2015/03/13(金) - 10:17
1級山岳クロワ・ド・ショブレで総合争いが勃発し、圧倒的なチーム力でプロトンを支配したチームスカイがワンツーフィニッシュを達成。8秒差のステージ3位と粘ったクヴィアトコウスキーがマイヨジョーヌを取り戻している。
5日目に入ったパリ~ニースは山岳地帯へと足を踏み入れる (c)CorVos
スタートラインで並ぶマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)が並ぶ (c)A.S.O
深い霧の中スタートが切られた第4ステージ (c)A.S.O
粘り強い逃げを敢行したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ) (c)CorVos
集団内で走るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) (c)A.S.O
鋭いアタックを決めたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) (c)CorVos地中海に面したニースに向けて一路南下を続けるパリ〜ニースはこの日で5日目。ヴァレンヌ・シュル・アリエをスタートした集団は一直線に南東へと向かい、サンティティエンヌの街にほど近い1級山岳クロワ・ド・ショブレへと続く200kmオーバーのコースに繰り出した。
スタート後50kmから合計8(3級山岳×5、2級山岳×2、1級山岳×1)のカテゴリー山岳が続くものの、勝負を分けるのはラスト10kmから始まるクロワ・ド・ショブレの登りだ。登坂距離10km、コンスタントに6〜9%の勾配を刻むこの難関山岳で、激しい総合争いが勃発することとなる。
この日スタート5km地点から先行したのはトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)とクリスアンケル・セレンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ)、そしてアントワン・ドゥシェーヌ(フランス、ユーロップカー)の3名。デヘントとCAセレンセンという強力な2名が入ったエスケープは、勝負どころに向けてペースを刻む集団を引き離すと、一気に7分以上のタイムギャップを稼ぎだした。
「3人という人数ではゴールまで逃げ切るのは難しく、特に(後半)ドゥシェーヌが脱落してからはかなりキツい逃げだった」と言うデヘントだが、クロワ・ド・ショブレ以外全てのKOMポイントを先頭で通過して一気に大量得点を奪ってみせる。このため総合ランキングでも36ポイントと、前日に山岳賞首位に立ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)を大きく上回ってみせる。
アスタナや総合首位のマイケル・マシューズ(オーストラリア)を守るオリカ・グリーンエッジ、そしてチームスカイらが集団の主導権を握り、残り30km地点でタイム差は1分50秒。先頭行くデヘントとセレンセンとの差を詰めながら、徐々に山岳勝負に向けての機運が高まっていく。
180kmに渡って逃げ続けた先頭2名をキャッチすると、登坂開始と共にリッチー・ポート(オーストラリア)を最後尾に従えたチームスカイトレインが発進。後方でワレン・バーギル(フランス、ジャイアント、アルペシン)らが落車に巻き込まれ足止めを食らう中、ラーシュペッテル・ノルダーグ(ノルウェー)やニコラス・ロッシュ(アイルランド)らの牽きによって集団内では一気にセレクションが掛かる。
この動きを撹乱するように抜け出したパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)は不発に終わり、粘っていたマイヨジョーヌのマシューズも残り6kmで遂に遅れる。すると残り3kmからチームスカイのセカンドエースを務めるゲラント・トーマス(イギリス)がアタック。ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)とサイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)がブリッジを成功させると、後手を取った選手達が次々と追う動きを見せる。
ポートやクヴィアトコウスキーやティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)らが逃げる3名に追いつくと、続けざまにポートが鋭いアタックで先行する。唯一チームメイトであるトーマスだけが追従し、追いすがる強豪勢を振り切りワンツー体制でフィニッシュへ。スカイの完璧なチームプレーが残雪残るクロワ・ド・ショブレで炸裂した。
ワンツーフィニッシュを決めたリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)とゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)のスカイコンビ (c)CorVos
ステージ優勝のリッチー・ポート(オーストラリア) (c)A.S.O
マイヨジョーヌを取り戻したミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ) (c)A.S.O「チームのパフォーマンスは素晴らしかった。最後の峠の麓から集団コントロールを開始したが、なかなか簡単にはいかなかった。その分ワンツーフィニッシュを達成できてファンタスティックだ」と語るのはポート。
「今日も厳しいレースだったが、この後2日間も気を抜けない日が続き、最後はエズ峠での個人タイムトライアル。自分的にもエズの登りは大好きだし、良い走りだができるだろうと思っている。でも忘れてならないのはそれまでにハードなステージが2日間あること。
今良いポジションにいるし、チームはご覧の通り非常に強い。間違いなく大きな力となってくれる。ゲラント(トーマス)と僕が総合上位に浮上したことで、チームは2枚の切り札を持った状態だ。目標は日曜日の夜にリーダージャージを手にすること。僕はこのレースが好きだし、もう一度総合優勝したいと思っている。決して不可能では無いし、これからのステージが楽しみだ。」
そしてマイヨジョーヌはポートらを追い込み、8秒差のステージ3位に入ったクヴィアトコウスキーが僅か1秒差で獲得。昨日こそマシューズに明け渡した総合首位を再び手中に収めた。
「今シーズン初めての山岳ステージだったけれど、調子の良さを掴んだし、総合争いを戦っているみたいだと思っていた。トーマスがアタックしたときはポートのチェックをして、逃げた3人が捕まるとカウンターで飛び出したポートを追いかけた。今日のポートとトーマスはとても強く、最後の彼らの加速には付いていくことができなかったが、同時に自分の強さも認識することができて良かった。
8秒遅れの3位という結果に満足しているし、難関ステージの後に再びマイヨジョーヌと取り戻すことができて本当に嬉しく思っている。残るステージも、チームと協力してジャージを守りたい」とクヴィアトコウスキーは語っている。
クイーンステージを終え、総合争いはクヴィアトコウスキーに対して2位ポートが1秒差、3位トーマスが3秒差。12名が1分差以内にひしめいており、残る3ステージでも順位変動を狙った活発な動きが見られるはずだ。
パリ〜ニース2015第4ステージ結果
個人総合成績
ポイント賞
マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
山岳賞
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)
新人賞
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
チーム総合成績
アスタナ
text:So.Isobe
photo:CorVos
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スタート後50kmから合計8(3級山岳×5、2級山岳×2、1級山岳×1)のカテゴリー山岳が続くものの、勝負を分けるのはラスト10kmから始まるクロワ・ド・ショブレの登りだ。登坂距離10km、コンスタントに6〜9%の勾配を刻むこの難関山岳で、激しい総合争いが勃発することとなる。
この日スタート5km地点から先行したのはトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)とクリスアンケル・セレンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ)、そしてアントワン・ドゥシェーヌ(フランス、ユーロップカー)の3名。デヘントとCAセレンセンという強力な2名が入ったエスケープは、勝負どころに向けてペースを刻む集団を引き離すと、一気に7分以上のタイムギャップを稼ぎだした。
「3人という人数ではゴールまで逃げ切るのは難しく、特に(後半)ドゥシェーヌが脱落してからはかなりキツい逃げだった」と言うデヘントだが、クロワ・ド・ショブレ以外全てのKOMポイントを先頭で通過して一気に大量得点を奪ってみせる。このため総合ランキングでも36ポイントと、前日に山岳賞首位に立ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)を大きく上回ってみせる。
アスタナや総合首位のマイケル・マシューズ(オーストラリア)を守るオリカ・グリーンエッジ、そしてチームスカイらが集団の主導権を握り、残り30km地点でタイム差は1分50秒。先頭行くデヘントとセレンセンとの差を詰めながら、徐々に山岳勝負に向けての機運が高まっていく。
180kmに渡って逃げ続けた先頭2名をキャッチすると、登坂開始と共にリッチー・ポート(オーストラリア)を最後尾に従えたチームスカイトレインが発進。後方でワレン・バーギル(フランス、ジャイアント、アルペシン)らが落車に巻き込まれ足止めを食らう中、ラーシュペッテル・ノルダーグ(ノルウェー)やニコラス・ロッシュ(アイルランド)らの牽きによって集団内では一気にセレクションが掛かる。
この動きを撹乱するように抜け出したパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)は不発に終わり、粘っていたマイヨジョーヌのマシューズも残り6kmで遂に遅れる。すると残り3kmからチームスカイのセカンドエースを務めるゲラント・トーマス(イギリス)がアタック。ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)とサイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)がブリッジを成功させると、後手を取った選手達が次々と追う動きを見せる。
ポートやクヴィアトコウスキーやティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)らが逃げる3名に追いつくと、続けざまにポートが鋭いアタックで先行する。唯一チームメイトであるトーマスだけが追従し、追いすがる強豪勢を振り切りワンツー体制でフィニッシュへ。スカイの完璧なチームプレーが残雪残るクロワ・ド・ショブレで炸裂した。
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「今日も厳しいレースだったが、この後2日間も気を抜けない日が続き、最後はエズ峠での個人タイムトライアル。自分的にもエズの登りは大好きだし、良い走りだができるだろうと思っている。でも忘れてならないのはそれまでにハードなステージが2日間あること。
今良いポジションにいるし、チームはご覧の通り非常に強い。間違いなく大きな力となってくれる。ゲラント(トーマス)と僕が総合上位に浮上したことで、チームは2枚の切り札を持った状態だ。目標は日曜日の夜にリーダージャージを手にすること。僕はこのレースが好きだし、もう一度総合優勝したいと思っている。決して不可能では無いし、これからのステージが楽しみだ。」
そしてマイヨジョーヌはポートらを追い込み、8秒差のステージ3位に入ったクヴィアトコウスキーが僅か1秒差で獲得。昨日こそマシューズに明け渡した総合首位を再び手中に収めた。
「今シーズン初めての山岳ステージだったけれど、調子の良さを掴んだし、総合争いを戦っているみたいだと思っていた。トーマスがアタックしたときはポートのチェックをして、逃げた3人が捕まるとカウンターで飛び出したポートを追いかけた。今日のポートとトーマスはとても強く、最後の彼らの加速には付いていくことができなかったが、同時に自分の強さも認識することができて良かった。
8秒遅れの3位という結果に満足しているし、難関ステージの後に再びマイヨジョーヌと取り戻すことができて本当に嬉しく思っている。残るステージも、チームと協力してジャージを守りたい」とクヴィアトコウスキーは語っている。
クイーンステージを終え、総合争いはクヴィアトコウスキーに対して2位ポートが1秒差、3位トーマスが3秒差。12名が1分差以内にひしめいており、残る3ステージでも順位変動を狙った活発な動きが見られるはずだ。
パリ〜ニース2015第4ステージ結果
1位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
3位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
4位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
6位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
7位 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)
8位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
9位 ラファル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ)
10位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
3位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
4位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
6位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
7位 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)
8位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
9位 ラファル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ)
10位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
5h18'39"
+08"
+17"
+24"
+08"
+17"
+24"
個人総合成績
1位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
2位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
3位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
5位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
6位 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)
7位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
8位 ゴルカ・イサギーレ(スペイン、モビスター)
9位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、カチューシャ)
10位 ラファル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ)
2位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
3位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
5位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
6位 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)
7位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
8位 ゴルカ・イサギーレ(スペイン、モビスター)
9位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、カチューシャ)
10位 ラファル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ)
19h44'11"
+01"
+03"
+27"
+32"
+38"
+41"
+44"
+50"
+51"
+01"
+03"
+27"
+32"
+38"
+41"
+44"
+50"
+51"
ポイント賞
マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
山岳賞
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)
新人賞
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
チーム総合成績
アスタナ
text:So.Isobe
photo:CorVos
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