2015/01/24(土) - 11:09
毎年のように海外遠征する京都産業大学自転車競技部。年末に訪れたのはカナダのバーナビー。マディソンレースを主体とする4日間のトラックレースに、選手2人とスタッフ1人で参戦。ちょうどクリスマス休暇の時期にカナダへ降り立った3人を待ち構えたのは?
毎年行なわれる京都産業大学の学生たちによる海外参戦
大学生が海外のレースに参加することには多くの意味がある。トップ選手は世界の頂点を目指すべく戦いを挑む。いっぽうで、その次に位置する選手たちは、トップ選手への足がかりをつかみステップアップのチャンスをうかがったり、あるいは将来の方向を探るための経験を、海外遠征を通じて積むのも大事なことだろう。
京都産業大学自転車競技部はトップクラスの選手も輩出してきたが、他大学と同様に多くはプロ選手とならず社会人としてアマチュアで走り続けるか、競技から引退するなどの道を歩む。しかし自転車業界に進んだり母校の監督やコーチ、あるいは自転車界を多方面から支えるOBが多いのが特徴だ。これには毎年のように自主的に海外遠征を行う大学時代での経験のあることが、決して無縁でないだろう。
クリスマス・イブにカナダへ降り立った3人
2014年12月24日、京都産業大学自転車競技部の3名がカナダのバーナビーでの4日間のトラックレースに赴いた。3年生の明石岳志がスタッフとして、そして1年生の樋口峻明と安田京介が選手として参加。2014年7月に伊豆ベロドロームで行われたジャパン・トラック・カップで知り合ったカナダチームを頼っての参戦だ。
3人ともに2014年のツール・ド・北海道では積極的にアタックし、先頭集団に加わったのは一度や二度ではなく、かつ5人全員が完走したこともトピックだった。今回選手として参加した樋口は横浜高校で全日本選手権タイムトライアルジュニアで5位、ツール・ド・おきなわジュニア国際2位など。安田は北桑田高校でインターハイのチームパーシュート優勝メンバー。2人とももちろん国内では学連の1年生として十分に戦える力を持つ。
以下、スタッフの明石岳志のレポートでお送りしよう。
Burnaby 4day 参戦記
2014年も終わろうとしていた12月27日から30日にカナダのバンクーバー東隣のバーナビーという街で開催された「Burnaby 4Day」(公式サイトへ) というレースに京都産業大学から樋口峻明と安田京介の選手2名、スタッフとして私’明石岳志が参戦しました。このレースはほぼ毎年年末に開催されているマディソンレースであり、かつてはヨーロッパの6日間レースのように6日間の日程で開催されていたこともあったようですが、今回は4日間の日程で行われました。エリートカテゴリーの競技は毎晩19時にスタートするのですが、観客はビールやハンバーガーを片手に走路の内側もしくは外の観客席から観戦をしており、レースが白熱した時にはとても盛り上がりつつも和やかな雰囲気でした。
会場は1周200mの屋内板張りバンク
競技が行われたベロドロームは東京オリンピック陸上100m銅メダリストの名を冠した、ハリー・ジェローム・スポーツセンターにあり、立地はバンクーバー空港から車で30分程とアクセスは良いところでした。またこの辺りはバーナビーマウンテン保養地域の一角であり、スポーツセンターの他にも大学のキャンパスが自然豊かな場所です。ベロドローム内ではスポーツセンターと呼ばれるだけあって、普段は走路の内側がバレーボールのコートとして利用され、自転車関係者以外にも幅広く利用されている施設でした。
ベロドロームの周長は1周200mと少し短い板張りのバンクであるため、カント角は大きく、また体感するスピードも250mのバンクよりは少し速く感じる選手もいるようです。また走路は伊豆のベロドロームのようにきれいではなく、全体的に少し凹凸があるなど走っているときには少し怖さを感じるようです。
ジャパントラックカップで知り合ったカナダ選手たちに
今回このような参戦の機会を頂けたのには、京都産業大学の秋田謙監督と、監督と古い知人である国際審判員の藤森信行氏との間で、『海外のレースに積極的に出るべきだ』『海外には選手を受け入れてくれるレースはたくさん転がっている』『興味があるならそのいくつかを紹介するから打診してみるといい』とのやり取りがあり、そのいくつかのレースの一つが今回の「バーナビー4日間レース(Burnaby 4Day)」でした。直接的には7月に行われた「JAPAN Track Cup」でカナダから訪れた選手団と交渉し、出場にこぎつけました。
現地に到着したのはレース3日前の12月24日。はじめの2日間は私たちをオーガナイズして下さった方の知り合いのアパートに泊めさせて頂きました。その方は2日ほど他へ泊まりに行きアパートの部屋をそのまま貸して下さり、私たちが自由になんでも使用し自炊もできるなど、安心しリラックスして過ごせるように配慮して頂けたことに大変感謝しています。
翌25日はバンクーバーで最も栄えているダウンタウンに出掛けて行ったのですが、カナダはクリスマス休暇の期間に入ってしまったために、街には人が少ししかおらず、またほとんど全てのお店が休業していました。海外では日本と異なりクリスマスは家族と過ごすことを大切にしており、日本でいうお正月のようなイメージです。そのため徹底してお店は休むといった印象で、ショッピングモールやお土産物屋のみならず、スーパーマーケットや飲食店ですら休業してしまったために食事等に少し困ってしまいました。
マディソンレース主体の4日間
レースはエリートカテゴリーのマディソンレース(2人ペアで交代しながら走るポイントレース)に出場し、7チーム14人による戦いでした。出場した選手はツール・ド・フランスでもステージ勝利を挙げた経験もある昨シーズンまでガーミン・シャープに所属していたタイラー・ファラー選手、アメリカ国内で開催されるプロクリテ選手権で多くの勝利を飾っているダニエル・ホロウェイ選手、また2013年にカナダの国内選手権で優勝経験のあるザッカリー・ベル選手をはじめ、北米地域やドイツなどからも錚々たる実力のある選手たちが揃いました。
種目は、毎日始めと最後のレースでマディソンを走り、その間にフライングラップとペアの1人ずつがスクラッチやエリミネーション、毎周回先頭通過者に1ポイントが入るポイント・ア・ラップ、その他にWin&Outという日本では馴染みのないレースを含めた個人種目のレースを走り、全部一人一日4レースを4日間行うという少しハードな日程でした。
マディソンレースに関しては日本ではマディソンレースがほとんどないに等しいため、樋口・安田ペアが国内で実際に走ったレースは全日本学生選手権のマディソンのみ。そのためあまりにも経験が少なすぎるままレースに臨むことになってしまいました。
初日と二日目はレースをする以前に速いスピードや密集の中での正確な交代ができておらず、また交代時にうまくスピードに乗せて加速することができていなかったために集団についていけなかったり、このレベルでのレースには全く歯が立っていない状態でした。しかし3日目、4日目には反省点を改善し技術的には日に日に良くなっているのが見て取れたのは良かったです。
樋口がスクラッチで2位。それを称える選手や観客
個人種目では、樋口選手が2日目のスクラッチで総合を争う選手たちが牽制に入ったところからうまく抜け出し、2位に入ることができました。マディソンでは全く良いところがなかった中でも、個人種目でのこの結果に関しては周りの選手や観客が成績を称えてくれたことは選手にとってとてもありがたかったことです。
これが日本の場合では「マディソンをしに来ているのにマディソンのレースで結果が悪かったのでは意味がないのでは」といった雰囲気になりそうなところですが、そういったことがなく、今回良かったものに対しては「いい走りだったぞ」などと称えてくれるあたりは日本と海外の違いなのだと感じました。
日本でももっとマディソンレースを
今回の遠征ではいくつもの課題や学ぶべきところが出てきました。まずマディソンに関して、世界選手権やヨーロッパでの6日間レースといったマディソンの大きなレースが海外では開催され、トラックの種目の中でも人気な競技のひとつであるのに対し、日本国内では全くといっていいほどに普及していないことに問題を感じました。
今回見てきたカナダの例ですと、トラックレースの市民カテゴリーでもマディソンが種目としてあり、老若男女が入り交じりレースをしていました。このようにトラックレースを始めた頃からマディソンに取り組めることにより、技術的に体で覚えていけることは大切なことであると感じましたし、またこれから国内でもマディソンが普及してほしいと強く思いました。
やはり必要な英語力
英語力の重要性について、このことは海外遠征を経験してきた選手や指導者の方など、既に様々な方々が必要性を唱えられてきたことではありますが、海外に遠征に行くのに語学力がないというのは致命的なことだと2名の選手を見ていて感じました。相手が言っていることを理解し、最低限の意思表示等ができなければレースではルールや注意事項の確認や他の選手とのコミュニケーションが取れず、レースの外では日常的な会話などができないといったことは非常にまずいことであると同時に、選手にとって大きなストレスになることと思います。ただ、このことは実際に行ってみて問題に気づくことでもあるため、気づけたということは選手たちにとって勉強になったことだと思います。
語学以外でも苦労したこととして、日本では普段はレースの内容やスタートまでの流れは分かっており、スムーズに進んでいけるのですが、今まで日本では経験したことのない種目があったことで、ルールの確認をし、正確に選手に理解できるように伝えることに苦戦しました。私自身英語の力は完璧ではないために、審判の方に全体への説明の後にもう一度丁寧に説明して頂いたりといったこともありましたが、みなさん親切に教えて下さり、また同じレースを走る選手が教えて下さったりと周りの方々に多くの助けを頂きました。
レースを終えたら皆仲間に
今回レースでは良い結果を残すことはできず、コミュニケーションでも苦労した場面もありましたが、競技をする上では強い・弱いや国、文化の違いなどに関わらず、良い走りには皆が賞賛し盛り上がり、そしてレースの最後には数日間ともに過ごした仲間たちがお互いを讃え、別れを惜しむといったことは、まさにスポーツの素晴らしいところであり最大の魅力であると同時に、スポーツが異なる国の人との最高のコミュニケーションの場になるのではないかと感じました。
今回このレースに参加できたことは、選手にとっても、また僕自身にとってもとても貴重で大きな経験になりましたし、多くのことを学ぶことができたと思います。海外のレースの情報や映像等すぐに入ってくる現在ですが、まさに百聞は一見にしかずであり、実際に海外のレースに行って体験し、感じたことはこれからの競技生活に大きく活きてくるものと感じました。このような機会がまた頂けるのであるなら是非参加したいと思います。
最後になりましたが今大会に参加するにあたりご尽力頂いた全ての方々に感謝申し上げます。
Photo&text:京都産業大学自転車競技部 明石岳志
Edit:高木秀彰
毎年行なわれる京都産業大学の学生たちによる海外参戦
大学生が海外のレースに参加することには多くの意味がある。トップ選手は世界の頂点を目指すべく戦いを挑む。いっぽうで、その次に位置する選手たちは、トップ選手への足がかりをつかみステップアップのチャンスをうかがったり、あるいは将来の方向を探るための経験を、海外遠征を通じて積むのも大事なことだろう。
京都産業大学自転車競技部はトップクラスの選手も輩出してきたが、他大学と同様に多くはプロ選手とならず社会人としてアマチュアで走り続けるか、競技から引退するなどの道を歩む。しかし自転車業界に進んだり母校の監督やコーチ、あるいは自転車界を多方面から支えるOBが多いのが特徴だ。これには毎年のように自主的に海外遠征を行う大学時代での経験のあることが、決して無縁でないだろう。
クリスマス・イブにカナダへ降り立った3人
2014年12月24日、京都産業大学自転車競技部の3名がカナダのバーナビーでの4日間のトラックレースに赴いた。3年生の明石岳志がスタッフとして、そして1年生の樋口峻明と安田京介が選手として参加。2014年7月に伊豆ベロドロームで行われたジャパン・トラック・カップで知り合ったカナダチームを頼っての参戦だ。
3人ともに2014年のツール・ド・北海道では積極的にアタックし、先頭集団に加わったのは一度や二度ではなく、かつ5人全員が完走したこともトピックだった。今回選手として参加した樋口は横浜高校で全日本選手権タイムトライアルジュニアで5位、ツール・ド・おきなわジュニア国際2位など。安田は北桑田高校でインターハイのチームパーシュート優勝メンバー。2人とももちろん国内では学連の1年生として十分に戦える力を持つ。
以下、スタッフの明石岳志のレポートでお送りしよう。
Burnaby 4day 参戦記
2014年も終わろうとしていた12月27日から30日にカナダのバンクーバー東隣のバーナビーという街で開催された「Burnaby 4Day」(公式サイトへ) というレースに京都産業大学から樋口峻明と安田京介の選手2名、スタッフとして私’明石岳志が参戦しました。このレースはほぼ毎年年末に開催されているマディソンレースであり、かつてはヨーロッパの6日間レースのように6日間の日程で開催されていたこともあったようですが、今回は4日間の日程で行われました。エリートカテゴリーの競技は毎晩19時にスタートするのですが、観客はビールやハンバーガーを片手に走路の内側もしくは外の観客席から観戦をしており、レースが白熱した時にはとても盛り上がりつつも和やかな雰囲気でした。
会場は1周200mの屋内板張りバンク
競技が行われたベロドロームは東京オリンピック陸上100m銅メダリストの名を冠した、ハリー・ジェローム・スポーツセンターにあり、立地はバンクーバー空港から車で30分程とアクセスは良いところでした。またこの辺りはバーナビーマウンテン保養地域の一角であり、スポーツセンターの他にも大学のキャンパスが自然豊かな場所です。ベロドローム内ではスポーツセンターと呼ばれるだけあって、普段は走路の内側がバレーボールのコートとして利用され、自転車関係者以外にも幅広く利用されている施設でした。
ベロドロームの周長は1周200mと少し短い板張りのバンクであるため、カント角は大きく、また体感するスピードも250mのバンクよりは少し速く感じる選手もいるようです。また走路は伊豆のベロドロームのようにきれいではなく、全体的に少し凹凸があるなど走っているときには少し怖さを感じるようです。
ジャパントラックカップで知り合ったカナダ選手たちに
今回このような参戦の機会を頂けたのには、京都産業大学の秋田謙監督と、監督と古い知人である国際審判員の藤森信行氏との間で、『海外のレースに積極的に出るべきだ』『海外には選手を受け入れてくれるレースはたくさん転がっている』『興味があるならそのいくつかを紹介するから打診してみるといい』とのやり取りがあり、そのいくつかのレースの一つが今回の「バーナビー4日間レース(Burnaby 4Day)」でした。直接的には7月に行われた「JAPAN Track Cup」でカナダから訪れた選手団と交渉し、出場にこぎつけました。
現地に到着したのはレース3日前の12月24日。はじめの2日間は私たちをオーガナイズして下さった方の知り合いのアパートに泊めさせて頂きました。その方は2日ほど他へ泊まりに行きアパートの部屋をそのまま貸して下さり、私たちが自由になんでも使用し自炊もできるなど、安心しリラックスして過ごせるように配慮して頂けたことに大変感謝しています。
翌25日はバンクーバーで最も栄えているダウンタウンに出掛けて行ったのですが、カナダはクリスマス休暇の期間に入ってしまったために、街には人が少ししかおらず、またほとんど全てのお店が休業していました。海外では日本と異なりクリスマスは家族と過ごすことを大切にしており、日本でいうお正月のようなイメージです。そのため徹底してお店は休むといった印象で、ショッピングモールやお土産物屋のみならず、スーパーマーケットや飲食店ですら休業してしまったために食事等に少し困ってしまいました。
マディソンレース主体の4日間
レースはエリートカテゴリーのマディソンレース(2人ペアで交代しながら走るポイントレース)に出場し、7チーム14人による戦いでした。出場した選手はツール・ド・フランスでもステージ勝利を挙げた経験もある昨シーズンまでガーミン・シャープに所属していたタイラー・ファラー選手、アメリカ国内で開催されるプロクリテ選手権で多くの勝利を飾っているダニエル・ホロウェイ選手、また2013年にカナダの国内選手権で優勝経験のあるザッカリー・ベル選手をはじめ、北米地域やドイツなどからも錚々たる実力のある選手たちが揃いました。
種目は、毎日始めと最後のレースでマディソンを走り、その間にフライングラップとペアの1人ずつがスクラッチやエリミネーション、毎周回先頭通過者に1ポイントが入るポイント・ア・ラップ、その他にWin&Outという日本では馴染みのないレースを含めた個人種目のレースを走り、全部一人一日4レースを4日間行うという少しハードな日程でした。
マディソンレースに関しては日本ではマディソンレースがほとんどないに等しいため、樋口・安田ペアが国内で実際に走ったレースは全日本学生選手権のマディソンのみ。そのためあまりにも経験が少なすぎるままレースに臨むことになってしまいました。
初日と二日目はレースをする以前に速いスピードや密集の中での正確な交代ができておらず、また交代時にうまくスピードに乗せて加速することができていなかったために集団についていけなかったり、このレベルでのレースには全く歯が立っていない状態でした。しかし3日目、4日目には反省点を改善し技術的には日に日に良くなっているのが見て取れたのは良かったです。
樋口がスクラッチで2位。それを称える選手や観客
個人種目では、樋口選手が2日目のスクラッチで総合を争う選手たちが牽制に入ったところからうまく抜け出し、2位に入ることができました。マディソンでは全く良いところがなかった中でも、個人種目でのこの結果に関しては周りの選手や観客が成績を称えてくれたことは選手にとってとてもありがたかったことです。
これが日本の場合では「マディソンをしに来ているのにマディソンのレースで結果が悪かったのでは意味がないのでは」といった雰囲気になりそうなところですが、そういったことがなく、今回良かったものに対しては「いい走りだったぞ」などと称えてくれるあたりは日本と海外の違いなのだと感じました。
日本でももっとマディソンレースを
今回の遠征ではいくつもの課題や学ぶべきところが出てきました。まずマディソンに関して、世界選手権やヨーロッパでの6日間レースといったマディソンの大きなレースが海外では開催され、トラックの種目の中でも人気な競技のひとつであるのに対し、日本国内では全くといっていいほどに普及していないことに問題を感じました。
今回見てきたカナダの例ですと、トラックレースの市民カテゴリーでもマディソンが種目としてあり、老若男女が入り交じりレースをしていました。このようにトラックレースを始めた頃からマディソンに取り組めることにより、技術的に体で覚えていけることは大切なことであると感じましたし、またこれから国内でもマディソンが普及してほしいと強く思いました。
やはり必要な英語力
英語力の重要性について、このことは海外遠征を経験してきた選手や指導者の方など、既に様々な方々が必要性を唱えられてきたことではありますが、海外に遠征に行くのに語学力がないというのは致命的なことだと2名の選手を見ていて感じました。相手が言っていることを理解し、最低限の意思表示等ができなければレースではルールや注意事項の確認や他の選手とのコミュニケーションが取れず、レースの外では日常的な会話などができないといったことは非常にまずいことであると同時に、選手にとって大きなストレスになることと思います。ただ、このことは実際に行ってみて問題に気づくことでもあるため、気づけたということは選手たちにとって勉強になったことだと思います。
語学以外でも苦労したこととして、日本では普段はレースの内容やスタートまでの流れは分かっており、スムーズに進んでいけるのですが、今まで日本では経験したことのない種目があったことで、ルールの確認をし、正確に選手に理解できるように伝えることに苦戦しました。私自身英語の力は完璧ではないために、審判の方に全体への説明の後にもう一度丁寧に説明して頂いたりといったこともありましたが、みなさん親切に教えて下さり、また同じレースを走る選手が教えて下さったりと周りの方々に多くの助けを頂きました。
レースを終えたら皆仲間に
今回レースでは良い結果を残すことはできず、コミュニケーションでも苦労した場面もありましたが、競技をする上では強い・弱いや国、文化の違いなどに関わらず、良い走りには皆が賞賛し盛り上がり、そしてレースの最後には数日間ともに過ごした仲間たちがお互いを讃え、別れを惜しむといったことは、まさにスポーツの素晴らしいところであり最大の魅力であると同時に、スポーツが異なる国の人との最高のコミュニケーションの場になるのではないかと感じました。
今回このレースに参加できたことは、選手にとっても、また僕自身にとってもとても貴重で大きな経験になりましたし、多くのことを学ぶことができたと思います。海外のレースの情報や映像等すぐに入ってくる現在ですが、まさに百聞は一見にしかずであり、実際に海外のレースに行って体験し、感じたことはこれからの競技生活に大きく活きてくるものと感じました。このような機会がまた頂けるのであるなら是非参加したいと思います。
最後になりましたが今大会に参加するにあたりご尽力頂いた全ての方々に感謝申し上げます。
Photo&text:京都産業大学自転車競技部 明石岳志
Edit:高木秀彰
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