2015/12/27(日) - 20:45
2016年1月のシクロクロス世界選手権と同じコースを使用して行われたUCIシクロクロスワールドカップ第5戦で、世界チャンピオンのマテュー・ファンデルポール(オランダ、BKCPコレンドン)がパワフルな走りを披露。ヨーロッパ転戦を再スタートさせた竹之内悠(ベランクラシック・エコイ)は52位だった。
UCIシクロクロスワールドカップ第5戦の舞台はベルギー東部のヒュースデン=ゾルダーにあるゾルダーサーキット。コースは過去にF1グランプリも開催されたサーキットと隣接する林が組み合わされたもので、舗装路とテクニカルな林区間を何度も行き交う。
崖のようなキャンバーが名物で、例年大掛かりになる立体交差が林とサーキットをつなぐ。1ヶ月後に行われるシクロクロス世界選手権でも同じサーキットが使用されるため、リハーサルとして61名の選手たちがスタートラインに並んだ。
ヨーロッパに戻って初戦を迎えた全日本チャンピオン竹之内悠(ベランクラシック・エコイ)や、元シクロクロス世界チャンピオンで現在ロードレースをメインに戦うラース・ボーム(オランダ、アスタナ)もスタート。ドライコンディションのため、序盤から平均25km/hオーバーのハイスピードレースとなる。
スタートとともに飛び出し、そのまま先行して1周目を終えたのはティム・メルリエ(ベルギー、ファストフートサービス)、クレモン・ヴァントゥリーニ(フランス、コフィディス)、クラース・ファントルノート(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)の3名。
後方スタートのボームが久々のシクロクロスに手こずる中、2周目に入ると追走パックの中から先頭トリオまでアルカンシェルを着るファンデルポールが一気にジャンプアップ。ここにトム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)とラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン)が反応する。今シーズンここまで好調を維持していたUCIワールドカップリーダーのワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフートサービス)は出遅れた。
ファンデルハール、ファントルノート、ヴァントゥリーニ、メルリエ、メーウセン、ファンデルポールという6名で構成された先頭パックには遅れてケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)も合流。パウエルスの合流を知ったファンデルポールが先頭でペースアップを開始する。
先頭パックから抜け出したのは、世界チャンピオンのファンデルポールとヨーロッパチャンピオンのファンデルハール。2人のオランダ人がベルギーレースをリードする。ここにパウエルスが合流し、レースは三つ巴の様相を呈す。
ファンデルポールとファンデルハールの積極性はレース後半に入っても失われず、互いに先頭でアタックしてはパウエルスを引き離す。しかし一定ペースを刻んだパウエルスは落ち着いて先頭復帰。フィニッシュまで2周半を残してファンデルポールが繰り出した強力なアタックも決まらない。
すると残り1周に向かうところでファンデルハールがパンクで失速。同時にファンデルポールがパワフルなアタックで単独抜け出しに成功する。小柄なファンデルハールとパウエルスを、大柄なファンデルポールが引き離して最終周回へ。
2番手パウエルスがジワリと差を詰めたものの、ファンデルポールは単独先頭をキープしながらフィニッシュまで疾走。パウエルスを2秒、バイク交換したファンデルハールを46秒引き離してファンデルポールが勝利した。
「ラルスがパンクしたことを気づいた瞬間にアタックしたんだ」と、UCIワールドカップで2連勝したファンデルポールは語る。「今日は自分向きのコースだと思っていた。同時に、ライバルを引き離すのが難しいコースでもあった。とにかく僕とラルスが世界選手権の有力候補であるということが今日ここで証明された。むしろ今日はラルスが最強だった」。
膝の手術によって今シーズン出遅れたものの、復帰後は再びトップレーサーとしての力を誇示。ファンデルポールは連覇がかかった世界選手権について「もちろん世界選手権に向けての自信につながる勝利だけど、1月末は別の話だからどうなるか分からない。自分のコンディションが落ちるかもしれないし、雪が降るかもしれない。ここまでの7週間は厳しいものだったけど、怪我からの復活は自信を与えてくれるよ」と語っている。
「今日は8位がやっとだった。月曜日にお腹を壊して、バイクトレーニングに戻ったのが木曜日。今は全快したものの、結果には繋がらなかった。ごまかしのきかない現実だった」と語るのはファンアールト。序盤から精彩を欠いたが、UCIワールドカップリーダーの座は守っている。
久々のシクロクロス出場となったボームは43位。「トップと7分差。危うくラップされるところだった。スタートからフィニッシュまで苦しみっぱなしだった。背中も痛んだし、バイクの上で感触をつかめなかった。身体がすっかりシクロクロス向きじゃなくなってしまった。1時間の高強度に耐えるためのトレーニングをしないといけない」と失望した様子。ボームは今シーズン残り2レースを走る予定だ。
竹之内はマイナス2周の52位フィニッシュ。レース後半に前転し、右手と左足を打撲したと自身のFacebookで報告している。「ミスで転けてしまったけど、いいレースをできてたし、転けてからもペースを戻せていたし、次に繋げていけるレースだったんで嬉しいです!肉離れの箇所も今のところ大丈夫です!」と語る竹之内は翌日のスーパープレスティージュ第6戦ディーゲム(ベルギー)にも出場予定だ。
選手コメントはベルギーのsporzaより。
UCIシクロクロスワールドカップ2015-2016第5戦
1位 マテュー・ファンデルポール(オランダ、BKCPコレンドン) 1h09’03”
2位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス) +02”
3位 ラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +46”
4位 トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア) +1’10”
5位 クラース・ファントルノート(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス) +1’11”
6位 クレモン・ヴァントゥリーニ(フランス、コフィディス) +1’17”
7位 ティム・メルリエ(ベルギー、ファストフートサービス) +1’20”
8位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフートサービス)
9位 コルヌ・ファンケッセル(オランダ、テレネット・フィデア)
10位 スヴェン・ネイス(ベルギー、クレランAAドリンク) +1’21”
43位 ラース・ボーム(オランダ、アスタナ) +7’15”
52位 竹之内悠(日本、ベランクラシック・エコイ) -2Lap
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
UCIシクロクロスワールドカップ第5戦の舞台はベルギー東部のヒュースデン=ゾルダーにあるゾルダーサーキット。コースは過去にF1グランプリも開催されたサーキットと隣接する林が組み合わされたもので、舗装路とテクニカルな林区間を何度も行き交う。
崖のようなキャンバーが名物で、例年大掛かりになる立体交差が林とサーキットをつなぐ。1ヶ月後に行われるシクロクロス世界選手権でも同じサーキットが使用されるため、リハーサルとして61名の選手たちがスタートラインに並んだ。
ヨーロッパに戻って初戦を迎えた全日本チャンピオン竹之内悠(ベランクラシック・エコイ)や、元シクロクロス世界チャンピオンで現在ロードレースをメインに戦うラース・ボーム(オランダ、アスタナ)もスタート。ドライコンディションのため、序盤から平均25km/hオーバーのハイスピードレースとなる。
スタートとともに飛び出し、そのまま先行して1周目を終えたのはティム・メルリエ(ベルギー、ファストフートサービス)、クレモン・ヴァントゥリーニ(フランス、コフィディス)、クラース・ファントルノート(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)の3名。
後方スタートのボームが久々のシクロクロスに手こずる中、2周目に入ると追走パックの中から先頭トリオまでアルカンシェルを着るファンデルポールが一気にジャンプアップ。ここにトム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)とラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン)が反応する。今シーズンここまで好調を維持していたUCIワールドカップリーダーのワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフートサービス)は出遅れた。
ファンデルハール、ファントルノート、ヴァントゥリーニ、メルリエ、メーウセン、ファンデルポールという6名で構成された先頭パックには遅れてケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)も合流。パウエルスの合流を知ったファンデルポールが先頭でペースアップを開始する。
先頭パックから抜け出したのは、世界チャンピオンのファンデルポールとヨーロッパチャンピオンのファンデルハール。2人のオランダ人がベルギーレースをリードする。ここにパウエルスが合流し、レースは三つ巴の様相を呈す。
ファンデルポールとファンデルハールの積極性はレース後半に入っても失われず、互いに先頭でアタックしてはパウエルスを引き離す。しかし一定ペースを刻んだパウエルスは落ち着いて先頭復帰。フィニッシュまで2周半を残してファンデルポールが繰り出した強力なアタックも決まらない。
すると残り1周に向かうところでファンデルハールがパンクで失速。同時にファンデルポールがパワフルなアタックで単独抜け出しに成功する。小柄なファンデルハールとパウエルスを、大柄なファンデルポールが引き離して最終周回へ。
2番手パウエルスがジワリと差を詰めたものの、ファンデルポールは単独先頭をキープしながらフィニッシュまで疾走。パウエルスを2秒、バイク交換したファンデルハールを46秒引き離してファンデルポールが勝利した。
「ラルスがパンクしたことを気づいた瞬間にアタックしたんだ」と、UCIワールドカップで2連勝したファンデルポールは語る。「今日は自分向きのコースだと思っていた。同時に、ライバルを引き離すのが難しいコースでもあった。とにかく僕とラルスが世界選手権の有力候補であるということが今日ここで証明された。むしろ今日はラルスが最強だった」。
膝の手術によって今シーズン出遅れたものの、復帰後は再びトップレーサーとしての力を誇示。ファンデルポールは連覇がかかった世界選手権について「もちろん世界選手権に向けての自信につながる勝利だけど、1月末は別の話だからどうなるか分からない。自分のコンディションが落ちるかもしれないし、雪が降るかもしれない。ここまでの7週間は厳しいものだったけど、怪我からの復活は自信を与えてくれるよ」と語っている。
「今日は8位がやっとだった。月曜日にお腹を壊して、バイクトレーニングに戻ったのが木曜日。今は全快したものの、結果には繋がらなかった。ごまかしのきかない現実だった」と語るのはファンアールト。序盤から精彩を欠いたが、UCIワールドカップリーダーの座は守っている。
久々のシクロクロス出場となったボームは43位。「トップと7分差。危うくラップされるところだった。スタートからフィニッシュまで苦しみっぱなしだった。背中も痛んだし、バイクの上で感触をつかめなかった。身体がすっかりシクロクロス向きじゃなくなってしまった。1時間の高強度に耐えるためのトレーニングをしないといけない」と失望した様子。ボームは今シーズン残り2レースを走る予定だ。
竹之内はマイナス2周の52位フィニッシュ。レース後半に前転し、右手と左足を打撲したと自身のFacebookで報告している。「ミスで転けてしまったけど、いいレースをできてたし、転けてからもペースを戻せていたし、次に繋げていけるレースだったんで嬉しいです!肉離れの箇所も今のところ大丈夫です!」と語る竹之内は翌日のスーパープレスティージュ第6戦ディーゲム(ベルギー)にも出場予定だ。
選手コメントはベルギーのsporzaより。
UCIシクロクロスワールドカップ2015-2016第5戦
1位 マテュー・ファンデルポール(オランダ、BKCPコレンドン) 1h09’03”
2位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス) +02”
3位 ラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +46”
4位 トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア) +1’10”
5位 クラース・ファントルノート(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス) +1’11”
6位 クレモン・ヴァントゥリーニ(フランス、コフィディス) +1’17”
7位 ティム・メルリエ(ベルギー、ファストフートサービス) +1’20”
8位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフートサービス)
9位 コルヌ・ファンケッセル(オランダ、テレネット・フィデア)
10位 スヴェン・ネイス(ベルギー、クレランAAドリンク) +1’21”
43位 ラース・ボーム(オランダ、アスタナ) +7’15”
52位 竹之内悠(日本、ベランクラシック・エコイ) -2Lap
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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