2015/03/16(月) - 13:53
ティレーノ~アドリアティコのクイーンステージとなる第5ステージ。山頂ゴールを制したのはナイロ・キンタナ(コロンビア・モビスター)。雪に覆われたテルミニッロで圧倒的な登坂力を見せつけたキンタナはリーダージャージにも袖を通した。
雪に覆われたテルミニッロを駆け上がるティレーノ〜アドリティコ第5ステージ photo:CorVos
逃げたマキシム・モンフォール(フランス、ロット・ソウダル)ら photo:CorVos
集団内で走るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:CorVos
雪のテルミニッロを駆け上がるナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:CorVos
キンタナを追走するバウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング) photo:CorVos
吹き付ける大雪に苦しむ選手たち photo:CorVos大会で唯一の山頂ゴールとなる第5ステージ。エザナトーリアからイタリア半島中央部のアペニン山脈を南へ縦走し、テルミニッロへとゴールする194kmのステージ。カテゴリー山岳が4つ、内2つが標高1,000m級でゴールのテルミニッロは標高1,675mとクイーンステージとなるにふさわしいレイアウトで、総合上位陣による激しいバトルが期待されていた。
前日からの予報通り、芳しくない天候の中集団がスタートしていく。ゴール地点では雪が降るほどの低気温が予想されていることもあり、多くの選手が冬用ウェアを着用している。悪天候の影響でステージが短縮、もしくはキャンセルとなるという予測も出ていたが、主催者はこのクイーンステージを当初の予定通り実施する決断を下した。
この日もスタート間もなく逃げが決まる。マキシム・モンフォール(ベルギー、ロットソウダル)、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)、アレッサンンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)、ヘスス・エラーダ(スペイン、モビスター)、アンヘル・ビシオソ(スペイン、カチューシャ)、マッテオ・モンタグーティ(イタリア、AG2Rラモンディアール)、アンドレイ・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)、ポール・ヴォス(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)の8名が逃げる。
協調しながら逃げる8人は、2つの山岳を超えた時点で約6分ほどのタイム差をメイン集団に対して築く。しかし、長い下りと2つの登りを経て、テルミニッロの登りに差しかかるころにはその差は3分ほどに詰まっていく。メイン集団を中心となって牽引するのは、アルベルト・コンタドール(スペイン)擁するティンコフ・サクソとリーダージャージを守るチームスカイの2チーム。
テルミニッロを登り始めると、スカルポーニが逃げ集団のペースを上げる。そのペースに付いていけたのは、モンフォールとデマルキの2名のみ。しかし、スカルポーニのペースにモンフォールも耐えきれず、次いでデマルキが脱落し、残り5kmで先頭はスカルポーニ一人となる。
それを追うメイン集団も残り7km地点でのロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)のアタックを皮切りに一気にペースが上がっていく。次々と選手が脱落していく中にはヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)の姿もあった。
どんどんスリムになっていく集団の中から、鋭いアタックを決めたのはナイロ・キンタナ。コンタドールが中心になって追うも、軽やかに登りをこなすキンタナを捕らえられない。
コンタドールに追従できたティボー・ピノ(フランス、FDJ)やバウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)を中心にした7名の追走グループが形成されるも、アタックと牽制が繰り返され、キンタナとの差は広がっていく。
一方で後続を振り切ったキンタナはスカルポーニをパスし、軽快なダンシングを見せながら、雪降りしきる山頂へと距離を縮めていく。その後方では、モレマが抜け出すことに成功し単独でキンタナを追いかける。ラスト1kmのアーチをくぐると、除雪が間に合わず轍ができるほど雪が積もったコースが現れた。
雪で霞むゴールに単独飛び込むナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:CorVos
肩を落としてゴールするワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ) photo:CorVos
アイスバーンに苦しむモトライダー photo:CorVos
雪に足元をすくわれたチームカー photo:CorVosしかし、そんなバッドコンディションもコロンビアンクライマーの登坂を妨げることはできず。モレマに41秒、コンタドールらに55秒の差をつけて、キンタナが白銀のフィニッシュラインを先頭で通過した。大雪となったステルヴィオを通過した昨年のジロ・デ・イタリア第16ステージを制したキンタナが、またも雪降る山岳レースで白星をつけた。
「本当にうれしくて、天にも昇りそうな気分だ。残り5kmで周りの選手を見渡したら、誰も僕についてこれる余裕がありそうな選手がいないように見えた。すごく脚の調子も良かったから、その瞬間アタックしていたんだ。誰も追ってくることがないことを見届けて、ゴールまで全力で踏み続けた。最後のTTでこのジャージを守ることができるように努力するつもりだ。」と今シーズン初勝利を挙げたキンタナは語った。
一方、「あまり言い訳はしたくはないんだけど、昨日のステージでの落車が少し影響していた。勝てはしなかったけれど、今日は結構良い動きが出来たとは思う。」と今日のステージを振り返るコンタドール。
1分近い差を付けられたキンタナについては、「キンタナがアタックした時、集団の後ろのほうにいたため、直ぐに反応できなかった。皆が僕をマークしていて、誰も積極的に追走を仕掛けなかったから大きなリードを許してしまった。」とコメントしている。
新城幸也は先頭から22分遅れの116位でゴールしている。「去年のジロは雪に備えて路上に塩撒いてたから道路に積もらなかったが、今日と同じくらいは降っていたかな。残り4kmぐらいから降り出して、残り2kmではチームカーもスリップして登れて無いほどだった。しかし幸いにも寒い思いをしたのは短くて良かった。
もしこれがスタートから一日中雨にうたれて、最後に雪なら大変なダメージだっただろう。最後25kmぐらいからだけ雨が降ったから、ダメージは最小限で済んだ。残念ながらピエールのアクシデントがあって、足首が大きく腫れていて、うまくパフォーマンス出せなかった。明日はスプリントになるだろう。何か結果を出したい」と語った。
明日はティレーノ~アドリアティコ最後のマスドレースステージとなる。序盤に山岳があるものの、その後はアドリア海へ向かって下っていく、スプリンター向けのレイアウトとなっている。
選手コメントは各チーム公式リリースならびにTeamユキヤ通信より。
ティレーノ~アドリアティコ2015第5ステージ結果
個人総合成績
山岳賞
カルロス・キンテロ(コロンビア、チームコロンビア)
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
ヤングライダー賞
ナイロ・キンタナ(コロンビア・モビスター)
text:Naoki.Yasuoka
photo:CorVos, RCSsport
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前日からの予報通り、芳しくない天候の中集団がスタートしていく。ゴール地点では雪が降るほどの低気温が予想されていることもあり、多くの選手が冬用ウェアを着用している。悪天候の影響でステージが短縮、もしくはキャンセルとなるという予測も出ていたが、主催者はこのクイーンステージを当初の予定通り実施する決断を下した。
この日もスタート間もなく逃げが決まる。マキシム・モンフォール(ベルギー、ロットソウダル)、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)、アレッサンンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)、ヘスス・エラーダ(スペイン、モビスター)、アンヘル・ビシオソ(スペイン、カチューシャ)、マッテオ・モンタグーティ(イタリア、AG2Rラモンディアール)、アンドレイ・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)、ポール・ヴォス(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)の8名が逃げる。
協調しながら逃げる8人は、2つの山岳を超えた時点で約6分ほどのタイム差をメイン集団に対して築く。しかし、長い下りと2つの登りを経て、テルミニッロの登りに差しかかるころにはその差は3分ほどに詰まっていく。メイン集団を中心となって牽引するのは、アルベルト・コンタドール(スペイン)擁するティンコフ・サクソとリーダージャージを守るチームスカイの2チーム。
テルミニッロを登り始めると、スカルポーニが逃げ集団のペースを上げる。そのペースに付いていけたのは、モンフォールとデマルキの2名のみ。しかし、スカルポーニのペースにモンフォールも耐えきれず、次いでデマルキが脱落し、残り5kmで先頭はスカルポーニ一人となる。
それを追うメイン集団も残り7km地点でのロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)のアタックを皮切りに一気にペースが上がっていく。次々と選手が脱落していく中にはヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)の姿もあった。
どんどんスリムになっていく集団の中から、鋭いアタックを決めたのはナイロ・キンタナ。コンタドールが中心になって追うも、軽やかに登りをこなすキンタナを捕らえられない。
コンタドールに追従できたティボー・ピノ(フランス、FDJ)やバウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)を中心にした7名の追走グループが形成されるも、アタックと牽制が繰り返され、キンタナとの差は広がっていく。
一方で後続を振り切ったキンタナはスカルポーニをパスし、軽快なダンシングを見せながら、雪降りしきる山頂へと距離を縮めていく。その後方では、モレマが抜け出すことに成功し単独でキンタナを追いかける。ラスト1kmのアーチをくぐると、除雪が間に合わず轍ができるほど雪が積もったコースが現れた。
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「本当にうれしくて、天にも昇りそうな気分だ。残り5kmで周りの選手を見渡したら、誰も僕についてこれる余裕がありそうな選手がいないように見えた。すごく脚の調子も良かったから、その瞬間アタックしていたんだ。誰も追ってくることがないことを見届けて、ゴールまで全力で踏み続けた。最後のTTでこのジャージを守ることができるように努力するつもりだ。」と今シーズン初勝利を挙げたキンタナは語った。
一方、「あまり言い訳はしたくはないんだけど、昨日のステージでの落車が少し影響していた。勝てはしなかったけれど、今日は結構良い動きが出来たとは思う。」と今日のステージを振り返るコンタドール。
1分近い差を付けられたキンタナについては、「キンタナがアタックした時、集団の後ろのほうにいたため、直ぐに反応できなかった。皆が僕をマークしていて、誰も積極的に追走を仕掛けなかったから大きなリードを許してしまった。」とコメントしている。
新城幸也は先頭から22分遅れの116位でゴールしている。「去年のジロは雪に備えて路上に塩撒いてたから道路に積もらなかったが、今日と同じくらいは降っていたかな。残り4kmぐらいから降り出して、残り2kmではチームカーもスリップして登れて無いほどだった。しかし幸いにも寒い思いをしたのは短くて良かった。
もしこれがスタートから一日中雨にうたれて、最後に雪なら大変なダメージだっただろう。最後25kmぐらいからだけ雨が降ったから、ダメージは最小限で済んだ。残念ながらピエールのアクシデントがあって、足首が大きく腫れていて、うまくパフォーマンス出せなかった。明日はスプリントになるだろう。何か結果を出したい」と語った。
明日はティレーノ~アドリアティコ最後のマスドレースステージとなる。序盤に山岳があるものの、その後はアドリア海へ向かって下っていく、スプリンター向けのレイアウトとなっている。
選手コメントは各チーム公式リリースならびにTeamユキヤ通信より。
ティレーノ~アドリアティコ2015第5ステージ結果
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア・モビスター)
2位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
4位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
6位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
7位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
9位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)
10位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)
116位 新城幸也(ユーロップカー)
2位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
4位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
6位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
7位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
9位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)
10位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)
116位 新城幸也(ユーロップカー)
5h26'03"
+41"
+55"
+1’05"
+1’10"
+22’32"
+41"
+55"
+1’05"
+1’10"
+22’32"
個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア・モビスター)
2位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
3位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
4位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
6位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
8位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
9位 スティーブ・クミングス(イギリス、MTNキュベカ)
10位 ワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)
80位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
2位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
3位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
4位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
6位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
8位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
9位 スティーブ・クミングス(イギリス、MTNキュベカ)
10位 ワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)
80位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
19h54'45"
+39"
+48"
+57"
+1’03"
+1’04"
+1’06"
+1’07"
+1’12"
+1’13"
+28’57"
+39"
+48"
+57"
+1’03"
+1’04"
+1’06"
+1’07"
+1’12"
+1’13"
+28’57"
山岳賞
カルロス・キンテロ(コロンビア、チームコロンビア)
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
ヤングライダー賞
ナイロ・キンタナ(コロンビア・モビスター)
text:Naoki.Yasuoka
photo:CorVos, RCSsport
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