2015/10/15(木) - 12:11
いよいよシーズンインを迎えた国内シクロクロス。先日開催された宇都宮シクロクロス、茨城シクロクロスで取材した4台のバイクを紹介しよう。バイク選びやセッティングのヒントにして頂ければ幸いだ。
小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) メリダ CYCLO CROSS
ジャパンカップシクロクロスのエキシビジョンレースとAJOCCのC1クラス、そして翌日の茨城シクロクロスと怒涛の開幕3連勝を飾った小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)。昨年はメリダのCXトップモデルが国内展開をしていなかったため、輸入販売元であるミヤタの特製スチールバイクに乗っていたが、今年は新型の「CYCLO CROSS」がカタログ入り。晴れて実戦投入にこぎつけた。
ロードモデルであるスクルトゥーラに似通ったフレームはカンチブレーキ仕様。「特段スペシャルなパーツは使っていませんが、7.6kgと軽量に仕上がり驚きました。BB周りの剛性が高いのでコーナーを抜けた後のダッシュでは非常に武器になりますね。軽いことで担ぎでは肩への負担が少なくなりました」とは本人の談。カンチブレーキである理由については「国内レースのほとんどはカンチブレーキで十分対応できますし、軽さを優先させました」と言う。
コンポーネントはデュラエースDi2を基本としているが、チェーンリングのみ46/36T設定のあるアルテグラ。足回りは同WH-9000C35TUにデュガスのハンドメイドタイヤを組み合わせている。サドルはプロロゴ、シートポストはFSAだ。
「今年は春先からウェイトトレーニングを続け、バイクコントロールの面でもそれが活きているように手応えを感じています。もっと後半に勢いをキープしたいという気持ちはありますが、良いフィーリングですね」と語る小坂。今年の目標は悲願の全日本選手権優勝だ。
前田公平(弱虫ペダルシクロクロスチーム) BH RX Team
今期から弱虫ペダルシクロクロスチームに加入した前田公平。チームは今年から機材を刷新し、BHのフルカーボンモデル「RX Team」へと乗り換えている。ホイールの固定はクイックリリースで行うタイプで、リアエンドの交換によりエンド幅130mmと135mmに対応、ブレーキはディスク、カンチ共に両対応するが、チームでは油圧式のディスクブレーキをチョイスしている。
弱虫ペダルシクロクロスチームが駆るのはチームカラーの特別品で、作中の総北高校をモデルにした薄グレーとレッド、イエロー、ブルーの差し色が入る。現在は本国スペインから色違いのスペアバイクの到着を待っている段階で、最終的には1人2台体制になるそうだ。前田は「思ったほど硬くないので疲れが溜まりにくいバイクですね。ハンドリングも直進安定性が強く、後半戦で疲れてきた時にバイクが助けてくれます。自分の弱い部分を補正してくれるので、相性は良いと思います」とコメントする。
コンポーネントはSRAM FORCEとCX-1を基本に、クランクセットはROTORのQ-RINGSを使うことが特徴だろう。ホイールはプロファイルデザインだが、こちらも本国にリクエストを送り製作してもらったという特別品だ。リム幅24mmでストレートスポークというシクロクロス専用品で、将来的なスルーアクスル化も見越してアダプターの装着が可能となっており、市販化も視野に入れているのだそう。タイヤはチャレンジで、サンドパターンにサイドノブを設けたシケインを中心としてシーズンを戦うという。
「昨年は山本和弘選手が大活躍したのでプレッシャーは正直あるのですが、それに負けることなくU23全日本選手権での優勝を狙っていきたい」と新体制での豊富を語ってくれた。
中村龍太郎(SNEL CYCLOCROSS TEAM) BOMA L'EPICE R
3シーズン目となるSNEL CYCLOCROSS TEAMは、大田区のプロショップ「バイクショップSNEL」が母体となり、同代表でヨーロッパ選手経験を持つ諏訪孝浩氏が監督を務めるチーム。今年はロード個人タイムトライアルチャンピオンである中村龍太郎を加えて話題を呼んでいる。
チームバイクは去年から継続し、BOMAのCX中心的存在であるL'EPICE Rを使う。T700カーボンやフルカーボンフォークの導入により剛性向上と軽量化を狙ったピュアレーシングマシンだ。「比較的硬く、クイックなハンドリングと相まって完全なレースバイク。お気に入りですよ」とは中村。このバイクはシマノ製コンポーネントを中心としているが、カンチブレーキのみ絶版のカンパニョーロが取り付けられており、ホイールやバーテープ、各種ワイヤー類のグリーンが目を引く。
タイヤは継続してヴィットリアを使い、チューブレスタイヤも積極的に実戦投入していく予定で、「ドライなコースならチューブラーとの差もほぼありませんし、扱いやすいので一般の方々にお勧めしたいですね」とは諏訪代表。また今季よりマッド用タイヤはあえて細身の31Cを投入し、フレームとのクリアランスを開けることで泥つまり対策をするという。ホイールはPAX PROJECTもしくはBOMAで選択制、サドルはヴィットリア・ジャパンが取り扱うアスチュートだ。
中村は今シーズンの抱負を次のように語る。「ロードがメインではあるのですが、UCIレースであるマキノや野辺山でのポイント獲得が大きな目標です。大学時代からシクロクロスに参戦していたものの、個人参加だったので野辺山のようなコンディションではバイクチェンジができなかった。今季はチームとしてサポート頂けるので心強いですね」。
武田和佳(Liv)
今年からLivのアンバサダーとなり、体制を一新した武田和佳。シーズン初戦となる宇都宮シクロクロスエキシビジョンで優勝し、続く茨城シクロクロスでは2位に入った。
バイクはLiv唯一のシクロクロスラインナップである、アルミモデルの「BRAVA SLR」。男性が羨んでしまうほど手の込んだペイントが魅力的な一台だが、完成車で155,000円という価格設定のバイクであるため、戦闘力を上げるためにフレームシートポスト、サドルを残してほぼ全てに手が加えられている。
通常アルミコラムのフロントフォークはTCX ADVANCED用のフルカーボン製OverDrive 2規格対応品に交換され、フレームに合わせたペイントを台湾本社で特別に施工。それに伴ってヘッドベアリング類も全て取り替えているという。ホイールはジャイアントのシクロクロス用カーボンチューブレスモデル「P-CXR0」を投入し、IRCのSERAC CXを組み合わせた。
武田は「フレーム自体はアルミで若干重量も感じるのですが、女性用のジオメトリでサイズもバッチりなので力も伝わりやすく、操作もし易くて気に入ってます。デザインも凝っていますし、女性受けしやすいですよね」とコメント。個人的な目標は飯山での全日本選手権優勝と、その先にある世界選手権へのチャレンジ。「フィジカルも技術も昨年より確実に上がっていることを実感しています。しっかりと計画立てたスケジュールを組んで、来年以降につながるシーズンにしたいですね」。
上記4名以外にも、取材次第随時トップ選手のバイクを紹介していく予定だ。
text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano
小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) メリダ CYCLO CROSS
ジャパンカップシクロクロスのエキシビジョンレースとAJOCCのC1クラス、そして翌日の茨城シクロクロスと怒涛の開幕3連勝を飾った小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)。昨年はメリダのCXトップモデルが国内展開をしていなかったため、輸入販売元であるミヤタの特製スチールバイクに乗っていたが、今年は新型の「CYCLO CROSS」がカタログ入り。晴れて実戦投入にこぎつけた。
ロードモデルであるスクルトゥーラに似通ったフレームはカンチブレーキ仕様。「特段スペシャルなパーツは使っていませんが、7.6kgと軽量に仕上がり驚きました。BB周りの剛性が高いのでコーナーを抜けた後のダッシュでは非常に武器になりますね。軽いことで担ぎでは肩への負担が少なくなりました」とは本人の談。カンチブレーキである理由については「国内レースのほとんどはカンチブレーキで十分対応できますし、軽さを優先させました」と言う。
コンポーネントはデュラエースDi2を基本としているが、チェーンリングのみ46/36T設定のあるアルテグラ。足回りは同WH-9000C35TUにデュガスのハンドメイドタイヤを組み合わせている。サドルはプロロゴ、シートポストはFSAだ。
「今年は春先からウェイトトレーニングを続け、バイクコントロールの面でもそれが活きているように手応えを感じています。もっと後半に勢いをキープしたいという気持ちはありますが、良いフィーリングですね」と語る小坂。今年の目標は悲願の全日本選手権優勝だ。
前田公平(弱虫ペダルシクロクロスチーム) BH RX Team
今期から弱虫ペダルシクロクロスチームに加入した前田公平。チームは今年から機材を刷新し、BHのフルカーボンモデル「RX Team」へと乗り換えている。ホイールの固定はクイックリリースで行うタイプで、リアエンドの交換によりエンド幅130mmと135mmに対応、ブレーキはディスク、カンチ共に両対応するが、チームでは油圧式のディスクブレーキをチョイスしている。
弱虫ペダルシクロクロスチームが駆るのはチームカラーの特別品で、作中の総北高校をモデルにした薄グレーとレッド、イエロー、ブルーの差し色が入る。現在は本国スペインから色違いのスペアバイクの到着を待っている段階で、最終的には1人2台体制になるそうだ。前田は「思ったほど硬くないので疲れが溜まりにくいバイクですね。ハンドリングも直進安定性が強く、後半戦で疲れてきた時にバイクが助けてくれます。自分の弱い部分を補正してくれるので、相性は良いと思います」とコメントする。
コンポーネントはSRAM FORCEとCX-1を基本に、クランクセットはROTORのQ-RINGSを使うことが特徴だろう。ホイールはプロファイルデザインだが、こちらも本国にリクエストを送り製作してもらったという特別品だ。リム幅24mmでストレートスポークというシクロクロス専用品で、将来的なスルーアクスル化も見越してアダプターの装着が可能となっており、市販化も視野に入れているのだそう。タイヤはチャレンジで、サンドパターンにサイドノブを設けたシケインを中心としてシーズンを戦うという。
「昨年は山本和弘選手が大活躍したのでプレッシャーは正直あるのですが、それに負けることなくU23全日本選手権での優勝を狙っていきたい」と新体制での豊富を語ってくれた。
中村龍太郎(SNEL CYCLOCROSS TEAM) BOMA L'EPICE R
3シーズン目となるSNEL CYCLOCROSS TEAMは、大田区のプロショップ「バイクショップSNEL」が母体となり、同代表でヨーロッパ選手経験を持つ諏訪孝浩氏が監督を務めるチーム。今年はロード個人タイムトライアルチャンピオンである中村龍太郎を加えて話題を呼んでいる。
チームバイクは去年から継続し、BOMAのCX中心的存在であるL'EPICE Rを使う。T700カーボンやフルカーボンフォークの導入により剛性向上と軽量化を狙ったピュアレーシングマシンだ。「比較的硬く、クイックなハンドリングと相まって完全なレースバイク。お気に入りですよ」とは中村。このバイクはシマノ製コンポーネントを中心としているが、カンチブレーキのみ絶版のカンパニョーロが取り付けられており、ホイールやバーテープ、各種ワイヤー類のグリーンが目を引く。
タイヤは継続してヴィットリアを使い、チューブレスタイヤも積極的に実戦投入していく予定で、「ドライなコースならチューブラーとの差もほぼありませんし、扱いやすいので一般の方々にお勧めしたいですね」とは諏訪代表。また今季よりマッド用タイヤはあえて細身の31Cを投入し、フレームとのクリアランスを開けることで泥つまり対策をするという。ホイールはPAX PROJECTもしくはBOMAで選択制、サドルはヴィットリア・ジャパンが取り扱うアスチュートだ。
中村は今シーズンの抱負を次のように語る。「ロードがメインではあるのですが、UCIレースであるマキノや野辺山でのポイント獲得が大きな目標です。大学時代からシクロクロスに参戦していたものの、個人参加だったので野辺山のようなコンディションではバイクチェンジができなかった。今季はチームとしてサポート頂けるので心強いですね」。
武田和佳(Liv)
今年からLivのアンバサダーとなり、体制を一新した武田和佳。シーズン初戦となる宇都宮シクロクロスエキシビジョンで優勝し、続く茨城シクロクロスでは2位に入った。
バイクはLiv唯一のシクロクロスラインナップである、アルミモデルの「BRAVA SLR」。男性が羨んでしまうほど手の込んだペイントが魅力的な一台だが、完成車で155,000円という価格設定のバイクであるため、戦闘力を上げるためにフレームシートポスト、サドルを残してほぼ全てに手が加えられている。
通常アルミコラムのフロントフォークはTCX ADVANCED用のフルカーボン製OverDrive 2規格対応品に交換され、フレームに合わせたペイントを台湾本社で特別に施工。それに伴ってヘッドベアリング類も全て取り替えているという。ホイールはジャイアントのシクロクロス用カーボンチューブレスモデル「P-CXR0」を投入し、IRCのSERAC CXを組み合わせた。
武田は「フレーム自体はアルミで若干重量も感じるのですが、女性用のジオメトリでサイズもバッチりなので力も伝わりやすく、操作もし易くて気に入ってます。デザインも凝っていますし、女性受けしやすいですよね」とコメント。個人的な目標は飯山での全日本選手権優勝と、その先にある世界選手権へのチャレンジ。「フィジカルも技術も昨年より確実に上がっていることを実感しています。しっかりと計画立てたスケジュールを組んで、来年以降につながるシーズンにしたいですね」。
上記4名以外にも、取材次第随時トップ選手のバイクを紹介していく予定だ。
text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano
Amazon.co.jp