2015/08/24(月) - 12:55
開催20回目を迎えたドイツ最大のヴァッテンフォール・サイクラシックス(UCIワールドツアー)で、前年度覇者クリストフを打ち破ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)が初勝利。大成功の2015年シーズンにもう一つタイトルを加えた。
2015年大会はドイツ北部のキール港をスタート photo:Tim de Waele
レース序盤から逃げたアレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)ら photo:Tim de Waeleヴァッテンフォール・サイクラシックスは今年で開催20回目を迎える比較的若いクラシックレース。ドイツ唯一のUCIワールドツアーレースだ。
ヴァーゼベルグでアタックを仕掛けたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング) photo:Tim de Waele例年ハンブルグを発着するコースが設定されていたが、2015年は開催20回を記念して北部の町キールをスタート。グローセル・プレーナー湖を経てエルベ川に至り、そこから最大勾配15%のヴァーゼベルグを含むハンブルグのテクニカルな周回コースを3周する。ヴァーゼベルグでアタックが繰り返され、スプリンターチームが逃げを潰しにかかるのが例年の展開だ。
最後のヴァーゼベルグで飛び出したリーナス・ゲルデマン(ドイツ、クルトエナジー)とジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele221.3kmコースはスプリンター向きだが、逃げ切りの可能性もあるワンデークラシック。トレックファクトリーレーシングの別府史之はジャコモ・ニッツォロ(イタリア)のアシストとして7度目の出場を迎えた。
メイン集団を牽引するカチューシャ photo:Tim de Waeleバルト海の玄関口キール港に停泊したフェリーの中をレースはスタート。アレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)、マッテーオ・ボノ(イタリア、ランプレ・メリダ)、ヤン・バルタ(チェコ、ボーラ・アルゴン18)、マルティン・モルテンセン(デンマーク、クルトエナジー)の4名がすぐさま逃げグループを形成したが、MTNキュベカやロット・ソウダル、カチューシャ率いるメイン集団から決定的なリードは奪えなかった。
スプリントで競り合うアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)とアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:Tim de Waeleハンブルグを一旦通過して周回コースに入ると、メイン集団からフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)らが飛び出して先頭に合流。しかしスプリンターチームを振り切ることが出来ずに吸収されてしまう。
集団スプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Tim de Waele最後のヴァーゼベルグでアタックを仕掛けたディラン・テウンス(ベルギー、BMCレーシング)に合流する形でリーナス・ゲルデマン(ドイツ、クルトエナジー)とジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)の2名が先行。10秒ほどのリードを得たゲルデマンとアラフィリップだったが、カチューシャ率いるメイン集団に残り10kmで吸収された。
難所を終えて一つに戻った集団がハンブルグに向かう平坦路に差し掛かると、集団スプリントに持ち込みたくないディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)やフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)らがアタックを連発。しばらく独走したサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)も吸収され、いよいよカチューシャ、ロット・ソウダル、ジャイアント・アルペシン、エティックス・クイックステップによるリードアウトバトルが本格化した。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)が落車で脱落し、カチューシャとロット・ソウダルが先頭で競り合いながら残り1km。最終発射台ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、カチューシャ)に発射される形でアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)が大会連覇に向けてスプリントを開始した。
残り200mからの勝ちパターンに持ち込んだクリストフだったが、その後ろからロット・ソウダルジャージが勢い良く迫った。ドイツの観客に見守られる中、グライペルがフィニッシュ手前でクリストフをパス。グライペルの力強いガッツポーズが決まった。
「惜しいところで勝利を逃し続けてきたこのレースでようやく勝つことが出来た」とグライペル。2010年3位、2012年2位、2013年2位と、これまで3回表彰台に上りながら優勝を逃し続けていたグライペルがようやく母国最大レースで勝利した。
「実はレース序盤、用を足すためにレース脇に止まったところを後ろから衝突されて落車。痛みが残ったし、その後でグレッグ・ヘンダーソンやイェンス・デブシェール、ユルゲン・ルーランズも落車したので、いつもより少ない人数でスプリントに挑むことになった。残り3kmの時点で集団前方に上がっている必要があるとチームメイトに告げ、マルセル・シーベルグに連れられてクリストフの番手を取ってスプリント。彼を追い抜く脚が残っていて良かったよ。ドイツのUCIワールドツアーレースで勝つのはこれが初めて。とてもスペシャルであり、自分のキャリアにこの勝利を加えることを誇りに思う」。33歳のジャーマンスプリンターは今シーズン15勝目を喜んだ。
選手コメントはチーム公式サイトより。
2位アレクサンダー・クリストフ、1位アンドレ・グライペル、3位ジャコモ・ニッツォロ photo:Tim de Waele
ヴァッテンフォール・サイクラシックス2015結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 4h57’05”
2位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
3位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
4位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
5位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
6位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)
7位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、ティンコフ・サクソ)
8位 ラモン・シンケルダム(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
9位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 ラスムス・グルトハマー(デンマーク、クルトエナジー)
123位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング) +9’18”
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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難所を終えて一つに戻った集団がハンブルグに向かう平坦路に差し掛かると、集団スプリントに持ち込みたくないディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)やフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)らがアタックを連発。しばらく独走したサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)も吸収され、いよいよカチューシャ、ロット・ソウダル、ジャイアント・アルペシン、エティックス・クイックステップによるリードアウトバトルが本格化した。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)が落車で脱落し、カチューシャとロット・ソウダルが先頭で競り合いながら残り1km。最終発射台ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、カチューシャ)に発射される形でアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)が大会連覇に向けてスプリントを開始した。
残り200mからの勝ちパターンに持ち込んだクリストフだったが、その後ろからロット・ソウダルジャージが勢い良く迫った。ドイツの観客に見守られる中、グライペルがフィニッシュ手前でクリストフをパス。グライペルの力強いガッツポーズが決まった。
「惜しいところで勝利を逃し続けてきたこのレースでようやく勝つことが出来た」とグライペル。2010年3位、2012年2位、2013年2位と、これまで3回表彰台に上りながら優勝を逃し続けていたグライペルがようやく母国最大レースで勝利した。
「実はレース序盤、用を足すためにレース脇に止まったところを後ろから衝突されて落車。痛みが残ったし、その後でグレッグ・ヘンダーソンやイェンス・デブシェール、ユルゲン・ルーランズも落車したので、いつもより少ない人数でスプリントに挑むことになった。残り3kmの時点で集団前方に上がっている必要があるとチームメイトに告げ、マルセル・シーベルグに連れられてクリストフの番手を取ってスプリント。彼を追い抜く脚が残っていて良かったよ。ドイツのUCIワールドツアーレースで勝つのはこれが初めて。とてもスペシャルであり、自分のキャリアにこの勝利を加えることを誇りに思う」。33歳のジャーマンスプリンターは今シーズン15勝目を喜んだ。
選手コメントはチーム公式サイトより。
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ヴァッテンフォール・サイクラシックス2015結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 4h57’05”
2位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
3位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
4位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
5位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
6位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)
7位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、ティンコフ・サクソ)
8位 ラモン・シンケルダム(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
9位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 ラスムス・グルトハマー(デンマーク、クルトエナジー)
123位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング) +9’18”
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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