8月9日(日)、長野県白馬村において全国ユース選抜マウンテンバイク大会 が開催された。子供たちの大会ながら、学年別にチャンピオンジャージを争う、日本全国の小中学生たちにとってのMTB全日本選手権ともいうべき大会だ。



強烈な暑さの中スタートしていく小学6年生クラス強烈な暑さの中スタートしていく小学6年生クラス photo:Makoto.AYANO
白馬村のスノーハープ クロスカントリー競技場で開催された「全国ユース選抜マウンテンバイク大会」。この名称になっての初回大会ではあるが、前年まで13回にわたって開催されていた伝統ある「全国小学生・中学生マウンテンバイク大会」にとって代わる大会だ。

シニアのMTBレース大会においてJMA(日本マウンテンバイク協会)の主催する「Jシリーズ」が、今年度よりJCF(日本自転車競技連盟)の主催する「Coupe du Japon(CJ)」としてとって代わったのと同じように、この大会も昨年までのJMA主催の小中学生マウンテンバイク大会の形態をほぼ引き継ぐ形で、新たな大会として開催された。

スタートしてすぐに激坂セクション「太鼓橋の登り」が待っているスタートしてすぐに激坂セクション「太鼓橋の登り」が待っている photo:Makoto.AYANO太鼓橋の登りで競り合う小学5年生クラス太鼓橋の登りで競り合う小学5年生クラス photo:Makoto.AYANO


女子U17クラスが太鼓橋への登りセクションを行く。ダッシュを決めたのは松本璃奈(Mashun.com)女子U17クラスが太鼓橋への登りセクションを行く。ダッシュを決めたのは松本璃奈(Mashun.com) photo:Makoto.AYANO長野五輪XCスキーで使用された電光掲示板がレース速報を伝える長野五輪XCスキーで使用された電光掲示板がレース速報を伝える photo:Makoto.AYANO


ちなみにJMA主催の小中学生マウンテンバイク大会は名前を変えずに継続して開催されており、今年度の14回大会は7月19日に千葉・幕張で開催済み。両大会ともに参加する選手たちも多いが、日本自転車競技連盟主催の本大会が、今後オリンピックなどに向けた選手育成・強化などに関する選考などの基準大会になる。なおこの大会はCoupe du Japonの地区レベル公認大会「CJ2」の格付けがされている。

各学年の覇者たちが栄光のチャンピオンジャージに身を包む 各学年の覇者たちが栄光のチャンピオンジャージに身を包む  photo:Makoto.AYANOレースのクラス分けは、小学生が1年生から6年生の学年・性別ごと。昨年までの小・中学生大会では中学1年・2年・3年男子、中学女子のクラス分けがされていたが、13歳以上の年齢の選手についてはCJと同様に、UCI規則に従った年齢別の競技者カテゴリーが採用されるため、ユースU17、U15のクラス分けに変更された。つまり中学生からは学年違いでも一緒にレースを走ることになる。

JCF公認大会となったことで大会の格式が上がったと同時に、大会スポンサーであるウエイブワンからは各クラス優勝者にチャンピオンジャージが提供されるべく用意された。日本の国旗をもとにした赤白のナショナルチャンピオンジャージとは異なるが、年代別チャンピオンへの栄冠としてふさわしいデザインのカラフルなジャージだ。胸には「National Invitational Youth Mountain bike HAKUBA」の文字が、背面には「Coupe du Japon MTB」のロゴと、白馬のゆるキャラ「ヴィクトワール・シュヴァルブラン・村男III世」があしらわれるのがユニーク。

男子ユースU17クラスは全日本ユースチャンプの北林力が制覇

CJ-1大会でも採用された一本橋ラダーセクションを行くU17の選手たちCJ-1大会でも採用された一本橋ラダーセクションを行くU17の選手たち photo:Makoto.AYANO
独走状態でゲレンデの登り区間を行く北林 力(WESTBERG/ProRideJ)独走状態でゲレンデの登り区間を行く北林 力(WESTBERG/ProRideJ) photo:Makoto.AYANO注目を集めるU17クラス。2020東京オリンピックに向け、この世代の若者に注がれる視線はますます熱い。このクラスの優勝者から代表選手が生まれる可能性は十分にある。

U17男子で実力通りの走りを披露したのは北林力(WESTBERG/ProRideJ)。一周目は梶鉄輝(Sonic-Racing)が北林の後輪に食らいついたが、その後の3周は独走状態に。北林はこのクラスのコースのみに採用された(CJ1白馬大会でも使われた)ラダーセクションもハイスピードでクリアし、テクニックともに同世代からは抜きん出ていることを証明した。昨年は中学3年生クラスで優勝した北林は、初回で最後のチャンスの今大会U17でも優勝を飾った。

ユース男子U17で余裕の勝利を決めた北林 力(WESTBERG/ProRideJ)ユース男子U17で余裕の勝利を決めた北林 力(WESTBERG/ProRideJ) photo:Makoto.AYANO
北林は顔立ちから分かる通りニュージーランド人の父と日本人の母をもつハーフ。その父は白馬いちのダウンヒルテクニックをもつマウンテンバイカーだという。現在フォームの改造に取り組んでいると言い、目標はもちろんオリンピック選手になることだ。

また、続くカテゴリーの男子ユースU15は、北林と同じWESTBERG/ProRideJに所属する山口創平(滋賀)が制した。改めて紹介しておくと、北林と山口は7月の全日本マウンテンバイク選手権大会の、男子ユースの1・2位の選手である。

ユースU17を制した北林 力(WESTBERG/ProRideJ)チャンピオンジャージに身を包むユースU17を制した北林 力(WESTBERG/ProRideJ)チャンピオンジャージに身を包む photo:Makoto.AYANO男子ユースU15でトップを独走する山口創平(WESTBERG/ProRide)男子ユースU15でトップを独走する山口創平(WESTBERG/ProRide) photo:Makoto.AYANO


女子ユースU17クラスを制したのは小林あか里(MTBクラブ安曇野)。御存知の通り元XC女王・小林可奈子さんの娘さんだ。昨年は中学女子の部で2位だったが、嬉しい優勝を果たした。小林と1周目にバトルを演じたのは松本駿(スコット)の娘さんである松本璃奈(Mashun.com)。今も日本のMTBシーンをリードする2選手の娘、つまり2世同士の闘いは会場の興味を惹いたが、松本璃奈は先週のCJ大会での落車で負った打撲症が響いて途中から後退、4位に終わった。

女子ユースU17で優勝した小林 あか里(MTBクラブ安曇野)女子ユースU17で優勝した小林 あか里(MTBクラブ安曇野) photo:Makoto.AYANO


小学生は1年から6年生まで、男女それぞれのクラスで熱戦が展開された。第1回大会ではあるものの、前年度の小中学生大会の順位は参考としてスタートリストにも記され、年越しの連覇のかかる選手も多かった。レースは学年ごとのテクニックレベルに応じるべく、細かくコースが変更されて開催された。各クラスの熱戦の模様はここでは書ききれないが、フォトアルバムでその様子をご参照いただきたい。

小学6年生クラスを制した鈴木晧士(都留市立谷村第一小学校)小学6年生クラスを制した鈴木晧士(都留市立谷村第一小学校) photo:Makoto.AYANO昨年の小学4年生に続き5年生クラスを制して連覇を達成した綾野 尋(所沢市立山口小学校)昨年の小学4年生に続き5年生クラスを制して連覇を達成した綾野 尋(所沢市立山口小学校) photo:Makoto.AYANO


昨年の小学4年生に続き5年生クラスを制して連覇を達成した中島瞳(チームK)昨年の小学4年生に続き5年生クラスを制して連覇を達成した中島瞳(チームK) photo:Makoto.AYANO小学4年生を制した遠藤 紘介(岡山大学教育学部附属小学校)小学4年生を制した遠藤 紘介(岡山大学教育学部附属小学校) photo:Makoto.AYANO


小学3年生を制した山田 愛太(白馬村立白馬北小学校)小学3年生を制した山田 愛太(白馬村立白馬北小学校) photo:Makoto.AYANO小学2年生を制した飯塚 嵐(江戸川区立春江小学校)小学2年生を制した飯塚 嵐(江戸川区立春江小学校) photo:Makoto.AYANO


小学1年生のスタート 小学1年生のスタート  photo:Makoto.AYANO小学1年生を制した佐竹 清亮(浦安市立入船小学校)小学1年生を制した佐竹 清亮(浦安市立入船小学校) photo:Makoto.AYANO


好評のキッズ向けトレーニングキャンプも開催

2日間開催の初日はおもに大会参加の保護者向けに「ダディ」(男性)、マム(女性)、そして一般の人に体験してもらうことを目的とした「スポーツ」が開催される。

そして子供向けには協会公認インストラクターや国内トップの選手が講師をつとめる「トレーニング・キャンプ」が開催。子供たちは誰でも無料参加することができる。今年の講師陣は、小笠原崇裕、松尾純(ミヤタ・メリダ)、松本駿(チームスコット)、丸山八智代(スペシャライズド)、今田大三(国際アウトドア専門学校講師)さんら。この日は半日の体験プログラムだが、この日までの1週間でMTBサマーキャンプ in 白馬さのさかも開催されており、夏休みをこの白馬で過ごした子供たちはその締めくくりの力試しとしてこの日を迎えている。白馬はかつて20年以上前にそうだったように、再びMTBの聖地として盛り上がりつつあるように感じる。

チャンピオンジャージに身を包んだ各クラスの優勝者たちの集合写真チャンピオンジャージに身を包んだ各クラスの優勝者たちの集合写真 photo:Makoto.AYANO

全国ユース選抜マウンテンバイク大会2015 リザルト(JCFより)

男子ユースU17 3.5Km×4Laps=14.0km
1位 北林力(WESTBERG/ProRideJ) 45:15.41
2位 梶鉄輝(Sonic-Racing) 46:47.40
3位 伊藤旭(TEAM Gamadas) 47:10.43

女子ユースU17 3.2Km×2Laps=6.4km
1位 小林あか里(MTBクラブ安曇野) 20:42.14
2位 川口うらら(菖蒲谷キッズ) 21:28.95
3位 渡部春雅(川崎市立はるひ野中学校)

男子ユースU15 3.2Km×3Laps=9.6km
1位 山口創平(WESTBERG/ProRide) 27:08.45
2位 上野悠佑太(バイクルームシン& MOMO) 28:39.50
3位 有村登紀(霧島市立国分中学校)

小学6年生 3.0Km×2Laps=6.0km
1位 鈴木晧士(都留市立谷村第一小学校) 18:05.95
2位 山下柊(旭川市立神居小学校) 18:09.53
3位 瀬戸口瑛(南大隅町立神山小学校) 18:16.08

小学5年生 2.9Km×2Laps=5.8km
1位 綾野尋(所沢市立山口小学校) 17:48.38
2位 落合康生(武蔵野市立境南小学校) 18:08.20
3位 小林温(つくば市立栄小学校) 18:15.95

小学4年生 2.2Km×2Laps=4.4km
1位 遠藤紘介(岡山大学教育学部附属小学校) 14:25.02
2位 古江昴太(砂川市立空知太小学校) 15:20.98
3位 高橋翔(西東京市立東小学校)15:37.45

小学3年生 2.0Km×2Laps=4.0km
1位 山田愛太(白馬村立白馬北小学校) 13:36.66
2位 村上ヒカル(西予市立多田小学校) 13:36.83
3位 遠藤弓弦(富津市立環小学校) 14:07.29

小学2年生 2.0Km×1Laps=2.0km
1位 飯塚嵐(江戸川区立春江小学校) 7:09.23
2位 松永陽向(熊本市立池田小学校) 7:10.29
3位 成田光志(須賀川市立第一小学校) 7:16.23

小学1年生 1.9Km×1Laps=1.9km
1位 佐竹清亮(浦安市立入船小学校) 7:09.37
2位 堀金陽(松本市立清水小学校) 7:12.76
3位 山田緑美(白馬村立白馬北小学校) 7:14.88

photo&text:Makoto.AYANO

フォトアルバム(CW FaceBook)
※ダディ、マム、スポーツ各クラス キッズキャンプの写真を追加掲載しました

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