2016/02/21(日) - 09:36
アタックが連発した連続山岳を乗り越え、フィニッシュにやってきたのは30名強の小集団。理想的な展開に持ち込んだエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)がスプリントで2勝目を飾った。
ツアー・オブ・オマーン最終日前日の第5ステージは全長が119.5kmしかない。しかし獲得標高差は2,000mオーバーで、後半にかけて標高355mのKOMブシェール・アラムラットを3回登場する。幅の広い幹線道路を2回Uターンし、登坂距離2.6km/平均勾配7%の南側を2回、登坂距離3.6km/平均勾配10%の北側を1回登坂。スプリンターにとっては厳しいレイアウトであるのと同時に、総合を動かしたいクライマーにとっては最後のチャンスだ。
スタートとともに飛び出したジャック・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)にピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・オラニエ)とヒューゴ・ホール(カナダ、AG2Rラモンディアール)が追いつき、先頭3名でエスケープ開始。タイム差は今大会最大の6分15秒まで広がったため、総合で5分19秒遅れのヤンセファンレンズバーグが暫定総合首位となる。
メイン集団の先頭に陣取ったのは、前日にKOMグリーンマウンテンで総合首位に浮上したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)擁するアスタナ。1回目のKOMブシェール・アラムラットに差し掛かると総合2位ロメン・バルデ(フランス)で逆転を狙うAG2Rラモンディアールも集団前方に上がった。
2回目のKOMブシェール・アラムラットで先頭からホールが脱落し、ヤンセファンレンズバーグとウェーニングが2分リードで逃げ続ける展開。そして3回目、つまり最後のKOMブシェール・アラムラットを先頭2名は1分13秒リードでクリアした。
メイン集団ではAG2Rラモンディアールにお膳立てされたバルデらがアタックを繰り出すも、総合ワン&スリーを揃えるアスタナ勢がこれを封じ込める。メイン集団は約20名に絞られた状態で最後の登りをクリアし、ハイスピードダウンヒルに差し掛かった。
総合4位トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)や総合5位ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)らの下りでのアタックは決まらず、約30名に人数を増やしたメイン集団が先頭ヤンセファンレンズバーグとウェーニングを追いかける。集団スプリントに持ち込みたいBMCレーシングの猛然とした追走により、先頭2名は残り2kmで吸収された。
すると、ヤンセファンレンズバーグに先行させていたディメンションデータのトレインが発進する。パウエルス、クドゥス、ハース、ボアッソンハーゲンが連なって先頭に出て残り1kmマーク。グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が対抗したものの、好位置からスプリントを開始したボアッソンハーゲンに敵う者はいなかった。
「ジャック・ヤンセファンレンズバーグが逃げに乗っていたので、追走に力を使う必要がない理想的な展開だった。ジャックのおかげで集団内の位置取りだけに集中して、エネルギーを温存することが出来たんだ。ジャックが捕まってからは、セルジュ・パウエルス、メルハウィ・クドゥス、そしてネイサン・ハースがリードアウトを開始。自分の役目はただ単に残り200mからスプリントするだけだった。素晴らしいチームワークの末にステージ2勝目を掴んだことを誇らしく思う」と、今大会2勝目を飾り、ポイント賞トップに返り咲いたボアッソンハーゲン。好調なノルウェーチャンピオンは総合でもクライマーに混ざって6位につけている。
「ライバルたちのアタックにチーム全体で反応して封印。とてもナーバスな展開だったけど、チームメイトのおかげで乗り切ることが出来た」と語るのは、総合リードを守ったニーバリ。翌日はスプリンター向きの平坦コースが設定されており、ニーバリがツアー・オブ・オマーン制覇に王手をかけた。
選手コメントはチーム公式サイトより。
ツアー・オブ・オマーン2016第5ステージ結果
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) 3h05’32”
2位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
3位 マルコ・カーノラ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
4位 シモーネ・ポンツィ(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)
5位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)
6位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、ストルティングサービス)
7位 スヴェンエリック・ビストロム(ノルウェー、カチューシャ)
8位 アダム・フェラン(オーストラリア、ドラパック)
9位 マルコ・マルカート(イタリア、ワンティ・グループグベルト)
10位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)
個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) 19h24’07”
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +15”
3位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +24”
4位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +40”
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +54”
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) +1’06”
7位 ブレンダン・カンティ(オーストラリア、ドラパック) +1’31”
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +1’38”
9位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) +1’41”
10位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +1’59”
ポイント賞
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
ヤングライダー賞
1位 ブレンダン・カンティ(オーストラリア、ドラパック)
総合敢闘賞
1位 ジャック・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)
チーム総合成績
1位 ディメンションデータ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
ツアー・オブ・オマーン最終日前日の第5ステージは全長が119.5kmしかない。しかし獲得標高差は2,000mオーバーで、後半にかけて標高355mのKOMブシェール・アラムラットを3回登場する。幅の広い幹線道路を2回Uターンし、登坂距離2.6km/平均勾配7%の南側を2回、登坂距離3.6km/平均勾配10%の北側を1回登坂。スプリンターにとっては厳しいレイアウトであるのと同時に、総合を動かしたいクライマーにとっては最後のチャンスだ。
スタートとともに飛び出したジャック・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)にピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・オラニエ)とヒューゴ・ホール(カナダ、AG2Rラモンディアール)が追いつき、先頭3名でエスケープ開始。タイム差は今大会最大の6分15秒まで広がったため、総合で5分19秒遅れのヤンセファンレンズバーグが暫定総合首位となる。
メイン集団の先頭に陣取ったのは、前日にKOMグリーンマウンテンで総合首位に浮上したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)擁するアスタナ。1回目のKOMブシェール・アラムラットに差し掛かると総合2位ロメン・バルデ(フランス)で逆転を狙うAG2Rラモンディアールも集団前方に上がった。
2回目のKOMブシェール・アラムラットで先頭からホールが脱落し、ヤンセファンレンズバーグとウェーニングが2分リードで逃げ続ける展開。そして3回目、つまり最後のKOMブシェール・アラムラットを先頭2名は1分13秒リードでクリアした。
メイン集団ではAG2Rラモンディアールにお膳立てされたバルデらがアタックを繰り出すも、総合ワン&スリーを揃えるアスタナ勢がこれを封じ込める。メイン集団は約20名に絞られた状態で最後の登りをクリアし、ハイスピードダウンヒルに差し掛かった。
総合4位トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)や総合5位ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)らの下りでのアタックは決まらず、約30名に人数を増やしたメイン集団が先頭ヤンセファンレンズバーグとウェーニングを追いかける。集団スプリントに持ち込みたいBMCレーシングの猛然とした追走により、先頭2名は残り2kmで吸収された。
すると、ヤンセファンレンズバーグに先行させていたディメンションデータのトレインが発進する。パウエルス、クドゥス、ハース、ボアッソンハーゲンが連なって先頭に出て残り1kmマーク。グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が対抗したものの、好位置からスプリントを開始したボアッソンハーゲンに敵う者はいなかった。
「ジャック・ヤンセファンレンズバーグが逃げに乗っていたので、追走に力を使う必要がない理想的な展開だった。ジャックのおかげで集団内の位置取りだけに集中して、エネルギーを温存することが出来たんだ。ジャックが捕まってからは、セルジュ・パウエルス、メルハウィ・クドゥス、そしてネイサン・ハースがリードアウトを開始。自分の役目はただ単に残り200mからスプリントするだけだった。素晴らしいチームワークの末にステージ2勝目を掴んだことを誇らしく思う」と、今大会2勝目を飾り、ポイント賞トップに返り咲いたボアッソンハーゲン。好調なノルウェーチャンピオンは総合でもクライマーに混ざって6位につけている。
「ライバルたちのアタックにチーム全体で反応して封印。とてもナーバスな展開だったけど、チームメイトのおかげで乗り切ることが出来た」と語るのは、総合リードを守ったニーバリ。翌日はスプリンター向きの平坦コースが設定されており、ニーバリがツアー・オブ・オマーン制覇に王手をかけた。
選手コメントはチーム公式サイトより。
ツアー・オブ・オマーン2016第5ステージ結果
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) 3h05’32”
2位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
3位 マルコ・カーノラ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
4位 シモーネ・ポンツィ(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)
5位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)
6位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、ストルティングサービス)
7位 スヴェンエリック・ビストロム(ノルウェー、カチューシャ)
8位 アダム・フェラン(オーストラリア、ドラパック)
9位 マルコ・マルカート(イタリア、ワンティ・グループグベルト)
10位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)
個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) 19h24’07”
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +15”
3位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +24”
4位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +40”
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +54”
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) +1’06”
7位 ブレンダン・カンティ(オーストラリア、ドラパック) +1’31”
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +1’38”
9位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) +1’41”
10位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +1’59”
ポイント賞
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
ヤングライダー賞
1位 ブレンダン・カンティ(オーストラリア、ドラパック)
総合敢闘賞
1位 ジャック・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)
チーム総合成績
1位 ディメンションデータ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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