2015/06/18(木) - 07:08
ツール・ド・スイスのクイーンステージでティボー・ピノ(フランス、FDJ)がライバルたちを一蹴。標高2669mの超級山岳レッテンバッハ氷河で勝利したフレンチクライマーが黄色いリーダージャージを手にした。
隣国オーストリアの山岳地帯を走る第5ステージは今大会のクイーンステージ(最難関ステージ)。コース全長は今大会最長の237.3kmで、中盤にかけてまずは標高2036mの超級山岳ビーラヘーエ峠(13.3km/6.8%)をクリア。最後は標高2669mの超級山岳ゼルデン・レッテンバッハグレーシャーを駆け上がる。
「レッテンバッハ氷河」に向かう山道は登坂距離10.9kmで平均勾配10.7%。ツール・ド・スイス史上最も高い場所に至る獲得標高差4300mの難関ステージで、序盤から8名が逃げグループを形成した。
山岳賞ジャージを着るステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)やトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、ステファン・シューマッハー(ドイツ、CCCスプランディポルコウィチェ)、プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)を含む逃げは、10分近いリードを得て中盤の超級山岳ビーラヘーエ峠をクリアする。
人数が揃った逃げグループをアスタナやカチューシャ、AG2Rラモンディアール、FDJ率いるメイン集団が追撃。タイム差は下降に転じ、最後の超級山岳レッテンバッハグレーシャーに差し掛かる頃には6分にまで縮まっていた。
先頭では生き残りをかけたアタックが始まり、デニフルが先行して登坂を継続。一方、アスタナがハイペースを刻んだメイン集団からはリーダージャージのトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)が早々に脱落する。苦しい走りを強いられたものの、最終日の個人タイムトライアルでの逆転を狙うドゥムランはペースを刻んでタイムロスを最小限に抑えることに専念した。
人数を減らしたメイン集団からはサイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)がアタックを仕掛け、続いてドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)も攻撃を試みる。これらのアタックに遅れがちだったティボー・ピノ(フランス、FDJ)が集団先頭に復帰するとそのままスピラックとともに抜け出すことに成功する。
やがてスピラックを振り切ったピノが単独となり、残り1.5kmで先頭デニフルをパス。氷河が作り出したダイナミックな山岳風景の中を独走したピノが、追いすがるポッツォヴィーヴォを34秒、スピラックを37秒振り切って勝利した。
ツール・ド・フランス直前のタイミングで抜群の登坂力を見せ、超級山岳レッテンバッハグレーシャーの頂上でリーダージャージに袖を通したピノは「キャリアの中で最も厳しい登りの一つだった」と戦いを振り返る。「今日はスティーブ(モラビート)に助けられた。ライバルのアタックには反応せずに自分のペースを守り、残り2kmでアタックしたんだ。良い時期に良い自信を得たよ」。
総合争いについてピノは「総合リードが大きいとは言えない。トーマスやドゥムランとのタイム差は決して大きくない。厳しい戦いが予想されるけど負けたくない。ティレーノ〜アドリアティコやツール・ド・ロマンディのような総合4位フィニッシュはもううんざりだ」とコメントしている。
クイーンステージを終えて、43秒差のステージ5位に入ったゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が47秒差の総合2位に浮上し、スピラックが50秒差で続く。終始自分のペースを守ったドゥムランはステージ10位・1分37秒差に入り、総合では1分32秒差の総合7位につけている。
「タイムロスを1分30秒以内に押さえ込みたいと思っていたから、目標はほぼ達成された」。リーダージャージを失ったドゥムランはレース後にそうコメントしている。「まだ総合のチャンスは残されている。最終日の個人タイムトライアルでどこまでタイムを挽回出来るか分からないけど、不可能ではないはずだ」。
選手コメントはレキップ紙ならびにチーム公式サイトより。
ツール・ド・スイス2015第5ステージ結果
1位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) 6h22’47”
2位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +34”
3位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +37”
4位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) +43”
5位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
6位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +1’15”
7位 ヤン・ヒルト(チェコ、CCCスプランディポルコウィチェ) +1’18”
8位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) +1’29”
9位 ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング) +1’31”
10位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +1’37”
個人総合成績
1位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) 17h42’01”
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +47”
3位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +50”
4位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +55”
5位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) +1’07”
6位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +1’27”
7位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +1’32”
8位 スティーブ・モラビート(スイス、FDJ) +2’29”
9位 セバスティアン・レイヘンバッハ(スイス、IAMサイクリング) +2’43”
10位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) +2’46”
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
山岳賞
ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)
ベストスイスライダー賞
スティーブ・モラビート(スイス、FDJ)
チーム総合成績
チームスカイ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
隣国オーストリアの山岳地帯を走る第5ステージは今大会のクイーンステージ(最難関ステージ)。コース全長は今大会最長の237.3kmで、中盤にかけてまずは標高2036mの超級山岳ビーラヘーエ峠(13.3km/6.8%)をクリア。最後は標高2669mの超級山岳ゼルデン・レッテンバッハグレーシャーを駆け上がる。
「レッテンバッハ氷河」に向かう山道は登坂距離10.9kmで平均勾配10.7%。ツール・ド・スイス史上最も高い場所に至る獲得標高差4300mの難関ステージで、序盤から8名が逃げグループを形成した。
山岳賞ジャージを着るステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)やトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、ステファン・シューマッハー(ドイツ、CCCスプランディポルコウィチェ)、プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)を含む逃げは、10分近いリードを得て中盤の超級山岳ビーラヘーエ峠をクリアする。
人数が揃った逃げグループをアスタナやカチューシャ、AG2Rラモンディアール、FDJ率いるメイン集団が追撃。タイム差は下降に転じ、最後の超級山岳レッテンバッハグレーシャーに差し掛かる頃には6分にまで縮まっていた。
先頭では生き残りをかけたアタックが始まり、デニフルが先行して登坂を継続。一方、アスタナがハイペースを刻んだメイン集団からはリーダージャージのトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)が早々に脱落する。苦しい走りを強いられたものの、最終日の個人タイムトライアルでの逆転を狙うドゥムランはペースを刻んでタイムロスを最小限に抑えることに専念した。
人数を減らしたメイン集団からはサイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)がアタックを仕掛け、続いてドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)も攻撃を試みる。これらのアタックに遅れがちだったティボー・ピノ(フランス、FDJ)が集団先頭に復帰するとそのままスピラックとともに抜け出すことに成功する。
やがてスピラックを振り切ったピノが単独となり、残り1.5kmで先頭デニフルをパス。氷河が作り出したダイナミックな山岳風景の中を独走したピノが、追いすがるポッツォヴィーヴォを34秒、スピラックを37秒振り切って勝利した。
ツール・ド・フランス直前のタイミングで抜群の登坂力を見せ、超級山岳レッテンバッハグレーシャーの頂上でリーダージャージに袖を通したピノは「キャリアの中で最も厳しい登りの一つだった」と戦いを振り返る。「今日はスティーブ(モラビート)に助けられた。ライバルのアタックには反応せずに自分のペースを守り、残り2kmでアタックしたんだ。良い時期に良い自信を得たよ」。
総合争いについてピノは「総合リードが大きいとは言えない。トーマスやドゥムランとのタイム差は決して大きくない。厳しい戦いが予想されるけど負けたくない。ティレーノ〜アドリアティコやツール・ド・ロマンディのような総合4位フィニッシュはもううんざりだ」とコメントしている。
クイーンステージを終えて、43秒差のステージ5位に入ったゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が47秒差の総合2位に浮上し、スピラックが50秒差で続く。終始自分のペースを守ったドゥムランはステージ10位・1分37秒差に入り、総合では1分32秒差の総合7位につけている。
「タイムロスを1分30秒以内に押さえ込みたいと思っていたから、目標はほぼ達成された」。リーダージャージを失ったドゥムランはレース後にそうコメントしている。「まだ総合のチャンスは残されている。最終日の個人タイムトライアルでどこまでタイムを挽回出来るか分からないけど、不可能ではないはずだ」。
選手コメントはレキップ紙ならびにチーム公式サイトより。
ツール・ド・スイス2015第5ステージ結果
1位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) 6h22’47”
2位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +34”
3位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +37”
4位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) +43”
5位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
6位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +1’15”
7位 ヤン・ヒルト(チェコ、CCCスプランディポルコウィチェ) +1’18”
8位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) +1’29”
9位 ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング) +1’31”
10位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +1’37”
個人総合成績
1位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) 17h42’01”
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +47”
3位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +50”
4位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +55”
5位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) +1’07”
6位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +1’27”
7位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +1’32”
8位 スティーブ・モラビート(スイス、FDJ) +2’29”
9位 セバスティアン・レイヘンバッハ(スイス、IAMサイクリング) +2’43”
10位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) +2’46”
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
山岳賞
ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)
ベストスイスライダー賞
スティーブ・モラビート(スイス、FDJ)
チーム総合成績
チームスカイ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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