2月1日、沖縄県にて第3回糸満市長杯マウンテンバイク大会が開催された。今季よりJCFが運営に乗り出した新たなシリーズ戦「Coupe du Japon MTB」の初大会として開催され、国内トップライダーによる争いを門田基志が制した。



Coupe du Japon MTB初戦として開催された第3回糸満市長杯マウンテンバイク大会Coupe du Japon MTB初戦として開催された第3回糸満市長杯マウンテンバイク大会 photo:Yuya.Yamamoto
南に太平洋を臨む糸満市観光農園が会場だ南に太平洋を臨む糸満市観光農園が会場だ photo:Yuya.Yamamoto沿道では牛がレースを見守る沿道では牛がレースを見守る photo:Yuya.Yamamoto




今大会でプレジデント・コミッセールを務めたJCFの佐藤裕幸氏今大会でプレジデント・コミッセールを務めたJCFの佐藤裕幸氏 photo:Yuya.Yamamotoエリート スタートと同時に沢田時(ブリヂストン・アンカー)がハイペースで先頭に立つエリート スタートと同時に沢田時(ブリヂストン・アンカー)がハイペースで先頭に立つ photo:Yuya.Yamamoto1周目のシングルトラックを先頭でクリアする沢田時(ブリヂストン・アンカー)1周目のシングルトラックを先頭でクリアする沢田時(ブリヂストン・アンカー) photo:Yuya.Yamamoto1月6日に大会概要が公開されてから僅か1ヶ月足らず。2月1日に第3回糸満市長杯マウンテンバイク大会を皮切りに、これまでのJシリーズに変わる新たな公認MTBレースのシリーズ戦「Coupe du Japon MTB(クップ ドュ ジャポン=以下CJシリーズ)」がスタートした。

CJシリーズについてはまだまだ不明確な部分が多いが、今大会でプレジデント・コミッセールを務めたJCFの佐藤裕幸氏は「リオや東京五輪、そしてワールドカップや世界選手権などの出場枠拡大がこの新シリーズの狙いです。JCFが国内大会を統括することで、これまで国内では全日本選手権とJシリーズ八幡浜のみだったUCIポイント獲得のチャンスが拡大します」と語る。

そして、佐藤氏は以下の様に続ける。「いつもと同じ顔ぶれが集まってレースをするということもあって、現状はこれまでと変わっていないと考えている競技者がほとんどかとは思います。しかしながらCJシリーズが進んで行くにつれ、その戦績がUCIランキングに反映されていくとトップカテゴリーでは選手間の競争意識が強くなり、その結果として国内の競技力が高まっていくだろうと考えています」。

実際にJCFが担うのは各大会への審判団の派遣と、シリーズ全体の統括。ロードのJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)のように主催者として全ての大会をオーガナイズするわけではなく、実際に大会を運営するのは大会開催地の地元競技連盟や実行委員会だ。

さて、今大会の会場となったのは、那覇空港から車で45分程の距離にある糸満市観光農園。沖縄での開催とはいえ、例えば関東圏のライダーにとってみれば富士見パノラマへの移動時間とさほど変わらないどころか、渋滞もなく、アクセス性に乏しい会場が多い国内のMTBレースにおいては交通の便が良いとも言える。実際に少数ながら関東を始めとした本州からの参加者も見られた。

コースは1周約4.5km。細やかなアップダウンや亜熱帯特有の草木がサイドに生い茂るシングルトラック、琉球石灰岩の岩場が程よくミックスされており、体力とテクニックの両方が試されるプロファイルだ。なお、門田基志(チームジャイアント)は「細かい部分が修正できれば国際大会も充分に開催できる。岩場でラインを読み取るのが速く走るためのポイントですね」と、コースの印象についてコメントする。



ジープロードで先頭に立つ門田基志(チームジャイアント)ジープロードで先頭に立つ門田基志(チームジャイアント) photo:Yuya.Yamamoto
沢田のパンク離脱により勝負は斉藤亮(ブリヂストン・アンカー)と門田基志の2名に絞られた沢田のパンク離脱により勝負は斉藤亮(ブリヂストン・アンカー)と門田基志の2名に絞られた photo:Yuya.Yamamotoパンクによりホイール交換を余儀なくされた沢田時(ブリヂストン・アンカー)パンクによりホイール交換を余儀なくされた沢田時(ブリヂストン・アンカー) photo:Yuya.Yamamoto




ベテラン松本駿(チームスコット)は変速系トラブルで大幅に出遅れたベテラン松本駿(チームスコット)は変速系トラブルで大幅に出遅れた photo:Yuya.Yamamoto先頭で冷静にシングルトラックをこなす門田基志(チームジャイアント)とそれに追従する斉藤亮(ブリヂストン・アンカー)先頭で冷静にシングルトラックをこなす門田基志(チームジャイアント)とそれに追従する斉藤亮(ブリヂストン・アンカー) photo:Yuya.Yamamoto最高峰カテゴリーのエリートは昨年も同大会に出場した門田に加え、斉藤亮と沢田時のブリヂストン・アンカーコンビ、ベテラン松本駿(チームスコット)のトップライダー4名を含む10名が出走し、7周回で争われた。

上空を厚い雲が覆い、沖縄にしてはやや肌寒いなか、スタートから飛び出したのはCXシーズンを終えたばかりの沢田で、斉藤と門田が追る。松本はサトウキビの枝がディレーラーに絡まるというトラブルに見舞われて遅れてしまった。

2周目の後半からは3人それぞれが得意なセクションで先頭に立ち、ハイペースを維持して後続に圧倒的な差を築く。しかし、このまま3名での勝負になると思われた矢先の3周目で沢田が前輪をパンクさせ、先頭から離脱。斉藤と門田の一騎打ちとなった。

そこからは門田がリードを握り、シングルトラックで確実に先頭に出てペースを上げる一方で、斉藤を前に出して様子を伺う場面も。そして最後のシングルトラックでもしっかりと蓋をし、そのまま先頭でゴール。全日本選手権2位とCXシーズンの好調さをそのままにMTBでは今季初となる勝利を飾った。後続は2位に斉藤、3位に再びパンクしながらもポジションをキープした沢田、4位に松本、5位に和歌山から参戦の古崎潤(DECOJA)が入った。



先頭でゴールに飛び込んだ門田基志(チームジャイアント)。CJシリーズ・エリート初の優勝者となった先頭でゴールに飛び込んだ門田基志(チームジャイアント)。CJシリーズ・エリート初の優勝者となった photo:Yuya.Yamamoto
エリート優勝の門田基志らは国内では実戦初投入となるシマノXTR Di2を使用エリート優勝の門田基志らは国内では実戦初投入となるシマノXTR Di2を使用 photo:Yuya.Yamamotoエリートクラス表彰台エリートクラス表彰台 photo:Yuya.Yamamoto

女子エリート優勝の鈴木美香子女子エリート優勝の鈴木美香子 photo:Yuya.Yamamotoチャレンジ 後続に圧倒的な差を付け優勝を果たした国富直樹チャレンジ 後続に圧倒的な差を付け優勝を果たした国富直樹 photo:Yuya.Yamamoto




CJシリーズ初のエリートクラス勝者となった門田。「昨年も走っていること、普段練習で走っている愛媛のコースに似ていることが大きかったですね。道幅だけではなく、サンゴ礁の様に尖った花崗岩を含めてラインを見極めて、荷重を前後に移動する必要があり、シングルトラックは先頭で入ることを徹底しました」と勝因を語った。

沖縄県内から多数のエントリーを集めたセカンドカテゴリーのチャレンジは、昨年糸満市長杯を手にした国富直樹が2位に大差を付けて優勝。女子エリートは東京から参戦した鈴木美香子が制している。ビギナーやキッズなどその他カテゴリーや大会の様子は後日公開の記事にて紹介します。



Coupe du Japon MTBプロローグ大会 第3回糸満市長杯マウンテンバイク大会'(CJ-2)結果
男子エリート+マスターズ(7周回)
1位 門田基志(チームジャイアント) 1h14'54"
2位 斉藤亮(ブリヂストン・アンカー) +4"
3位 沢田時(ブリヂストン・アンカー) +3'06"
4位 松本駿(チームスコット) +5'16"
5位 古崎潤(DECOJA) +6'11"
6位 有持真人(Team ARI) +7'30"
7位 榊原龍一(PRIDEONE) +9'28" 
8位 奥田晃久(SNG) -1Lap

女子エリート(4周回)    
1位 鈴木美香子 46"02'
2位 齋藤ひとみ(New Sun Racing) -1lap

チャレンジ男子(4周回)
1位 国富直樹 46'02"
2位 新城淳次(チームNEOS) +4'02"
3位 白石千尋(DECOJA) +4'14"



text&photo:Yuya.Yamamoto
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