2014/12/14(日) - 23:22
「今日は最初から最後まで自分の走りが出来た」。2年間宮内佐季子(Team CHAINRING)に奪われていたナショナルチャンピオンジャージを取り戻した豊岡英子(パナソニックレディース)は、涙を浮かべながらそう語った。
近年日本の女子シクロクロスを牽引する豊岡と宮内。走り方も経歴も異なる2人の力が拮抗して数年が経つ。宮内は過去2年連続全日本選手権で勝利。対して豊岡は故障続きで苦しいシーズンを送っていた。
野辺山シクロクロスでは勝利したアリーチェマリア・アルツッフィ(イタリア)の後ろで両者が闘いを繰り広げ、土曜日は豊岡、日曜日は宮内がそれぞれ先着。それから2週間。全日本選手権に向けてそれぞれの調整を行なった2人がレース序盤からぶつかった。
スタートから飛び出したのは豊岡で、泥を巧みにこなしながらレースをリードする。2周目に入る頃には宮内がチームメイトの武田和佳(Team CHAINRING)とともに追い上げ、キャンバー区間でついに豊岡を捉えた。
一躍先頭に立った宮内だったが、豊岡は2周目の時点ですでに2回バイクを交換済み。徐々にバイクの泥が脚を削り、豊岡の先行が再び始まる。「1〜2周目は走りやすかったのに、3周目に入って急に泥が絡み始めました。そこからはひたすら毎周バイクを交換するしかなかった」と語る豊岡が1周or半周ごとのバイク交換で徹底的に泥を排除した。
バイク交換の頻度以外に「忍者返し」の走法にも差が出た。タイヤに泥を付けないために「担ぎ」に徹した豊岡に対し、宮内は「押し」を多用。周回を重ねるほどに粘度を増した泥がバイクに蓄積して行く。両者のタイム差は広がり続け、最終的に35秒差で豊岡が勝利した。
「(2週間前の)野辺山シクロクロスが終わってからも乗り込めていたので、しっかり調整が出来ていた。経験を要するコースでした。朝にしっかり試走もしたし、久しぶりに自分の走りが出来た気がします。後ろとの距離が開いたので最後まで落ち着いて冷静に走ることが出来ました」。ヨーロッパレースでの経験を存分に活かし、2005年から2011年まで全日本選手権7連覇を果たした豊岡が3年ぶりのタイトルを手にした。
故障続きで苦しい数シーズンを送った豊岡。今年4月には肘の手術を受け、思うような練習を出来ない日々が続いた。「手術した時はもう走れないかと思ったほど。まさか優勝出来るところまでしっかりトレーニングが出来るとは思っていませんでした。過去の2シーズンは全日本選手権だけ自分の走りが出来ずにいた。怪我をしてからずっと辛くて、悩んで、いろんな思いをしたけど、表彰台の真ん中に立ちたいと言う思いでトレーニングしてきました。長く辛い闘いでした」。
報道陣に囲まれる豊岡に歩み寄り、互いの健闘を讃え合った宮内は「来年は負けないから」と宣言。今後も両者は良きライバルとしてしのぎを削るだろう。
その他の写真はフォトギャラリーにて。
シクロクロス全日本選手権2014女子結果
1位 豊岡英子(パナソニックレディース) 41'02"
2位 宮内佐季子(Team CHAINRING) +35"
3位 武田和佳(Team CHAINRING) +5'09"
4位 川崎路子(CLUB viento) +6'38"
5位 鈴木美香子(ckirin.com) +11'04"
6位 須藤むつみ(Ready Go JAPAN) -1Lap
7位 林口幸恵(SNEL CYCLOCROSS TEAM) -1Lap
8位 森美穂子(BOUNCE) -1Lap
9位 綿貫通穂(臼杵レーシング) -1Lap
10位 伊藤千紘(Ready Go JAPAN) -2Laps
text&photo:Kei Tsuji
近年日本の女子シクロクロスを牽引する豊岡と宮内。走り方も経歴も異なる2人の力が拮抗して数年が経つ。宮内は過去2年連続全日本選手権で勝利。対して豊岡は故障続きで苦しいシーズンを送っていた。
野辺山シクロクロスでは勝利したアリーチェマリア・アルツッフィ(イタリア)の後ろで両者が闘いを繰り広げ、土曜日は豊岡、日曜日は宮内がそれぞれ先着。それから2週間。全日本選手権に向けてそれぞれの調整を行なった2人がレース序盤からぶつかった。
スタートから飛び出したのは豊岡で、泥を巧みにこなしながらレースをリードする。2周目に入る頃には宮内がチームメイトの武田和佳(Team CHAINRING)とともに追い上げ、キャンバー区間でついに豊岡を捉えた。
一躍先頭に立った宮内だったが、豊岡は2周目の時点ですでに2回バイクを交換済み。徐々にバイクの泥が脚を削り、豊岡の先行が再び始まる。「1〜2周目は走りやすかったのに、3周目に入って急に泥が絡み始めました。そこからはひたすら毎周バイクを交換するしかなかった」と語る豊岡が1周or半周ごとのバイク交換で徹底的に泥を排除した。
バイク交換の頻度以外に「忍者返し」の走法にも差が出た。タイヤに泥を付けないために「担ぎ」に徹した豊岡に対し、宮内は「押し」を多用。周回を重ねるほどに粘度を増した泥がバイクに蓄積して行く。両者のタイム差は広がり続け、最終的に35秒差で豊岡が勝利した。
「(2週間前の)野辺山シクロクロスが終わってからも乗り込めていたので、しっかり調整が出来ていた。経験を要するコースでした。朝にしっかり試走もしたし、久しぶりに自分の走りが出来た気がします。後ろとの距離が開いたので最後まで落ち着いて冷静に走ることが出来ました」。ヨーロッパレースでの経験を存分に活かし、2005年から2011年まで全日本選手権7連覇を果たした豊岡が3年ぶりのタイトルを手にした。
故障続きで苦しい数シーズンを送った豊岡。今年4月には肘の手術を受け、思うような練習を出来ない日々が続いた。「手術した時はもう走れないかと思ったほど。まさか優勝出来るところまでしっかりトレーニングが出来るとは思っていませんでした。過去の2シーズンは全日本選手権だけ自分の走りが出来ずにいた。怪我をしてからずっと辛くて、悩んで、いろんな思いをしたけど、表彰台の真ん中に立ちたいと言う思いでトレーニングしてきました。長く辛い闘いでした」。
報道陣に囲まれる豊岡に歩み寄り、互いの健闘を讃え合った宮内は「来年は負けないから」と宣言。今後も両者は良きライバルとしてしのぎを削るだろう。
その他の写真はフォトギャラリーにて。
シクロクロス全日本選手権2014女子結果
1位 豊岡英子(パナソニックレディース) 41'02"
2位 宮内佐季子(Team CHAINRING) +35"
3位 武田和佳(Team CHAINRING) +5'09"
4位 川崎路子(CLUB viento) +6'38"
5位 鈴木美香子(ckirin.com) +11'04"
6位 須藤むつみ(Ready Go JAPAN) -1Lap
7位 林口幸恵(SNEL CYCLOCROSS TEAM) -1Lap
8位 森美穂子(BOUNCE) -1Lap
9位 綿貫通穂(臼杵レーシング) -1Lap
10位 伊藤千紘(Ready Go JAPAN) -2Laps
text&photo:Kei Tsuji
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