2015/04/17(金) - 19:48
「北の地獄」の異名をとるクラシックレースの女王ことパリ~ルーベを走ったプロバイクを紹介する第2弾。今回はジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)のウィニングマシンをはじめ、AG2Rラモンディアール、モビスター、MTNキュベカ、コフィディスの5チームのバイクをピックアップします。
ジャイアント・アルペシン 【ジャイアント DEFY ADVANCED SL】
ジャイアント・アルペシンからはミラノ~サンレモに続く今季2つめのモニュメント優勝を果たしたジョン・デゲンコルブ(ドイツ)が駆る「DEFY ADVANCED SL」をピックアップ。DEFYシリーズは今季フルモデルチェンジに伴いディスクブレーキ仕様になってしまったため、チームはキャリパーブレーキ仕様の旧型を使い続けている。
しかし、これまでも2011年には3位、2013年と2014年には2位とパリ~ルーベでも多くの好リザルトに貢献している1台で、今年の優勝によって、改めてその走破性の高さを示す格好となった。なお、トップチューブにはお守り代わりに生まれたばかりの愛息子の足裏がプリントされたステッカーが貼られている。
そしてフレーム以外にも悪路対策が施されている。大きな所ではプロトタイプのヴィットリア製30mm幅のタイヤだ。これに伴いブレーキにはカム機構を取入れ制動力を強化したシマノの新型ロングアーチブレーキキャリパーを採用。ホイール交換の作業時間を短縮するためか、本来チェーンステー取付けタイプのダイレクトマウントブレーキとあわせて使われるアジャスターが前後ブレーキのワイヤーにインサートされているのが特徴的だ。
その他、バーテープの2重巻き、片側のみのインラインブレーキレバー、ホールド力に優れるエリートCIUSSI GELボトルケージ、K-Edge製チェーンキャッチャー、大きなインナーチェーンリングなどが普段のバイクと異なる。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2で、パワーメーターはパイオニアのパワーモニター。ホイールはエアロ効果、反応性、快適性のバランスに優れる35mmハイトのシマノWH-9000-C35-TU。シマノからサポートを受けることからハンドル、ステム、サドルはPRO。デゲンコルブはトラディショナルなシャローベンドを愛用しており、ドロップ部の直線を地面と平行とした教科書通りのセッティングとしている。
AG2Rラモンディアール 【フォーカス CAYO、IZALCO MAX、MARES CX】
AG2Rラモンディアールのバイクサプライヤーを務めるのはジャーマンブランドのフォーカス。パリ~ルーベでは今季フルモデルチェンジを果たし走行性能を高めた新型エンデュランスモデル「CAYO」、軽量オールラウンドモデル「IZALCO MAX」とそのテクノロジーを踏襲するCXバイク「MARES CX」をライダーの好みに応じて使い分けた。
パーツアッセンブルはほぼ普段どおりで、タイヤ以外に目立った悪路対策は行っていないよう。コンポーネントはスラムRED22で、ワイドレシオのギアでなくともはロングケージタイプの「WiFLi」リアディレーラーを常用。ホイールはジップで、45mmハイトの303がメイン。タイヤはドットが敷き詰められたトレッドパターンと青いサイドウォールのジュワルべONEのプロトタイプで、幅は28mmとしている。
サドルを筆頭に、ハンドル、ステム、シートポスト、バーテープまで全てフィジークでまとめられている。ボトルケージはアルミ製の定番モデルCIUSSI GELと、同じくホールド力に定評がある樹脂製のCANNIBAL。ペダルはルックKeO Bladeのプロチームモデルだ。
モビスター 【キャニオン ULTIMATE CF SLX、AEROAD CF SLX】
昨シーズンよりキャニオンを駆るモビスター。パリ~ルーべではエアロモデル「AEROAD CF SLX」と、オールラウンドモデル「ULTIMATE CF SLX」を選手の好みに応じて使いわけた。なお、快適性を重視したエンデュランスモデル「Endurace CF」は投入されていない様だ。
悪路対策でトピックスなのがホイールで、カンパニョーロのロープロファイルモデル「HYPERON ULTRA」が装着されたバイクが多いこと。重量やエアロダイナミクスではBORA ULTRAシリーズに後塵を拝するものの、オーソドックスな造りやスポーク数の多さに起因する信頼性や快適性が北のクラシックで多様される理由なのだろう。組み合わせるタイヤはコンチネンタルのプロ供給専用モデル「COMPETITION PROLTD」の28mm。リザードスキンのバーテープは2重巻きとし、振動吸収性を高めている。
コンポーネントはカンパニョーロSUPERRECORD EPSで、クランクはPower2maxのカンパニョーロ4アームタイプとしている。ハンドル、ステム、シートポストはキャニオンの純正で統一。その他サドルはチームカラーのフィジーク、ペダルはルック、ボトルケージ及びボトルはエリートとしている。
MTNキュベカ 【サーヴェロ R3 Mud】
MTNキュベカは、タイヤクリアランスの拡大やジオメトリーの変更によってパヴェへ最適化したサーヴェロの北のクラシック専用モデルを使用。海外メディアでは「R5」グレードとされていたが、外見はガーミン・シャープが使用していたスクエア形状のダウンチューブなど「R3 Mud」と似通っている。
普段は電動タイプのコンポーネントを使用するものの、パリ~ルーベでは機械式のシマノDURA-ACEを採用。クランクとチェーンリングにはローター、チェーンには金色に輝くKMCを組み合わせている。ホイールはエンヴィで、リムハイトが前48mm/後56mmの「SMART SYSTEM 4.5」で統一した。タイヤには、杉目のサイドトレッドの面積が市販モデルよりも大きなヴィットリアのプロトタイプを組み合わせる。
ハンドル、ステム、シートポストは新グラフィックの3Tで統一。その他、サドルはセライタリア、ペダルはスピードプレイ、ボトルケージは北のクラシックでは定番のエリートCIUSSI GELだ。
コフィディス 【オルベア ORCA OMR】
コフィディスはパリ~ルーベでも普段と同じくオルベア「ORCA OMR」を使用。軽量クライミングモデルらしくパリっとした乗り味のためか、驚く程太い2重(3重?)巻きバーテープを中心に、スポンサー外のトラディショナルな造りのチューブラータイヤなどで衝撃吸収性を高めている様だ。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2がメイン。クランクはFSA K-Force Liteで、一見シングルチェーンリングに見えるが実際にはインナーが大きいだけ。ハンドルのフラット部分にはインラインブレーキレバーを装備。ホイールは40mmハイトのヴィジョンMetron40で統一している。
ハンドル、ステム、シートポストはFSAで統一。その他、サドルはセライタリア、ペダルはルックKeO Bladeプロチームモデル、ボトルケージはフランスの老舗サイクルアクセサリーブランドであるゼファールだ。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
ジャイアント・アルペシン 【ジャイアント DEFY ADVANCED SL】
ジャイアント・アルペシンからはミラノ~サンレモに続く今季2つめのモニュメント優勝を果たしたジョン・デゲンコルブ(ドイツ)が駆る「DEFY ADVANCED SL」をピックアップ。DEFYシリーズは今季フルモデルチェンジに伴いディスクブレーキ仕様になってしまったため、チームはキャリパーブレーキ仕様の旧型を使い続けている。
しかし、これまでも2011年には3位、2013年と2014年には2位とパリ~ルーベでも多くの好リザルトに貢献している1台で、今年の優勝によって、改めてその走破性の高さを示す格好となった。なお、トップチューブにはお守り代わりに生まれたばかりの愛息子の足裏がプリントされたステッカーが貼られている。
そしてフレーム以外にも悪路対策が施されている。大きな所ではプロトタイプのヴィットリア製30mm幅のタイヤだ。これに伴いブレーキにはカム機構を取入れ制動力を強化したシマノの新型ロングアーチブレーキキャリパーを採用。ホイール交換の作業時間を短縮するためか、本来チェーンステー取付けタイプのダイレクトマウントブレーキとあわせて使われるアジャスターが前後ブレーキのワイヤーにインサートされているのが特徴的だ。
その他、バーテープの2重巻き、片側のみのインラインブレーキレバー、ホールド力に優れるエリートCIUSSI GELボトルケージ、K-Edge製チェーンキャッチャー、大きなインナーチェーンリングなどが普段のバイクと異なる。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2で、パワーメーターはパイオニアのパワーモニター。ホイールはエアロ効果、反応性、快適性のバランスに優れる35mmハイトのシマノWH-9000-C35-TU。シマノからサポートを受けることからハンドル、ステム、サドルはPRO。デゲンコルブはトラディショナルなシャローベンドを愛用しており、ドロップ部の直線を地面と平行とした教科書通りのセッティングとしている。
AG2Rラモンディアール 【フォーカス CAYO、IZALCO MAX、MARES CX】
AG2Rラモンディアールのバイクサプライヤーを務めるのはジャーマンブランドのフォーカス。パリ~ルーベでは今季フルモデルチェンジを果たし走行性能を高めた新型エンデュランスモデル「CAYO」、軽量オールラウンドモデル「IZALCO MAX」とそのテクノロジーを踏襲するCXバイク「MARES CX」をライダーの好みに応じて使い分けた。
パーツアッセンブルはほぼ普段どおりで、タイヤ以外に目立った悪路対策は行っていないよう。コンポーネントはスラムRED22で、ワイドレシオのギアでなくともはロングケージタイプの「WiFLi」リアディレーラーを常用。ホイールはジップで、45mmハイトの303がメイン。タイヤはドットが敷き詰められたトレッドパターンと青いサイドウォールのジュワルべONEのプロトタイプで、幅は28mmとしている。
サドルを筆頭に、ハンドル、ステム、シートポスト、バーテープまで全てフィジークでまとめられている。ボトルケージはアルミ製の定番モデルCIUSSI GELと、同じくホールド力に定評がある樹脂製のCANNIBAL。ペダルはルックKeO Bladeのプロチームモデルだ。
モビスター 【キャニオン ULTIMATE CF SLX、AEROAD CF SLX】
昨シーズンよりキャニオンを駆るモビスター。パリ~ルーべではエアロモデル「AEROAD CF SLX」と、オールラウンドモデル「ULTIMATE CF SLX」を選手の好みに応じて使いわけた。なお、快適性を重視したエンデュランスモデル「Endurace CF」は投入されていない様だ。
悪路対策でトピックスなのがホイールで、カンパニョーロのロープロファイルモデル「HYPERON ULTRA」が装着されたバイクが多いこと。重量やエアロダイナミクスではBORA ULTRAシリーズに後塵を拝するものの、オーソドックスな造りやスポーク数の多さに起因する信頼性や快適性が北のクラシックで多様される理由なのだろう。組み合わせるタイヤはコンチネンタルのプロ供給専用モデル「COMPETITION PROLTD」の28mm。リザードスキンのバーテープは2重巻きとし、振動吸収性を高めている。
コンポーネントはカンパニョーロSUPERRECORD EPSで、クランクはPower2maxのカンパニョーロ4アームタイプとしている。ハンドル、ステム、シートポストはキャニオンの純正で統一。その他サドルはチームカラーのフィジーク、ペダルはルック、ボトルケージ及びボトルはエリートとしている。
MTNキュベカ 【サーヴェロ R3 Mud】
MTNキュベカは、タイヤクリアランスの拡大やジオメトリーの変更によってパヴェへ最適化したサーヴェロの北のクラシック専用モデルを使用。海外メディアでは「R5」グレードとされていたが、外見はガーミン・シャープが使用していたスクエア形状のダウンチューブなど「R3 Mud」と似通っている。
普段は電動タイプのコンポーネントを使用するものの、パリ~ルーベでは機械式のシマノDURA-ACEを採用。クランクとチェーンリングにはローター、チェーンには金色に輝くKMCを組み合わせている。ホイールはエンヴィで、リムハイトが前48mm/後56mmの「SMART SYSTEM 4.5」で統一した。タイヤには、杉目のサイドトレッドの面積が市販モデルよりも大きなヴィットリアのプロトタイプを組み合わせる。
ハンドル、ステム、シートポストは新グラフィックの3Tで統一。その他、サドルはセライタリア、ペダルはスピードプレイ、ボトルケージは北のクラシックでは定番のエリートCIUSSI GELだ。
コフィディス 【オルベア ORCA OMR】
コフィディスはパリ~ルーベでも普段と同じくオルベア「ORCA OMR」を使用。軽量クライミングモデルらしくパリっとした乗り味のためか、驚く程太い2重(3重?)巻きバーテープを中心に、スポンサー外のトラディショナルな造りのチューブラータイヤなどで衝撃吸収性を高めている様だ。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2がメイン。クランクはFSA K-Force Liteで、一見シングルチェーンリングに見えるが実際にはインナーが大きいだけ。ハンドルのフラット部分にはインラインブレーキレバーを装備。ホイールは40mmハイトのヴィジョンMetron40で統一している。
ハンドル、ステム、シートポストはFSAで統一。その他、サドルはセライタリア、ペダルはルックKeO Bladeプロチームモデル、ボトルケージはフランスの老舗サイクルアクセサリーブランドであるゼファールだ。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
Amazon.co.jp