2015/08/06(木) - 09:06
今年も熱狂のうちに幕を降ろしたツール・ド・フランス2015。世界中からえりすぐられた選手たちが織りなす戦いが主役であることは間違いないが、それを応援する観客がいなければツールは成り立たない。世界一観客と選手が近い競技と言われるサイクルロードレースのもう一つの主役、ファンたちの姿をお届け。「ハシケン」こと橋本謙司がレポートします。
ファンも主役のひとり
カナダのシンボル、巨大カエデ!?中身はとってもスリムな美女なのでしょう
もはやツールの応援なのかどうかもわかりません
憧れの選手たちを前に大興奮の子どもたち
引退がウワサされる悪魔おじさんが登場!
ちょっとワルそうなニセモノ悪魔おじさん登場!?
空撮用のヘリコプターのプロペラ音が聞こえ出すと、いよいよボルテージも最高潮。先頭から最終グルペットが通過するまで約30分の間、選手とファンが一体となりラルプデュエズは熱く燃え上がった。しかも、フランスの期待のティボー・ピノ(FDJ)が先頭で駆け上がり山岳最終決戦を制したことで、その盛り上がりは最高潮に達した。
この一瞬のために、ファンはオリジナルの応援グッズを作り、キャンプングカーに飾り付けをしたりする。決して同じ応援スタイルはなく、とにかく個性に溢れ華やかだ。日本国内でも、さいたまクリテリウムやジャパンカップなど、サイクルロードレースを観戦するチャンスがある。本場のファンのスタイルを参考にしながら、レースを盛り上げるワンピースとなって現地へ足を運ぼう。ファンもレースを盛り上げる主役のひとりだ。最後に今年のツールの山岳を盛り上げたファンの皆さんを紹介しよう。
今年は赤い水玉が多かった!?
今年は赤い水玉が多かった!?
地元フランスチームのアージェードゥーゼルのファンは多い
「アレ!アレ!アレー!」コース上に途絶えることなく続く鈴なりの大声援はツール・ド・フランスの風物詩だ。今年も毎ステージ熱いレースが展開されたツールを盛り上げたのは、熱狂的な沿道のファンたちだった。
彼らはキャンピングカーで毎日レースを追いかけながらフランスの夏の休暇を過ごす。ツールが通過する村はお祭り騒ぎで、自転車をモチーフにした手作りのオブジェなどが村中に華やかに装飾される。そして、家族三世代が仲良く沿道に並んで選手たちを迎える。
応援時の定番スタイルは、応援グッズを手に、イエローかグリーンか赤い水玉のいずれかのジャージ姿だ。コース上の中間スプリントポイント区間は見事にグリーンで埋め尽くされ、アルプス山塊は言わずもがな赤い水玉に染まる。今年の一番人気は、山岳賞が誕生して40周年を迎えることもあり「マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ」だったようだ。
3賞ジャージ以外にも、ひいきのチームのレプリカジャージ姿も多く、地元フランス籍チームのAG2Rラモンディアール、エフデジ(FDJ)、ユーロップカーのファンはやはり多い。
国際化する世界中の応援団
コロンビアの大応援団がキンタナを後押しした
全員でフランス国家を大合唱!
今年も日本から多くのファンが訪れた
はじめてのツールに大興奮の日本の学生たち
こちらはベルギーの若者たち
自国選手のワレン・バルギル(ジャイアント・アルペシン)応援団
選手も観客も力が入る山岳ステージ。総合順位が決するアルプス最終ステージともなればなおさらだ。とくに、今年はツールの代名詞とも言うべきラルプデュエズが頂上ゴールだった。
2000年代に入ってツールは国際化が進み、沿道の応援は国際色豊かだ。フランス、スペイン、イタリア、ドイツなどはもちろん、北欧、アメリカからもファンがやってくる。ペーター・サガン(ティンコフ・サクソ)のスロバキアや、ナイロ・キンタナ(モビスター)のコロンビアなど、スーパースターのいる小国の大応援団も目立つ。国ごとにファンが集まって一緒に自国選手を応援するスタイルをよく見かけた。
ラルプデュエズの7番カーブ 通称「オランダコーナー」
オランダコーナーの熱狂
オランダトリコロールに彩られたキャンピングカー
オランダ国旗の中に4人が入っている。裏から見てもオランダだ。ひいきはヘーシンク?
21のスイッチバックでつなぐ登坂距離13.4kmのラルプデュエズ。その7番コーナーは、オレンジに染め上げられる。かつてこの峠でオランダ人選手が活躍したこともあり、すべてのオランダファンがここに集結。選手がやってくる2時間前にキャラバン隊が通過するが、すでにお酒で出来上がり、ドンチャン騒ぎだ。本格的なDJが流れ、7番コーナーだけにはビール販売の巨大テントが立つ。通称「オランダコーナー」には、多くのフランス憲兵隊が配置され、選手が安全に通過できるだけの道を確保するのに必死だ。
選手の通過数分前にコース上でビール瓶が割れたときには、さすがのオランダ人たちも冷静になり、散らかったガラス片を掃除するファンの姿があった。選手たちの進路を塞ぐほどの熱狂ぶりなど、時に選手の走行を妨害するものになりかねない。
オランダコーナーの盛り上がりは度が過ぎている部分もあるが、この選手とファンとの近さこそ、サイクルロードレースの魅力であることも事実だ。選手の中には、自ら観客に声援を求めるジェスチャーを見せたり、選手自身もツールの山岳という特別なステージをファンとともに楽しんでいるように感じた。
text:kenji.hashimoto
ファンも主役のひとり
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空撮用のヘリコプターのプロペラ音が聞こえ出すと、いよいよボルテージも最高潮。先頭から最終グルペットが通過するまで約30分の間、選手とファンが一体となりラルプデュエズは熱く燃え上がった。しかも、フランスの期待のティボー・ピノ(FDJ)が先頭で駆け上がり山岳最終決戦を制したことで、その盛り上がりは最高潮に達した。
この一瞬のために、ファンはオリジナルの応援グッズを作り、キャンプングカーに飾り付けをしたりする。決して同じ応援スタイルはなく、とにかく個性に溢れ華やかだ。日本国内でも、さいたまクリテリウムやジャパンカップなど、サイクルロードレースを観戦するチャンスがある。本場のファンのスタイルを参考にしながら、レースを盛り上げるワンピースとなって現地へ足を運ぼう。ファンもレースを盛り上げる主役のひとりだ。最後に今年のツールの山岳を盛り上げたファンの皆さんを紹介しよう。
今年は赤い水玉が多かった!?
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「アレ!アレ!アレー!」コース上に途絶えることなく続く鈴なりの大声援はツール・ド・フランスの風物詩だ。今年も毎ステージ熱いレースが展開されたツールを盛り上げたのは、熱狂的な沿道のファンたちだった。
彼らはキャンピングカーで毎日レースを追いかけながらフランスの夏の休暇を過ごす。ツールが通過する村はお祭り騒ぎで、自転車をモチーフにした手作りのオブジェなどが村中に華やかに装飾される。そして、家族三世代が仲良く沿道に並んで選手たちを迎える。
応援時の定番スタイルは、応援グッズを手に、イエローかグリーンか赤い水玉のいずれかのジャージ姿だ。コース上の中間スプリントポイント区間は見事にグリーンで埋め尽くされ、アルプス山塊は言わずもがな赤い水玉に染まる。今年の一番人気は、山岳賞が誕生して40周年を迎えることもあり「マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ」だったようだ。
3賞ジャージ以外にも、ひいきのチームのレプリカジャージ姿も多く、地元フランス籍チームのAG2Rラモンディアール、エフデジ(FDJ)、ユーロップカーのファンはやはり多い。
国際化する世界中の応援団
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ラルプデュエズの7番カーブ 通称「オランダコーナー」
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選手の通過数分前にコース上でビール瓶が割れたときには、さすがのオランダ人たちも冷静になり、散らかったガラス片を掃除するファンの姿があった。選手たちの進路を塞ぐほどの熱狂ぶりなど、時に選手の走行を妨害するものになりかねない。
オランダコーナーの盛り上がりは度が過ぎている部分もあるが、この選手とファンとの近さこそ、サイクルロードレースの魅力であることも事実だ。選手の中には、自ら観客に声援を求めるジェスチャーを見せたり、選手自身もツールの山岳という特別なステージをファンとともに楽しんでいるように感じた。
text:kenji.hashimoto