ツール・ド・サンルイスもいよいよ佳境。第5ステージは個人タイムトライアルが行われ、17.4kmの道程を最速で駆け抜けたアドリアーノ・マローリがステージ優勝。10位と好走したダニエル・ディアスは総合リードを広げることに成功し、2度目の大会制覇を手中に引き寄せた。



トップタイムを叩き出したアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)トップタイムを叩き出したアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター) photo:CorVos
ステージ2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)ステージ2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ) photo:CorVosアルゼンチン中部の街サンルイスを発着するコースの総延長は17.4kmで、往路が緩い下り、復路が緩い登り。スタート/ゴール周辺と折り返し地点を除けばほぼ全て直線で構成されており、純粋な独走力が問われる。ただし例年通り、強く吹き付けた風がレースを難しいものとした。

ステージ3位 ヒューゴ・ホール(カナダ、AG2Rラモンディアール)ステージ3位 ヒューゴ・ホール(カナダ、AG2Rラモンディアール) photo:CorVos次々と有力勢が記録を更新していく中、最速タイムを叩き出したのは昨年このステージで勝利しているマローリアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)。「調子自体は良くなかった」と語るイタリアナショナルTTチャンピオンだが、17.4kmを20分7秒、平均時速51.897km/hで駆け抜け一躍ホットシートの座についた。

総合3位に浮上したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)総合3位に浮上したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:toursanluis.comそしてロードの世界王者であり、TTのポーランドナショナルチャンピオン、ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)がスタート。これまでのステージでアシストとして走ったクヴィアトコウスキーはマローリに肉薄する中間計測をマークしたが、ゴールタイムは20分11秒とわずか4秒届かず。以降トップタイムを更新する選手は現れず、マローリの2年連続ステージ優勝が決まった。

「とにかく嬉しい。シーズン開幕としてこの上無い勝利だ。」と語るのはマローリ。「2014年は僕の競技者人生最良の年だったが、その幕開けがサンルイスでの個人TT優勝だった。風を見誤って前半突っ込みすぎてしまうなど、とにかく苦しんだレースだった。この勝利はいつも側でサポートしてくれる恋人にプレゼントしたいと思う。」とコメントする。

そして注目の総合争い。総合3位につけていたアレックス・ディニス(ブラジル、ファンヴィック・ブラジルインベスト)が不調のためスタートせず、総合4位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)は44秒遅れのステージ12位と好走して総合3位に浮上する。



ダニエル・ディアス(アルゼンチン、ファンヴィック・ブラジルインベスト)ダニエル・ディアス(アルゼンチン、ファンヴィック・ブラジルインベスト) photo:CorVos
ステージ表彰 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)が中央に立つステージ表彰 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)が中央に立つ photo:toursanluis.com祝福を受けるダニエル・ディアス(アルゼンチン、ファンヴィック・ブラジルインベスト)祝福を受けるダニエル・ディアス(アルゼンチン、ファンヴィック・ブラジルインベスト) photo:toursanluis.com



しかし最終走者、絶好調のダニエル・ディアス(アルゼンチン、ファンヴィック・ブラジルインベスト)はキンタナを2秒上回るステージ10位フィニッシュ。結果的に総合リードを更に広げ、2位のロドルフォ・トーレス(コロンビア、コロンビア)に対して1分9秒差、3位キンタナに1分25秒差で明日の最終山岳ステージに挑むこととなった。

明日の第6ステージは1級山岳フィロ・シエラ・コメチンゴネス頂上へとゴールするもので、最終日がスプリントであることから最後の総合争いの場となる。このままディアスがリードを守りきるか、マローリが「日に日に調子が上がっている」というキンタナが一矢報いるか、その模様に注目が集まる。



ツール・ド・サンルイス2015第5ステージ結果
1位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
3位 ヒューゴ・ホール(カナダ、AG2Rラモンディアール)
4位 セルゲイ・トヴェトコフ(ルーマニア、アンドローニ・ジョカトーリ)
5位 レナルド・メッシネオ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)
6位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
7位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)
8位 カルロス・オヤルスン(チリ、チリナショナルチーム)
9位 エデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、ブルターニュ・セシェ)
10位 ダニエル・ディアス(アルゼンチン、ファンヴィック・ブラジルインベスト)
20'07"
+4"
+5"
+29"
+32"
+33"
+34"
+40"
+42"



個人総合成績
1位 ダニエル・ディアス(アルゼンチン、ファンヴィック・ブラジルインベスト)
2位 ロドルフォ・トーレス(コロンビア、コロンビア)
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
4位 エデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、ブルターニュ・セシェ)
5位 ロドリゴ・コントレラス(コロンビア、コロンビアナショナルチーム)
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
7位 レナルド・メッシネオ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)
8位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
9位 ダニエル・ハラミロ(コロンビア、ジェイミス・ハーゲン)
10位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、ユナイテッドヘルスケア)
16h52'37"
+1'09"
+1'25"
+1'46"
+2'43"
+3'15"
+3'54"
+3'57"
+4'18"
+4'37"


山岳賞
ダニエル・ディアス(アルゼンチン、ファンヴィック・ブラジルインベスト)

スプリント賞
レナルド・メッシネオ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)

新人賞
ロドリゴ・コントレラス(コロンビア、コロンビアナショナルチーム)

チーム総合成績
コロンビア

text:So.Isobe
photo:CorVos

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