2015/05/11(月) - 15:15
4級山岳で遅れた石橋学(NIPPOヴィーニファンティーニ)がジェノヴァで周回遅れにされた時には肝を冷やしたが、遅れながらも完走した。どこか落ち着かない、混沌としたジロ・デ・イタリア第2ステージを振り返ります。
今大会初めて顔を合わせた別府史之(トレックファクトリーレーシング)と石橋学(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji
NIPPOヴィーニファンティーニのバスにミッチーくんが! photo:Kei Tsuji
アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)の出待ち photo:Kei Tsuji
スタート地点に登場したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji毎年のことだが、ジロ・デ・イタリアのロードレース初日はトラブルが続出する。それはレースに限ったことではなく大会全体が混沌とする印象。まだスタッフが仕事を飲み込めておらず、レース運営の流れがスムーズではなく、小さなトラブルがいたるところで起こる。
アルベンガをスタートする197名 photo:Kei Tsujiフィニッシュ地点がジェノヴァという大都会だったことがそれに輪をかけた。選手の落車だけではなく、フォトグラファーとオーガナイザーの間でも罵声が飛び交った。イタリア人がお決まりの「Che casino(ケ・カジーノ=なんてカオスなんだ)」というフレーズを連発したくなるような。それでも何事もなかったかのようにレースが進み、何事もなかったかのようにフィニッシュするのがジロの常ではあるけども。
集団から大きく遅れて周回コースに到着した石橋学(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji「最初の登りで調子がよくないと感じました」と言う石橋学(NIPPOヴィーニファンティーニ)が一人で集団から10分以上遅れてジェノヴァの周回コースにやってきた。合計2周するジェノヴァの周回コースは全長9.5km。つまり石橋が1周目に入ってすぐに、メイン集団が最終周回にやってきた。
「FINE GARA(フィーネ・ガーラ=レース終了)」の回収バンよりも後ろで走っていたので脚切りにあったのかと心配したが、タイム差的には完走が問題ないレベル。しかし単独石橋と集団のスピード差から、追いつかれるのは明らかだった。
猛烈な勢いで迫るティンコフ・サクソ率いる集団に抜かされる際には「コース脇に止められて、止まった時間を(コミッセールに)計られました」という。集団通過後に石橋は再スタートし、表彰セレモニーも一通り終わった24分遅れでジェノヴァのフェラーリ広場にフィニッシュ。止められた時間を差し引いた20分11秒遅れが正式なリザルトとなった。
「正直このステージで大幅に遅れるとは思ってなかったですし、50kmも1人で走ったのでかなりキツかったです」と、グランツールの洗礼を受けた石橋は語る。翌日以降はより大きな山岳が登場するため、まずはコンディションを戻すことが急務だ。
ジェノヴァ中心部のフェラーリ広場を行く photo:Kei Tsuji
常にニッツォロのそばで走る別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsuji
落車の影響で遅れた選手たちがばらばらと最終周回へ photo:Kei Tsuji
痛々しい姿で周回コースにやってきたダイェル・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Kei Tsuji
最終周回に入らずバイクを降りたピーター・セリー(ベルギー、エティックス・クイックステップ) photo:Kei Tsuji
ステージ初優勝を飾ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
クラークに感謝するサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsujiそんな石橋を心配していた別府史之(トレックファクトリーレーシング)はニッツォロのアシストを務め上げてフィニッシュしている。「残り2kmにかけてスプリンターたちを前に引き上げる」というスタート前のコメント通りの有言実行ぶりだったが、フィニッシュ後は険しい顔を見せる。
ニッツォロとファンポッペルを引き上げる役目を果たした別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsuji「ラスト12kmのところで目の前にピストバイクが飛び出してきて、自分は運良く避けれたけど、チームの隊列にヒットして大落車が発生しました」と別府。衝突されたチームメイトのマルコ・コレダン(イタリア)に後続が突っ込み、連鎖的に落車が発生した。
泣きながらチームメイトに迎えられるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) photo:Kei Tsujiその大落車によってリタイアを余儀なくされたのは、ウランの山岳アシストを務める予定だったピーター・セリー(ベルギー、エティックス・クイックステップ)だ。セリーは再スタートを切ったものの、最終周回に入るところでバイクを降りている。
チームスタッフに迎えられる石橋学(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsujiセリーはボルタ・ア・カタルーニャで鎖骨を骨折し、手術を受けて復帰した直後だった。泣きながらスタッフに抱えられて引き上げたセリー。鎖骨の再骨折が疑われたものの、X線検査によって幸い骨折を免れたことが判明している。とにかくウランは貴重なアシストを大会2日目にして失ってしまった。
集団先頭にメンバー全員を上げ、まるで2日連続でチームタイムトライアルを実施したティンコフ・サクソはチーム力がナンバーワンであることを今一度知らしめた。スプリンターの天下と見られた平坦ステージで、コンタドールはドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)を1分遅れにすることに成功している。
他のスプリンターよりも高いケイデンスでもがき続けたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)が先頭でフィニッシュラインを切ると、フェラーリ広場は大歓声に包まれた。近年国際化が進むジロではあるが、やはりイタリア人選手の活躍が一番盛り上がる。
ライバルたちがトップギア(53x11T)で勾配2%のスプリントに挑んだのに対し、ヴィヴィアーニは53x12Tをセレクトした。直感的に選んだギアが功を奏したと言える。
念願のステージ初優勝。フィニッシュ後にヴィヴィアーニは泣いていた。涙が止まらないヴィヴィアーニを、勝利に大きく貢献したベルンハルト・アイゼル(オーストリア)やサルヴァトーレ・プッチォ(イタリア)が抱き寄せる。
リッチー・ポート(オーストラリア)は「最高だ。自分のことのように嬉しい」と言って笑顔でチームバスに帰って行く。チームタイムトライアルでリードを広げたティンコフ・サクソに対して少し出遅れた感のあるチームスカイに、ヴィヴィアーニが良い流れを引き寄せた。
text&photo:Kei Tsuji in Genova, Italy
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猛烈な勢いで迫るティンコフ・サクソ率いる集団に抜かされる際には「コース脇に止められて、止まった時間を(コミッセールに)計られました」という。集団通過後に石橋は再スタートし、表彰セレモニーも一通り終わった24分遅れでジェノヴァのフェラーリ広場にフィニッシュ。止められた時間を差し引いた20分11秒遅れが正式なリザルトとなった。
「正直このステージで大幅に遅れるとは思ってなかったですし、50kmも1人で走ったのでかなりキツかったです」と、グランツールの洗礼を受けた石橋は語る。翌日以降はより大きな山岳が登場するため、まずはコンディションを戻すことが急務だ。
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他のスプリンターよりも高いケイデンスでもがき続けたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)が先頭でフィニッシュラインを切ると、フェラーリ広場は大歓声に包まれた。近年国際化が進むジロではあるが、やはりイタリア人選手の活躍が一番盛り上がる。
ライバルたちがトップギア(53x11T)で勾配2%のスプリントに挑んだのに対し、ヴィヴィアーニは53x12Tをセレクトした。直感的に選んだギアが功を奏したと言える。
念願のステージ初優勝。フィニッシュ後にヴィヴィアーニは泣いていた。涙が止まらないヴィヴィアーニを、勝利に大きく貢献したベルンハルト・アイゼル(オーストリア)やサルヴァトーレ・プッチォ(イタリア)が抱き寄せる。
リッチー・ポート(オーストラリア)は「最高だ。自分のことのように嬉しい」と言って笑顔でチームバスに帰って行く。チームタイムトライアルでリードを広げたティンコフ・サクソに対して少し出遅れた感のあるチームスカイに、ヴィヴィアーニが良い流れを引き寄せた。
text&photo:Kei Tsuji in Genova, Italy
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