2015/05/01(金) - 00:28
残り1.5kmを切ってから始まる、真っ白な丘陵地パムッカレに向かう3%の登りストレート。進むごとに増していく勾配をものともせずにフィニッシュラインまでもがき切ったサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)が勝利を飾りました。
美しい地中海とは一旦別れを告げて内陸を目指すツアー・オブ・ターキー。ムグラをスタートする160kmコースには2級山岳と3級山岳が設定されており、最後は観光地パムッカレに向かう平均勾配3%の直線的なフィニッシュが登場する。
登りスプリントの優勝候補と見られていた前日のステージ優勝者アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)は、ステージ連勝を狙うことなく未出走。グライペルはトルコ一周を早退してジロ・デ・イタリアに照準を合わす。なお、ライバルのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)はジロではなくツアー・オブ・カリフォルニアに出場予定だ。
大地を削り出したジェットコースターのようなワインディングロードでこの日の逃げは決まる。すっかり逃げ屋として定着したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)がフレデリック・フェヘレン(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)とアレッサンドロ・バッツァーナ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)を連れてエスケープを開始した。
タイム差は最大7分をマークしたが、レース中盤、標高800mほどの高原に差し掛かる頃には3分台にまで縮小。リーダーチームのCCCスプランディポルコウィチェに加えて、登りスプリントを見据えるMTNキュベカとコロンビアが集団牽引に参加する。タイム差が縮まったところで、メイン集団からはナトナエル・ベルハネ(エリトリア、MTNキュベカ)ら9名が新たに飛び出した。
2013年大会の覇者ベルハネらは先頭グループに合流したものの、エティックス・クイックステップ率いるメイン集団がこれを封じ込めて残り40km。不安定な状態が続いた集団先頭ではアタックが連発し、山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)も加わったがいずれも決まらず。パムッカレのフィニッシュ向けて、集団はスプリンターチームのコントロール下に置かれた。
日本人観光客も多く訪れるパムッカレはトルコを代表する観光地。湧き出た温泉の石灰が沈殿して真っ白な棚田を形成しており、隣接するヒエラポリス(ローマ帝国時代の都市遺跡)とともに世界遺産に登録されている。緑の山の中腹に雪が積もったような真っ白な斜面が広がる光景はかなり特異。第5ステージのフィニッシュラインはそんなパムッカレの麓に引かれている。
集団先頭ではエティックス・クイックステップ、オリカ・グリーンエッジ、ティンコフ・サクソによる主導権争いが続き、いよいよ残り1.5kmから緩やかな登坂がスタート。登りで勢いよく飛び出した選手も集団を完全に引き離すことは出来ない。
残り1kmを切ってマーク・レンショー(オーストラリア、エティックス・クイックステップ)が最後のリードアウトを見せたものの、肝心のカヴェンディッシュは登り勾配に苦しんでポジションダウン。飛び出していた選手が残り300mで吸収されると、ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ・サクソ)がアタックのようなスプリントを開始した。
快調に登りを進んだコラーだったが、振り返るとそこにはモードロの姿が。先行し続けたコラーをフィニッシュ寸前でモードロがかわす。登りスプリントで最後まで伸びたモードロが先着した。
「今日のようなタイプのフィニッシュは自分向き。残り200mからスプリントを開始した。今日のような絶好のチャンスを逃すわけにはいかなかった」と、今シーズン初勝利を飾ったモードロは何度も咳き込みながら話す。
「ジロ・デ・イタリアとツール・ド・スイスに出場する予定。ティレーノの落車の影響でスプリントに絡めない日々が続いていたので、ジロを前にしたこのタイミングで勝つことが出来て嬉しいよ。登坂力も冴えているし、最終日のイスタンブールでも勝ちたい」とランプレ・メリダのエーススプリンターは笑った。
しかしランプレ・メリダにとっては悪いニュースも。この日しっかりとステージ9位でフィニッシュしたダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)に対し、総合2位クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)は15秒差のステージ29位に。総合タイム差が7秒から22秒まで広がり、デュラセックの総合逆転が遠のく結果となっている。
フィニッシュにたどり着いた160名のうち完走扱いは159名。レース中盤にエウゲルト・ズパ(アルバニア、サウスイースト)にパンチをお見舞いしたデミトリ・グルージェフ(カザフスタン、アスタナ)はコミッセールにより失格処分が与えられてる。
ツアー・オブ・ターキー2015第5ステージ結果
1位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ) 4h06’19”
2位 カルロス・バルベロ(スペイン、カハルーラル)
3位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)
4位 ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
5位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、サウスイースト)
6位 ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・ソウダル)
7位 エドゥアルド・プラデス(スペイン、カハルーラル)
8位 ダニエーレ・ラット(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
9位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)
10位 ビルバオ(スペイン、カハルーラル)
145位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +10’58”
156位 黒枝士揮(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +11’18”
個人総合成績
1位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ) 19h42’08”
2位 クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ) +22”
3位 エドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン、ブルターニュ・セシェ) +54”
4位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ティンコフ・サクソ) +1’20”
5位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、MTNキュベカ) +1”38”
6位 エンリーコ・バルビン(イタリア、バルディアーニCSF) +1’39”
7位 ダニエーレ・ラット(イタリア、ユナイテッドヘルスケア) +1’42”
8位 アレックス・カノアルディラ(コロンビア、コロンビア) +1’56”
9位 ミルコ・セルヴァッジ(イタリア、ワンティ・グループグベルト) +2’11”
10位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル) +2’12”
ポイント賞
サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
山岳賞
フアンパブロ・バレンシア(コロンビア、コロンビア)
ビューティーズオブターキースプリント賞
ルイス・マスボネ(スペイン、カハルーラル)
チーム総合成績
CCCスプランディポルコウィチェ
text&photo:Kei Tsuji in Pamukkale, Turkey
美しい地中海とは一旦別れを告げて内陸を目指すツアー・オブ・ターキー。ムグラをスタートする160kmコースには2級山岳と3級山岳が設定されており、最後は観光地パムッカレに向かう平均勾配3%の直線的なフィニッシュが登場する。
登りスプリントの優勝候補と見られていた前日のステージ優勝者アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)は、ステージ連勝を狙うことなく未出走。グライペルはトルコ一周を早退してジロ・デ・イタリアに照準を合わす。なお、ライバルのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)はジロではなくツアー・オブ・カリフォルニアに出場予定だ。
大地を削り出したジェットコースターのようなワインディングロードでこの日の逃げは決まる。すっかり逃げ屋として定着したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)がフレデリック・フェヘレン(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)とアレッサンドロ・バッツァーナ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)を連れてエスケープを開始した。
タイム差は最大7分をマークしたが、レース中盤、標高800mほどの高原に差し掛かる頃には3分台にまで縮小。リーダーチームのCCCスプランディポルコウィチェに加えて、登りスプリントを見据えるMTNキュベカとコロンビアが集団牽引に参加する。タイム差が縮まったところで、メイン集団からはナトナエル・ベルハネ(エリトリア、MTNキュベカ)ら9名が新たに飛び出した。
2013年大会の覇者ベルハネらは先頭グループに合流したものの、エティックス・クイックステップ率いるメイン集団がこれを封じ込めて残り40km。不安定な状態が続いた集団先頭ではアタックが連発し、山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)も加わったがいずれも決まらず。パムッカレのフィニッシュ向けて、集団はスプリンターチームのコントロール下に置かれた。
日本人観光客も多く訪れるパムッカレはトルコを代表する観光地。湧き出た温泉の石灰が沈殿して真っ白な棚田を形成しており、隣接するヒエラポリス(ローマ帝国時代の都市遺跡)とともに世界遺産に登録されている。緑の山の中腹に雪が積もったような真っ白な斜面が広がる光景はかなり特異。第5ステージのフィニッシュラインはそんなパムッカレの麓に引かれている。
集団先頭ではエティックス・クイックステップ、オリカ・グリーンエッジ、ティンコフ・サクソによる主導権争いが続き、いよいよ残り1.5kmから緩やかな登坂がスタート。登りで勢いよく飛び出した選手も集団を完全に引き離すことは出来ない。
残り1kmを切ってマーク・レンショー(オーストラリア、エティックス・クイックステップ)が最後のリードアウトを見せたものの、肝心のカヴェンディッシュは登り勾配に苦しんでポジションダウン。飛び出していた選手が残り300mで吸収されると、ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ・サクソ)がアタックのようなスプリントを開始した。
快調に登りを進んだコラーだったが、振り返るとそこにはモードロの姿が。先行し続けたコラーをフィニッシュ寸前でモードロがかわす。登りスプリントで最後まで伸びたモードロが先着した。
「今日のようなタイプのフィニッシュは自分向き。残り200mからスプリントを開始した。今日のような絶好のチャンスを逃すわけにはいかなかった」と、今シーズン初勝利を飾ったモードロは何度も咳き込みながら話す。
「ジロ・デ・イタリアとツール・ド・スイスに出場する予定。ティレーノの落車の影響でスプリントに絡めない日々が続いていたので、ジロを前にしたこのタイミングで勝つことが出来て嬉しいよ。登坂力も冴えているし、最終日のイスタンブールでも勝ちたい」とランプレ・メリダのエーススプリンターは笑った。
しかしランプレ・メリダにとっては悪いニュースも。この日しっかりとステージ9位でフィニッシュしたダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)に対し、総合2位クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)は15秒差のステージ29位に。総合タイム差が7秒から22秒まで広がり、デュラセックの総合逆転が遠のく結果となっている。
フィニッシュにたどり着いた160名のうち完走扱いは159名。レース中盤にエウゲルト・ズパ(アルバニア、サウスイースト)にパンチをお見舞いしたデミトリ・グルージェフ(カザフスタン、アスタナ)はコミッセールにより失格処分が与えられてる。
ツアー・オブ・ターキー2015第5ステージ結果
1位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ) 4h06’19”
2位 カルロス・バルベロ(スペイン、カハルーラル)
3位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)
4位 ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
5位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、サウスイースト)
6位 ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・ソウダル)
7位 エドゥアルド・プラデス(スペイン、カハルーラル)
8位 ダニエーレ・ラット(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
9位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)
10位 ビルバオ(スペイン、カハルーラル)
145位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +10’58”
156位 黒枝士揮(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +11’18”
個人総合成績
1位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ) 19h42’08”
2位 クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ) +22”
3位 エドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン、ブルターニュ・セシェ) +54”
4位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ティンコフ・サクソ) +1’20”
5位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、MTNキュベカ) +1”38”
6位 エンリーコ・バルビン(イタリア、バルディアーニCSF) +1’39”
7位 ダニエーレ・ラット(イタリア、ユナイテッドヘルスケア) +1’42”
8位 アレックス・カノアルディラ(コロンビア、コロンビア) +1’56”
9位 ミルコ・セルヴァッジ(イタリア、ワンティ・グループグベルト) +2’11”
10位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル) +2’12”
ポイント賞
サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
山岳賞
フアンパブロ・バレンシア(コロンビア、コロンビア)
ビューティーズオブターキースプリント賞
ルイス・マスボネ(スペイン、カハルーラル)
チーム総合成績
CCCスプランディポルコウィチェ
text&photo:Kei Tsuji in Pamukkale, Turkey
フォトギャラリー
Amazon.co.jp