2009/09/24(木) - 00:07
2009年9月23日、ロード世界選手権がスイス・メンドリシオで開幕した。初日のU23個人タイムトライアルで最速タイムを叩き出したのは、今年のTOJ(ツアー・オブ・ジャパン)でステージ2勝を飾った20歳のジャック・ボブリッジ(オーストラリア)。南半球出身者として初めてU23のタイトルを獲得した。
ロードレース世界一決定戦の開幕を告げるのは、将来有望な23歳未満の選手で争われる個人タイムトライアル。レースには世界各国から若手65名が終結した。
コースはメンドリシオを起点とした、高低差120mの16.6kmの周回。途中最大勾配10%の短い上りも登場する。U23はこの周回を2周。合計33.2kmでレースは行なわれた。
最速タイムで優勝を飾ったのは、3つの計測ポイント全てでトップタイムを更新し、平均スピード48.887km/hで周回コースを駆け抜けたボブリッジ。ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル)を18秒、昨年2位のパトリック・グレッチュ(ドイツ)を27秒上回ったボブリッジが、アルカンシェルを手にした。
ディフェンディングチャンピオンのアドリアーノ・マローリ(イタリア)は36秒遅れの5位だった。
オーストラリア・ヴィクトリア州アデレード出身のボブリッジは、興奮を隠しきれずに勝利の喜びを語る。「今日という日に全てを懸けていたんだ。それが実現したことが信じられない。言葉では説明出来ないよ。とにかく凄いことだ!」
オーストラリア政府が援助するAIS(国立スポーツ研究所)に所属し、ジュニア時代からトラック競技でその走力を磨いたボブリッジ。トラック世界選手権ではジュニアの団体追抜きで2度世界チャンピオンに輝いている。北京五輪では団体追抜きで4位(3分59秒006)だった。
今年からその活躍の場をロードレースにも広げ、1月のツアー・ダウンアンダーでは7ステージ中4ステージで逃げに乗る大活躍。オーストラリア選手権ではU23ロードレースとTTのダブルタイトルを獲得。TOJ(ツアー・オブ・ジャパン)の南信州ステージと伊豆ステージで優勝したことが記憶に新しい。
「昨年の北京五輪から走り続けていたので、7月に長めの休養を取ったんだ。その間は頭から完全にバイクを消し去った。ツール・ド・フランスも全く見なかった。おかげで体重が増えてしまったけど、世界選に向けてこの2ヶ月間みっちりトレーニングを積んできた。その結果がこのセンセーショナルな勝利だ」。
オーストラリア人選手がU23カテゴリーでアルカンシェルを獲得するのは、ロードレースとTT通して史上初。3日後に行なわれるU23ロードレースでも、もちろんボブリッジはタイトル獲得を狙っていく。
ボブリッジは「チームがもう一つのタイトル(U23ロードレース)も同時に獲得出来れば、そんなに素晴らしいことはない。これまで勝ちまくっているハワード(TOJステージ3勝)や、同レベルの選手が他にも数多く揃っている。互いをケアしながら、土曜日のレースで100%力を発揮したい」とダブルタイトルに意欲を見せる。
ロードレースにおいて、ヨーロッパ各国やアメリカに肩を並べる強豪国として成長を遂げているオーストラリア。その躍進の背景には、政府による手厚いバックアップがある。その証拠として、今大会エリート男子ロードレースに出場予定の9名全員(クラーク、デーヴィス、エヴァンス※MTB、ジェランス、ヘイマン、ロイド、オグレディ、ロジャース、サルツバーガー)が、ボブリッジと同じAIS出身選手だ。
昨年TOJを制したキャメロン・マイヤー(ガーミン)や、今年のTOJステージ3勝のリー・ハワードもAIS出身選手。ハワードはチームコロンビア・HTCに移籍が決定。ボブリッジもその才能を買われ、来季ガーミン・スリップストリームへの移籍が決まっている。今後が非常に楽しみな選手の一人だ。
選手コメントはオーストラリア自転車競技連盟公式サイトより。
ロード世界選手権2009U23個人タイムトライアル結果
1位 ジャック・ボブリッジ(オーストラリア)40'44"
2位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル)+18"
3位 パトリック・グレッチュ(ドイツ)+27"
4位 マルセル・キッテル(ドイツ)+34"
5位 アドリアーノ・マローリ(イタリア)+36"
6位 アルフレード・バローニ(イタリア)+39"
7位 アレックス・ダウセット(イギリス)+43"
8位 ブラズ・ヤルク(スロベニア)+59"
9位 ラスムスクリスティアン・クアーデ(デンマーク)+1'06"
10位 デーヴィッド・ヴェイユー(カナダ)+1'11"
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
ロードレース世界一決定戦の開幕を告げるのは、将来有望な23歳未満の選手で争われる個人タイムトライアル。レースには世界各国から若手65名が終結した。
コースはメンドリシオを起点とした、高低差120mの16.6kmの周回。途中最大勾配10%の短い上りも登場する。U23はこの周回を2周。合計33.2kmでレースは行なわれた。
最速タイムで優勝を飾ったのは、3つの計測ポイント全てでトップタイムを更新し、平均スピード48.887km/hで周回コースを駆け抜けたボブリッジ。ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル)を18秒、昨年2位のパトリック・グレッチュ(ドイツ)を27秒上回ったボブリッジが、アルカンシェルを手にした。
ディフェンディングチャンピオンのアドリアーノ・マローリ(イタリア)は36秒遅れの5位だった。
オーストラリア・ヴィクトリア州アデレード出身のボブリッジは、興奮を隠しきれずに勝利の喜びを語る。「今日という日に全てを懸けていたんだ。それが実現したことが信じられない。言葉では説明出来ないよ。とにかく凄いことだ!」
オーストラリア政府が援助するAIS(国立スポーツ研究所)に所属し、ジュニア時代からトラック競技でその走力を磨いたボブリッジ。トラック世界選手権ではジュニアの団体追抜きで2度世界チャンピオンに輝いている。北京五輪では団体追抜きで4位(3分59秒006)だった。
今年からその活躍の場をロードレースにも広げ、1月のツアー・ダウンアンダーでは7ステージ中4ステージで逃げに乗る大活躍。オーストラリア選手権ではU23ロードレースとTTのダブルタイトルを獲得。TOJ(ツアー・オブ・ジャパン)の南信州ステージと伊豆ステージで優勝したことが記憶に新しい。
「昨年の北京五輪から走り続けていたので、7月に長めの休養を取ったんだ。その間は頭から完全にバイクを消し去った。ツール・ド・フランスも全く見なかった。おかげで体重が増えてしまったけど、世界選に向けてこの2ヶ月間みっちりトレーニングを積んできた。その結果がこのセンセーショナルな勝利だ」。
オーストラリア人選手がU23カテゴリーでアルカンシェルを獲得するのは、ロードレースとTT通して史上初。3日後に行なわれるU23ロードレースでも、もちろんボブリッジはタイトル獲得を狙っていく。
ボブリッジは「チームがもう一つのタイトル(U23ロードレース)も同時に獲得出来れば、そんなに素晴らしいことはない。これまで勝ちまくっているハワード(TOJステージ3勝)や、同レベルの選手が他にも数多く揃っている。互いをケアしながら、土曜日のレースで100%力を発揮したい」とダブルタイトルに意欲を見せる。
ロードレースにおいて、ヨーロッパ各国やアメリカに肩を並べる強豪国として成長を遂げているオーストラリア。その躍進の背景には、政府による手厚いバックアップがある。その証拠として、今大会エリート男子ロードレースに出場予定の9名全員(クラーク、デーヴィス、エヴァンス※MTB、ジェランス、ヘイマン、ロイド、オグレディ、ロジャース、サルツバーガー)が、ボブリッジと同じAIS出身選手だ。
昨年TOJを制したキャメロン・マイヤー(ガーミン)や、今年のTOJステージ3勝のリー・ハワードもAIS出身選手。ハワードはチームコロンビア・HTCに移籍が決定。ボブリッジもその才能を買われ、来季ガーミン・スリップストリームへの移籍が決まっている。今後が非常に楽しみな選手の一人だ。
選手コメントはオーストラリア自転車競技連盟公式サイトより。
ロード世界選手権2009U23個人タイムトライアル結果
1位 ジャック・ボブリッジ(オーストラリア)40'44"
2位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル)+18"
3位 パトリック・グレッチュ(ドイツ)+27"
4位 マルセル・キッテル(ドイツ)+34"
5位 アドリアーノ・マローリ(イタリア)+36"
6位 アルフレード・バローニ(イタリア)+39"
7位 アレックス・ダウセット(イギリス)+43"
8位 ブラズ・ヤルク(スロベニア)+59"
9位 ラスムスクリスティアン・クアーデ(デンマーク)+1'06"
10位 デーヴィッド・ヴェイユー(カナダ)+1'11"
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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