カヴェンディッシュ、クリストフ、サガン、デゲンコルブといったトップスプリンターが顔を揃える第79回ツール・ド・スイスが6月13日にスイスで開幕。「第4のグランツール」と呼ばれる歴史ある大会の見どころをチェックしておこう。



スイス北部の田園風景の中を走るスイス北部の田園風景の中を走る photo:Tim de Waele


ツール・ド・スイス2015第2ステージツール・ド・スイス2015第2ステージ image:www.tourdesuisse.ch同時期開催のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネと並んで、ツール・ド・フランスの重要な前哨戦として知られるツール・ド・スイス。7月のツールを狙うオールラウンダーやスプリンターたちがスイスに集結する。

ツール・ド・スイス2015第3ステージツール・ド・スイス2015第3ステージ image:www.tourdesuisse.chその歴史は古く、第1回大会が開催されたのは今から82年前の1933年。ドーフィネよりも14年歴史が長く、今年で開催79回目を迎える。全9ステージで、歴史だけではなく開催期間もドーフィネよりも長い。かつては2週間にわたってで行なわれていたことから「第4のグランツール」とも呼ばれていた。例年ツールに向けて最終調整段階のスプリンターたちはドーフィネではなくこのスイスに集中しがちだ。

ツール・ド・スイス2015第5ステージツール・ド・スイス2015第5ステージ image:www.tourdesuisse.ch初日の5.1km個人タイムトライアル(プロローグ)で早速スプリンターたちが力を見せるはず。しかし彼らの総合リーダージャージ着用は1日に限定される。第2ステージは4つのカテゴリー山岳が詰め込まれた山岳ステージであり、後半にかけて1級山岳ミハエルスクロイツ(3.8km/9.4%)を2回通過。しかも2回目の通過は残り12.7km地点であり、フィニッシュ地点でリーダージャージはオールラウンダーの手に渡るだろう。

今大会最短117.3kmの第3ステージには標高2093mの超級山岳ゴッタルド峠(12.8km/7.1%)が登場。中盤にかけて長い平坦区間が設定されているためスプリンターにもチャンスがあるが、勝負に絡むためには終盤の2級山岳と3級山岳をこなさなければならない。

大会5日目には隣国オーストリアの山岳地帯を走るクイーンステージが登場。今大会最長237.3kmコースであり、中盤にかけてまずは標高2036mの超級山岳ビーラヘーエ峠(13.3km/6.8%)をクリア。最後は標高2669mの超級山岳ゼルデン・レッテンバッハ氷河(10.9km/10.7%)を駆け上がってフィニッシュを迎える。

スプリンター向きの第6ステージと第7ステージ、そして3級山岳を残り2.5km地点で越える第8ステージを経て、最終日はベルンの38.4km個人タイムトライアル。ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)の地元でレースはフィナーレを迎える。



ツール・ド・スイス2015ステージリスト
6月13日(土)第1ステージ リッシュ〜リッシュ 5.1km(個人TT)
6月14日(日)第2ステージ リッシュ〜リッシュ 161.1km
6月15日(月)第3ステージ クイント〜オリヴォネ 117.3km
6月16日(火)第4ステージ フリムスラークスファレーラ〜シュヴァルツェンバッハ 193.2km
6月17日(水)第5ステージ フルームサーベルク〜ゼルデン・レッテンバッハ氷河 193.1km
6月18日(木)第6ステージ ヴィル〜ビール 237.3km
6月19日(金)第7ステージ ビール〜デューディンゲン 152.5km
6月20日(土)第8ステージ ベルン〜ベルン 164.6km
6月21日(日)第9ステージ ベルン〜ベルン 38.4km(個人TT)




オールラウンダーの他、トップスプリンター大集合

ティボー・ピノ(フランス、FDJ)ティボー・ピノ(フランス、FDJ) photo:Tim de Waele2012年から大会3連覇中のルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)はドーフィネ出場のためスイスを欠場。黄色いリーダージャージを懸けて争うオールラウンダーとして、昨年ツール総合3位のティボー・ピノ(フランス、FDJ)やヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)、ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)、ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)らの名前が挙がる。

ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Cor Vosチームスカイはセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア)とゲラント・トーマス(イギリス)のダブルエース体制。ジロ・デ・イタリアと同様にロット・ソウダルはユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー)とマキシム・モンフォール(ベルギー)を揃えての出場だ。カンチェラーラの出場で注目を集めるトレックファクトリーレーシングはジュリアン・アレドンド(コロンビア)とフランク・シュレク(ルクセンブルク)を揃える。

アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:Makoto Ayano昨年ツール山岳賞のラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)、ツアー・オブ・ターキーを制したクリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)、43歳のダヴィデ・レベッリン(イタリア)、CCCスプランディポルコウィチェ)、そしてジロでの落車から復活したドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)もスタートラインに並ぶ。地元スイス勢としては、ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)やマルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)らが高いモチベーションで挑むはずだ。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) photo:Kei Tsujiツールを前に注目したいのは、シーズン前半に大活躍したアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)の調整具合だ。リードアウト要員としてマルコ・ハラー(オーストリア)とジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)を揃える必勝体制。クリストフは5月に地元で開催されたツアー・オブ・ノルウェーでステージ2勝、ツール・ド・フィヨルドでステージ3勝を飾っている。

相棒マーク・レンショー(オーストラリア)とともに出場するマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)や、パリ〜ルーベ覇者のジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)、アルノー・デマール(フランス、FDJ)、ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)らが対抗馬として好調スプリンターに立ち向かう。

ピュアスプリンターが苦戦する登りを含むステージではジロでステージ2勝を飾ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)やマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、そしてツアー・オブ・カリフォルニアを制したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)らにチャンスが回ってくるだろう。

text:Kei Tsuji

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