XCO(クロスカントリー・オリンピック)が行われた全日本マウンテンバイク選手権大会2日目。先にお伝えした男子エリートの他に、女子エリート、男子U23、ジュニア、ユース、マスターズなど各カテゴリーのレースが行われた。女子エリートと男子U23の模様を中心にレポートする。



女子エリート 末政実緒が悲願の2冠達成

女子エリート 序盤から先頭を行く末政実緒(SRAM/LITEC)女子エリート 序盤から先頭を行く末政実緒(SRAM/LITEC) photo:Satoru.Kato
女子エリート 末政を追う小林可奈子(MTBクラブ安曇野)女子エリート 末政を追う小林可奈子(MTBクラブ安曇野) photo:Satoru.Kato女子エリート 前年優勝の與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)は精彩を欠いてしまった女子エリート 前年優勝の與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)は精彩を欠いてしまった photo:Satoru.Kato男子エリートがスタートする2時間前にスタートした女子エリートは、4.41kmのコースを4周で争われた。

前日のダウンヒルで優勝した末政実緒(SRAM/LITEC)が、スタート直後から飛び出す。それを今季のMTBシリーズ戦「Cupe du Japon」で好調な小林可奈子(MTBクラブ安曇野)と、前年優勝の與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)が追いかける展開。

末政は得意の下りで差を広げる一方、登りでは小林と與那嶺が差を縮める。與那嶺は徐々に遅れる一方、小林は一時末政の背後に迫るシーンが見られた。しかし末政の前に出るには至らず、3周目に入ると差が縮まらなくなる。末政は独走態勢を確立してそのままゴール。ダウンヒルとの2冠を達成した。

「出るからには勝ちたいと、ずっと思っていたので素直に嬉しい。レース前半は小林さんのプレッシャーをずっと感じていたけれど、コース後半のテクニカルな下りで差を広げられる自信があったので我慢して走った。今日は後半にタレずに走り切れたので、ペース配分も完璧でした」と話す。

「悔しいですけれど、結果は結果なので・・・」と話すのは、2位に終わった小林。

女子エリート 最終周回のバックストレートで笑みがこぼれる末政実緒(SRAM/LITEC)女子エリート 最終周回のバックストレートで笑みがこぼれる末政実緒(SRAM/LITEC) photo:Satoru.Kato女子エリート 最後まで諦めずに末政を追いかけた小林可奈子(MTBクラブ安曇野)女子エリート 最後まで諦めずに末政を追いかけた小林可奈子(MTBクラブ安曇野) photo:Satoru.Kato

女子エリート 歓喜と共にゴールする末政実緒(SRAM/LITEC)女子エリート 歓喜と共にゴールする末政実緒(SRAM/LITEC) photo:Satoru.Kato
「実は今日スタートに立てるかわからないくらい調子が悪かったので、正直怖かった。号砲が鳴って走り始めると、思ったよりも走れたのでいけるかなと感じた。でも下り区間で自分が思っていた以上に末政さんに離されてしまい、足が攣ってしまったりしてさらに差が開いてしまった」と小林はレースを振り返る。

自身も1994年の全日本選手権でクロスカントリーとダウンヒルの2冠を獲った事があるが「今とはまったくレベルが違うから、末政さんの方がずっとずっと素晴らしい」と、末政の偉業を称えた。

女子エリート 小林が末政を祝福女子エリート 小林が末政を祝福 photo:Satoru.Kato女子エリート 表彰式女子エリート 表彰式 photo:Satoru.Kato




男子U23 沢田時が盤石の3連覇

男子U23は、時差スタートした女子エリートと同じくコースを4周する17.64kmで争われた。

男子U23 2周目から独走態勢に入った沢田時(Bridgestone Anchor Cyclingteam)男子U23 2周目から独走態勢に入った沢田時(Bridgestone Anchor Cyclingteam) photo:Satoru.Kato男子U23 スタート直後から先行した中原義貴(BH RACING MTB)男子U23 スタート直後から先行した中原義貴(BH RACING MTB) photo:Satoru.Kato

男子U23 天を仰いでゴールする沢田時(Bridgestone Anchor Cyclingteam)男子U23 天を仰いでゴールする沢田時(Bridgestone Anchor Cyclingteam) photo:Satoru.Kato
スタート直後、中原義貴(BH RACING MTB)が先行。沢田時( Bridgestone Anchor Cyclingteam)が10秒以内の差を保って続く。「4周終わった時点で先頭に立っていれば良いと考えていた」と言う沢田は、慌てる事なく2周目に中原を抜いて先頭に立つ。沢田は中原との差を少しずつ広げながら周回を重ね、最後は両手を大きく広げて天を仰ぎながらゴールした。

男子U23 2位でゴールした中原を気遣う沢田男子U23 2位でゴールした中原を気遣う沢田 photo:Satoru.Kato男子U23 表彰式男子U23 表彰式 photo:Satoru.Kato「今日は思い通りに体が動いたので、思った通りの理想的なレースが出来た。先行されている間も相手の出方を見る余裕があった。ただ、昨年も一昨年も終盤に落車したりパンクしたりと危ない勝ち方をしてしまったので、今日はそうならないように最後まで気を配って走った。最後のバックストレートに入ったところで今日は大丈夫だと確信して、思わずガッツポーズが出てしまった」と、3連覇の喜びを一気に語った。

スタート直後に先行した中原は2位でゴールし、直後に倒れ込んだ。1周目途中から呼吸が乱れて苦しくなり、手がしびれている状態のまま走り続けたのだと言う。

「やれる事をやって臨んだので、今日の結果は受け止めるしかないです。それでも負けたくないと思って我慢して走ったけれど、届かなかった」と、悔しさをかみ殺すように話す。

「全日本選手権は1位以外はビリも同じ。来年はエリートに上がるので、もっと頑張らないといけないと思う。この後のエリートのレースを見て、気持ちを切り替えていきます」と、シーズン後半に向けて決意を新たにした。



男子ジュニア 優勝した平林安里(WESTBERG/Proride J)男子ジュニア 優勝した平林安里(WESTBERG/Proride J) photo:Satoru.Kato男子ユース 優勝した小林力(WESTBERG/Proride J)男子ユース 優勝した小林力(WESTBERG/Proride J) photo:Satoru.Kato

女子ユース 優勝した山田夕貴(TEAM BG8 A)女子ユース 優勝した山田夕貴(TEAM BG8 A) photo:Satoru.Kato女子ジュニア 佐藤寿美(TEAM BG8 A)女子ジュニア 佐藤寿美(TEAM BG8 A) photo:Satoru.Kato

男子マスターズ 優勝した竹谷賢二(SPECIALIZED RACING JAPAN)がハイタッチしながらゴール男子マスターズ 優勝した竹谷賢二(SPECIALIZED RACING JAPAN)がハイタッチしながらゴール photo:Satoru.Kato女子マスターズ 真川好美(Team Nipopo)女子マスターズ 真川好美(Team Nipopo) photo:Satoru.Kato




第28回全日本マウンテンバイク選手権大会 XCO 結果
女子エリート 17.64km

1位 末政実緒(SRAM/LITEC) 1時間17分45秒
2位 小林可奈子(MTBクラブ安曇野) +37秒
3位 與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) +2分19秒
4位 ケリー美枝子(Carey) +3分1秒
5位 中込由香里(maillot SY-Nak) +4分8秒
6位 相野田静香(SRAM/LITEC RISING) +10分35秒

男子U23 17.64km
1位 沢田 時(Bridgestone Anchor Cyclingteam) 1時間2分46秒
2位 中原義貴(BH RACING MTB) +1分4秒
3位 前田公平(BiORACER) +1分46秒
4位 山田誉史輝(SRAM/LITEC) +4分53秒
5位 宮内 渉(jp sports test team-massa-andex) +6分50秒
6位 山内健生(国際自然環境アウトドア専門学校) +7分7秒

男子ジュニア 17.64km
1位 平林安里(WESTBERG/ProRide J) 1時間4分57秒
2位 竹内 遼(WESTBERG/ProRide J) +1分57秒
3位 山田将輝(Limited846/LITEC) +4分28秒

男子ユース 8.82km
1位 北林 力(WESTBERG/ProRide J) 35分3秒09
2位 山口創平(WESTBERG/ProRide J) +2分37秒82
3位 村上功太郎(こけむしろ) +2分56秒

女子ジュニア 13.23km
1位 佐藤寿美(TEAM BG8 A) 1時間3分59秒
2位 石田 恵(リミテッド チーム846) +12分42秒

女子ユース 8.82km
1位 山田夕貴(TEAM BG8 A) 44分47秒
2位 小林あか里(MTBクラブ安曇野) +1分3秒
3位 中島悠里(malliot SY-Nak) +14分45秒

男子マスターズ 17.64km
1位 竹谷賢二(SPECIALIZED RACING JAPAN) 1時間12分35秒
2位 植川英治(キャノンCC) +3分16秒
3位 小田島貴弘(maillot SY-Nak) +4分6秒

女子マスターズ 13.23km
1位 真川好美(Team Nipopo) 1時間10分26秒

text&photo:Satoru.Kato

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