2015/03/07(土) - 23:03
2015年3月8日、アンダマン海に浮かぶランカウイ島でツール・ド・ランカウイ(UCI2.HC)が開幕する。アジアのレースシーンを牽引してきた伝統のステージレースには4つのUCIプロチームの他、愛三工業レーシングを始めとするアジアンチームが多く出場。なお、安全上の理由でゲンティンハイランドの山頂フィニッシュはキャンセルが決まっている。
最終日前日の超級山岳ゲンティンハイランドで総合は決するはずだったが...
ツール・ド・ランカウイはマレーシアを舞台にしたアジア最大級のステージレース。例年10日間の日程で開催されていたが、2015年はタイトルスポンサーを務めていたマレーシア航空が撤退した影響で大会予算が縮小。20周年記念大会だが、開催時期を遅らすとともに開催期間が8日間に短縮された。開催期間はパリ〜ニースと同じ3月8日から15日まで。
2015年もアンダマン海に浮かぶランカウイ島でスタートが切られる。なお、「ランカウイ一周」の名前がついているが、観光客が多く訪れるリゾートアイランドを走るのは初日の第1ステージだけ。過去にはランカウイ島が全く登場しない年が続いた。
第1ステージ終了後すぐに選手たちはフェリーでマレー半島へ。そこから半島を時計回りに駆け抜け、首都クアラルンプールにフィニッシュする。合計8ステージのうち実に7ステージがスプリンター向きの平坦コース。第3ステージの前半には2級山岳と1級山岳が設定されているものの、フィニッシュまで100km離れているためスプリンターたちも勝負に残ると思われる。
総合争いを決めるのは最難関クイーンステージの第7ステージ。当初はヨーロッパにもその名を轟かす標高1675mの超級山岳ゲンティンハイランドにフィニッシュする予定だったが、開幕前日になってコースの変更が決定。ゲンティンハイランドにフィニッシュせず、代わりに標高1250mのフレイザーズヒルにフィニッシュが置かれることとなった。総合決戦の場となるフレザーズヒルは2008年大会でもゲンティンハイランドの代替フィニッシュとして登場。麓から頂上までの登坂距離は36.6kmで、平均勾配は3%。後半にかけて平均勾配は6%を刻むが、急勾配区間を含むゲンティンハイランドと比べると難易度は低い。
コース変更の明確な理由は明らかにされていないが、地滑りの危険性や道路工事、高原リゾートの大規模な工事による影響と見られている。
ここ数年は前半のゲンティンハイランドで総合成績がほぼ固まり、後半ステージは単調な展開になりがちだった。2015年は前半から連日スプリンターたちがリーダージャージを争い、ゲンティンハイランドでクライマーたちがバトルを繰り広げる魅力的なレイアウトになったと言える。最終日はクアラルンプールの中心地を駆ける周回コースだ。
ツール・ド・ランカウイ2015ステージリスト
3月8日(日)第1ステージ ランカウイ〜ランカウイ 101.1km
3月9日(月)第2ステージ アロールセタール〜スンガイペタニ 170.0km
3月10日(火)第3ステージ ゲリク〜タナーメラー 170.0km
3月11日(水)第4ステージ クアラバル〜クアラベラン 165.4km
3月12日(木)第5ステージ クアラトレンガヌ〜クアンタン 200.0km
3月13日(金)第6ステージ メラン〜カラク 96.6km
3月14日(土)第7ステージ シャーアラム〜フレイザーズヒル 未発表
3月15日(日)第8ステージ クアラクブバル〜クアラルンプール 96.1km
UCIプロチームに挑む強豪UCIプロコンチーム&UCIコンチチーム
2015年大会に出場するのは22チーム。内訳はUCIワールドチームが4チーム、UCIプロコンチネンタルチームが7チーム、UCIコンチネンタルチームが10チーム、そしてナショナルチームが1チーム。
UCIプロチームのチームスカイ、アスタナ、オリカ・グリーンエッジ、ティンコフ・サクソに注目が集まるが、同時並行でパリ〜ニースやティレーノ〜アドリアティコが開催されるためトップ選手を揃えた一軍とは言えない。加えて、参加選手も1チーム6名と少ないためレースを完全にコントロールするのは難しい。例年同様、一軍を揃えるUCIプロコンチネンタルチームやUCIコンチネンタルチームとのバトルに注目だ。
初出場のチームスカイはセバスティアン・エナオゴメス(コロンビア)を総合エースに立てる。フィリップ・ダイグナン(アイルランド)やイアン・ボスウェル(アメリカ)が21歳のコロンビアンクライマーをサポートする。エーススプリンターを担うのは昨年ジャパンカップクリテリウムを制したクリストファー・サットン(オーストラリア)だ。
ライセンス問題で揺れるアスタナはアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)でスプリントを狙う。ツアー・オブ・オマーンでステージ優勝を飾るなど、2012年大会でステージ6勝を飾ったグアルディーニは好調だ。
オーストラリアのオリカ・グリーンエッジはネオプロ弾丸スプリンターの20歳カレイブ・イワン(オーストラリア)でスプリントを、ピーター・ウェーニング(オランダ)で総合狙い。スピードマンが揃っており、スプリントに向けたリードアウトでは最速トレインを組むとみられる。宮島正典マッサーが帯同するティンコフ・サクソは若手揃い。エースはエドゥアルド・ベルトラン(コロンビア)とジェスパー・ハンセン(デンマーク)の二枚看板だ。
UCIプロコンチネンタルチームの中で注目したいのは、ツール・ド・フランス出場も決まっている南アフリカのMTNキュベカだ。昨年総合2位のメルハウィ・クドゥス(エリトリア)と2013年ツアー・オブ・ターキー覇者のナトナエル・ベルハネ(エリトリア)、元オリカ・グリーンエッジのダニエル・テクレハイマノ(エリトリア)、そしてツアー・オブ・オマーンで総合5位に入ったジャック・ジャンセヴァンレンスバーグ(南アフリカ)を揃えており、山岳力ではUCIプロチームを凌ぐ。
昨年総合3位イサーク・ボリバル(コロンビア)とヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア)やアメリカのユナイテッドヘルスケアも総合争いに絡んでくるだろう。スプリンターとしてはアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、サウスイースト)、フランチェスコ・キッキ(イタリア、アンドローニジョカトリ)、ロメン・フェイユ(フランス、ブルターニュ・セシェ)、レオナルド・ドゥケ(コロンビア、コロンビア)らに注目だ。
日本からはランカウイの常連となった愛三工業レーシングが出場する。スタートラインに並ぶのはランカウイ島で事前に10日間の合宿を行った綾部勇成、中島康晴、福田真平、小森亮平、早川朋宏、中根英登の6名。目標としてスプリンター福田によるステージ優勝とUCIポイント獲得、そして総合トップ10を掲げている。
なお、昨年ランカウイとツアー・オブ・ジャパンで総合優勝を果たしたミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン)を擁するタブリスペトロケミカルはリストに入っていない。
ツール・ド・ランカウイ2015出場チーム
UCIワールドチーム
チームスカイ(イギリス)
アスタナ(カザフスタン)
オリカ・グリーンエッジ(オーストラリア)
ティンコフ・サクソ(ロシア)
UCIプロコンチネンタルチーム
コロンビア(コロンビア)
アンドローニ・ベネズエラ(イタリア)
MTNキュベカ(南アフリカ)
ユナイテッドヘルスケア(アメリカ)
サウスイースト(イタリア)
ブルターニュ・セシェ(フランス)
バルディアーニCSF(イタリア)
UCIコンチネンタルチーム
トレンガヌサイクリング(マレーシア)
愛三工業レーシング(日本)
ヘンシャンサイクリング(中国)
シナジーバクサイクリング(アゼルバイジャン)
ペガサスコンチネンタル(インドネシア)
トルクセケルスポール(トルコ)
KSPO(韓国)
ジャイアント・シャンピオンシステム(中国)
スカイダイブドバイ(アラブ首長国連邦)
NSCマレーシア(マレーシア)
ナショナルチーム
マレーシア
text:Kei Tsuji
最終日前日の超級山岳ゲンティンハイランドで総合は決するはずだったが...
ツール・ド・ランカウイはマレーシアを舞台にしたアジア最大級のステージレース。例年10日間の日程で開催されていたが、2015年はタイトルスポンサーを務めていたマレーシア航空が撤退した影響で大会予算が縮小。20周年記念大会だが、開催時期を遅らすとともに開催期間が8日間に短縮された。開催期間はパリ〜ニースと同じ3月8日から15日まで。
2015年もアンダマン海に浮かぶランカウイ島でスタートが切られる。なお、「ランカウイ一周」の名前がついているが、観光客が多く訪れるリゾートアイランドを走るのは初日の第1ステージだけ。過去にはランカウイ島が全く登場しない年が続いた。
第1ステージ終了後すぐに選手たちはフェリーでマレー半島へ。そこから半島を時計回りに駆け抜け、首都クアラルンプールにフィニッシュする。合計8ステージのうち実に7ステージがスプリンター向きの平坦コース。第3ステージの前半には2級山岳と1級山岳が設定されているものの、フィニッシュまで100km離れているためスプリンターたちも勝負に残ると思われる。
総合争いを決めるのは最難関クイーンステージの第7ステージ。当初はヨーロッパにもその名を轟かす標高1675mの超級山岳ゲンティンハイランドにフィニッシュする予定だったが、開幕前日になってコースの変更が決定。ゲンティンハイランドにフィニッシュせず、代わりに標高1250mのフレイザーズヒルにフィニッシュが置かれることとなった。総合決戦の場となるフレザーズヒルは2008年大会でもゲンティンハイランドの代替フィニッシュとして登場。麓から頂上までの登坂距離は36.6kmで、平均勾配は3%。後半にかけて平均勾配は6%を刻むが、急勾配区間を含むゲンティンハイランドと比べると難易度は低い。
コース変更の明確な理由は明らかにされていないが、地滑りの危険性や道路工事、高原リゾートの大規模な工事による影響と見られている。
ここ数年は前半のゲンティンハイランドで総合成績がほぼ固まり、後半ステージは単調な展開になりがちだった。2015年は前半から連日スプリンターたちがリーダージャージを争い、ゲンティンハイランドでクライマーたちがバトルを繰り広げる魅力的なレイアウトになったと言える。最終日はクアラルンプールの中心地を駆ける周回コースだ。
ツール・ド・ランカウイ2015ステージリスト
3月8日(日)第1ステージ ランカウイ〜ランカウイ 101.1km
3月9日(月)第2ステージ アロールセタール〜スンガイペタニ 170.0km
3月10日(火)第3ステージ ゲリク〜タナーメラー 170.0km
3月11日(水)第4ステージ クアラバル〜クアラベラン 165.4km
3月12日(木)第5ステージ クアラトレンガヌ〜クアンタン 200.0km
3月13日(金)第6ステージ メラン〜カラク 96.6km
3月14日(土)第7ステージ シャーアラム〜フレイザーズヒル 未発表
3月15日(日)第8ステージ クアラクブバル〜クアラルンプール 96.1km
UCIプロチームに挑む強豪UCIプロコンチーム&UCIコンチチーム
2015年大会に出場するのは22チーム。内訳はUCIワールドチームが4チーム、UCIプロコンチネンタルチームが7チーム、UCIコンチネンタルチームが10チーム、そしてナショナルチームが1チーム。
UCIプロチームのチームスカイ、アスタナ、オリカ・グリーンエッジ、ティンコフ・サクソに注目が集まるが、同時並行でパリ〜ニースやティレーノ〜アドリアティコが開催されるためトップ選手を揃えた一軍とは言えない。加えて、参加選手も1チーム6名と少ないためレースを完全にコントロールするのは難しい。例年同様、一軍を揃えるUCIプロコンチネンタルチームやUCIコンチネンタルチームとのバトルに注目だ。
初出場のチームスカイはセバスティアン・エナオゴメス(コロンビア)を総合エースに立てる。フィリップ・ダイグナン(アイルランド)やイアン・ボスウェル(アメリカ)が21歳のコロンビアンクライマーをサポートする。エーススプリンターを担うのは昨年ジャパンカップクリテリウムを制したクリストファー・サットン(オーストラリア)だ。
ライセンス問題で揺れるアスタナはアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)でスプリントを狙う。ツアー・オブ・オマーンでステージ優勝を飾るなど、2012年大会でステージ6勝を飾ったグアルディーニは好調だ。
オーストラリアのオリカ・グリーンエッジはネオプロ弾丸スプリンターの20歳カレイブ・イワン(オーストラリア)でスプリントを、ピーター・ウェーニング(オランダ)で総合狙い。スピードマンが揃っており、スプリントに向けたリードアウトでは最速トレインを組むとみられる。宮島正典マッサーが帯同するティンコフ・サクソは若手揃い。エースはエドゥアルド・ベルトラン(コロンビア)とジェスパー・ハンセン(デンマーク)の二枚看板だ。
UCIプロコンチネンタルチームの中で注目したいのは、ツール・ド・フランス出場も決まっている南アフリカのMTNキュベカだ。昨年総合2位のメルハウィ・クドゥス(エリトリア)と2013年ツアー・オブ・ターキー覇者のナトナエル・ベルハネ(エリトリア)、元オリカ・グリーンエッジのダニエル・テクレハイマノ(エリトリア)、そしてツアー・オブ・オマーンで総合5位に入ったジャック・ジャンセヴァンレンスバーグ(南アフリカ)を揃えており、山岳力ではUCIプロチームを凌ぐ。
昨年総合3位イサーク・ボリバル(コロンビア)とヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア)やアメリカのユナイテッドヘルスケアも総合争いに絡んでくるだろう。スプリンターとしてはアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、サウスイースト)、フランチェスコ・キッキ(イタリア、アンドローニジョカトリ)、ロメン・フェイユ(フランス、ブルターニュ・セシェ)、レオナルド・ドゥケ(コロンビア、コロンビア)らに注目だ。
日本からはランカウイの常連となった愛三工業レーシングが出場する。スタートラインに並ぶのはランカウイ島で事前に10日間の合宿を行った綾部勇成、中島康晴、福田真平、小森亮平、早川朋宏、中根英登の6名。目標としてスプリンター福田によるステージ優勝とUCIポイント獲得、そして総合トップ10を掲げている。
なお、昨年ランカウイとツアー・オブ・ジャパンで総合優勝を果たしたミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン)を擁するタブリスペトロケミカルはリストに入っていない。
ツール・ド・ランカウイ2015出場チーム
UCIワールドチーム
チームスカイ(イギリス)
アスタナ(カザフスタン)
オリカ・グリーンエッジ(オーストラリア)
ティンコフ・サクソ(ロシア)
UCIプロコンチネンタルチーム
コロンビア(コロンビア)
アンドローニ・ベネズエラ(イタリア)
MTNキュベカ(南アフリカ)
ユナイテッドヘルスケア(アメリカ)
サウスイースト(イタリア)
ブルターニュ・セシェ(フランス)
バルディアーニCSF(イタリア)
UCIコンチネンタルチーム
トレンガヌサイクリング(マレーシア)
愛三工業レーシング(日本)
ヘンシャンサイクリング(中国)
シナジーバクサイクリング(アゼルバイジャン)
ペガサスコンチネンタル(インドネシア)
トルクセケルスポール(トルコ)
KSPO(韓国)
ジャイアント・シャンピオンシステム(中国)
スカイダイブドバイ(アラブ首長国連邦)
NSCマレーシア(マレーシア)
ナショナルチーム
マレーシア
text:Kei Tsuji
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