2015/07/16(木) - 12:10
フルームが総合勢の中で圧倒的な強さを見せつけた昨ステージから一転、総合争いはいったん落ち着きを見せたピレネー二日目。逃げ切りを決めた昨年の山岳賞ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)や、マイヨジョーヌのクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)らのコメントをお届けします。
逃げ切り勝利を決めたラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
今日のステージ勝利ははっきりとした目標ではなかったんだけど、途中で勝てるチャンスがあると感じた。アタックに反応して逃げ集団で走っていると、逃げのメンバーはかなりつらそうに見えた。集団に対して45秒までタイム差をつけたとき、監督からGOサインがあったんだ。
多くの人から、今年のツールも山岳賞を狙うのか?と聞かれてきたけど、それは簡単なことじゃない。なんといっても、アルベルト・コンタドールをサポートするというのが、僕も最も大きな役割だからね。今日の勝利はバッソとベンナーティが離脱してしまったチームの士気を高めてくれるだろう。そして、僕の妻や家族、そして僕をサポートしてくれた皆にこの勝利を捧げるよ。
アルベルトは本当にクレバーで偉大な選手。彼はいつも果敢に闘ってきた。僕らは総合勢の誰かがバッドデイに陥る時を待つ必要があるだろうけど、本当に彼が今年にダブルツールを達成できるように願っているんだ。まだレースは2週間残されている。パリについてみないと、どうなっているかは分からない。
そうそう、去年からのツールでの僕の活躍と、ミカル・クヴィアトコウスキーの世界チャンピオンタイトルのおかげでポーランドでは自転車競技がもっと人気が出ているんだ。ポーランドの登録競技者の数はなんと40%も増えているんだよ。
マイヨジョーヌを守ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
またハードなステージになったね。外から見ていると平穏に見えたかもしれないが、最初の2時間のハイスピードな展開に加え、気温が高いとあって、ほぼ全員が激しく消耗したのは間違いない。確かに最後の2時間はこれといった展開がなかったが、それは最初の2時間のせい。それだけに、序盤がTV中継されないなんて、本当に残念。皆エキサイトしていたし、限界まで追い込んでいた。そんな中でプロトンを飛び出した果敢な逃げ集団には、拍手を送りたいと思う…
一方でチームメイトはレースを完全に支配し、最初から最後まで常に僕のそばにいてくれた。総合順位をあげようとするアタックがあったけど、今日はそういった動きに反応する必要はなかった。確かにライバルは僕にプレッシャーをかけてくるし、昨日の結果をうけてもやる気を失っていない様に見えるが、こちらの防御体制も万全だ。
ヴィンチェンツォ・ニーバリは昨日大きくタイムを落としてしまったが、今日は調子がよく、チームメイトを引き連れてトゥールマレー峠で先頭集団を牽引していた。確かに今日も終盤でタイムを失ったが、それが終わりを意味している訳ではないし、日々状況は難しくなっていくと予想している。
とてもハードな超級山岳プラトー・ド・ベイユにゴールする明日のステージは非常に重要。多くのライダーが、今日のハードなレース展開の影響を被ることになるはずだ。
フルームと同タイムにまとめたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
今日はかなり良い感じで走れたね。タイムを失わなかったし、ラファル・マイカが逃げにはいって、大きな勝利を掴むことさえできた。現実的な問題は、なんといっても暑いこと。身体が熱を持ってしまって、うまく動かない。明日も似たようなコンディションらしいから、きつくなるだろうね。
昨日に比べると多少調子は良かったんだけど、完全に復調しているとは言い難い。特に今日みたいに暑いときは。足もかなり回復しているけど、去年の様に凄く絞れているわけではないというのもまた事実。この状態で戦うのは難しいし、かなり困難なツールになっているね。ともかく、毎日チャンスを見つけてトライしていくつもりさ。僕らは色んな戦術で今年一番強い選手であるフルームに挑むよ。
マイヨブランのナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
今日はスタートから沢山のアタックがかかって、本当にハードな展開だったね。でも、最後の登りではかなり良い感触をつかめた。かなりペースが速かったからアタックすることはできなかったけどね。アスタナもアタックを決めて、スペクタクルな展開を作りたかったみたいだけど、かなり疲れていたみたいだ。
明日のステージにおいて、早い段階でのアタックは取りうる戦術の一つではあるけれど、フルームの動向を良く見てからにしないといけないだろう。彼はレースをリードしているけど、まだ僕もかなり走れているし、降参する気はさらさらないよ。もし、少しでも弱いところを見せたら、僕らはタイム差を奪いにいく。いま、トップ3にいることはとてもハッピーだけども、最終目標はマイヨジョーヌだから。
逃げ集団にはいったダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン)
カウンターアタックをした時点で先頭との差があまりに大きかったことを考えれば、今日の2位フィニッシュは良い結果だったと思う。でも今日マイカがトゥールマレー峠でアタックした時、自分のコンディションは落ちていたし、彼に食らいついて行くだけの脚はなかった。
既にスタート地点でも調子が悪いと感じていたから、今日は気楽に行こうと考えていたのに、なぜ逃げ集団に入ってしまったんだか。でもチームとしては昨日の結果を受けて、何かしら行動しなくてはならなかったからね。
マイヨヴェールを取り戻したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
皆知っている通り、マイヨヴェール争いでのライバルはアンドレ・グライペルだ。毎日どのステージで彼に勝てるかを考えている。今日は皆にとってハードな1日になったけど、ラファル(マイカ)にとってはそうでも無かったのかもしれない。逃げをつくろうとトライしたが、毎度スプリンターが追従。中間スプリントに向けての争いで多くのエネルギーを消費したが、他のスプリンターよりも速いプロトンでフィニッシュすることができ、より多く時間をリカバリーに割くことができた。
ラファルの勝利についてはとても嬉しいことだし、チームの士気を高めてくれる起爆剤になるはずだ。それでも、僕達はアルベルト・コンタドールをリーダーにレースを進めていく。彼はまだ、何かを成し遂げられるポジションにいる。
下りで牛にぶつかりかけた ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)
昨日の落車の影響もあって、自転車に乗っていると身体の節々が痛んで仕方がなかった。でも、レースのことだけで頭をいっぱいにして走ったよ。トゥールマレーのことはよく知っている。良くトレーニングで登るコースだからね。下りでも、どこでブレーキをどれだけかけるべきかまで身体に沁みついているから、追いつけるチャンスがあると思っていたよ。
実際、うまく下れたと思っているんだけど、2回ほどひやっとする場面があったね。牛と、チームカーにぶつかりそうになった時。本当に焦ったけど、なんとか大事に至らずに済んだ。幸運だったとしか言いようがないね。今日の結果には満足しているよ、明日もまだまだ戦っていけるさ。
text:Naoki.Yasuoka, Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.Ayano,Kei.Tsuji,CorVos,Tim de Waele
逃げ切り勝利を決めたラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
今日のステージ勝利ははっきりとした目標ではなかったんだけど、途中で勝てるチャンスがあると感じた。アタックに反応して逃げ集団で走っていると、逃げのメンバーはかなりつらそうに見えた。集団に対して45秒までタイム差をつけたとき、監督からGOサインがあったんだ。
多くの人から、今年のツールも山岳賞を狙うのか?と聞かれてきたけど、それは簡単なことじゃない。なんといっても、アルベルト・コンタドールをサポートするというのが、僕も最も大きな役割だからね。今日の勝利はバッソとベンナーティが離脱してしまったチームの士気を高めてくれるだろう。そして、僕の妻や家族、そして僕をサポートしてくれた皆にこの勝利を捧げるよ。
アルベルトは本当にクレバーで偉大な選手。彼はいつも果敢に闘ってきた。僕らは総合勢の誰かがバッドデイに陥る時を待つ必要があるだろうけど、本当に彼が今年にダブルツールを達成できるように願っているんだ。まだレースは2週間残されている。パリについてみないと、どうなっているかは分からない。
そうそう、去年からのツールでの僕の活躍と、ミカル・クヴィアトコウスキーの世界チャンピオンタイトルのおかげでポーランドでは自転車競技がもっと人気が出ているんだ。ポーランドの登録競技者の数はなんと40%も増えているんだよ。
マイヨジョーヌを守ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
またハードなステージになったね。外から見ていると平穏に見えたかもしれないが、最初の2時間のハイスピードな展開に加え、気温が高いとあって、ほぼ全員が激しく消耗したのは間違いない。確かに最後の2時間はこれといった展開がなかったが、それは最初の2時間のせい。それだけに、序盤がTV中継されないなんて、本当に残念。皆エキサイトしていたし、限界まで追い込んでいた。そんな中でプロトンを飛び出した果敢な逃げ集団には、拍手を送りたいと思う…
一方でチームメイトはレースを完全に支配し、最初から最後まで常に僕のそばにいてくれた。総合順位をあげようとするアタックがあったけど、今日はそういった動きに反応する必要はなかった。確かにライバルは僕にプレッシャーをかけてくるし、昨日の結果をうけてもやる気を失っていない様に見えるが、こちらの防御体制も万全だ。
ヴィンチェンツォ・ニーバリは昨日大きくタイムを落としてしまったが、今日は調子がよく、チームメイトを引き連れてトゥールマレー峠で先頭集団を牽引していた。確かに今日も終盤でタイムを失ったが、それが終わりを意味している訳ではないし、日々状況は難しくなっていくと予想している。
とてもハードな超級山岳プラトー・ド・ベイユにゴールする明日のステージは非常に重要。多くのライダーが、今日のハードなレース展開の影響を被ることになるはずだ。
フルームと同タイムにまとめたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
今日はかなり良い感じで走れたね。タイムを失わなかったし、ラファル・マイカが逃げにはいって、大きな勝利を掴むことさえできた。現実的な問題は、なんといっても暑いこと。身体が熱を持ってしまって、うまく動かない。明日も似たようなコンディションらしいから、きつくなるだろうね。
昨日に比べると多少調子は良かったんだけど、完全に復調しているとは言い難い。特に今日みたいに暑いときは。足もかなり回復しているけど、去年の様に凄く絞れているわけではないというのもまた事実。この状態で戦うのは難しいし、かなり困難なツールになっているね。ともかく、毎日チャンスを見つけてトライしていくつもりさ。僕らは色んな戦術で今年一番強い選手であるフルームに挑むよ。
マイヨブランのナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
今日はスタートから沢山のアタックがかかって、本当にハードな展開だったね。でも、最後の登りではかなり良い感触をつかめた。かなりペースが速かったからアタックすることはできなかったけどね。アスタナもアタックを決めて、スペクタクルな展開を作りたかったみたいだけど、かなり疲れていたみたいだ。
明日のステージにおいて、早い段階でのアタックは取りうる戦術の一つではあるけれど、フルームの動向を良く見てからにしないといけないだろう。彼はレースをリードしているけど、まだ僕もかなり走れているし、降参する気はさらさらないよ。もし、少しでも弱いところを見せたら、僕らはタイム差を奪いにいく。いま、トップ3にいることはとてもハッピーだけども、最終目標はマイヨジョーヌだから。
逃げ集団にはいったダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン)
カウンターアタックをした時点で先頭との差があまりに大きかったことを考えれば、今日の2位フィニッシュは良い結果だったと思う。でも今日マイカがトゥールマレー峠でアタックした時、自分のコンディションは落ちていたし、彼に食らいついて行くだけの脚はなかった。
既にスタート地点でも調子が悪いと感じていたから、今日は気楽に行こうと考えていたのに、なぜ逃げ集団に入ってしまったんだか。でもチームとしては昨日の結果を受けて、何かしら行動しなくてはならなかったからね。
マイヨヴェールを取り戻したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
皆知っている通り、マイヨヴェール争いでのライバルはアンドレ・グライペルだ。毎日どのステージで彼に勝てるかを考えている。今日は皆にとってハードな1日になったけど、ラファル(マイカ)にとってはそうでも無かったのかもしれない。逃げをつくろうとトライしたが、毎度スプリンターが追従。中間スプリントに向けての争いで多くのエネルギーを消費したが、他のスプリンターよりも速いプロトンでフィニッシュすることができ、より多く時間をリカバリーに割くことができた。
ラファルの勝利についてはとても嬉しいことだし、チームの士気を高めてくれる起爆剤になるはずだ。それでも、僕達はアルベルト・コンタドールをリーダーにレースを進めていく。彼はまだ、何かを成し遂げられるポジションにいる。
下りで牛にぶつかりかけた ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)
昨日の落車の影響もあって、自転車に乗っていると身体の節々が痛んで仕方がなかった。でも、レースのことだけで頭をいっぱいにして走ったよ。トゥールマレーのことはよく知っている。良くトレーニングで登るコースだからね。下りでも、どこでブレーキをどれだけかけるべきかまで身体に沁みついているから、追いつけるチャンスがあると思っていたよ。
実際、うまく下れたと思っているんだけど、2回ほどひやっとする場面があったね。牛と、チームカーにぶつかりそうになった時。本当に焦ったけど、なんとか大事に至らずに済んだ。幸運だったとしか言いようがないね。今日の結果には満足しているよ、明日もまだまだ戦っていけるさ。
text:Naoki.Yasuoka, Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.Ayano,Kei.Tsuji,CorVos,Tim de Waele
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