステージ ☆☆ スルモナ〜フォリーニョ 211km image:Giro d'Italiaイタリア半島の内陸部を北上する旅は続く。第7ステージは前半に2級山岳レ・ズヴォルテ・ディ・ポポリ(9km/平均5.5%)、後半に4級山岳ヴァリコ・デッラ・ソンマ(6.7km/平均4.9%)を越えるが、スプリンターも問題なくクリアできると思われる。211kmコースを締めくくるテクニカルなレイアウトを攻略したスプリンターによる勝負に持ち込まれるだろう。
フォリーニョがジロのフィニッシュを迎えるのは今回が3回目。残り2kmを切ってから右、左、左とコーナーが連続し、ウルティモキロメトロ(残り1km)アーチを過ぎるとフィニッシュまで緩やかに右カーブ(旧市街の外周に沿った曲線)を描く。テクニカルな街中に入るまでの位置取りは熾烈を極めるだろう。同じフィニッシュレイアウトで行われた前回の2014年はナセル・ブアニ(フランス)が勝利を収めている。
5月14日(土)第8ステージ ☆☆☆
フォリーニョ〜アレッツォ 186km →コースマップ
5月14日(土)第8ステージ ☆☆☆ フォリーニョ〜アレッツォ 186km image:Giro d'Italia映画「ライフ・イズ・ビューティフル」の舞台であるアレッツォの旧市街にフィニッシュする第8ステージ。残り1kmで門を抜けてから最大勾配11%の登りが始まり、そこから平均5%ほどの石畳坂が続くフィニッシュのレイアウトは何ともジロらしいが、それ以上にジロらしさが爆発しているのが残り18.4km地点に位置する2級山岳アルペ・ディ・ポーティ(10.2km/平均6.5%/最大14%)だ。
この2級山岳は勾配もキツさもさることながら、登り始めてしばらくすると路面は舗装から未舗装に変わる。頂上手前の約6.4kmが未舗装路であり、砂利が浮いた悪路で思わぬトラブルが発生する可能性も。頂上を越えると路面は舗装に変わるが、下りはテクニカルかつ急勾配。登りで飛び出した選手がそのまま逃げ切ることは十分に考えられる。
5月15日(日)第9ステージ ☆☆☆☆
ラッダ・イン・キアンティ〜グレーヴェ・イン・キアンティ 40.5km →コースマップ
5月15日(日)第9ステージ ☆☆☆☆ ラッダ・イン・キアンティ〜グレーヴェ・イン・キアンティ 40.5km image:Giro d'ItaliaTTバイクに乗った選手の目に飛び込んでくるのは、延々と続く起伏に富んだワインディングとその先に広がる葡萄畑。キアンティクラッシコの300周年を記念し、世界的なワインの産地であるキアンティの丘陵地帯を舞台にマリアローザ争いにおける重要な個人TTが行われる。
ラッダ・イン・キアンティとグレーヴェ・イン・キアンティを繋ぐ40.5kmコースは非常にテクニカル。コースはどちらかというと下り基調だが、標高差にして合計400mほどの登りも含まれている。想定優勝タイム55分前後の戦いではTTスペシャリストが確実にタイムを伸ばし、ここまでの秒差の争いをひっくり返すような大きな差が生まれるだろう。クライマーたちにとっては我慢の場。総合争いが白熱し、マリアローザが持ち主を変えたところでレースはようやく長い1週目を終える。
5月16日(月)休息日
5月17日(火)第10ステージ ☆☆☆
カンピ・ビゼンツィオ〜セストラ 219km →コースマップ
5月17日(火)第10ステージ ☆☆☆ カンピ・ビゼンツィオ〜セストラ 219km image:Giro d'Italiaトスカーナ州での休息日を終えたジロは、フィレンツェ近郊のカンピ・ビゼンツィオで動き出す。イタリア半島の背骨を形成するアペニン山脈を横断する219kmコースはアップダウンの連続。2つの3級山岳を経てエミリア=ロマーニャ州に入り、山道を走って標高998mのセストラの街を目指す。
残り32km地点からこの日最大の難所である1級山岳ピアン・デル・ファルコ(16.3km/平均5.2%)の登りが始まり、残り21km地点でフィニッシュラインのすぐ近くを通過。セストラの街中を過ぎると勾配はググッと増し、残り16km地点の頂上に向かって10%近い勾配(最大13%)が淡々と続く。標高1352mの頂上通過後、テクニカルダウンヒルを経て、最後は3級山岳セストラ(7.4km/平均5%)を駆け上がってフィニッシュ。すでに総合でタイムを失っている選手たちによる大逃げが決まる可能性も。
text:Kei Tsuji in Apeldoorn, Netherlands
5月6日(金)第1ステージ ☆☆☆
アペルドールン〜アペルドールン 9.8km(個人TT) →コースマップ
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緑豊かな住宅地を走るコースはほぼ真っ平ら。1km毎にコーナーがやってくるが、踏みどころがしっかりあるスピードコースだと言えるだろう。主催者は優勝タイムを11分前後、優勝スピードを54km/h前後と見積もっている。道幅のあるローラーン通りのフィニッシュで最速タイムを叩き出した選手が今大会最初のマリアローザ着用者となる。
5月7日(土)第2ステージ ☆☆
アーネム〜ナイメーヘン 190km →コースマップ
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最後はナイメーヘンを起点にした8.6kmの周回コースを2周。ワール川の対岸に渡ってはナイメーヘンに戻る。周回コースは全体的に道幅が広く、障害物といえば数カ所のロータリーのみ。道幅8m、350mの最終ストレートで今大会最初のスプリント勝負が繰り広げられる。
5月8日(日)第3ステージ ☆
ナイメーヘン〜アーネム 190km →コースマップ
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最後は14kmのアーネム周回コースを2周。ネーデルライン川をまたぐ周回コースはコーナーの連続で、残り10km地点で5%の登り、残り6km地点でトンネルをクリア。残り600mで大きなロータリーを抜けると、そこから緩やかなカーブを描く最終ストレートが始まる。初日の個人TTで上位に入り、平坦2ステージでボーナスタイムを稼いだスプリンターがマリアローザを獲得するシナリオは十分にあり得る。
5月9日(月)休息日
5月10日(火)第4ステージ ☆☆☆
カタンツァーロ〜プライア・ア・マーレ 200km →コースマップ
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それよりもスプリンターの悩みの種は残り8.7km地点でピークを迎えるカテゴリー無しの激坂だ。残り10.5kmを切ってから最大勾配18%のパンチの効いた登りがスタート。平均勾配は7.7%だが、急勾配のヘアピンが続くこのフォルティーノ通りで集団は必然的にばらけるだろう。激坂アタックを成功させ、フィニッシュまで逃げ切る選手も出てくるかもしれない。タイミングの悪いメカトラやパンク、落車がマリアローザ争いにおいて致命傷になる可能性も。
5月11日(水)第5ステージ ☆☆
プライア・ア・マーレ〜ベネヴェント 233km →コースマップ
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カンパニア州(州都はナポリ)のベネヴェントにたどり着いた一行は一度フィニッシュラインを通過し、6.5kmの市街地周回をぐるっと一周。残り1200m地点で最終コーナーを曲がり、街の目抜き通りである石畳が敷かれたガリバルディ通りを駆け上がる。残り1kmの平均勾配は3.4%。石畳の振動を押さえ込み、登りスプリントをパワーで押し切ったスプリンターが11月4日広場で両手をあげる。雨が降れば途端にスリッピーな路面となるため落車には最大の注意が必要だ。
5月12日(木)第6ステージ ☆☆☆
ポンテ〜ロッカラーゾ(アレモーニャ)157km →コースマップ
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残り19km地点で中間スプリントを過ぎるといよいよ標高差801mの2級山岳ロッカラーゾ(16.75km/平均4.8%)の登りが始まる。ジロに過去6回(1952年、1953年、1964年、1976年、1980年、1987年)登場しているこの2級山岳は勾配が変化するのが特徴で、中盤には平坦区間も登場。登り全体の平均勾配は5%に満たないが、実質的には7%強の登りだ。とは言ってもまだまだジロは1週目。マリアローザを手にしたくないオールラウンダーたちはライバルたちの動きを監視しながらタイムロスを失わない走りに徹するはずだ。
5月13日(金)第7ステージ ☆☆
スルモナ〜フォリーニョ 211km →コースマップ
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フォリーニョがジロのフィニッシュを迎えるのは今回が3回目。残り2kmを切ってから右、左、左とコーナーが連続し、ウルティモキロメトロ(残り1km)アーチを過ぎるとフィニッシュまで緩やかに右カーブ(旧市街の外周に沿った曲線)を描く。テクニカルな街中に入るまでの位置取りは熾烈を極めるだろう。同じフィニッシュレイアウトで行われた前回の2014年はナセル・ブアニ(フランス)が勝利を収めている。
5月14日(土)第8ステージ ☆☆☆
フォリーニョ〜アレッツォ 186km →コースマップ
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この2級山岳は勾配もキツさもさることながら、登り始めてしばらくすると路面は舗装から未舗装に変わる。頂上手前の約6.4kmが未舗装路であり、砂利が浮いた悪路で思わぬトラブルが発生する可能性も。頂上を越えると路面は舗装に変わるが、下りはテクニカルかつ急勾配。登りで飛び出した選手がそのまま逃げ切ることは十分に考えられる。
5月15日(日)第9ステージ ☆☆☆☆
ラッダ・イン・キアンティ〜グレーヴェ・イン・キアンティ 40.5km →コースマップ
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ラッダ・イン・キアンティとグレーヴェ・イン・キアンティを繋ぐ40.5kmコースは非常にテクニカル。コースはどちらかというと下り基調だが、標高差にして合計400mほどの登りも含まれている。想定優勝タイム55分前後の戦いではTTスペシャリストが確実にタイムを伸ばし、ここまでの秒差の争いをひっくり返すような大きな差が生まれるだろう。クライマーたちにとっては我慢の場。総合争いが白熱し、マリアローザが持ち主を変えたところでレースはようやく長い1週目を終える。
5月16日(月)休息日
5月17日(火)第10ステージ ☆☆☆
カンピ・ビゼンツィオ〜セストラ 219km →コースマップ
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残り32km地点からこの日最大の難所である1級山岳ピアン・デル・ファルコ(16.3km/平均5.2%)の登りが始まり、残り21km地点でフィニッシュラインのすぐ近くを通過。セストラの街中を過ぎると勾配はググッと増し、残り16km地点の頂上に向かって10%近い勾配(最大13%)が淡々と続く。標高1352mの頂上通過後、テクニカルダウンヒルを経て、最後は3級山岳セストラ(7.4km/平均5%)を駆け上がってフィニッシュ。すでに総合でタイムを失っている選手たちによる大逃げが決まる可能性も。
text:Kei Tsuji in Apeldoorn, Netherlands
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