2014/12/12(金) - 11:00
東北地方で初の全日本シクロクロス選手権がこの週末、宮城県菅生で開催される。今年は男子U23も単独レースで行われ、いずれのクラスも激戦が予想される。コースも泥のアップダウンに加え、雪も予報される。果たして混沌から抜け出すのは誰か?
全日本シクロクロス選手権大会(主催JCF)が宮城県村田町のスポーツランドSUGO国際モトクロスコースで行なわれる。12月14日(日)の朝9時の男子ジュニアクラスからスタート。順次女子エリート、男子U23、男子エリートが行なわれ、それぞれのクラスで全日本チャンピオンが決まる。
優勝者へは日本チャンピオンジャージが授与されるとともに、今大会は1月31日からチェコ・タボールで行なわれる世界選手権の代表候補選手選考会としての位置づけもなされているためきわめて重要。前日にはAJOCC主催のマスターズ選手権も行なわれる。これにも優勝者へはチャンピオンジャージが授与される栄誉ある大会だ。
スケジュール
12月13日(土)
AJOCC主催 2014JCXシクロクロスマスターズ選手権
9時00分 男子マスターズ50/女子マスターズ40 30分
10時00分 男子マスターズ40/男子マスターズ30/男子オープン 40分
11時00分 U15/キッズA 20分/15分
12月14日(日)
JCF主催 第20回全日本シクロクロス選手権大会
9時00分 男子ジュニア 40分
10時10分 女子エリート 40分
11時20分 男子U23 50分
12時40分 男子エリート 60分
泥と大きな高低差のある厳しいコース
コース全長はモトクロスコースを利用した1周2.7kmで、高低差は28m、1周あたりの獲得標高は97m、路面は土65%、芝・草地10%、舗装路25%と発表されている。「忍者返し」と呼ぶ急な上りが3箇所設定され、多くを占める土路面は粘土質だが、仮にドライならばハードな土質。ウェットならばタイヤやシューズにまとわりつく。ハイスピードの下りもあり、高度なバイクコントロール能力も求められる。またシングルピットが2箇所で、1箇所の洗車場をはさむ位置に置かれる。泥を落とすピットワークがきわめて重要。順路はおおむね左回りとなる。コースデザイナーは2000年第6回大会チャンピオンの三船雅彦氏だ。
当日は泥?雪?
気になるのは天候だが、土曜日は曇りと雪のマークが、日曜日は曇りと晴れのマークがある。気温は最低マイナス5度から最高でも5度ほどと低い。土曜日にどれだけの雪または雨が降るかで大きくコンディションは変わってくる。また午前中は凍結箇所も予想される。いずれにしても泥と低温というまさにシクロクロス向きのコンディションが予想される。ほぼ1年前の同所での大会も参考になるだろう。
主管であるTOHOKU CX Project代表の菅田純也氏は「天候によってコースコンディションが正反対になるので、コンディションを読むのも実力だと思います。ピットワークも含めてシクロクロスの様々な要素が要求され、総合力が高い選手が勝てるようなレースになれば」と語る。泥地獄だった野辺山大会よりもさらにまとわりつく泥が予想され、走力とテクニックに加えてピットワークが重要な位置を占めそうだ。
各クラスの注目は?
男子エリート 4連覇を目指す竹之内悠
絶対的王者が不在とはいえ、優勝候補は、3年連続チャンピオンの竹之内悠(Veranclassic-Doltcini)、今シーズン絶好調の山本和弘(弱虫ペダルシクロクロスチーム)、そして2年連続2位の小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)の3人をまず挙げよう。9連覇の偉業を達成した辻浦圭一から、そのタイトルも走りも受け継ぐのは竹之内。今シーズンもベルギーを拠点にロードから順調にシクロクロスへ移行。今年はUCIマキノ大会に出ず、同日のコクサイデのワールドカップに出場。帰国後の野辺山大会では2戦とも日本人2位になったが、必ずや調子を合わせて4連覇達成に向けて参戦する。
今シーズン国内で無敵といえるのが山本。野辺山連戦では2日とも日本人最上位の3位、マキノUCIで小坂に敗れているがそれ以外は無敵。MTBトップレーサーからロードへ転向して2年目。竹之内の4連覇を阻止する最有力候補だ。
2年連続2位の小坂は竹之内と同年代。2013年は57秒差、2012年はわずか3秒だった竹之内と小坂のタイム差。マキノUCIではイタリアU23チャンピオンに食い下がる走りを見せ日本人1位に。社会人レーサーの意地を菅生で見せるだろう。
さらに候補は大ベテランの小坂正則(スワコレーシング)、安定して上位に入る濱由嵩(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)新チームで臨む丸山厚(BOMA RACING)らが続く。土井雪広(チーム右京)と2014年MTB全日本チャンピオンの武井亨介(チーム・フォルツァ!)は、スタートグリッドを決めるUCI、JCX、AJOCCいずれの結果も無いためほぼ最後尾からのスタートになる。
女子エリート 3連覇を狙う宮内佐季子と復活を目指す豊岡英子
3連覇を狙う現チャンピオンの宮内佐季子(Team CHAINRING)と、2011年まで7連覇の実績を持つ豊岡英子(パナソニックレディース)の戦いに注目だ。宮内は今シーズン出場してきたレースのほとんどを日本人1位の成績。ただひとつ、2週間前の野辺山第1戦で豊岡に負けている。だが毎年全日本選手権に照準を合わせ、ほかのレースは調整として走るのが宮内。最有力候補として名乗りを上げる。
豊岡は今年4月に左ひじの同じ箇所を2度骨折、9月の実業団TTは優勝したものの10月にプレートを抜く手術を実施。それからわずか1ヶ月ほどの野辺山で宮内を抑える鮮やかな復活劇を演じた。豊岡が見据えるのは世界の舞台。完全復活を目指しそして8度目の優勝を目指して参戦する。
この2人に続くのは武田和佳(Team CHAINRING)、林口幸恵(SNEL CYCLOCROSS TEAM)ら。2014年MTB全日本チャンピオンの與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)は出場しないことをマキノ会場で表明している。
男子U23 一番の激戦区から勝ち上がるのは?
今年の全クラス中、もっとも熾烈な戦いが繰り広げられるのが男子U23だ。今年は独立した1レースとして開催。昨年エリートとともに走り、3位から5位までの成績を残したのは沢田時(チームブリヂストンアンカー)、小橋勇利(JP SPORTS TEST TEAM-MASSA-ANDEX)、横山航太(シマノレーシング)。これに昨年8位でマキノU23勝者の中原義貴(弱虫ペダルシクロクロスチーム)、猪苗代湖天神浜で横山らを抜き去り3位の前田公平(Team BiORACER)、2013年ジュニアチャンピオンの中井唯晶(瀬田工業高校)、山田誉史輝(PAX PROJECT)らが続く。
この中で最も安定した成績を挙げているのは横山。泥の野辺山2戦をU23年代ではトップ、エリートでも上位に食い込む。そして1週間前の飯山クロス連戦では雪の中をただひとり違うスピードを見せてエリートクラスでも圧勝。抜群のバイクコントロールを見せた。いっぽう小橋は2月に膝の手術をし9月からレースに復帰、その後はレースのたびに実力を上げており、表彰台のどの場所に立つかが注目だ。
男子ジュニア 群雄割拠のジュニア年代
昨年ゴールスプリントで惜敗して2位だった竹内遼(WESTBERG/Pro Ride)が今季は好調。マキノでは男子エリートのラップをも上回る走りで優勝するなど力をつけている。その竹内に対抗するのは山田将輝(PAX PROJECT)。山田は2週間前の野辺山2戦は1位と2位で竹内を1回下している。この2人の戦いが焦点に。これにロードで実績を残す日野竜嘉(松山聖陵高校)らがどう絡むか。
会場アクセスと出店ブース
東北自動車道村田インターから約10分と車移動ならば至便の場所。車以外では公共交通機関が無いため、バス+タクシーなどでのアクセスとなる。車の場合は積雪や凍結の恐れがあるため、スタッドレスタイヤとチェーンを携行しよう。気温が零度プラスマイナス5度ほどと寒く、基本泥の地面なので防寒と長靴等の装備を考えよう。
会場にはメーカーなどのブースが10社以上立ち並び、またフードブースも用意される。ハンバーガー、牛タン、コーヒー、マフィン、芋煮、玉こん、たこ焼き、焼きそばなど充実している。ブースを回るだけでも楽しめるのが今年の全日本シクロクロスだ。
text:高木秀彰
全日本シクロクロス選手権大会(主催JCF)が宮城県村田町のスポーツランドSUGO国際モトクロスコースで行なわれる。12月14日(日)の朝9時の男子ジュニアクラスからスタート。順次女子エリート、男子U23、男子エリートが行なわれ、それぞれのクラスで全日本チャンピオンが決まる。
優勝者へは日本チャンピオンジャージが授与されるとともに、今大会は1月31日からチェコ・タボールで行なわれる世界選手権の代表候補選手選考会としての位置づけもなされているためきわめて重要。前日にはAJOCC主催のマスターズ選手権も行なわれる。これにも優勝者へはチャンピオンジャージが授与される栄誉ある大会だ。
スケジュール
12月13日(土)
AJOCC主催 2014JCXシクロクロスマスターズ選手権
9時00分 男子マスターズ50/女子マスターズ40 30分
10時00分 男子マスターズ40/男子マスターズ30/男子オープン 40分
11時00分 U15/キッズA 20分/15分
12月14日(日)
JCF主催 第20回全日本シクロクロス選手権大会
9時00分 男子ジュニア 40分
10時10分 女子エリート 40分
11時20分 男子U23 50分
12時40分 男子エリート 60分
泥と大きな高低差のある厳しいコース
コース全長はモトクロスコースを利用した1周2.7kmで、高低差は28m、1周あたりの獲得標高は97m、路面は土65%、芝・草地10%、舗装路25%と発表されている。「忍者返し」と呼ぶ急な上りが3箇所設定され、多くを占める土路面は粘土質だが、仮にドライならばハードな土質。ウェットならばタイヤやシューズにまとわりつく。ハイスピードの下りもあり、高度なバイクコントロール能力も求められる。またシングルピットが2箇所で、1箇所の洗車場をはさむ位置に置かれる。泥を落とすピットワークがきわめて重要。順路はおおむね左回りとなる。コースデザイナーは2000年第6回大会チャンピオンの三船雅彦氏だ。
当日は泥?雪?
気になるのは天候だが、土曜日は曇りと雪のマークが、日曜日は曇りと晴れのマークがある。気温は最低マイナス5度から最高でも5度ほどと低い。土曜日にどれだけの雪または雨が降るかで大きくコンディションは変わってくる。また午前中は凍結箇所も予想される。いずれにしても泥と低温というまさにシクロクロス向きのコンディションが予想される。ほぼ1年前の同所での大会も参考になるだろう。
主管であるTOHOKU CX Project代表の菅田純也氏は「天候によってコースコンディションが正反対になるので、コンディションを読むのも実力だと思います。ピットワークも含めてシクロクロスの様々な要素が要求され、総合力が高い選手が勝てるようなレースになれば」と語る。泥地獄だった野辺山大会よりもさらにまとわりつく泥が予想され、走力とテクニックに加えてピットワークが重要な位置を占めそうだ。
各クラスの注目は?
男子エリート 4連覇を目指す竹之内悠
絶対的王者が不在とはいえ、優勝候補は、3年連続チャンピオンの竹之内悠(Veranclassic-Doltcini)、今シーズン絶好調の山本和弘(弱虫ペダルシクロクロスチーム)、そして2年連続2位の小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)の3人をまず挙げよう。9連覇の偉業を達成した辻浦圭一から、そのタイトルも走りも受け継ぐのは竹之内。今シーズンもベルギーを拠点にロードから順調にシクロクロスへ移行。今年はUCIマキノ大会に出ず、同日のコクサイデのワールドカップに出場。帰国後の野辺山大会では2戦とも日本人2位になったが、必ずや調子を合わせて4連覇達成に向けて参戦する。
今シーズン国内で無敵といえるのが山本。野辺山連戦では2日とも日本人最上位の3位、マキノUCIで小坂に敗れているがそれ以外は無敵。MTBトップレーサーからロードへ転向して2年目。竹之内の4連覇を阻止する最有力候補だ。
2年連続2位の小坂は竹之内と同年代。2013年は57秒差、2012年はわずか3秒だった竹之内と小坂のタイム差。マキノUCIではイタリアU23チャンピオンに食い下がる走りを見せ日本人1位に。社会人レーサーの意地を菅生で見せるだろう。
さらに候補は大ベテランの小坂正則(スワコレーシング)、安定して上位に入る濱由嵩(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)新チームで臨む丸山厚(BOMA RACING)らが続く。土井雪広(チーム右京)と2014年MTB全日本チャンピオンの武井亨介(チーム・フォルツァ!)は、スタートグリッドを決めるUCI、JCX、AJOCCいずれの結果も無いためほぼ最後尾からのスタートになる。
女子エリート 3連覇を狙う宮内佐季子と復活を目指す豊岡英子
3連覇を狙う現チャンピオンの宮内佐季子(Team CHAINRING)と、2011年まで7連覇の実績を持つ豊岡英子(パナソニックレディース)の戦いに注目だ。宮内は今シーズン出場してきたレースのほとんどを日本人1位の成績。ただひとつ、2週間前の野辺山第1戦で豊岡に負けている。だが毎年全日本選手権に照準を合わせ、ほかのレースは調整として走るのが宮内。最有力候補として名乗りを上げる。
豊岡は今年4月に左ひじの同じ箇所を2度骨折、9月の実業団TTは優勝したものの10月にプレートを抜く手術を実施。それからわずか1ヶ月ほどの野辺山で宮内を抑える鮮やかな復活劇を演じた。豊岡が見据えるのは世界の舞台。完全復活を目指しそして8度目の優勝を目指して参戦する。
この2人に続くのは武田和佳(Team CHAINRING)、林口幸恵(SNEL CYCLOCROSS TEAM)ら。2014年MTB全日本チャンピオンの與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)は出場しないことをマキノ会場で表明している。
男子U23 一番の激戦区から勝ち上がるのは?
今年の全クラス中、もっとも熾烈な戦いが繰り広げられるのが男子U23だ。今年は独立した1レースとして開催。昨年エリートとともに走り、3位から5位までの成績を残したのは沢田時(チームブリヂストンアンカー)、小橋勇利(JP SPORTS TEST TEAM-MASSA-ANDEX)、横山航太(シマノレーシング)。これに昨年8位でマキノU23勝者の中原義貴(弱虫ペダルシクロクロスチーム)、猪苗代湖天神浜で横山らを抜き去り3位の前田公平(Team BiORACER)、2013年ジュニアチャンピオンの中井唯晶(瀬田工業高校)、山田誉史輝(PAX PROJECT)らが続く。
この中で最も安定した成績を挙げているのは横山。泥の野辺山2戦をU23年代ではトップ、エリートでも上位に食い込む。そして1週間前の飯山クロス連戦では雪の中をただひとり違うスピードを見せてエリートクラスでも圧勝。抜群のバイクコントロールを見せた。いっぽう小橋は2月に膝の手術をし9月からレースに復帰、その後はレースのたびに実力を上げており、表彰台のどの場所に立つかが注目だ。
男子ジュニア 群雄割拠のジュニア年代
昨年ゴールスプリントで惜敗して2位だった竹内遼(WESTBERG/Pro Ride)が今季は好調。マキノでは男子エリートのラップをも上回る走りで優勝するなど力をつけている。その竹内に対抗するのは山田将輝(PAX PROJECT)。山田は2週間前の野辺山2戦は1位と2位で竹内を1回下している。この2人の戦いが焦点に。これにロードで実績を残す日野竜嘉(松山聖陵高校)らがどう絡むか。
会場アクセスと出店ブース
東北自動車道村田インターから約10分と車移動ならば至便の場所。車以外では公共交通機関が無いため、バス+タクシーなどでのアクセスとなる。車の場合は積雪や凍結の恐れがあるため、スタッドレスタイヤとチェーンを携行しよう。気温が零度プラスマイナス5度ほどと寒く、基本泥の地面なので防寒と長靴等の装備を考えよう。
会場にはメーカーなどのブースが10社以上立ち並び、またフードブースも用意される。ハンバーガー、牛タン、コーヒー、マフィン、芋煮、玉こん、たこ焼き、焼きそばなど充実している。ブースを回るだけでも楽しめるのが今年の全日本シクロクロスだ。
text:高木秀彰
Amazon.co.jp