2015/07/12(日) - 05:38
勾配10%ほどの登りが直線的に続く3級山岳ミュール・ド・ブルターニュでアタックを繰り返したアレクシ・ヴィエルモ(フランス、AG2Rラモンディアール)が勝利。大会8日目にして開催国フランスに念願のステージ優勝をもたらした。
通過する街はどこも観客で溢れている photo:Kei Tsuji
ツール・ド・フランス2015第8ステージ image:A.S.O.
ツール・ド・フランス2015第8ステージ image:A.S.O.
沿道に翻るのはブルターニュの旗 photo:Kei Tsujiツール・ド・フランス第102回大会には2つの壁フィニッシュが登場する。1つは第3ステージの3級山岳ミュール・ド・ユイ。そしてもう1つがこの第8ステージの3級山岳ミュール・ド・ブルターニュ(ブルターニュの壁)だ。ベルナール・イノーやルイゾン・ボベゆかりの地を走り、全長2000m/最大勾配15%/平均勾配6.9%の壁を駆け上がってフィニッシュを迎える。
逃げるロメン・シカール(フランス、ユーロップカー)ら4名 photo:Tim de Waeleローカルチームであるブルターニュ・セシェがスタート直後からアクティブに動き、ピエールリュック・ペリション(フランス、ブルターニュ・セシェ)を逃げに乗せることに成功する。ブルターニュ地方の期待を背負うペリションは、バルトス・フザルスキー(ポーランド、ボーラ・アルゴン18)とシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)、ロメン・シカール(フランス、ユーロップカー)とともに逃げた。
タイム差は3分を推移する photo:Tim de Waele白と黒のブルターニュ地方の旗が振られる丘陵地帯で4分までリードを広げた先頭4名。前日に引き続きロット・ソウダルがメイン集団のコントロールを担ったことでタイム差は3分に押さえ込まれる。この日もトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)が長時間の集団牽引を行った。
観客に覆われたレース中盤の4級山岳モンベルエールはシカールが先頭通過。続くスプリントポイントはペリションが先頭通過してローカルチームとしての役目を果たす。その後方では、マイヨヴェールを狙うスプリンターたちが集団を引き離す勢いで飛び出した。
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)が集団先頭でスプリントポイントを通過した後、スプリンターを含む集団が早くも逃げの4人を捉えてしまう。メイン集団から20秒ほど先行した先頭集団ではカウンターアタックがかかり、ラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ソウダル)とミカル・ゴラス(ポーランド、エティックス・クイックステップ)、序盤から逃げていたフザルスキーの3人が先行を開始した。
フレッシュなバクとゴラスを含む新たな逃げグループは1分リードで残り40kmに突入。ステージ優勝狙いのキャノンデール・ガーミンが集団先頭に立ってペースを上げ、断続的なアップダウンコースで逃げを追う。ここにロット・ソウダルやBMCレーシング、チームスカイも加わるとタイム差は縮小の一途をたどり、残り8kmで逃げは吸収。大集団はフィニッシュに向けてさらにスピードアップした。
レース中盤の4級山岳に差し掛かるプロトン photo:Tim de Waele
カウンターアタックで飛び出したミカル・ゴラス(ポーランド、エティックス・クイックステップ)ら3名 photo:Tim de Waele
マイヨジョーヌを着て走るクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele
3級山岳ミュール・ド・ブルターニュに突入するプロトン photo:Tim de Waele
3級山岳ミュール・ド・ブルターニュで先頭に出るアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji熾烈なポジション争いの末に残り2kmの直角コーナーを曲がり、10%ほどの勾配が直線的に続く3級山岳ミュール・ド・ブルターニュに突入。チームスカイが主導権を握り、レオポルド・ケーニッヒ(チェコ)とゲラント・トーマス(イギリス)の2人がマイヨジョーヌを登りの先へと導く。
3級山岳ミュール・ド・ブルターニュでペースを上げるクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele急勾配区間でサイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)、アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)、アレクシ・ヴィエルモ(フランス、AG2Rラモンディアール)が飛び出したものの、マイヨジョーヌのクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)自ら率いる集団に残り1kmで封じ込められる。
ミュール・ド・ブルターニュ最終盤でアタックしたアレクシ・ヴィエルモ(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:Makoto.AYANO勾配が緩んだところでフルームが今一度ペースを上げると集団は縦に伸び、そこからヴィエルモが再度アタック。残り800m地点からヴィエルモが加速した一方で、前年度覇者ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)は集団から遅れをとった。
3級山岳ミュール・ド・ブルターニュに先頭で飛び込むアレクシ・ヴィエルモ(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:Tim de Waeleダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン)が追走を仕掛けたものの届かず、ヴィエルモがそのまま先頭を守ってフィニッシュ。5秒遅れのマーティンに続いて、メイン集団はアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)を先頭に10秒遅れでフィニッシュした。
MTBクロスカントリーライダーとして活躍し、2012年にロードレースに転向した27歳のヴィエルモ。2013年にはソジャサンのメンバーとしてツールに出場して総合46位。2014年にAG2Rラモンディアールに加入し、同年ジロ・デ・イタリア総合11位という成績を残している。
「最初からミュール・ド・ユイとミュール・ド・ブルターニュを狙っていたんだ。最も勾配がある区間でアタックして、リカバリーしてからクリス・フルームのペースアップに乗じてアタックした。自分はパンチ力のある選手であり、今日のようなコースが得意。勝つ自信はあったけど、さすがにフィニッシュしてから現実を受け入れるのに時間がかかった」とヴィエルモは振り返る。
総合では26位につけているが「山岳ステージではロメン・バルデやジャンクリストフ・ペローをアシストする。まだロードのキャリアは3年目で、チームを率いる器ではない。彼らから多くのことを学んでいる段階なんだ」とヴィエルモは宣言している。大会8日目にしてようやく開催国フランスがステージ優勝を掴んだ。
総合上位陣の中で最も積極的な走りを見せたフルームがマイヨジョーヌを守り、失速したニーバリは10秒を失う結果に。「バッドデーだったと言わざるを得ない。感覚をつかめず、加速についていけなかったんだ」と語るニーバリはフルームから1分48秒差の総合13位に順位を落としている。
10秒遅れの集団はアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)を先頭にフィニッシュ photo:Tim de Waele
ステージ優勝を飾ったアレクシ・ヴィエルモ(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:Tim de Waele
Résumé - Étape 8 (Rennes > Mûr-de-Bretagne... par tourdefrance
ツール・ド・フランス2015第8ステージ結果
1位 アレクシ・ヴィエルモ(フランス、AG2Rラモンディアール) 4h20’55”
2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン) +05”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +10”
4位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
5位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)
6位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
7位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
8位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
9位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
10位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 31h01’56”
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) +11”
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +13”
4位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル) +26”
5位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) +28”
6位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +34”
7位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +36”
8位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン) +1’07”
9位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) +1’15”
10位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング) +1’32”
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 213pts
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 210pts
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) 159pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ) 4pts
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 2pts
3位 アレクシ・ヴィエルモ(フランス、AG2Rラモンディアール) 2pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 31h02’07”
2位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン) +56”
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +1’45”
チーム総合成績
1位 BMCレーシング 93h06’49”
2位 ティンコフ・サクソ +1’44”
3位 エティックス・クイックステップ +3’43”
ステージ敢闘賞
バルトス・フザルスキー(ポーランド、ボーラ・アルゴン18)
リタイア
DNS ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)
text:Kei Tsuji in Mur de Bretagne, France
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観客に覆われたレース中盤の4級山岳モンベルエールはシカールが先頭通過。続くスプリントポイントはペリションが先頭通過してローカルチームとしての役目を果たす。その後方では、マイヨヴェールを狙うスプリンターたちが集団を引き離す勢いで飛び出した。
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)が集団先頭でスプリントポイントを通過した後、スプリンターを含む集団が早くも逃げの4人を捉えてしまう。メイン集団から20秒ほど先行した先頭集団ではカウンターアタックがかかり、ラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ソウダル)とミカル・ゴラス(ポーランド、エティックス・クイックステップ)、序盤から逃げていたフザルスキーの3人が先行を開始した。
フレッシュなバクとゴラスを含む新たな逃げグループは1分リードで残り40kmに突入。ステージ優勝狙いのキャノンデール・ガーミンが集団先頭に立ってペースを上げ、断続的なアップダウンコースで逃げを追う。ここにロット・ソウダルやBMCレーシング、チームスカイも加わるとタイム差は縮小の一途をたどり、残り8kmで逃げは吸収。大集団はフィニッシュに向けてさらにスピードアップした。
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「最初からミュール・ド・ユイとミュール・ド・ブルターニュを狙っていたんだ。最も勾配がある区間でアタックして、リカバリーしてからクリス・フルームのペースアップに乗じてアタックした。自分はパンチ力のある選手であり、今日のようなコースが得意。勝つ自信はあったけど、さすがにフィニッシュしてから現実を受け入れるのに時間がかかった」とヴィエルモは振り返る。
総合では26位につけているが「山岳ステージではロメン・バルデやジャンクリストフ・ペローをアシストする。まだロードのキャリアは3年目で、チームを率いる器ではない。彼らから多くのことを学んでいる段階なんだ」とヴィエルモは宣言している。大会8日目にしてようやく開催国フランスがステージ優勝を掴んだ。
総合上位陣の中で最も積極的な走りを見せたフルームがマイヨジョーヌを守り、失速したニーバリは10秒を失う結果に。「バッドデーだったと言わざるを得ない。感覚をつかめず、加速についていけなかったんだ」と語るニーバリはフルームから1分48秒差の総合13位に順位を落としている。
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Résumé - Étape 8 (Rennes > Mûr-de-Bretagne... par tourdefrance
ツール・ド・フランス2015第8ステージ結果
1位 アレクシ・ヴィエルモ(フランス、AG2Rラモンディアール) 4h20’55”
2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン) +05”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +10”
4位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
5位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)
6位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
7位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
8位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
9位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
10位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 31h01’56”
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) +11”
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +13”
4位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル) +26”
5位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) +28”
6位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +34”
7位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +36”
8位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン) +1’07”
9位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) +1’15”
10位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング) +1’32”
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 213pts
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 210pts
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) 159pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ) 4pts
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 2pts
3位 アレクシ・ヴィエルモ(フランス、AG2Rラモンディアール) 2pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 31h02’07”
2位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン) +56”
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +1’45”
チーム総合成績
1位 BMCレーシング 93h06’49”
2位 ティンコフ・サクソ +1’44”
3位 エティックス・クイックステップ +3’43”
ステージ敢闘賞
バルトス・フザルスキー(ポーランド、ボーラ・アルゴン18)
リタイア
DNS ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)
text:Kei Tsuji in Mur de Bretagne, France
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