和歌山国体最終日、橋本英也と今村駿介は成年・少年4km速度で、成年ケイリンは森本尊也が大会連覇を達成。成年ポイントは荒井佑太が制し、窪木一茂は5位に。総合は和歌山県が102点を獲得し、堂々の優勝を飾った。
和歌山国体最終日トラック4日目が10月1日(木)、和歌山競輪場で行なわれた。次第に雨が降り出す天候のなか、6種目の決勝でさらに加点した和歌山県が総合優勝を果たした。
女子スクラッチ 8km
女子スクラッチ 塚越さくら(鹿屋体育大学院)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI公開競技として行なわれ、中盤以降は鹿屋体育大勢と日本体育大勢、そしてただひとりU17の細谷夢菜(埼玉・浦和工業高)の戦いに。上野みなみ(鹿屋体育大院)が単独抜け出し、これを日本体育大勢が追走、ラスト2周で塚越さくら(鹿屋体育大)が抜け出して最終第3コーナーで上野をかわし、後方では江藤里佳子(鹿屋体育大)も抜け出して鹿屋がワン・ツーを決めた。なお女子のチームスプリント、ケイリン、スクラッチの3種目が来年の岩手国体から正式種目となる。
1位 塚越さくら(鹿児島・鹿屋体育大院)10分41秒12
2位 江藤里佳子(大分・鹿屋体育大)
3位 小島蓉子(千葉・日本体育大院)
4位 細谷夢菜(埼玉・浦和工業高)
5位 上野みなみ(青森・鹿屋体育大院)
6位 中村妃智(千葉・日本体育大)
7位 齋藤望(宮城・日本体育大)
8位 谷伊央里(群馬・日本体育大)
少年ポイントレース 24km
少年ポイントレース 優勝した金田優作(鳥取県)と2位の徳田匠(京都府) photo:Hideaki TAKAGI大きな逃げのできない僅差の戦いに。第1回目のポイント周回で5点を獲得した金田優作(鳥取・倉吉総合産業高)が優勝。最終周回、徳田匠(京都・北桑田高)はゴールポイント1位ならば逆転優勝だったが石井駿平(群馬・前橋工業高)が差して20cmほど届かず2位になった。
1位 金田優作(鳥取)20点
2位 徳田匠(京都)18点
3位 貝原涼太(福岡)16点
4位 石井駿平(群馬)11点
5位 竹澤啓介(福井)11点
6位 中川涼(埼玉)10点
7位 小玉和寿(福島)8点
8位 近藤翔馬(愛媛)6点
成年ポイントレース 30km
地元で大本命の窪木一茂(和歌山・和歌山県教委/チーム右京)と昨年大会覇者の倉林巧和(群馬・日本体育大院/群馬グリフィン)の2人は集団からマークされ、得意の逃げからのスプリントの体勢に持ち込むことができない。75周30kmのレースでも逃げはできず、ポイント周回はマークとスプリントの勝負に持ち込まれる。
成年ポイントレース 優勝の荒井佑太(宮城県) photo:Hideaki TAKAGI
成年ポイントレース 中盤、上位選手たち photo:Hideaki TAKAGI
最終周回、2013年アジア選手権ジュニアポイントレースチャンピオンの原井博斗(福岡・中央大)がポイントトップでリードしていたが、1点差2位だった荒井佑太(宮城・法政大)がゴールポイントで競り合い、荒井が2点獲得、原井が1点獲得で同点に。ゴールの着順により荒井の優勝が決まった。
成年ポイントレース ゴールポイントで原井博斗(福岡県)をかわし優勝の荒井佑太(最奥、宮城県) photo:Hideaki TAKAGI
1位 荒井佑太(宮城)18点
2位 原井博斗(福岡)18点 ゴール着順による
3位 吉田隼人(奈良)17点
4位 高橋優斗(大分)15点
5位 窪木一茂(和歌山)13点
6位 浦田真成(岐阜)13点
7位 倉林巧和(群馬)12点
8位 片桐善也(新潟)12点
少年4km速度競走
少年4km速度競走 今村駿介(福岡県)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI序盤に2本の先頭責任を完了させたポイントレースジュニア世界チャンピオンの今村駿介(福岡・祐誠高)は落ち着いてレースを展開。中盤から安川義道(奈良・榛生昇陽高)が4周を逃げるが吸収。6人の先頭責任完了者によるゴール勝負となり、今村が制し優勝した。
1位 今村駿介(福岡)4分47秒572
2位 永橋湧也(和歌山)
3位 安彦統賀(埼玉)
4位 山田諒(岐阜)
5位 長松大祐(大分)
6位 安川義道(奈良)
7位 平田裕貴(熊本)
8位 小松原正登(福井)
成年4km速度競走
予選から有力選手たちが集中したこの成年4km速度競走。決勝に駒を進めた10人のなかで小林泰正(群馬・日本体育大)は昨年の覇者。橋本英也(岐阜・鹿屋体育大)は岐南工高時代に同種目を2連覇しているが、鎖骨骨折からまだ18日しか経っていない。8月のインカレポイントレースでは小林が橋本を徹底マークして優勝。前日の準決勝では逆に橋本が小林を徹底マークして小林はぎりぎりで決勝進出を決めた。
成年4km速度競走 橋本英也(岐阜県)と小林泰正(群馬県) photo:Hideaki TAKAGI
成年4km速度競走 最終周回、橋本英也(岐阜県)が逃げる photo:Hideaki TAKAGI
レースは4周目から独走を開始した原田裕成(岡山・鹿屋体育大)のために他選手は先頭責任が取れない。個人追抜きを4分33秒で走る原田の逃げはラスト2周まで続く。ここで伊藤和輝(東京・早稲田大)が抜け出し、そして橋本が鋭くアタックして最終周回に入るホームで先頭責任を完了させると後続を引き離し圧巻の優勝。ハイペースのレースは橋本の勝負強さが光った。
1位 橋本英也(岐阜)4分39秒05
2位 原田裕成(岡山)
3位 伊藤和輝(東京)
4位 廣瀬元輝(福井)
5位 阿部将大(大分)
6位 小林泰正(群馬)
7位 相本祥政(山口)
少年ケイリン
少年ケイリン決勝 三浦大輝(宮城県)が優勝 photo:Hideaki TAKAGIスタート後にペーサー直後に位置取ったのは三浦大輝(宮城・古川工業高)。ペーサー離脱後は山本英弘(岐阜・岐阜第一高)が鋭く先行、一時は10mほど引き離したが、これを三浦が追い込み、かわして優勝を飾った。
1位 三浦大輝(宮城)11秒622
2位 山本英弘(岐阜)
3位 嵯峨昇喜郎(青森)
4位 坂田康季(佐賀)
5位 丹内朋紀(岩手)
6位 伊藤颯馬(沖縄)
7位 吉田英司(福井)
8位 桑名僚也(埼玉)
成年ケイリン
成年ケイリン決勝 森本尊也(高知県)が大会2連覇 photo:Hideaki TAKAGIスタート後にペーサー直後に位置取ったのは森本尊也(高知・明治大)。ペーサー離脱後は佐藤啓斗(青森・早稲田大)が先行したがこれを最終3コーナー前で森本がかわし、小林和希(福岡・明治大)が追い込むものの届かず森本が優勝。森本は昨年に続いて2連覇だ。
1位 森本尊也(高知)10秒628
2位 小林和希(福岡)
3位 藤根俊貴(岩手)
4位 佐藤啓斗(青森)
5位 岡本隼(和歌山)
6位 黒枝咲哉(大分)
7位 深沢拓(山梨)
8位 板倉玄京(千葉)
「5年間でやっとここまで仕上げることができた」和歌山県上野孝監督
総合表彰 photo:Hideaki TAKAGI
102点で総合優勝の和歌山県 photo:Hideaki TAKAGI「地元の声援が彼らを後押ししてくれました」と感謝するのは地元和歌山県の上野孝監督。8月上旬のインターハイが終わってから”相当練習した”と言う。「選手たちをそれまで熟成させてきました。種目を決めておらず、最終段階に入ったのがインターハイが終わってから。そのときに種目を公表しました」と振り返る。総合優勝のためには個人種目の3倍となる団体2種目の成績がカギだったのだ。
「今回の和歌山国体で勝つためには、団体の2種目の決勝進出と窪木のロード優勝はチームにとって最低条件でした。(布居)大地と永橋の2人が上位に来たことも大きかった」と話す。国体総合優勝のために本格的に強化に乗り出したのは5年前。「(岡本)隼が中学3年のオフの時にここで強化を始めました。それからですね」。翌年はその岡本と世界選にも出た森口寛己を3年かけて強化し、日本大へ送り出した。
しかし今年3月、岡本や森口とともに成年で走るはずだった選手が不慮の事故で亡くなる。ここで構想が一気に崩れる。
「串本町から”ツール・ド・フランスに出たい”という中学生が来たんですよ。和歌山北高に入学してから特訓でしたね、彼の場合。才能ではなく努力で強くなりました。彼の国体への想いが強かったです。チームにとっても野武士的な存在感がありました」ー それが故・和田力選手だった。
だがそのことがより一層心がひとつになり、チームがまとまった大きな要素だったと上野監督は語る。厳しい指導で知られる上野監督だが、教え子達は皆慕う。自身も日本大学当時に市川雅敏氏と同期で名選手だったが、指導者の道を歩んで30年以上。「高校のOB達が訪ねてくれるのですが、”先生、まだ甘いですよ”と言ってくれるんですよ」と、上野監督は笑顔で振り返る。
天皇杯 総合得点順位
1位 和歌山県 102点
2位 岐阜県 63点
2位 福岡県 63点
4位 大分県 56点
5位 愛媛県 46点
6位 群馬県 43点
7位 福井県 42点
8位 鳥取県 40点
8位 岡山県 40点
photo&text:高木秀彰
和歌山国体最終日トラック4日目が10月1日(木)、和歌山競輪場で行なわれた。次第に雨が降り出す天候のなか、6種目の決勝でさらに加点した和歌山県が総合優勝を果たした。
女子スクラッチ 8km

1位 塚越さくら(鹿児島・鹿屋体育大院)10分41秒12
2位 江藤里佳子(大分・鹿屋体育大)
3位 小島蓉子(千葉・日本体育大院)
4位 細谷夢菜(埼玉・浦和工業高)
5位 上野みなみ(青森・鹿屋体育大院)
6位 中村妃智(千葉・日本体育大)
7位 齋藤望(宮城・日本体育大)
8位 谷伊央里(群馬・日本体育大)
少年ポイントレース 24km

1位 金田優作(鳥取)20点
2位 徳田匠(京都)18点
3位 貝原涼太(福岡)16点
4位 石井駿平(群馬)11点
5位 竹澤啓介(福井)11点
6位 中川涼(埼玉)10点
7位 小玉和寿(福島)8点
8位 近藤翔馬(愛媛)6点
成年ポイントレース 30km
地元で大本命の窪木一茂(和歌山・和歌山県教委/チーム右京)と昨年大会覇者の倉林巧和(群馬・日本体育大院/群馬グリフィン)の2人は集団からマークされ、得意の逃げからのスプリントの体勢に持ち込むことができない。75周30kmのレースでも逃げはできず、ポイント周回はマークとスプリントの勝負に持ち込まれる。


最終周回、2013年アジア選手権ジュニアポイントレースチャンピオンの原井博斗(福岡・中央大)がポイントトップでリードしていたが、1点差2位だった荒井佑太(宮城・法政大)がゴールポイントで競り合い、荒井が2点獲得、原井が1点獲得で同点に。ゴールの着順により荒井の優勝が決まった。

1位 荒井佑太(宮城)18点
2位 原井博斗(福岡)18点 ゴール着順による
3位 吉田隼人(奈良)17点
4位 高橋優斗(大分)15点
5位 窪木一茂(和歌山)13点
6位 浦田真成(岐阜)13点
7位 倉林巧和(群馬)12点
8位 片桐善也(新潟)12点
少年4km速度競走

1位 今村駿介(福岡)4分47秒572
2位 永橋湧也(和歌山)
3位 安彦統賀(埼玉)
4位 山田諒(岐阜)
5位 長松大祐(大分)
6位 安川義道(奈良)
7位 平田裕貴(熊本)
8位 小松原正登(福井)
成年4km速度競走
予選から有力選手たちが集中したこの成年4km速度競走。決勝に駒を進めた10人のなかで小林泰正(群馬・日本体育大)は昨年の覇者。橋本英也(岐阜・鹿屋体育大)は岐南工高時代に同種目を2連覇しているが、鎖骨骨折からまだ18日しか経っていない。8月のインカレポイントレースでは小林が橋本を徹底マークして優勝。前日の準決勝では逆に橋本が小林を徹底マークして小林はぎりぎりで決勝進出を決めた。


レースは4周目から独走を開始した原田裕成(岡山・鹿屋体育大)のために他選手は先頭責任が取れない。個人追抜きを4分33秒で走る原田の逃げはラスト2周まで続く。ここで伊藤和輝(東京・早稲田大)が抜け出し、そして橋本が鋭くアタックして最終周回に入るホームで先頭責任を完了させると後続を引き離し圧巻の優勝。ハイペースのレースは橋本の勝負強さが光った。
1位 橋本英也(岐阜)4分39秒05
2位 原田裕成(岡山)
3位 伊藤和輝(東京)
4位 廣瀬元輝(福井)
5位 阿部将大(大分)
6位 小林泰正(群馬)
7位 相本祥政(山口)
少年ケイリン

1位 三浦大輝(宮城)11秒622
2位 山本英弘(岐阜)
3位 嵯峨昇喜郎(青森)
4位 坂田康季(佐賀)
5位 丹内朋紀(岩手)
6位 伊藤颯馬(沖縄)
7位 吉田英司(福井)
8位 桑名僚也(埼玉)
成年ケイリン

1位 森本尊也(高知)10秒628
2位 小林和希(福岡)
3位 藤根俊貴(岩手)
4位 佐藤啓斗(青森)
5位 岡本隼(和歌山)
6位 黒枝咲哉(大分)
7位 深沢拓(山梨)
8位 板倉玄京(千葉)
「5年間でやっとここまで仕上げることができた」和歌山県上野孝監督


「今回の和歌山国体で勝つためには、団体の2種目の決勝進出と窪木のロード優勝はチームにとって最低条件でした。(布居)大地と永橋の2人が上位に来たことも大きかった」と話す。国体総合優勝のために本格的に強化に乗り出したのは5年前。「(岡本)隼が中学3年のオフの時にここで強化を始めました。それからですね」。翌年はその岡本と世界選にも出た森口寛己を3年かけて強化し、日本大へ送り出した。
しかし今年3月、岡本や森口とともに成年で走るはずだった選手が不慮の事故で亡くなる。ここで構想が一気に崩れる。
「串本町から”ツール・ド・フランスに出たい”という中学生が来たんですよ。和歌山北高に入学してから特訓でしたね、彼の場合。才能ではなく努力で強くなりました。彼の国体への想いが強かったです。チームにとっても野武士的な存在感がありました」ー それが故・和田力選手だった。
だがそのことがより一層心がひとつになり、チームがまとまった大きな要素だったと上野監督は語る。厳しい指導で知られる上野監督だが、教え子達は皆慕う。自身も日本大学当時に市川雅敏氏と同期で名選手だったが、指導者の道を歩んで30年以上。「高校のOB達が訪ねてくれるのですが、”先生、まだ甘いですよ”と言ってくれるんですよ」と、上野監督は笑顔で振り返る。
天皇杯 総合得点順位
1位 和歌山県 102点
2位 岐阜県 63点
2位 福岡県 63点
4位 大分県 56点
5位 愛媛県 46点
6位 群馬県 43点
7位 福井県 42点
8位 鳥取県 40点
8位 岡山県 40点
photo&text:高木秀彰
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