2015/02/28(土) - 15:37
プロの実機を徹底解析する好評企画プロバイク。シクロクロス東京2015編の後編では、2月8日に行われた男女エリートレースを走ったプロバイクの中から、ベン・ベルデンのStoemper、門田基志のジャイアント、ティム・アレンのFOUNDRYを紹介します。
ベン・ベルデン(ベルギー、W-Cup)
Stoemper Ronnyディスクブレーキ仕様
今大会でも安定した走りで2位に入った、CX東京第1回大会覇者のベン・ベルデン(アメリカ、W-Cup)。バイクはライトグリーンのペイントが鮮やかなアメリカ・オレゴン州のハンドメイドブランド「Stoemper(スタンパー)」。モデルはアルミバイク「Ronny」のディスクブレーキ仕様だ。フロントフォークには、市販化へ向けて細部を煮詰めているというスルーアクスル仕様のTRP製カーボンフォークを組み合わせている。
コンポーネントもフォークと同じくTRPがメインで、ブレーキレバー及びキャリパーは油圧式の「Hylex」。ローター径は前後とも160mm。なお右レバーの内側にはシマノDi2のサテライトスイッチに似たTRP独自の変速ボタンが設けられていた。リアディレーラーはシマノULTEGRA Di2だ。
ギアはフロントシングルで、ギア比はF42T×R11-28T。チェーンリングはフロントシングル専用のウルフトゥースながら、外側にはK-edge製チェーンガードを、内側にはFD台座に取り付けるタイプのチェーンキャッチャーを配し、チェーン落ちのリスクを低減している。クランクは30mmアクスルのFSA SL-K。ペダルにはシマノXTRをチョイスしている。
ホイールはヴィジョン Metron40 Disc。タイヤはクレメンで、昨大会が雪だったことを受けてノブ間隔の広いPDXチューブラーを選択してきたという。ちなみに空気圧は試走を終えた段階では1.2barとしていたものの、当日は1.1barに落としたとのこと。それでもレース途中からはサンド用タイヤをセットしたサブバイクに乗り換えていた。その他ハンドル、ステム、シートポストはクランクと同じくFSAのSL-Kグレードで統一。引き気味にセットされたサドルはフィジークARIONE Versusだ。
門田基志(TEAM GIANT)
ジャイアント TCX ADVANCED PRO
MTBエリートライダーでありながら、今季は全日本選手権で2位に入るなどシクロクロスでも好成績を残している門田基志(TEAM GIANT)。バイクは昨シーズンに引き続き、ディスクブレーキ専用のジャイアント TCX ADVANCED PROで、長身であることから最大サイズのMLをチョイスしている。コントロール性を重視して極度に上向きとしたハンドルバーのセッティングが目を引く。
シマノのサポートを受けることから、パーツのほどんどがシマノもしくはPRO。ドライブトレインは門田が「いかなる状況でも確実に変速してくれる」と絶大な信頼を寄せるシマノULTEGRA Di2で、ハンドルのフラット部分にはサテライトスイッチを装備。ブレーキはST-R785とBR-R785の組み合わせで、ローター径は前後とも140mm。ペダルにはXTRをアッセンブルしている。
そして、なんと言っても気になるのが「SHIMANO」とだけ書かれたホイール。現世界王者のマテュー・ファンデルポール(オランダ)らも使用するプロトタイプだ。リムはWH-9000-C35-TUとも近しい形状だが、サイドウォールにブレーキ面が設けられておらず、ロードホイールよりもスポーク数が多いことから専用品だと考えられる。なお、具体的なスペックや市販化の予定などは一切不明とメカニックは語っている。
組み合わせるタイヤはセンタートレッドをヤスリ目としたFMBのサンド用モデル「SSC Sprint」で、レース当日は1.4barにセッティングしたとのこと。ハンドルバーはPRO VIBE CARBONのアナトミックシェイプで、ステム及びシートポストはジャイアントのオリジナル。サドルはMTBと同じくサンマルコ Concor FXとしている。
ティム・アレン(アメリカ、FEEDBACK SPORTS)
FOUNDRY HARROW
メンテナンススタンドのトップメーカーであるFEEDBACK SPORTSのセールスマネージャーとして働く傍ら、全米CX選手権のシングルスピードクラスで優勝する程の実力を持つティム・アレン(アメリカ、FEEDBACK SPORTS)。バイクは「FOUNDRY」という国内では聞きなれないブランドのものだ。
「FOUNDRY」はスポーツサイクル関連の卸業としては全米最大の規模を誇る「QBP」社のオリジナルブランドで、クロスオーバー的なニーズに応えるユニークなバイクを多くラインナップしている。そして、今回紹介するフルカーボンCXマシン「HARROW」も例にもれず、キャリア取付穴を設けツーリングにも対応したというマルチパーパスな1台だ。
コンポーネントはサポートを受けるシマノで統一。ブレーキは油圧ディスクブレーキと電動変速に対応するSTIレバー「ST-R785」と、XTグレードのマウンテンバイク用キャリパー「BR-M785」という組み合わせ。ドライブトレインはULTEGRA Di2だ。
また、シマノのサポートを受けることからハンドル、ステム、シートポストはPROで、ハイエンドのVIBE CARBONシリーズで統一。ホイールはインダストリーナインのハブにノーブランドのカーボンリムを組み合わせたオリジナル品。タイヤにはクレメンのオールラウンドモデル「MXP」をチョイスした。空気圧はシケインを乗車で越える際にリム打ちしないよう、1.5bar程度にしたという。
と、ここまでは走行性能を重視した実用性第一のアッセンブルが目立つが、細部にはユニークなパーツやアッセンブルも。ホイールのニップルとハブの色を揃え、MTBブランドniner(ナイナー)のYAWYDというパーツを用いてステムキャップをビール瓶の栓とし、バーエンドプラグの替りにワインのコルクをあしらうなど、遊び心を垣間見ることができる。
text&photo:Yuya.Yamamoto
ベン・ベルデン(ベルギー、W-Cup)
Stoemper Ronnyディスクブレーキ仕様
今大会でも安定した走りで2位に入った、CX東京第1回大会覇者のベン・ベルデン(アメリカ、W-Cup)。バイクはライトグリーンのペイントが鮮やかなアメリカ・オレゴン州のハンドメイドブランド「Stoemper(スタンパー)」。モデルはアルミバイク「Ronny」のディスクブレーキ仕様だ。フロントフォークには、市販化へ向けて細部を煮詰めているというスルーアクスル仕様のTRP製カーボンフォークを組み合わせている。
コンポーネントもフォークと同じくTRPがメインで、ブレーキレバー及びキャリパーは油圧式の「Hylex」。ローター径は前後とも160mm。なお右レバーの内側にはシマノDi2のサテライトスイッチに似たTRP独自の変速ボタンが設けられていた。リアディレーラーはシマノULTEGRA Di2だ。
ギアはフロントシングルで、ギア比はF42T×R11-28T。チェーンリングはフロントシングル専用のウルフトゥースながら、外側にはK-edge製チェーンガードを、内側にはFD台座に取り付けるタイプのチェーンキャッチャーを配し、チェーン落ちのリスクを低減している。クランクは30mmアクスルのFSA SL-K。ペダルにはシマノXTRをチョイスしている。
ホイールはヴィジョン Metron40 Disc。タイヤはクレメンで、昨大会が雪だったことを受けてノブ間隔の広いPDXチューブラーを選択してきたという。ちなみに空気圧は試走を終えた段階では1.2barとしていたものの、当日は1.1barに落としたとのこと。それでもレース途中からはサンド用タイヤをセットしたサブバイクに乗り換えていた。その他ハンドル、ステム、シートポストはクランクと同じくFSAのSL-Kグレードで統一。引き気味にセットされたサドルはフィジークARIONE Versusだ。
門田基志(TEAM GIANT)
ジャイアント TCX ADVANCED PRO
MTBエリートライダーでありながら、今季は全日本選手権で2位に入るなどシクロクロスでも好成績を残している門田基志(TEAM GIANT)。バイクは昨シーズンに引き続き、ディスクブレーキ専用のジャイアント TCX ADVANCED PROで、長身であることから最大サイズのMLをチョイスしている。コントロール性を重視して極度に上向きとしたハンドルバーのセッティングが目を引く。
シマノのサポートを受けることから、パーツのほどんどがシマノもしくはPRO。ドライブトレインは門田が「いかなる状況でも確実に変速してくれる」と絶大な信頼を寄せるシマノULTEGRA Di2で、ハンドルのフラット部分にはサテライトスイッチを装備。ブレーキはST-R785とBR-R785の組み合わせで、ローター径は前後とも140mm。ペダルにはXTRをアッセンブルしている。
そして、なんと言っても気になるのが「SHIMANO」とだけ書かれたホイール。現世界王者のマテュー・ファンデルポール(オランダ)らも使用するプロトタイプだ。リムはWH-9000-C35-TUとも近しい形状だが、サイドウォールにブレーキ面が設けられておらず、ロードホイールよりもスポーク数が多いことから専用品だと考えられる。なお、具体的なスペックや市販化の予定などは一切不明とメカニックは語っている。
組み合わせるタイヤはセンタートレッドをヤスリ目としたFMBのサンド用モデル「SSC Sprint」で、レース当日は1.4barにセッティングしたとのこと。ハンドルバーはPRO VIBE CARBONのアナトミックシェイプで、ステム及びシートポストはジャイアントのオリジナル。サドルはMTBと同じくサンマルコ Concor FXとしている。
ティム・アレン(アメリカ、FEEDBACK SPORTS)
FOUNDRY HARROW
メンテナンススタンドのトップメーカーであるFEEDBACK SPORTSのセールスマネージャーとして働く傍ら、全米CX選手権のシングルスピードクラスで優勝する程の実力を持つティム・アレン(アメリカ、FEEDBACK SPORTS)。バイクは「FOUNDRY」という国内では聞きなれないブランドのものだ。
「FOUNDRY」はスポーツサイクル関連の卸業としては全米最大の規模を誇る「QBP」社のオリジナルブランドで、クロスオーバー的なニーズに応えるユニークなバイクを多くラインナップしている。そして、今回紹介するフルカーボンCXマシン「HARROW」も例にもれず、キャリア取付穴を設けツーリングにも対応したというマルチパーパスな1台だ。
コンポーネントはサポートを受けるシマノで統一。ブレーキは油圧ディスクブレーキと電動変速に対応するSTIレバー「ST-R785」と、XTグレードのマウンテンバイク用キャリパー「BR-M785」という組み合わせ。ドライブトレインはULTEGRA Di2だ。
また、シマノのサポートを受けることからハンドル、ステム、シートポストはPROで、ハイエンドのVIBE CARBONシリーズで統一。ホイールはインダストリーナインのハブにノーブランドのカーボンリムを組み合わせたオリジナル品。タイヤにはクレメンのオールラウンドモデル「MXP」をチョイスした。空気圧はシケインを乗車で越える際にリム打ちしないよう、1.5bar程度にしたという。
と、ここまでは走行性能を重視した実用性第一のアッセンブルが目立つが、細部にはユニークなパーツやアッセンブルも。ホイールのニップルとハブの色を揃え、MTBブランドniner(ナイナー)のYAWYDというパーツを用いてステムキャップをビール瓶の栓とし、バーエンドプラグの替りにワインのコルクをあしらうなど、遊び心を垣間見ることができる。
text&photo:Yuya.Yamamoto
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