2015/05/31(日) - 04:29
チーマコッピ(大会最高地点)でライバルたちに先行を許しながらもアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)が首位をキープ。ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)が難関山岳ステージで2連勝を飾りました。
フィネストレ峠の前半は舗装路のスイッチバックが連続 photo:Tim de Waele
ジロ・デ・イタリア2015第20ステージ image:RCS Sport最終日前日の第20ステージには大会最高地点であるチーマコッピが設定された。2015年のチーマコッピは標高2178mのフィネストレ峠(コッレ・デッレ・フィネストレ)。登坂距離18.5km/平均勾配9.2%の登りの後半には名物の未舗装ダート路が登場する。残り28kmで頂上を越え、3級山岳セストリエーレにフィニッシュする。
ピエモンテ州の平坦路を駆け抜ける photo:Tim de Waele実質的な第98代総合優勝者を決める196kmのステージはディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)やイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)、アレクセイ・サラモティンス(ラトビア、IAMサイクリング)を含む9名の逃げで始まった。
高速を維持して逃げるアレクセイ・サラモティンス(ラトビア、IAMサイクリング)ら photo:Tim de Waeleヴァッレ・ダオスタ州を抜け、前日に走った渓谷を逆走してピエモンテ州へ。2分のリードを得た逃げグループは大都市トリノをかすめるようにして西に進路をとる。
単調な幹線道路で逃げグループのリードは広がらず、ティンコフ・サクソ率いるメイン集団が警戒心を解かずに追い続ける。タイム差1分30秒ほどの間合いを保ったまま、逃げグループとメイン集団はチーマコッピに向かって登坂を開始した。
高低差が1,694mに達し、後半の7.8kmが未舗装に覆われたフィネストレ峠で先頭はザッカリンが独走を開始。その1分後方ではアスタナの牽引によってメイン集団の人数が瞬く間に絞られていく。
総合上位陣の中ではアンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)、ユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ)やアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ)、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)、レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)らがメイン集団から脱落した。
先頭ザッカリンはペースを崩さずに登坂を続け、1分リードを保って未舗装区間に突入。続いて動いたのは今大会でブレイクしたバスク出身クライマー、総合3位のミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)だった。
マリアローザを含むメイン集団がフィネストレ峠を進む photo:Tim de Waele
フィネストレ峠を独走で駆け上がるイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) photo:Tim de Waele
未舗装区間でアタックするミケル・ランダ(スペイン、アスタナ) photo:Tim de Waele
未舗装区間でアタックするライダー・ヘシェダル(カナダ、キャノンデール・ガーミン) photo:Tim de Waele
フィネストレ峠を先頭で登るミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)とイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) photo:Kei Tsuji
フィネストレ峠の頂上に向けてダンシングするアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Kei Tsuji
追走するアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)とタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ) photo:Tim de Waeleマリアローザのコンタドールを引き離すことに成功したランダは未舗装の登りをハイペースで進み、頂上まで1kmを切って先頭ザッカリンにジョイン。そのまま先頭でチーマコッピをクリアし、テクニカルなダウンヒル区間へと入っていく。
コンタドールを引き離すファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele後方ではライダー・ヘシェダル(カナダ、キャノンデール・ガーミン)のアタックを切っ掛けに活性化。ヘシェダルにはリゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)が反応したが、マリアローザのコンタドールは動かない。続くファビオ・アル(イタリア、アスタナ)の加速にもコンタドールは反応できず、フィネストレ峠の頂上まで1kmを残してコンタドールの後退が始まった。
ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)がリードする先頭グループ photo:Tim de Waele先頭ランダとザッカリンから遅れること38秒でヘシェダルとウラン、40秒でアル、57秒でステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)、そして1分28秒でコンタドールがフィネストレ峠をクリア。
残り2kmを切ってアタックしたファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele下り区間を終えてもなおランダとザッカリンの先行が続いたが、3級山岳セストリエーレの登りを進むうちに後続グループ(アル、ウラン、ヘシェダル、クルイスウィク)とのタイム差は縮小する。残り9kmを切ったところで先頭の2グループは合流して6名に。1分後方のコンタドールは自力で追走を続けたが、最後までタイム差は詰まらなかった。
ランダの献身的なサポートを得て残り2kmでアタックを仕掛け、そのまま独走に持ち込んだマリアビアンカのアル。単独追走したヘシェダルを18秒、ウランとランダを24秒振り切って、アルが独走でセストリエーレのフィニッシュに飛び込んだ。
「今日は沿道に駆けつけた大勢のファンの声援を受けた。地元を走っているような気分だったよ」。イタリアを盛り上げる立役者アルは先ず観客たちに感謝した。「苦しみ続けた日々の後に、2日間でステージ2勝を飾るなんて、まだうまく飲み込めない。セストリエーレはトレーニングでよく訪れる場所なんだ。馴染み深い場所なのでこの勝利には特別な思いがある」。
コンタドールはこの日だけでアルから2分24秒失ったものの、2分02秒差で総合首位を守った。「3週間の疲労の蓄積が影響したのかは定かではないけど、今日は調子が悪かった。でも大きな総合リードを得ていたので落ち着いて自分のリズムで(フィネストレ峠を)走る事にしたんだ」とコンタドール。「前のグループとのスピード差は大きくなかったし、マリアローザが奪われることは心配していなかった。まだ1ステージが残っているけど、体重を気にしながら今夜は盛大に祝勝会を開きたい。ジロのタイトルをもう1つ手にした今、次のターゲットについて考えているよ」。
2日連続でステージ2位に入ったヘシェダルが総合7位から総合5位にジャンプアップ。この日7分37秒遅れたトロフィモフが総合10位に順位を下げている。クルイスウィクは山岳ポイントを狙う走りを見せたものの、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)からマリアアッズーラを奪うには10ポイント足らなかった。
2日連続独走でフィニッシュするファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele
小さくガッツポーズするアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waele
セストリエーレでシャンパンを開けるファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele
ジロ・デ・イタリア2015第20ステージ結果
1位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) 5h12’25”
2位 ライダー・ヘシェダル(カナダ、キャノンデール・ガーミン) +18”
3位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +24”
4位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)
5位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) +34”
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +2’25”
7位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ) +2’28”
8位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
9位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)
10位 ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ)
159位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング) +46’01”
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 84h03’30”
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +2’02”
3位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ) +3’14”
4位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +8’19”
5位 ライダー・ヘシェダル(カナダ、キャノンデール・ガーミン) +9’52”
6位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ) +10’50”
7位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) +11’02”
8位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) +12’17”
9位 アレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ) +16’00”
10位 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ) +16’23”
マリアロッサ ポイント賞
ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
マリアアッズーラ 山岳賞
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
チーム総合成績
アスタナ
text&photo:Kei Tsuji in Sestriere, Italy
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単調な幹線道路で逃げグループのリードは広がらず、ティンコフ・サクソ率いるメイン集団が警戒心を解かずに追い続ける。タイム差1分30秒ほどの間合いを保ったまま、逃げグループとメイン集団はチーマコッピに向かって登坂を開始した。
高低差が1,694mに達し、後半の7.8kmが未舗装に覆われたフィネストレ峠で先頭はザッカリンが独走を開始。その1分後方ではアスタナの牽引によってメイン集団の人数が瞬く間に絞られていく。
総合上位陣の中ではアンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)、ユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ)やアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ)、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)、レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)らがメイン集団から脱落した。
先頭ザッカリンはペースを崩さずに登坂を続け、1分リードを保って未舗装区間に突入。続いて動いたのは今大会でブレイクしたバスク出身クライマー、総合3位のミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)だった。
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「今日は沿道に駆けつけた大勢のファンの声援を受けた。地元を走っているような気分だったよ」。イタリアを盛り上げる立役者アルは先ず観客たちに感謝した。「苦しみ続けた日々の後に、2日間でステージ2勝を飾るなんて、まだうまく飲み込めない。セストリエーレはトレーニングでよく訪れる場所なんだ。馴染み深い場所なのでこの勝利には特別な思いがある」。
コンタドールはこの日だけでアルから2分24秒失ったものの、2分02秒差で総合首位を守った。「3週間の疲労の蓄積が影響したのかは定かではないけど、今日は調子が悪かった。でも大きな総合リードを得ていたので落ち着いて自分のリズムで(フィネストレ峠を)走る事にしたんだ」とコンタドール。「前のグループとのスピード差は大きくなかったし、マリアローザが奪われることは心配していなかった。まだ1ステージが残っているけど、体重を気にしながら今夜は盛大に祝勝会を開きたい。ジロのタイトルをもう1つ手にした今、次のターゲットについて考えているよ」。
2日連続でステージ2位に入ったヘシェダルが総合7位から総合5位にジャンプアップ。この日7分37秒遅れたトロフィモフが総合10位に順位を下げている。クルイスウィクは山岳ポイントを狙う走りを見せたものの、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)からマリアアッズーラを奪うには10ポイント足らなかった。
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ジロ・デ・イタリア2015第20ステージ結果
1位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) 5h12’25”
2位 ライダー・ヘシェダル(カナダ、キャノンデール・ガーミン) +18”
3位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +24”
4位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)
5位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) +34”
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +2’25”
7位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ) +2’28”
8位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
9位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)
10位 ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ)
159位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング) +46’01”
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 84h03’30”
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +2’02”
3位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ) +3’14”
4位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +8’19”
5位 ライダー・ヘシェダル(カナダ、キャノンデール・ガーミン) +9’52”
6位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ) +10’50”
7位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) +11’02”
8位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) +12’17”
9位 アレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ) +16’00”
10位 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ) +16’23”
マリアロッサ ポイント賞
ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
マリアアッズーラ 山岳賞
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
チーム総合成績
アスタナ
text&photo:Kei Tsuji in Sestriere, Italy