2015/07/27(月) - 11:41
3週間にわたる長い旅路を終えたツール・ド・フランス。2勝した史上13人目の選手として名を連ねたクリス・フルームや、総合上位陣など、今ツールを湧かせた選手たちの言葉で振り返ります。
2度目のマイヨジョーヌを獲得したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
2度目のツール制覇を果たしたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele
マイヨジョーヌを着て凱旋したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsujiオランダでのグランデパールが遥か昔のことのように感じる。昨晩は皆で今ツールの思い出を語り合っていたよ。今年のツールはとてもタフだった。これまでの道のりを思えば本当に喜ばしいことだ。僕らはこの(マイヨジョーヌ)ために戦ってきた。バイクの上でも、そしてバイクから離れても。全てのことをチームとして乗り越えてきたし、遂にパリに到達した。この瞬間を長いこと待ち望んでいたのさ。
報道陣に囲まれるクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji今日はチームメイトへの感謝と共に走り出した。彼らがいなければ今このポジションに立つことすら不可能だった。リッチー、ワウト、イアン、G、ペイト、ルーク、ニコ、そしてレオ。彼らに最高のリスペクトと感謝を。このマイヨジョーヌは僕と、彼らのものだ。
「妻の愛とサポートが、僕に力と集中力を授けてくれた」 photo:CorVosチームスカイのスタッフの皆、ありがとう。彼らの限りない犠牲と労務はこのツールで最高の助けになった。特にコーチのティム・ケリソンとGMのデイブ・ブレイルスフォード。そして妻であるミシェル。君の愛とサポートが、僕に力と集中力を授けてくれた。息子と共に歩む僕らの次のステップが楽しみでならないよ。
マイヨジョーヌは本当に、本当に特別なもの。その良きも悪きもある歴史を良く理解しているし、常にマイヨジョーヌに対して敬意を払い、そして着用する時はいつも誇りに思っている。
ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
今日のためにハードワークをこなしてきた。これからマイヨジョーヌを盛大に祝おうと思う。マイヨジョーヌを着てパリにフィニッシュしたのはフルームだけれども、その裏にはチーム全員の総力を挙げたサポートがあった。3週間ずっと、ものすごいストレスと緊張感で張りつめていた。フルームが彼自身で動いたのはいくつかのステージの、最後の1時間。それまではチームが彼のためにものすごい量の仕事をこなしていたんだ。そして完璧なまでに上手く事が運んだ。
そしてフルームも僕らに対して誠心誠意の態度で示してくれた。最後のフィニッシュラインを超える時、皆で横一列になったのはその証。フルームがあの形でフィニッシュすることを希望した。あれこそ"チーム"なのさ。
マイヨジョーヌを囲むようにしてチームスカイが並んでフィニッシュ photo:Kei Tsuji
ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)
今朝雨だと知ってとてもストレスに感じていた。女子レースをテレビで見て、濡れたシャンゼリゼがいかに危険か分かっていたから。とてもナーバスになりながらパリまで辿り着いたが、残り500mから横一列に並んだときからは素晴しい気持ちになったんだ。周回コースに入った序盤に先頭を固めたのは、安全に走りたかったから。まだ路面が濡れていたし、スプリントステージだから余計に危なくなる。周回を重ねているうちに路面が乾き上がったのが幸いだったし、最終盤もより安全には知ることができた。今は本当に素晴しい気持ちだ。数ヶ月にわたって重ねてきた努力が実を結んだんだ。
個人総合2位&マイヨブランのナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
チーム総合成績トップに輝いたモビスター photo:Tim de Waele
僕は今幸せで、興奮している。2回めのツール参戦にして2回めのポディウム。そして、チーム総合優勝を果たした。アシストとして僕らを助けてくれるチームメイトにとって素晴しい結果だ。2年前とは違い今回は単独エースとしてツールに臨んだことが結果につながったし、僕のキャリアに素晴らしい戦績を加えることができた。前回はパニック状態で、何が起こったんだか理解できなかったけど、あれから成長して、今はリーダーとしての自覚がある。僕のキャリアは順調だ。
マイヨヴェールのペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) photo:CorVosマイヨヴェールのペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
速い展開のステージばかりで、本当に激しいツールだった。ポイント争いは昨年とシステムが違っていたのもあって本当に大変だった。でも一番大きいことは、一度もクラッシュしなかったこと。今年のレースの中で最善を尽くすことができたレースだったと思っているよ。アルベルト・コンタドールのような偉大なチャンピオンとともにツールを戦うことが出来たのは貴重な経験になった。
シャンゼリゼを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
片手を突き上げるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:CorVos
スプリントで先頭に立つアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Tim de Waele
4勝目で大会を締めくくったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Tim de Waele今日の勝利はこれまで経験してきたどのシーンよりも素晴しいものになった。ずっと抱いていた夢が叶ったんだ。僕のキャリアの中で最も大きな勝利だよ。これまで4度シャンゼリゼにゴールしてきて、やっと今日成し遂げることができた。本当にかけがえの無い勝利だ。
今日勝てたのは、支えてくれた家族とトレーナーのおかげさ。彼らに感謝を捧げたい。そして、ロット・ソウダルのチームメイトたちにも。今年のツールは素晴らしいレースができた。5回の集団スプリントのうち4回を勝てたんだから。この3週間は幸せの3週間になったね。それもチーム全体のコミットメントがあってこそ。グレッグ・ヘンダーソンは落車でツールを去ってしまっていたけど、今日パリに戻ってきてくれた。彼も今日の成功の一端を担っていた。チームカーの中でレースの状況を知らせてくれたんだ。
逃げが出来た時に僕らのチームがコントロールに入ることが多かった。チームメイトは集団スプリントに持ち込むために、どんな努力もいとわない連中さ。でも、あまり早いタイミングで集団前方に位置するのも得策じゃないと思っていた。最終コーナーでは少し後ろにいたんだけど、それからフィニッシュまでは全開だった。僕がプロ選手になってから、自分自身が成長しないという年は無かった。たとえ、このツールで3週間分老けても、まだまだ自分は若い。調子はどんどん上がっているよ。また次のチャレンジに向かっていきたい。
ダブルツールと来季のスケジュールについて語る総合5位のアルベルト・コンタドール
総合5位でフィニッシュすることを目標にしているライダーがいることは事実だけど、僕の場合は違う。でも、ダブルツールに挑戦出来たことを幸せに思っている。もし、ダブルツールに挑戦せず引退したら、ダブルツールを達成できたんじゃないかと自身に問い続けることになるかもしれないが、今僕はその答えを知ることができた。
「ダブルツールが不可能とは思わないが、非常に困難であると考えている」 photo:Tim de Waele
ダブルツールが不可能とは思わないが、非常に困難であると考えている。なぜなら、どの様に準備すれば良いのか誰も知らないから。しかし、ダブルツールに挑戦したかったという未練を引きずるよりも、今回挑戦することができてよかったと感じている。
ダブルツールのことを考えて静かにシーズンインしたけれども、ジロ・デ・イタリアの疲労が足を引っ張った。アスタナがとても強力で、長距離TTや桁外れにハードだった3週目を含め毎日体力を出し尽くさなければならず、今年のジロは非常にハードだった。結果、身体がもっと休養を欲していた。
来シーズンは2014年と同様のスケジュールで活動する予定だ。シーズン序盤にまずピークを持ってきてレースを楽しみ、そしてツールとオリンピックに臨む。来年のツールに向けてはチームとして作戦を一新し、総合優勝だけにフォーカスしていくことになるだろう。すでに僕の気持ちは2016シーズンに向いている。リオのオリンピックは僕の脚質なら勝利を狙えると考えているし、そうそう無いチャンスだから、逃す手はない。
6位に入ったロベルト・へーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
総合6位に入ったロベルト・へーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) photo:CorVos自分の結果は大いに誇らしく思っているけれど、本当に疲れ切ってしまった。アルプデュエズへのステージは本当にエキサイティングだったが、あのステージは僕には厳しすぎた。この3週間が終わって疲労困憊しているけれど、幸運なことに結果を掴むことが出来た。このツールを無事に走り切れたことは喜びだよ。
去年僕が直面した多くの挫折について考えていたんだけど、それがあったからこそ、今年のこの結果に繋がったと思う。僕より上位にいる5人は全員グランツールを勝ったことがある偉大な選手たち。僕はグランツールを勝ったことがないライダーの中でもっとも速かったということでもある。これは素晴らしいことだと思う。
総合7位のバウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
シャンゼリゼを走るバウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング) photo:CorVosツールを無事に終えることができてハッピーだよ。今年は一日たりともイージーなステージが無かったね。最後のアルプスの2日間はとてもハードだったけど、良く走れたと思っているし、総合7位と言う結果は今ぼくが残せる最高のリザルトだと感じている。
世界最高峰のオールラウンダー達が今年のツールには集まっていた。僕は持てる全てを発揮して、できるだけ良い成績を残したいと考えていたんだ。そして、最後の総合成績をみたら、僕よりも6人の選手が上にいた。彼らは皆僕より強い選手だ。だからこの成績には満足している。今はこのリザルトを味わっていたい。もう少ししたら、来年に向けて動き出すつもりだ。
アスタナのアレクサンドル・ヴィノクロフGM
粘り強く戦いつづけたことで、何かを得ることができた。今年のツールではどん底を見たが、そこから毎日一段ずつ頂上を目指した。これからもチームに注目し続けて欲しい。今後もよりチームは強くなる予定だ。
各選手のコメントはチーム公式サイト、レース公式サイトより。
text:So.Isobe,Naoki.Yasuoka.Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.Ayano,Kei.Tsuji,CorVos,Tim de Waele
2度目のマイヨジョーヌを獲得したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
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マイヨジョーヌは本当に、本当に特別なもの。その良きも悪きもある歴史を良く理解しているし、常にマイヨジョーヌに対して敬意を払い、そして着用する時はいつも誇りに思っている。
ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
今日のためにハードワークをこなしてきた。これからマイヨジョーヌを盛大に祝おうと思う。マイヨジョーヌを着てパリにフィニッシュしたのはフルームだけれども、その裏にはチーム全員の総力を挙げたサポートがあった。3週間ずっと、ものすごいストレスと緊張感で張りつめていた。フルームが彼自身で動いたのはいくつかのステージの、最後の1時間。それまではチームが彼のためにものすごい量の仕事をこなしていたんだ。そして完璧なまでに上手く事が運んだ。
そしてフルームも僕らに対して誠心誠意の態度で示してくれた。最後のフィニッシュラインを超える時、皆で横一列になったのはその証。フルームがあの形でフィニッシュすることを希望した。あれこそ"チーム"なのさ。
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ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)
今朝雨だと知ってとてもストレスに感じていた。女子レースをテレビで見て、濡れたシャンゼリゼがいかに危険か分かっていたから。とてもナーバスになりながらパリまで辿り着いたが、残り500mから横一列に並んだときからは素晴しい気持ちになったんだ。周回コースに入った序盤に先頭を固めたのは、安全に走りたかったから。まだ路面が濡れていたし、スプリントステージだから余計に危なくなる。周回を重ねているうちに路面が乾き上がったのが幸いだったし、最終盤もより安全には知ることができた。今は本当に素晴しい気持ちだ。数ヶ月にわたって重ねてきた努力が実を結んだんだ。
個人総合2位&マイヨブランのナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
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シャンゼリゼを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
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今日勝てたのは、支えてくれた家族とトレーナーのおかげさ。彼らに感謝を捧げたい。そして、ロット・ソウダルのチームメイトたちにも。今年のツールは素晴らしいレースができた。5回の集団スプリントのうち4回を勝てたんだから。この3週間は幸せの3週間になったね。それもチーム全体のコミットメントがあってこそ。グレッグ・ヘンダーソンは落車でツールを去ってしまっていたけど、今日パリに戻ってきてくれた。彼も今日の成功の一端を担っていた。チームカーの中でレースの状況を知らせてくれたんだ。
逃げが出来た時に僕らのチームがコントロールに入ることが多かった。チームメイトは集団スプリントに持ち込むために、どんな努力もいとわない連中さ。でも、あまり早いタイミングで集団前方に位置するのも得策じゃないと思っていた。最終コーナーでは少し後ろにいたんだけど、それからフィニッシュまでは全開だった。僕がプロ選手になってから、自分自身が成長しないという年は無かった。たとえ、このツールで3週間分老けても、まだまだ自分は若い。調子はどんどん上がっているよ。また次のチャレンジに向かっていきたい。
ダブルツールと来季のスケジュールについて語る総合5位のアルベルト・コンタドール
総合5位でフィニッシュすることを目標にしているライダーがいることは事実だけど、僕の場合は違う。でも、ダブルツールに挑戦出来たことを幸せに思っている。もし、ダブルツールに挑戦せず引退したら、ダブルツールを達成できたんじゃないかと自身に問い続けることになるかもしれないが、今僕はその答えを知ることができた。
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ダブルツールのことを考えて静かにシーズンインしたけれども、ジロ・デ・イタリアの疲労が足を引っ張った。アスタナがとても強力で、長距離TTや桁外れにハードだった3週目を含め毎日体力を出し尽くさなければならず、今年のジロは非常にハードだった。結果、身体がもっと休養を欲していた。
来シーズンは2014年と同様のスケジュールで活動する予定だ。シーズン序盤にまずピークを持ってきてレースを楽しみ、そしてツールとオリンピックに臨む。来年のツールに向けてはチームとして作戦を一新し、総合優勝だけにフォーカスしていくことになるだろう。すでに僕の気持ちは2016シーズンに向いている。リオのオリンピックは僕の脚質なら勝利を狙えると考えているし、そうそう無いチャンスだから、逃す手はない。
6位に入ったロベルト・へーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
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総合7位のバウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
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世界最高峰のオールラウンダー達が今年のツールには集まっていた。僕は持てる全てを発揮して、できるだけ良い成績を残したいと考えていたんだ。そして、最後の総合成績をみたら、僕よりも6人の選手が上にいた。彼らは皆僕より強い選手だ。だからこの成績には満足している。今はこのリザルトを味わっていたい。もう少ししたら、来年に向けて動き出すつもりだ。
アスタナのアレクサンドル・ヴィノクロフGM
粘り強く戦いつづけたことで、何かを得ることができた。今年のツールではどん底を見たが、そこから毎日一段ずつ頂上を目指した。これからもチームに注目し続けて欲しい。今後もよりチームは強くなる予定だ。
各選手のコメントはチーム公式サイト、レース公式サイトより。
text:So.Isobe,Naoki.Yasuoka.Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.Ayano,Kei.Tsuji,CorVos,Tim de Waele
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