ボルタ・ア・カタルーニャ(UCIワールドツアー)の”クイーンステージ”第4ステージで総合争いが加熱。ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)が1級山岳ラ・モリーナの頂上に独走でたどり着きました。



一面雪に覆われた超級山岳クレウエタ峠一面雪に覆われた超級山岳クレウエタ峠 photo:Tim de Waele


ボルタ・ア・カタルーニャ2015第4ステージボルタ・ア・カタルーニャ2015第4ステージ image:Volta a Catalunya標高1725mの1級山岳ラ・モリーナにフィニッシュする第4ステージ。前半から1級山岳ブラコンス峠(平均勾配4.9%・登坂距離10.5km)と1級山岳コウベ峠(平均勾配5.5%・登坂距離10km)が立て続けに登場し、さらにフィニッシュ42km手前に位置する標高1916mの超級山岳クレウエタ峠(平均勾配4.5%・登坂距離21km)にアタック。そこから一旦標高1070mまで下がり、1級山岳ラ・モリーナ(平均勾配5.8%・登坂距離5.6km)を駆け上がってフィニッシュを迎える。

カタルーニャ州の山岳地帯へと入って行くカタルーニャ州の山岳地帯へと入って行く photo:Tim de Waele1日の獲得標高差は4000m。ピレネー山脈を行く5時間のレース中、幸い天候は選手たちの味方をした。

前日に16分近く失ったティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)前日に16分近く失ったティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) photo:Tim de Waeleスタートが切られるやいなや飛び出したのはリカルド・ゾイドル(オーストリア、トレックファクトリーレーシング)とホセ・エラーダ(スペイン、モビスター)、ジェローム・コッペル(フランス、IAMサイクリング)、トム・ダニエルソン(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)、ロイック・シェトゥー(フランス、コフィディス)だった。

雪の積もった超級山岳クレウエタ峠を行くリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)ら雪の積もった超級山岳クレウエタ峠を行くリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)ら photo:Tim de Waele序盤から連続する1級山岳を越えて行く先頭5名。この日最大の難所である超級山岳クレウエタ峠で先頭はゾイドルとダニエルソンの2人に絞られる。頂上通過の時点で1分後方にまで迫っていたメイン集団からは、リーダージャージを着るピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)やクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が脱落した。

雪の積もった超級山岳クレウエタ峠を走るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)雪の積もった超級山岳クレウエタ峠を走るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waele40秒ほどのリードで最後の1級山岳ラ・モリーナに差し掛かった先頭ゾイドルとダニエルソンを、チームスカイ率いるメイン集団が吸収。するとヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)が涼しい顔でさりげないカウンターアタック。続いて、頂上まで4kmを残してヴァンガーデレンがアタックした。

1級山岳ラ・モリーナにフィニッシュするティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)1級山岳ラ・モリーナにフィニッシュするティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) photo:Tim de Waele前日の第3ステージの下りで落車し、あわや大怪我を負うところだったヴァンガーデレン。16分近く遅れ、事実上総合争いを諦めざるを得ない状況のアメリカンがステージ優勝目指して飛び立った。

後方ではアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)がダンシングで加速してライバルたちをふるい落とす。しかしコンタドールの勢いは長続きせず、前方で待機していたキリエンカにアシストされたリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)がコンタドールにジョイン。フィニッシュまで1kmを切ったところで、逆にポートがコンタドールを引き離した。

頂上のフィニッシュラインに独走で飛び込んだヴァンガーデレンのすぐ後ろで、ポートが3秒遅れのフィニッシュ。コンタドールはダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン)とウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)とともに8秒遅れ。ジロ・デ・イタリアでもバトルが予想されるポートvsコンタドールの勝負は、ポートに軍配が上がった。

2年連続クイーンステージを制したヴァンガーデレンは「このカタルーニャでは去年も山頂フィニッシュで勝利しているし、いい思い出が多い。でも時には悪いこともある。昨日は落車という不運に見舞われたものの、怪我が最小限で済んだことはラッキーだった。それだけに今日のレースへのモチベーションは高かった。総合争いではなく、ステージ優勝に全力を注いだ。それだけを考えていた」とコメント。

この日、5分13秒遅れたロランに代わって、47秒遅れにまとめたバルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ソウダル)が総合首位に浮上。ステージ2位に入ったポートが21秒差の総合2位、前日のステージ優勝者ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)が26秒差の総合3位につけている。

総合2位に浮上したポートは「ステージ優勝に届かずに残念だった。良いタイミングでティージェイ(ヴァンガーデレン)がアタックした時、アルベルト(コンタドール)とリゴ(ウラン)をマークする必要があったから反応できなかったんだ。アルベルトがアタックした時も焦らず落ち着いて対処した。ジロに出場予定のライバルたちを引き離したことは大きな自信になるよ。明日以降バルト・デクレルクからタイムを奪いたい。タイトな闘いになると思うけど、チーム力は揃っている。出来るだけ上の総合順位でレースを終えたいと思う」とコメントしている。

首位デクレルクから総合タイム30秒以内にポート、ポッツォヴィーヴォ、マーティン、コンタドールがひしめく状態。初日の大逃げで生まれたタイム差が刺激的な総合争いを演出している。総合首位奪取を目論むポートらは、残り10km地点で2級山岳リーリャ峠(平均勾配4.8%・登坂距離4.1km)をクリアする翌日の第5ステージで再び攻撃を仕掛けるだろう。

選手コメントは各チーム公式サイトより。



総合首位に立ったバルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ソウダル)総合首位に立ったバルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:Tim de Waele


ボルタ・ア・カタルーニャ2015第4ステージ結果
1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)       5h00’36”
2位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)               +03”
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)           +08”
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン)
5位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)
6位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング)              +11”
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)       +15”
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)               +19”
9位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)               +21”
10位 ラファエル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ)
122位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)            +27’49”

個人総合成績
1位 バルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ソウダル)            18h32’02”
2位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)               +21”
3位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)       +26”
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン)        +27”
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)           +28”
6位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)       +45”
7位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)                     +48”
8位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)              +51”
9位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)               +52”
10位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング)             +54”

山岳賞
トム・ダニエルソン(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)

スプリント賞
ルイス・マスボネ(スペイン、カハルーラル)

ヤングライダー賞
ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)

チーム総合成績
チームスカイ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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