2016/02/29(月) - 20:12
残り6kmでパンクしたリーダージャージが集団から脱落。ハイスピードダウンヒルとヘアピンコーナーを攻略したヤコブ・マレツコ(イタリア、サウスイースト)が勝利し、レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)が総合首位に立った。
ツール・ド・ランカウイ第6ステージのスタート地点は、首都機能移転のために計画&開発された新都市プトラジャヤ。首都クアラルンプールの南20kmに位置し、緑豊かな公園と人工湖の間に官庁ビルや高層ビル、巨大なモスクが立ち並ぶ。
スタートラインが引かれたのは大会スポンサーにも名前を連ねているKBS(マレーシア政府青年スポーツ省)前で、日本でいうところの霞ヶ関のビルの間で選手たちがスタートの準備を整える。
前日の第5ステージで積極的にスプリントし、総合首位ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ)との総合タイム差を29秒から23秒まで縮めた総合2位の「レイニー」ことレイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)は「スプリントのボーナスタイムをこれからも狙っていく」と宣言。そして「この調子でいけばかなりタイトな争いになると思う。全ては逃げグループ次第だけど」と予想する。
プトラジャヤの街をスタートしてすぐ、車両の減速用バンプがとにかく多く設置されたコースでアタックが連発。アジアのUCIコンチネンタルチームだけでなく、むしろ欧米のUCIワールドチーム&UCIプロコンチネンタルチームが断続的に攻撃する。その結果、ミハエル・ゴグル(オーストリア、ティンコフ)やジム・ソンゲソ(南アフリカ、ディメンションデータ)、ジェームス・オラム(イギリス、ワンプロサイクリング)を含む7名の逃げが形成された。
しかし統率の取れない逃げグループはスピードが上がらず、逃げに選手を送り損ねたユナイテッドヘルスケアが集団を牽引したためタイム差は広がらない。レース中盤に逃げが集団の視界に入ると、タナー・プット(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)やアドリアン・ニヨンシュティ(ルワンダ、ディメンションデータ)がカウンターアタックを仕掛けて先頭に合流。新たに形成された6名の逃げを、アスタナ率いるメイン集団が1分30秒差で追った。
フィニッシュまで45kmを残して独走に持ち込んだプットを、ティンコフやワンプロサイクリング、ディメンションデータ率いるメイン集団が追いかけて吸収。残り8km地点の3級山岳でディメンションデータがペースアップを図ったが、多くのスプリンターは脱落せずに集団内で頂上をクリアする。
集団スプリントに向けたカウントダウンが始まる中、最高スピードが110km/hに達する急勾配の下りでトラブルが発生する。フィニッシュまで6kmを残してリーダージャージのロペスモレーノがパンクしてストップ。すぐさまチームメイトからホイールを受け取って再スタートしたロペスモレーノだったが、メイン集団に復帰することはなかった。
ハイスピードダウンヒルをこなした70名弱の集団がディメンションデータやドラパックを先頭に残り1kmアーチを切り、残り500mの180度ヘアピンコーナーへ。ここでヤンセファンレンズバーグは内側の選手にはじき出され、チェーンを落としてしまう。その後方で落車が発生したため集団が割れた状態でスプリントが始まった。
最終コーナーを先頭で抜けたユライ・サガン(スロバキア、ティンコフ)とブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、ドラパック)が最初に腰を上げ、遅れて残り150mからマレツコが発進。タイミング良くスプリントに持ち込んだマレツコが、ペダルが外れたジョーンズと先行するサガンを勢いよく抜き去る。ここまでのステージで3回トップ6フィニッシュしていたポーランド出身イタリア国籍の21歳が、ツール・ド・サンルイス最終ステージに続く今シーズン2勝目をマークした。
先頭集団から35秒遅れてロペスモレーノが、そしてチェーントラブルでスプリントに絡めなかったヤンセファンレンズバーグが39秒遅れでフィニッシュ。ロペスモレーノの遅れがそのまま総合成績に反映された一方で、残り3kmを切ってからのトラブルのためヤンセファンレンズバーグは先頭集団と同タイム扱いに。アスタナから「集団復帰の際に車両に妨害された」という物言いがついたためリザルト確定に時間がかかったが、フィニッシュから40分が経過してようやく総合逆転が決まった。
「ロペスモレーノがこんな形でジャージを失ったことを残念に思う。スプリントに向けての位置取りは完璧だったものの、残り500mのコーナーで隣を走る選手と接触してチェーンが落ちた」と、リーダージャージを手にしたヤンセファンレンズバーグは語る。「総合首位に立ったけど、嬉しい気持ちと悲しい気持ちが同居している。総合リーダーになることでスプリントにも絡みにくくなる。今日もチームメイトの動きは申し分なかった。明日からの2ステージはとにかく総合リードを失わないように走るよ」。
愛三工業レーシングの福田真平は綾部勇成にサポートされてスプリントを狙ったものの、残り500mの180度コーナーで綾部が選手と接触してポジションを落とす。そのままスプリントになだれ込んだ福田が13位でフィニッシュしている。
ツール・ド・ランカウイ2016第6ステージ結果
1位 ヤコブ・マレツコ(イタリア、サウスイースト) 3h34’01”
2位 ユライ・サガン(スロバキア、ティンコフ)
3位 ディラン・ペイジ(スイス、チームロス)
4位 ジョン・マーフィー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
5位 モハマドハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌ)
6位 ライアン・マカナリー(オーストラリア、ペガサスコンチネンタル)
7位 ブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、ドラパック)
8位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
9位 パオロ・シミオン(イタリア、バルディアーニCSF)
10位 アンドレア・パリーニ(イタリア、スカイダイブドバイ)
13位 福田真平(日本、愛三工業レーシング)
63位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) +35”
70位 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ) +00”
個人総合成績
1位 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)21h01’17”
2位 ダニエル・ハラミーリョディアス(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア) +11”
3位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) +12”
4位 ジョージ・ハーパー(イギリス、ワンプロサイクリング) +16”
5位 ジャスパー・ハンセン(デンマーク、ティンコフ) +20”
6位 ラクラン・ノリス(オーストラリア、ドラパック) +22”
7位 フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)
8位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、ユナイテッドヘルスケア)
9位 イヴァン・サンタロミータ(イタリア、スカイダイブドバイ)
10位 アントニオ・ピエドラ(スペイン、ファンヴィクソールサイクルズ)
22位 伊藤雅和(日本、愛三工業レーシング) +1’05”
37位 平塚吉光(日本、愛三工業レーシング) +4’04”
ポイント賞
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) 58pts
2位 アンドレア・パリーニ(イタリア、スカイダイブドバイ) 38pts
3位 ジョン・マーフィー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア) 35pts
山岳賞
1位 ワン・メイイン(中国、ヘンシャンサイクリング) 49pts
2位 ロー・シーキョン(マレーシア、マレーシア) 28pts
3位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) 25pts
アジアンライダー賞
1位 オスマン・モハマドアディクフサイニ(マレーシア、トレンガヌ) 21h02’16”
2位 伊藤雅和(日本、愛三工業レーシング) +06”
3位 ザオ・ジンビャオ(中国、ヘンシャンサイクリング) +07”
text&photo:Kei Tsuji in Rembau, Malaysia
ツール・ド・ランカウイ第6ステージのスタート地点は、首都機能移転のために計画&開発された新都市プトラジャヤ。首都クアラルンプールの南20kmに位置し、緑豊かな公園と人工湖の間に官庁ビルや高層ビル、巨大なモスクが立ち並ぶ。
スタートラインが引かれたのは大会スポンサーにも名前を連ねているKBS(マレーシア政府青年スポーツ省)前で、日本でいうところの霞ヶ関のビルの間で選手たちがスタートの準備を整える。
前日の第5ステージで積極的にスプリントし、総合首位ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ)との総合タイム差を29秒から23秒まで縮めた総合2位の「レイニー」ことレイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)は「スプリントのボーナスタイムをこれからも狙っていく」と宣言。そして「この調子でいけばかなりタイトな争いになると思う。全ては逃げグループ次第だけど」と予想する。
プトラジャヤの街をスタートしてすぐ、車両の減速用バンプがとにかく多く設置されたコースでアタックが連発。アジアのUCIコンチネンタルチームだけでなく、むしろ欧米のUCIワールドチーム&UCIプロコンチネンタルチームが断続的に攻撃する。その結果、ミハエル・ゴグル(オーストリア、ティンコフ)やジム・ソンゲソ(南アフリカ、ディメンションデータ)、ジェームス・オラム(イギリス、ワンプロサイクリング)を含む7名の逃げが形成された。
しかし統率の取れない逃げグループはスピードが上がらず、逃げに選手を送り損ねたユナイテッドヘルスケアが集団を牽引したためタイム差は広がらない。レース中盤に逃げが集団の視界に入ると、タナー・プット(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)やアドリアン・ニヨンシュティ(ルワンダ、ディメンションデータ)がカウンターアタックを仕掛けて先頭に合流。新たに形成された6名の逃げを、アスタナ率いるメイン集団が1分30秒差で追った。
フィニッシュまで45kmを残して独走に持ち込んだプットを、ティンコフやワンプロサイクリング、ディメンションデータ率いるメイン集団が追いかけて吸収。残り8km地点の3級山岳でディメンションデータがペースアップを図ったが、多くのスプリンターは脱落せずに集団内で頂上をクリアする。
集団スプリントに向けたカウントダウンが始まる中、最高スピードが110km/hに達する急勾配の下りでトラブルが発生する。フィニッシュまで6kmを残してリーダージャージのロペスモレーノがパンクしてストップ。すぐさまチームメイトからホイールを受け取って再スタートしたロペスモレーノだったが、メイン集団に復帰することはなかった。
ハイスピードダウンヒルをこなした70名弱の集団がディメンションデータやドラパックを先頭に残り1kmアーチを切り、残り500mの180度ヘアピンコーナーへ。ここでヤンセファンレンズバーグは内側の選手にはじき出され、チェーンを落としてしまう。その後方で落車が発生したため集団が割れた状態でスプリントが始まった。
最終コーナーを先頭で抜けたユライ・サガン(スロバキア、ティンコフ)とブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、ドラパック)が最初に腰を上げ、遅れて残り150mからマレツコが発進。タイミング良くスプリントに持ち込んだマレツコが、ペダルが外れたジョーンズと先行するサガンを勢いよく抜き去る。ここまでのステージで3回トップ6フィニッシュしていたポーランド出身イタリア国籍の21歳が、ツール・ド・サンルイス最終ステージに続く今シーズン2勝目をマークした。
先頭集団から35秒遅れてロペスモレーノが、そしてチェーントラブルでスプリントに絡めなかったヤンセファンレンズバーグが39秒遅れでフィニッシュ。ロペスモレーノの遅れがそのまま総合成績に反映された一方で、残り3kmを切ってからのトラブルのためヤンセファンレンズバーグは先頭集団と同タイム扱いに。アスタナから「集団復帰の際に車両に妨害された」という物言いがついたためリザルト確定に時間がかかったが、フィニッシュから40分が経過してようやく総合逆転が決まった。
「ロペスモレーノがこんな形でジャージを失ったことを残念に思う。スプリントに向けての位置取りは完璧だったものの、残り500mのコーナーで隣を走る選手と接触してチェーンが落ちた」と、リーダージャージを手にしたヤンセファンレンズバーグは語る。「総合首位に立ったけど、嬉しい気持ちと悲しい気持ちが同居している。総合リーダーになることでスプリントにも絡みにくくなる。今日もチームメイトの動きは申し分なかった。明日からの2ステージはとにかく総合リードを失わないように走るよ」。
愛三工業レーシングの福田真平は綾部勇成にサポートされてスプリントを狙ったものの、残り500mの180度コーナーで綾部が選手と接触してポジションを落とす。そのままスプリントになだれ込んだ福田が13位でフィニッシュしている。
ツール・ド・ランカウイ2016第6ステージ結果
1位 ヤコブ・マレツコ(イタリア、サウスイースト) 3h34’01”
2位 ユライ・サガン(スロバキア、ティンコフ)
3位 ディラン・ペイジ(スイス、チームロス)
4位 ジョン・マーフィー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
5位 モハマドハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌ)
6位 ライアン・マカナリー(オーストラリア、ペガサスコンチネンタル)
7位 ブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、ドラパック)
8位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
9位 パオロ・シミオン(イタリア、バルディアーニCSF)
10位 アンドレア・パリーニ(イタリア、スカイダイブドバイ)
13位 福田真平(日本、愛三工業レーシング)
63位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) +35”
70位 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ) +00”
個人総合成績
1位 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)21h01’17”
2位 ダニエル・ハラミーリョディアス(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア) +11”
3位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) +12”
4位 ジョージ・ハーパー(イギリス、ワンプロサイクリング) +16”
5位 ジャスパー・ハンセン(デンマーク、ティンコフ) +20”
6位 ラクラン・ノリス(オーストラリア、ドラパック) +22”
7位 フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)
8位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、ユナイテッドヘルスケア)
9位 イヴァン・サンタロミータ(イタリア、スカイダイブドバイ)
10位 アントニオ・ピエドラ(スペイン、ファンヴィクソールサイクルズ)
22位 伊藤雅和(日本、愛三工業レーシング) +1’05”
37位 平塚吉光(日本、愛三工業レーシング) +4’04”
ポイント賞
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) 58pts
2位 アンドレア・パリーニ(イタリア、スカイダイブドバイ) 38pts
3位 ジョン・マーフィー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア) 35pts
山岳賞
1位 ワン・メイイン(中国、ヘンシャンサイクリング) 49pts
2位 ロー・シーキョン(マレーシア、マレーシア) 28pts
3位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) 25pts
アジアンライダー賞
1位 オスマン・モハマドアディクフサイニ(マレーシア、トレンガヌ) 21h02’16”
2位 伊藤雅和(日本、愛三工業レーシング) +06”
3位 ザオ・ジンビャオ(中国、ヘンシャンサイクリング) +07”
text&photo:Kei Tsuji in Rembau, Malaysia
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