2015/03/07(土) - 09:19
3月8日、パリ郊外で第73回パリ〜ニース(UCIワールドツアー)が開幕する。ツール・ド・フランスと同じA.S.O.が主催する春のステージレースにはグランツールやクラシックを見据えるトップレーサーが集結。開幕前にコースの特徴と注目選手をチェックしておこう。
総合の鍵は第4ステージの1級山岳フィニッシュと最終山岳TT
毎年3月に開催されるパリ〜ニースは、ツール・ド・フランスと同じA.S.O.(アモリー・スポール・オルガニザシオン)が主催。3日遅れてイタリアで開幕するティレーノ〜アドリアティコとともに、春のヨーロッパを代表する中級ステージレースだ。
「パリからニースまで」という名前が示すように、レースはフランス北部のパリ近郊から地中海沿岸のニースまでひたすら南下する。まだまだ寒さの厳しいフランス内陸部をスタートし、比較的温暖な太陽を求めて地中海のコートダジュールに向かうその行程から、ときに「太陽へのレース(La Course au Soliel)」と呼ばれる。フランスを駆け抜けるその様子から「ミニ=ツール・ド・フランス」とも。
パリ郊外のモルパで行われる初日のプロローグ(6.7km個人TT)を除いて、前半はスプリンター向きの平坦ステージが続く。ツールと同じ黄色いマイヨジョーヌをかけた争いが本格化するのは第4ステージだ。
合計8つのカテゴリー山岳が設定された204kmコースの最後に待つのは1級山岳クロワ・ド・ショブレ山頂フィニッシュ。標高1201mのスキー場に向かう登坂距離10km・平均勾配6.7%の登りが今大会最大の山場だ。
最終日前日の第6ステージはニースにフィニッシュする山岳コース。3つの2級山岳と2つの1級山岳、そしてテクニカルかるハイスピードなダウンヒルを経てニースの海岸通へ。登りだけではなく、最後の下りに全神経を集中しなければパリ〜ニース制覇は見えてこない。
最後を締めくくるのはニースから1級山岳エズ峠まで登る個人タイムトライアル。美しいコートダジュールの海岸を見下ろす登坂距離9.6km・平均勾配4.7%の山岳TTが2013年以来2年ぶりに復活した。後半にかけて勾配が緩む20分前後の登坂が総合優勝者を導き出す。
パリ〜ニース2015ステージリスト
3月8日(日)プロローグ モルパ〜モルパ 6.7km(個人TT)
3月9日(月)第1ステージ サンレミ・レ・シュヴルーズ〜コントル 196.5km
3月10日(火)第2ステージ サンテニャン・ボーバル〜サンタマン・モントロン 172km
3月11日(水)第3ステージ サンタマン・モントロン〜サンプルセン・シュル・シウル 179km
3月12日(木)第4ステージ ヴァレンヌ・シュル・アリエ〜クロワ・ド・ショブレ 204km
3月13日(金)第5ステージ サンテティエンヌ〜ラストー 192.5km
3月14日(土)第6ステージ ヴァンス〜ニース 180.5km
3月15日(日)第7ステージ ニース〜コル・デズ 9.6km(山岳TT)
チームスカイやBMCレーシングを中心にしたマイヨジョーヌ争い
ディフェンディングチャンピオンのカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、AG2Rラモンディアール)が同時期にイタリアで開催されるティレーノ・アドリアティコに出場する中、2013年大会の覇者リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)は強力なアシストを従えての出場だ。
ツアー・ダウンアンダーを僅差の総合2位で終えたポートは、昨年パリ〜ニースでマイヨジョーヌを着たゲラント・トーマス(イギリス)や新加入のニコラス・ロッシュ(アイルランド)、そして実質的に現役最後のパリ〜ニース出場となるブラドレー・ウィギンズ(イギリス)らにバックアップされる。パリ〜ルーベに照準を合わせているウィギンズは100%ポートのアシストに徹する。
ツアー・ダウンアンダーでポートを押さえ込んだローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)は、ツアー・オブ・オマーンで調子の良さを見せたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)をアシストする。北米勢としては2013年大会総合2位のアンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)にも注目だ。
ベタンクールに代わってチームとして連覇を狙うのは、昨年ツールを盛り上げたジャンクリストフ・ペローとロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)の2人。地元フランス勢としてはクライマーのワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)の活躍にも期待がかかる。
世界チャンピオンのミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)はトニ・マルティン(ドイツ)とともにスタートラインに並ぶ。前世界チャンピオンのルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)はツアー・オブ・オマーン覇者のラファエル・バルス(スペイン)をアシストすることになるだろう。
ライセンス問題で揺れるアスタナはファビオ・アル(イタリア)の他、ルイスレオン・サンチェス(スペイン)、ヤコブ・フグルサング(デンマーク)、レイン・ターラマエ(エストニア)を揃える。他にもティアゴ・マシャド(ポルトガル、カチューシャ)やウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)、ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)らが総合上位に絡んでくるだろう。
前半ステージで勝利を狙うのはミラノ〜サンレモに照準を合わすスプリンターたちだ。今シーズンすでに4勝を飾っているアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)やアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)ら、ピュアスプリンターがフィニッシュ前を支配するはず。フレンチスプリンターとして台頭するアルノー・デマール(FDJ)、ブライアン・コカール(ユーロップカー)、ナセル・ブアニ(コフィディス)らが海外勢を迎え撃つ。
登坂力を備えたパンチャー系スプリンターとしてはジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)、マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)らも注目。昨年ツアー・オブ・ジャパン東京ステージを制し、GPルガーノで優勝した21歳のニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)もスタートリストに入っている。
text:Kei Tsuji
総合の鍵は第4ステージの1級山岳フィニッシュと最終山岳TT
毎年3月に開催されるパリ〜ニースは、ツール・ド・フランスと同じA.S.O.(アモリー・スポール・オルガニザシオン)が主催。3日遅れてイタリアで開幕するティレーノ〜アドリアティコとともに、春のヨーロッパを代表する中級ステージレースだ。
「パリからニースまで」という名前が示すように、レースはフランス北部のパリ近郊から地中海沿岸のニースまでひたすら南下する。まだまだ寒さの厳しいフランス内陸部をスタートし、比較的温暖な太陽を求めて地中海のコートダジュールに向かうその行程から、ときに「太陽へのレース(La Course au Soliel)」と呼ばれる。フランスを駆け抜けるその様子から「ミニ=ツール・ド・フランス」とも。
パリ郊外のモルパで行われる初日のプロローグ(6.7km個人TT)を除いて、前半はスプリンター向きの平坦ステージが続く。ツールと同じ黄色いマイヨジョーヌをかけた争いが本格化するのは第4ステージだ。
合計8つのカテゴリー山岳が設定された204kmコースの最後に待つのは1級山岳クロワ・ド・ショブレ山頂フィニッシュ。標高1201mのスキー場に向かう登坂距離10km・平均勾配6.7%の登りが今大会最大の山場だ。
最終日前日の第6ステージはニースにフィニッシュする山岳コース。3つの2級山岳と2つの1級山岳、そしてテクニカルかるハイスピードなダウンヒルを経てニースの海岸通へ。登りだけではなく、最後の下りに全神経を集中しなければパリ〜ニース制覇は見えてこない。
最後を締めくくるのはニースから1級山岳エズ峠まで登る個人タイムトライアル。美しいコートダジュールの海岸を見下ろす登坂距離9.6km・平均勾配4.7%の山岳TTが2013年以来2年ぶりに復活した。後半にかけて勾配が緩む20分前後の登坂が総合優勝者を導き出す。
パリ〜ニース2015ステージリスト
3月8日(日)プロローグ モルパ〜モルパ 6.7km(個人TT)
3月9日(月)第1ステージ サンレミ・レ・シュヴルーズ〜コントル 196.5km
3月10日(火)第2ステージ サンテニャン・ボーバル〜サンタマン・モントロン 172km
3月11日(水)第3ステージ サンタマン・モントロン〜サンプルセン・シュル・シウル 179km
3月12日(木)第4ステージ ヴァレンヌ・シュル・アリエ〜クロワ・ド・ショブレ 204km
3月13日(金)第5ステージ サンテティエンヌ〜ラストー 192.5km
3月14日(土)第6ステージ ヴァンス〜ニース 180.5km
3月15日(日)第7ステージ ニース〜コル・デズ 9.6km(山岳TT)
チームスカイやBMCレーシングを中心にしたマイヨジョーヌ争い
ディフェンディングチャンピオンのカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、AG2Rラモンディアール)が同時期にイタリアで開催されるティレーノ・アドリアティコに出場する中、2013年大会の覇者リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)は強力なアシストを従えての出場だ。
ツアー・ダウンアンダーを僅差の総合2位で終えたポートは、昨年パリ〜ニースでマイヨジョーヌを着たゲラント・トーマス(イギリス)や新加入のニコラス・ロッシュ(アイルランド)、そして実質的に現役最後のパリ〜ニース出場となるブラドレー・ウィギンズ(イギリス)らにバックアップされる。パリ〜ルーベに照準を合わせているウィギンズは100%ポートのアシストに徹する。
ツアー・ダウンアンダーでポートを押さえ込んだローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)は、ツアー・オブ・オマーンで調子の良さを見せたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)をアシストする。北米勢としては2013年大会総合2位のアンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)にも注目だ。
ベタンクールに代わってチームとして連覇を狙うのは、昨年ツールを盛り上げたジャンクリストフ・ペローとロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)の2人。地元フランス勢としてはクライマーのワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)の活躍にも期待がかかる。
世界チャンピオンのミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)はトニ・マルティン(ドイツ)とともにスタートラインに並ぶ。前世界チャンピオンのルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)はツアー・オブ・オマーン覇者のラファエル・バルス(スペイン)をアシストすることになるだろう。
ライセンス問題で揺れるアスタナはファビオ・アル(イタリア)の他、ルイスレオン・サンチェス(スペイン)、ヤコブ・フグルサング(デンマーク)、レイン・ターラマエ(エストニア)を揃える。他にもティアゴ・マシャド(ポルトガル、カチューシャ)やウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)、ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)らが総合上位に絡んでくるだろう。
前半ステージで勝利を狙うのはミラノ〜サンレモに照準を合わすスプリンターたちだ。今シーズンすでに4勝を飾っているアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)やアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)ら、ピュアスプリンターがフィニッシュ前を支配するはず。フレンチスプリンターとして台頭するアルノー・デマール(FDJ)、ブライアン・コカール(ユーロップカー)、ナセル・ブアニ(コフィディス)らが海外勢を迎え撃つ。
登坂力を備えたパンチャー系スプリンターとしてはジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)、マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)らも注目。昨年ツアー・オブ・ジャパン東京ステージを制し、GPルガーノで優勝した21歳のニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)もスタートリストに入っている。
text:Kei Tsuji
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